J038 人工腎臓(1日につき)
1,876点
2,036点
2,171点
1,836点
1,996点
2,126点
1,796点
1,951点
2,081点
1,580点
注
1 入院中の患者以外の患者に対して、午後5時以降に開始した場合若しくは午後 9時以降に終了した場合又は休日に行った場合は、時間外・休日加算として、380 点を所定点数に加算する。
2 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行った場合には、導入期加算として、導入期1月に限り1日につき、当該基準に係る区分に従い、次に掲げる点数を所定点数に 加算する。
イ 導入期加算1 200点
ロ 導入期加算2 410点
ハ 導入期加算3 810点
3 著しく人工腎臓が困難な障害者等に対して行った場合は、障害者等加算として、 1日につき140点を加算する。
4 カニュレーション料を含むものとする。
5 区分番号C102に掲げる在宅自己腹膜灌流指導管理料又は区分番号C102 -2に掲げる在宅血液透析指導管理料を算定している患者に対して行った場合に は、週1回(在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定している患者にあっては、区分 番号J042に掲げる腹膜灌流(1に限る。)の実施回数と併せて週1回)に限 り算定する。
6 1から3までの場合にあっては、透析液、血液凝固阻止剤、生理食塩水及び別に厚生労働大臣が定める薬剤の費用は所定点数に含まれるものとする。
7 人工腎臓を夜間に開始し、午前0時以降に終了した場合は、1日として算定す る。
8 区分番号J038-2に掲げる持続緩徐式血液濾過の実施回数と併せて1月に 14回に限り算定する。ただし、別に厚生労働大臣が定める患者にあってはこの限りでない。
9 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行った場合には、透析液水質確保加算として、 所定点数に10点を加算する。
10 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等 に届け出た保険医療機関において、人工腎臓を実施している患者に係る下肢末 梢 動脈疾患の重症度等を評価し、療養上必要な指導管理を行った場合には、下肢末 梢 動脈疾患指導管理加算として、月1回に限り所定点数に100点を加算する。
11 通常の人工腎臓では管理が困難な兆候を有する患者に対して、6時間以上の人 工腎臓を行った場合には、長時間加算として、1回につき150点を加算する。
12 1及び2については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているもの として地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行った場合には、当該基準に係る区分に従い、それぞれ所定点数を算定する。
13 1から3までについては、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合している ものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において慢性維持透析濾過 (複雑なものに限る。)を行った場合には、慢性維持透析濾過加算として、所定 点数に50点を加算する。
14 人工腎臓を実施している患者に対して、医師、看護師、理学療法士又は作業療法士が、療養上必要な訓練等について指導を行った場合には、透析時運動指導等加算として、当該指導を開始した日から起算して90日を限度として、75点を所定 点数に加算する。
通知
(1) 人工腎臓には、血液透析のほか血液濾過、血液透析濾過が含まれる。
(2) 人工腎臓を行う医療機関の規模や効率性等を踏まえた評価とする観点から、「1」については「慢性維持透析を行った場合1」の施設基準、「2」については「慢性維持透析を行った場合2」の施設基準の届出を行った保険医療機関において算定する。「慢性維持透析を行った場合3」については、「1」又は「2」の施設基準のいずれかに該当するものとして届出を行った保険医療機関以外の保険医療機関において算定する。ただし、「慢性維持透析を行った場合3」についても、関連学会から示されている基準に基づき、水質管理が適切に実施されていることが望ましい。
