OPA(口咽頭エアウェイ)
舌が気道を閉鎖することを防ぎ、バッグマスク器具による十分な換気を行うことに役立つ。反応がなく、咽頭反射がない患者にのみ挿入する。誤った挿入方法では、舌が下咽頭に押し込まれ、気道閉塞が生じる可能性があることに注意する。
出典
1:
Auerbach PS: Wilderness Medicine, 6th ed. Figure 20-9, Oropharyngeal airway.
NPA(鼻咽頭エアウェイ)
呼吸停止患者で、特に歯を食いしばった状態のために口咽頭エアウェイを挿入できない患者に役立つ。挿入後、最大で30%の患者に気道出血を起こす危険性がある。頭蓋底骨折の患者でNPAの偶発的頭蓋内迷入の報告例があり、重度の頭蓋顔面損傷の患者では挿入を慎重にすべきである。
出典
1:
Auerbach PS: Wilderness Medicine, 6th ed. Figure 20-10, Nasopharyngeal airway.
ラリンゲアルマスク(LMA)の挿入法
a:適切なサイズを選択し、カフ漏れがないことを確認後にカフを十分に脱気しておく。カフの背面に潤滑剤を塗る。頭部を後屈した後に開口させ、片方の手でチューブを保持。
b:マスクの先端を硬口蓋に沿わせながら挿入。
c:咽頭まで進め、抵抗が感じられるまで押し込む。
d:チューブから手を離し、カフに空気を入れる。カフを膨らませるとチューブは下咽頭の形状に密着するように押し戻されてくるので、その後、換気ができることを確認して固定する。
出典
1:
Miller: Miller’s anesthesia, 7th ed. Figure 50-5, Insertion of a laryngeal mask airway.
輪状甲状靱帯切開の手技
前頚部を消毒し、患者の右側から左手で甲状軟骨の不動化を行い、輪状甲状靱帯を同定する。輪状甲状靱帯上の皮膚をメスで3㎝程度切開し、直下の輪状甲状靱帯を1.5㎝程度横切開する。鉗子で切開孔を拡張させた後、気管チューブ(または気管切開チューブ)を挿入する。
出典
1:
Browner: Skeletal Trauma, 4th ed. Figure 6-1, technique for cricothyroidotomy.
呼気CO2モニターによる気管挿管の確認
この呼気CO
2
モニタートレーシングは、呼気二酸化炭素分圧(P
ET
CO
2
)(mmHg)を縦軸として、挿管前と挿管後の経時変化を示している。
患者が挿管されると、呼気CO
2
が検出され、気管チューブが正しく挿管されていることが確認できる。
P
ET
CO
2
は呼吸サイクル中に変動し、呼吸終末期に最高の値になる。
頭部後屈-顎先挙上法
医療従事者は、頭頚部に外傷を認めない患者に対して、頭部後屈-顎先挙上法を行い気道確保する。
Cormack分類
喉頭鏡操作による直視下気管挿管の難易度を分類
GradeⅠ:声帯が完全にみえる
GradeⅡ:声帯の後部のみがみえる
GradeⅢ:喉頭蓋のみがみえる
GradeⅣ:喉頭蓋もみえない
万国共通の窒息のサイン
窒息により呼吸困難に陥った傷病者は、自らの首をわしづかみにするような姿勢を取ることがある。
このような姿勢の傷病者をみたらただちに「喉が詰まっているのですか」と尋ね、傷病者がうなずいたら重症の気道閉塞に陥っている証明である。
乳児の異物による気道閉塞(FBAO)の解除
異物を排出するか反応がなくなるまで、背部叩打(手のひらで叩く)と胸骨圧迫を5回ずつ行うサイクルを繰り返す。
a:背部叩打
b:胸骨圧迫
成人、小児、乳児の補助呼吸
成人、小児または乳児に脈拍はあるが、有効な呼吸をしていない場合は、救助者は胸骨圧迫をせずに呼吸を補助する必要がある。
以下の表は、成人、小児、および乳児に対する補助呼吸のガイドラインを示す。
出典
1:
American Heart Association: BLSヘルスケアプロバイダー受講者マニュアル AHAガイドライン2010準拠. シェパード株式会社, 2011;49.(改変あり)
輪状軟骨圧迫法(Sellick法)
バッグマスク換気の際に輪状軟骨圧迫法を実施することは、誤嚥防止効果を期待できる一方で、換気が妨げられる可能性もありルーチン実施は推奨されない。
RSIの適応がある場合、医療従事者が複数いる場合に実施を考慮する。
下顎挙上法
医療従事者は、頚椎損傷が疑われる患者に対して、下顎挙上法を行い気道確保する。
ラリンゲアルマスクのサイズ
年齢・体格に合わせた一般的なラリンゲアルマスクのサイズ選択の目安と最大カフ注入量
出典
1:
菊池広子、松田潔:気管挿管以外の気道確保器具.救急医学 2009: 33(1): 39-44.
気管挿管後の気胸X線写真
気管挿管後に呼吸状態悪化し、聴診上右呼吸音の減弱を認めた。
DOPE(ドープ)に従い原因検索したところ、気胸(Pneumothorax)を認めた。
出典
1:
著者提供
急性喉頭蓋炎による喉頭浮腫
a:正常喉頭蓋
b:急性喉頭蓋炎による喉頭浮腫(気管挿管後)
気管挿管においては、通常より細いチューブ(6mmなど)を用いて、スタイレットを2㎝ぐらい挿管チューブの先端から出して、まずスタイレットを腫脹した喉頭蓋の隙間に通してから挿管チューブを押し込む方法が北米の救急医の間では推奨されている。
出典
1:
著者提供
ビデオ硬性挿管用喉頭鏡(Glide Scope/Verathon.com)
喉頭展開困難な症例でも、モニター画像下に気管挿管することが可能である
a:ビデオ喉頭鏡(Verathon社のGlide Scope)を使用すれば、携帯型のスクリーンで挿管の様子を間接的に観察することができる。
b:Glide Scopeによる声帯の実際の映像。スクリーンを見ながら気管内チューブを操作して、声帯を通過させることができる。特殊な角度のついたスタイレットを使用すべきである。
c:使い捨ての喉頭鏡ブレードと加熱された曇りのない強力な光源を使用することで、処置が容易になる。
出典
1:
Roberts: Clinical Procedures in Emergency Medicine, 5th ed.
モチによる窒息患者の胸部CT写真
モチが気管内に高吸収域として認められる。
出典
1:
著者提供
気道確保困難症のアルゴリズム
手術室での全身麻酔下での気道確保を前提としたアメリカ麻酔科学会のガイドラインであるため、待機的でない救急集中治療領域においては不適切なところがある。予定手術の麻酔時とは異なり、あらかじめ診察して準備しておくことができない場合が多く、麻酔導入時のようにいったん覚醒させるという選択肢はない。
出典
1:
Practice guidelines for management of the difficult airway: an updated report by the American Society of Anesthesiologists Task Force on Management of the Difficult Airway.
Anesthesiology. 2003 May;98(5):1269-77.
RSIプロトコール
RSI実施の際の手順が示されている。
出典
1:
American Heart Association. ECC(救急心血管治療)ハンドブック2010. P65 株式会社シナジー 2012
異物以外の原因による気道閉塞患者への対応
バイタルサインの把握と閉塞部位の推定が必須
出典
1:
橘直人:窒息. 今日の臨床サポート,2015年, エルゼビア・ジャパン