K697-5 生体部分肝移植術
注
1 生体部分肝を移植した場合は、生体部分肝の摘出のために要した提供者の療養 上の費用として、この表に掲げる所定点数により算定した点数を加算する。
2 肝移植者に係る組織適合性試験の費用は、所定点数に含まれる。
3 抗HLA抗体検査を行う場合には、抗HLA抗体検査加算として、4,000点を 所定点数に加算する。
通知
(1) 対象疾患は、先天性胆道閉鎖症、進行性肝内胆汁うっ滞症(原発性胆汁性肝硬変と原発性硬化性胆管炎を含む。)、アラジール症候群、バッドキアリー症候群、先天性代謝性肝疾患( 家族性アミロイドポリニューロパチーを含む。)、多発嚢胞肝、カロリ病、肝硬変(非代償期)及び劇症肝炎(ウイルス性、自己免疫性、薬剤性、成因不明を含む。)である。なお、肝硬変(非代償期)に肝癌(転移性のものを除く。以下同じ。)を合併している場合には、遠隔転移と血管侵襲を認めないもので、当該肝癌が、次の条件により、肝内に長径5cm 以下1個、長径3cm 以下3個以内、又は長径5cm 以下5個以内かつα-フェトプロテイン(AFP)の検査結果が 500 ng/mL 以下である場合に限る。また、小児肝芽腫についても対象疾患に含むものとする。
ア 肝癌の長径及び個数については、病理結果ではなく、当該移植実施日から1月以内の術前画像を基に判定することを基本とする。
イ 術前画像において肝癌と判定される結節性病変は、単純CTで撮影した画像において 低吸収域として描出され、造影CTで撮影した画像の動脈相において高吸収域として、門脈相において低吸収域として描出されるものをいい、これを典型的な肝癌と判定する。なお、非典型的な肝癌の場合は、最新の科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン作成に関する研究班「肝癌診療ガイドライン」に基づき、肝癌と診断された場合に限る。また、造影剤にアレルギーがあり造影CTが実施できない場合は、MRIで代用する。
ウ 当該移植前に肝癌に対する治療を行った症例に関しては、当該治療を終了した日から 3月以上経過後の移植前1月以内の術前画像を基に判定するものとする。なお、完全壊死に陥っている結節は、肝癌の個数には含めない。
(2) 生体肝を移植する場合においては、日本移植学会が作成した「生体肝移植ガイドライン」を遵守している場合に限り算定する。
(3) 生体肝を移植する場合においては肝提供者から移植肝を摘出することに係る全ての療養 上の費用を所定点数により算出し、生体部分肝移植術の所定点数に加算する。なお、肝提供者の生体肝を摘出することに係る療養上の費用には、食事の提供も含まれ、具体的には、「入院時食事療養費に係る食事療養及び入院時生活療養費に係る生活療養の費用の額の算 定に関する基準」によって算定した費用額を 10 円で除して得た点数につき1点未満の端数を四捨五入して得た点数と他の療養上の費用に係る点数を合計した点数とする。この場合、肝提供者に食事療養標準負担額を求めることはできない。
(4) 肝採取を行う医師を派遣した場合における医師の派遣に要した費用及び採取肝を搬送した場合における搬送に要した費用については療養費として支給し、それらの額は移送費の算定方法により算定する。
(5) 請求に当たっては、肝移植者の診療報酬明細書の摘要欄に肝提供者の療養上の費用に係る合計点数を併せて記載するとともに、肝提供者の療養に係る所定点数を記載した診療報酬明細書を添付する。
(6) 生体部分肝移植術の所定点数には、灌流の費用が含まれる。
(7) 肝移植を行った保険医療機関と肝移植に用いる健肝を摘出した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求は、肝移植を行った保険医療機関で行い、診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。
(令和6年版)