(3) 人工腎臓の時間は、シャント等から動脈血等を人工腎臓用特定保険医療材料に導き入れたときを起点として、人工腎臓用特定保険医療材料から血液を生体に返却し終えたときまでとする。したがって、人工腎臓実施前後の準備、整理等に要する時間は除かれる。
(4) 人工腎臓の時間等については、患者に対し十分な説明を行った上で、患者の病態に応じて、最も妥当なものとし、人工腎臓を行った時間(開始及び終了した時間を含む。)を診療録等 に記載すること。また、治療内容の変更が必要となった場合においても、患者に十分な説明を行うこと。
(5) 妊娠中の患者以外の患者に対し、人工腎臓と「J038-2」持続緩徐式血液濾過を併せ て1月に 15 回以上実施した場合(人工腎臓のみを 15 回以上実施した場合を含む。)は、15回目以降の人工腎臓又は持続緩徐式血液濾過は算定できない。ただし、薬剤料(透析液、血液凝固阻止剤、エリスロポエチン製剤、ダルベポエチン製剤、エポエチンベータペゴル製剤、 HIF-PH阻害剤及び生理食塩水を含む。)又は特定保険医療材料料は別に算定できる。
(6) 「C102」在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定している患者に対して行った場合には、「J042」腹膜灌流の「1」連続携行式腹膜灌流の実施回数と併せて週1回を限度として算定できる。また、「C102-2」在宅血液透析指導管理料を算定している患者に対して行った場合には、週1回を限度として算定できる。それを超えた回数を実施した場合は、薬剤料及び特定保険医療材料料に限り算定できる。なお、他の医療機関において「C102」在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定している場合には、診療報酬明細書の摘要欄に、「C1 02」在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定している保険医療機関名を記載した場合に限り、週1回を限度として算定できる。
(7) 人工腎臓の所定点数に含まれるものの取扱いについては、次の通りとする。
ア 「1」から「3」までの場合(「注 13」の加算を算定する場合を含む。)には、透析液(灌流液)、血液凝固阻止剤、生理食塩水、エリスロポエチン製剤、ダルベポエチン製剤、エポエチンベータペゴル製剤及びHIF-PH阻害剤の費用は所定点数に含まれており、 別に算定できない。なお、生理食塩水には、回路の洗浄・充填、血圧低下時の補液、回収に使用されるもの等が含まれ、同様の目的で使用される電解質補液、ブドウ糖液等についても別に算定できない。
イ 「1」から「3」までにより算定する場合(「注 13」の加算を算定する場合を含む。)においても、透析液(灌流液)、血液凝固阻止剤、生理食塩水、エリスロポエチン製剤、ダルベポエチン製剤、エポエチンベータペゴル製剤及びHIF-PH阻害剤の使用について適切に行うこと。また、慢性維持透析患者の貧血の管理に当たっては、関係学会が示している腎性貧血治療のガイドラインを踏まえ適切に行うこと。
ウ 「1」から「4」までにより算定する場合(「注 13」の加算を算定する場合を含む。)において人工腎臓灌流原液の希釈水の費用は、所定点数に含まれ、別に算定できない。また、必要があって脱イオン(純水製造装置による)を行わなければ使用できない場合であっても同様である。
エ 「1」から「4」までにより算定する場合(「注 13」の加算を算定する場合を含む。)において人工腎臓の希釈水に対してアルミニウム、フッ素、遊離塩素及びエンドトキシン等を除去する目的で逆浸透装置、活性炭フィルター及び軟水装置を用いて水処理を行った場合の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
オ 「1」から「4」までにより算定する場合(「注 13」の加算を算定する場合を含む。)において人工腎臓の回路を通して行う注射料は、所定点数に含まれ、別に算定できない。
(8) 「4」 その他の場合は次の場合に算定する。
ア 急性腎不全の患者に対して行った場合
イ 透析導入期(導入後1月に限る。)の患者に対して行った場合
ウ 血液濾過又は血液透析濾過(「注 13」の加算を算定する場合を除く。)を行った場合
