抗がん薬による悪心(おしん)・嘔吐の予防と対応 :トップ    
監修: 佐治重衡 福島県立医科大学
齊藤光江 順天堂大学 乳腺科

概要

  1. がん治療関連の制吐療法・診療ガイドライン
の発表に伴い、現在アップデート中
 
疾患のポイント:
  1. 胃の内容物が口外に出ることを嘔吐といい、内容物がない以外は同じことが起こる場合を空嘔吐、そこまで至らないが吐きそうな感覚を悪心という。
  1. 抗癌薬の副作用で、患者が一番辛いと思うのは、かつて悪心・嘔吐であった。抗癌薬の種類にもよるが、シスプラチンに代表される高度催吐性の抗癌薬は、支持療法を行わないと投与後24時間以内(急性期)に嘔吐を引き起こす確率が90%以上といわれている。
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 抗癌薬側と患者側に催吐リスクがある。
  1. 高度催吐性:制吐剤を使用しないと急性期に90%以上の嘔吐事象を誘発する抗癌薬
  1. 中等度催吐性:制吐剤を使用しないと急性期に30~90%の嘔吐事象を誘発する抗癌薬
  1. 低度催吐性:制吐剤を使用しないと急性期に10~30%の嘔吐事象を誘発する抗癌薬
  1. 最小催吐性:制吐剤を使用しないと急性期に10%以下の嘔吐事象を誘発する抗癌薬
 
診断: >詳細情報 
  1. 初回抗癌薬治療においては、通常投与後1週間以内に起こる嘔吐事象(悪心・嘔吐)が抗癌薬誘発性悪心嘔吐(chemotherapy induced nausea and vomiting、CINV)である。
  1. 急性期(抗癌薬投与後24時間以内)と遅発期(24~120時間)に分けられており、それぞれ、治療への反応性の違いから、嘔吐事象の原因物質が異なると推測されている。抗癌薬の投与が2回目以降になると、予期性嘔吐といって、抗癌薬投与の開始前から、嘔吐事象が始まることがある。これもCINVに含められる。
 
予防治療: >詳細情報 
  1. 予防投与は、基本的にガイドラインに沿って行う。
  1. 高度催吐性抗癌薬:
  1. 急性期:3剤併用(5-HT3RA[セロトニン受容体拮抗剤]+NK1RA[NK1受容体拮抗剤]+デキサメサゾン[デカドロン])
  1. 遅発期:NK1RA+デキサメサゾン(デカドロン)
  1. AC療法:乳癌の標準治療にて、ほとんどが女性患者対象であるため高度催吐性抗癌薬に準ずる。
  1. 急性…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

高度催吐性抗癌薬投与時の嘔吐の予防薬・嘔吐時の加療例
  1. 高度催吐性抗癌薬投与時の嘔吐の予防薬として、下記の薬が推奨されている。
  1. 急性期:3剤併用(5-HT3RA+NK1RA+デキサメサゾン[デカドロン])
  1. 遅発期:NK1RA+デキサメサゾン(デカドロン)
  1. 嘔吐時の加療例:
  1. 高度催吐性化学療法でNK1RAが投与されていない場合は、初日デキサメサゾン(デカドロン)16.5mg、翌日から13.2mgずつであるが、高度催吐性でNK1RAが使用されている場合は、デキサメサゾン(デカドロン)は、初日9.9mg、翌日から6.6mgと、半分量を投与する。
  1. デキサメサゾン(デカドロン)が有効でない場合や、使用できない場合、5-HT3RAが次の選択肢である。これも無効な場合、ドーパミン受容体拮抗剤を使用する。また最近候補薬として臨床試験で有望視されているのが、オランザピンであるが、前述したように、鎮静効果があり、注意を要する(現在、国内では、国外試験で使用された1日10mgを5mgに減量して安全性と有効性を見る臨床試験が計画されている)。
○ day1にNK1RA の1)と、5-HT3RA の2)3)のいずれかと4)を用いる。day2、3で5)6)、day4で6)を用いる。

追加情報ページへのリンク

  • 抗がん薬による悪心(おしん)・嘔吐の予防と対応に関する詳細情報
  • 抗がん薬による悪心(おしん)・嘔吐の予防と対応に関する評価・治療例(詳細) (1件)
  • 抗がん薬による悪心(おしん)・嘔吐の予防と対応に関するエビデンス・解説 (15件)
  • 抗がん薬による悪心(おしん)・嘔吐の予防と対応に関する画像 (3件)
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

著者校正/監修レビュー済
2016/11/30


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