循環器薬の副作用・大量投与時のマネージメント :トップ    
監修: 永井良三 自治医科大学
森田英晃1) 石坂信和2) 1)大阪医科大学 第3内科 2)大阪医科大学 内科学3教室・循環器内...

概要

ポイント:
  1. 循環器薬は長期間にわたり投薬を行うことが多い薬剤である。十数年にわたり継続投与を行っている経過中に腎機能、肝機能低下が起こることにより、副作用発現を経験することが多いように思われる。
  1. 本稿では、主要な循環器薬剤の副作用を記載した。副作用出現時には原則、薬剤中止が必要であるが、高K血症、心室頻拍、徐脈、低血圧など緊急対応が必要な副作用も少なくない。そのため、各種循環器薬剤の副作用を熟知したうえで投薬開始する必要がある。また、意図的な大量服用(オーバードーズ)で救急搬送されてくる患者も少なくない。オーバードーズに対する初期対応も重要と考える。

Ca拮抗薬の副作用・大量投与時の中毒症状とそのマネージメント: >詳細情報 
  1. Ca拮抗薬の大量服用では、心筋細胞の好気性エネルギー産生が障害され、収縮障害が進行し、難治性徐脈・低血圧を来す。また、膵L型チャネルブロックの結果、インスリン産生が低下し高血糖を来す。さらに、循環不全も加わり、代謝性アシドーシスを呈する。
  1. 治療は、主に難治性徐脈・低血圧、高血糖の症状治療である。低血圧に対して、輸液、カルシウム、カテコラミンの投与を、徐脈に対してアトロピンの静注、一時ペーシングを行う。また、高血糖に対しては、インスリンを用いる。
  1. 治療アルゴリズム:アルゴリズム
 
β遮断薬の副作用・大量投与時の中毒症状とそのマネージメント: >詳細情報 
  1. β遮断薬の副作用には、心不全増悪、陰性変時作用による徐脈、低血圧などなどのβ1遮断作用による副作用と、気管支喘息増悪、糖尿病増悪などのβ2遮断作用による副作用がある。β遮断薬中毒の30~40%は無症状であるが、死亡率は26%と高く、ICUでの経過観察を行う。
  1. 大量服用では、徐脈、低血圧、心拍出量低下、心原性ショックを来す。まず、症状治療として、低血圧に対して輸液を、徐脈に対してアトロピンの投与を行うが、アトロピン投与に反応が不十分であれば、一時的ペーシングを行う。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

Ca拮抗薬の副作用・大量投与時の中毒症状とそのマネージメント
  1. Ca拮抗薬の大量服用では、難治性徐脈・低血圧、高血糖を来す。また、収縮障害が進行し、循環不全も加わり、代謝性アシドーシスを呈する。
  1. 治療は、アルゴリズムに沿って行う。
  1. Ca拮抗薬の副作用の治療アルゴリズム:アルゴリズム
  1. カルシウムの投与は、Ca拮抗薬がCaの作用を遮断する作用をもつため多くの場合には効果を認めないが、重症・中等症の患者の治療として試みられる。投与時は、高カルシウム血症を来さないように2時間ごとの血ガスの評価と心電図のモニタリングを行う。
  1. 低血圧に対して、輸液、カテコラミンの投与を、徐脈に対してアトロピンの静注、一時ペーシングを行う。また、高血糖(特に血糖200 mg/dLを認める場合)に対しては、インスリンを用いる。
○ 1)~4)にて評価しながら、投与後2時間以内の場合は6)を投与し、血中Caの上昇させる目的で7)にて治療を行いながら、徐脈に対して8)9)12)を、低血圧に対して5)10)などを、高血糖に対して11)を考慮する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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2016/09/02


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