エ 以下の合併症又は状態を有する患者(( ニ)から(ヌ)までについては入院中の患者に限る。)に対して行った場合であって、連日人工腎臓を実施する場合や半減期の短い特別な抗凝固剤を使用する場合等特別な管理を必要とする場合
(イ) 重大な視力障害に至る可能性が著しく高い、進行性眼底出血( 発症後2週間に限る。)
(ロ) 重篤な急性出血性合併症(頭蓋内出血、消化管出血、外傷性出血等)(発症後2週間に限る。)
(ハ) ヘパリン起因性血小板減少症
(ニ) 播種性血管内凝固症候群
(ホ) 敗血症
(ヘ) 急性膵炎
(ト) 重篤な急性肝不全
(チ) 悪性腫瘍(注射による化学療法中のものに限る。)
(リ) 自己免疫疾患の活動性が高い状態
(ヌ) 「L002」硬膜外麻酔、「L004」脊椎麻酔又は「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔による手術を実施した状態(手術前日から術後2週間に限る。)
(9) (8)の場合に該当し、「4」により算定する場合にあっては、(8)のアからエまで(エについては(イ)から(ヌ)まで)の中から該当するものを診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
(10) 人工腎臓における血液濾過は、人工腎臓の必要な患者のうち、血液透析によって対処ができない透析アミロイド症若しくは透析困難症の患者又は緑内障、心包炎若しくは心不全を合併する患者について、血液透析を行った上で、その後血液濾過を実施した場合に限り算定できる。この場合の人工腎臓の費用は、「4」により算定する。
(11) 人工腎臓における血液透析濾過(「注 13」の加算を算定する場合を除く。)は、人工腎臓の必要な患者のうち、血液透析によって対処ができない透析アミロイド症又は透析困難症の患者について実施した場合に限り算定できる。この場合の人工腎臓の費用は「4」により算定する。
(12) 「注1」の加算については、人工腎臓を緊急のため午後5時以降に開始したため又は緊急のため休日に行ったため、通則5による時間外加算等が算定できる場合にあっては、併せて算定できない。
(13) 「注1」の加算を算定する場合は、「A000」初診料の「注9」及び「A001」再診料の「注7」に掲げる夜間・早朝等加算は算定しない。
(14) 休日加算の対象となる休日とは、初診料における休日加算の対象となる休日と同じ取扱いである。ただし、日曜日である休日(日曜日である 12 月 29 日から1月3日までの日を除く。)は、休日加算の対象としない。
(15) 休日の午後5時以降に開始した場合又は午後9時以降に終了した場合にあっては、「注1」の加算を1回のみ算定できる。
(16) 療養の一環として行われた食事以外の食事が提供された場合には、患者から実費を徴収することができる。
(17) 「注2」の加算について、「イ」については、「導入期加算1」の施設基準、「ロ」については、「導入期加算2」の施設基準、「ハ」については、「導入期加算3」の施設基準の届出を行った保険医療機関において、それぞれ1日につき 200 点、410 点又は 810 点を1月間に限り算定する。なお、「人工腎臓における導入期」とは継続して血液透析を実施する必要があると判断された場合の血液透析の開始日より1月間をいう。
(18) 「注3」の加算については、次に掲げる状態の患者であって著しく人工腎臓が困難なものについて算定する。
ア 障害者基本法に定める障害者(腎不全以外には身体障害者手帳を交付される程度の障害を有さない者であって、腎不全により身体障害者手帳を交付されているものを除く。)
イ 精神保健福祉法の規定によって医療を受ける者
ウ 難病の患者に対する医療等に関する法律第5条第1項に規定する指定難病(同法第7条第4項に規定する医療受給者証を交付されている患者(同条第1項各号に規定する特定医療費の支給認定に係る基準を満たすものとして診断を受けたものを含む。)に係るものに限る。)又は「特定疾患治療研究事業について」(昭和 48 年4月 17 日衛発第 242 号)に掲げる疾患(当該疾患に罹患しているものとして都道府県知事から受給者証の交付を受けているものに限る。ただし、スモンについては過去に公的な認定を受けたことが確認できる場合等を含む。)に罹患している者であって介護を要するもの(腎疾患により受給者証を発行されているものを除く。)
