眼球運動障害の程度は、極度周辺視をしていただいたときの眼球運動制限(回転不足)の程度で判定する。
a:正面視で右眼の視線は正面を見ているが、左眼の視線はやや外側を向いている(左眼が外斜している)。右眼がこの状況下では優位眼となっている。
b:極度左方視では、右眼も左眼も十分眼球が動いており、“黒目”の左側の“白目”が眼瞼で隠されている。(側方視で“白目が隠れる”のが正常の1つの目安になるが、眼瞼の形態が標準と少し異なる場合は適用できない。また、上方(下方)視の場合は対側眼と比べることが最も重要で、ほかに、黒目の下(上)縁が内・外眼角を結ぶ線よりも上(下)になるまで回転できることが正常の目安とされる。)
c:極度右方視では、右眼は十分回転し黒目外側(右側)の白目は見えなくなっている。左眼は回転不十分で正面を少し越えて止まっている。麻痺の程度を4段階で評価する方法では、正面までしか眼球が回転しない場合は-4で、十分回転できる状態を0とするので、この図からは左眼の右方への動き(内転)は-3と評価される。しかし、このような両眼開放下で周辺視をしていただく眼球運動(むき運動)ではなく、当該眼で見ていただききながら周辺視していただくひき運動(下段)をみるのが眼球運動制限の程度評価法としては正しい。
d:右眼の視野を手で隠して、左眼で極度右方視をしていただいた状態。左眼の内転運動はcの状態よりも改善しており、麻痺の程度は-1と評価される。