エ 透析中に頻回の検査、処置を必要とするインスリン注射を行っている糖尿病の患者
オ 運動麻痺を伴う脳血管疾患患者
カ 認知症患者
キ 常時低血圧症(収縮期血圧が 90mmHg 以下)の者
ク 透析アミロイド症で手根管症候群や運動機能障害を呈する者
ケ 出血性消化器病変を有する者
コ 骨折を伴う二次性副甲状腺機能亢進症の患者
サ 重症感染症に合併しているために入院中の患者
シ 末期癌に合併しているために入院中の患者
ス 入院中の患者であって腹水・胸水が貯留しているもの
セ 妊婦(妊娠中期以降)
ソ うっ血性心不全(NYHAⅢ度以上)
タ 12 歳未満の小児
チ 人工呼吸を実施中の患者
ツ 結核菌を排菌中の患者
(19) 人工腎臓を夜間に開始した場合とは、午後6時以降に開始した場合をいい、終了した時間が午前0時以降であっても、1日として算定する。ただし、「4」の場合であって、夜間に人工腎臓を開始し、12 時間以上継続して行った場合は、2日として算定する。
(20) 「注 10」の下肢末梢動脈疾患指導管理加算は、当該保険医療機関において慢性維持透析を実施している全ての患者に対しリスク評価等を行った場合に算定できる。その際「血液透析患者における心血管合併症の評価と治療に関するガイドライン」等に基づき、下肢動脈の触診や下垂試験・挙上試験等を実施した上で、下肢末梢動脈の虚血性病変が疑われる場合には足関節上腕血圧比(ABI)検査又は皮膚組織灌流圧(SPP)検査によるリスク評価を行っていること。また、ABI検査 0.7 以下又はSPP検査 40mmHg 以下の患者については、専門的な治療体制を有している保険医療機関へ紹介を行うこと。当該保険医療機関が専門的な治療体制を有している保険医療機関の要件を満たしている場合は、当該保険医療機関内の専門科と連携を行っていること。
(21) 「注 11」の長時間加算については、次に掲げる状態の患者であって、通常の人工腎臓では管理困難な徴候を有するものについて、6時間以上の人工腎臓を行った場合に算定する。
ア 心不全徴候を認める又は血行動態の不安定な患者
イ 適切な除水、適切な降圧薬管理及び適切な塩分摂取管理を行っても高血圧が持続する患者
ウ 高リン血症が持続する患者
(22) 「注 13」慢性維持透析濾過(複雑なもの)は、血液透析濾過のうち、透析液から分離作製した置換液を用いて血液透析濾過を行うことをいう。
(23) 原則として、関連学会から示されている基準に基づき、水質管理が適切に実施されていること及び透析機器安全管理委員会を設置し、その責任者として専任の医師又は専任の臨床工学技士が1名以上配置されていること。
(24) 「1」から「3」までの場合(「注 13」の加算を算定する場合を含む。)については、H IF-PH阻害剤は当該保険医療機関において院内処方することが原則である。なお、同一の患者に対して、同一診療日にHIF-PH阻害剤のみを院内において投薬する場合には、「F400」処方箋料の(9)の規定にかかわらず、他の薬剤を院外処方箋により投薬することとして差し支えない。
(25) 「注 14」に掲げる透析時運動指導等加算については、透析患者の運動指導に係る研修を受講した医師、理学療法士、作業療法士又は医師に具体的指示を受けた当該研修を受講した看護師が1回の血液透析中に、連続して 20 分以上患者の病状及び療養環境等を踏まえ療養上必要な指導等を実施した場合に算定できる。実施した指導等の内容を実施した医師本人又は指導等を実施した理学療法士等から報告を受けた医師が診療録に記録すること。
なお、入院中の患者については、当該療法を担当する医師、理学療法士又は作業療法士の 1人当たりの患者数は1回 15 人程度、当該療法を担当する看護師の1人当たりの患者数は1回5人程度を上限とし、入院中の患者以外の患者については、それぞれ、1回 20 人程度、1回8人程度を上限とする。
(26) 透析時運動指導等加算について、指導等に当たっては、日本腎臓リハビリテーション学会「腎臓リハビリテーションガイドライン」等の関係学会によるガイドラインを参照すること。
(27) 指導を行う室内に心電図モニター、経皮的動脈血酸素飽和度を測定できる機器及び血圧計を指導に当たって必要な台数有していること。また、同室内に救命に必要な器具及びエルゴメータを有していることが望ましい。
(28) 当該加算を算定した日については、疾患別リハビリテーション料は別に算定できない。
(令和6年版)