今日の臨床サポート

制吐薬(薬理)

著者: 松浦誠 岩手医科大学 薬学部 臨床薬学講座 地域医療薬学分野

監修: 中原 保裕 (有)ファーマシューティカルケア研究所

著者校正/監修レビュー済:2022/07/20
患者向け説明資料

概要・推奨   

  1. 嘔気/嘔吐の原因は非常に多岐にわたる。薬理学的には、嘔吐の原因は、中枢性と末梢性に分けられる。前者は延髄の毛様体にある嘔吐中枢と第四脳室底部にあるCTZ(化学受容器引金帯)直接刺激によるものであり、後者は消化管などの末梢臓器への刺激が求心路を経て反射的嘔吐が生じる。
  1. 制吐薬として用いられている薬剤は、末梢性ドパミン受容体拮抗薬、セロトニン受容体拮抗薬、中枢神経のニューロキニン1(NK1)受容体拮抗薬、抗ヒスタミン薬、中枢性D2受容体拮抗薬などに分類される。
  1. 前庭の異常を示唆する嘔気には、抗ヒスタミン薬であるジフェンヒドラミン・ジプロフィリン配合(トラベルミン)、d-クロルフェニラミン(ポララミン)などを用いる。
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  1. 抗がん薬投与後の24時間以降経過して発生する嘔気は、遅発性嘔吐と呼ばれ、催吐性リスクに応じて積極的に制吐薬を予防投与する。高度催吐性リスク、中等度催吐性リスクの注射薬抗がん薬に対する制吐療法としてNK1受容体拮抗薬であるアプレピタント(イメンド)もしくはホスアプレピタント(プロイメンド)に加えて5HT3受容体拮抗薬(パロノセトロン)などとデキサメタゾンを併用する。
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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
松浦誠 : 特に申告事項無し[2022年]
監修:中原 保裕 : 原稿料(学研メディカル秀潤社)[2022年]

改訂のポイント:
  1. 制吐薬適正使用ガイドライン2015年10月第2版(日本癌治療学会)に基づき、がん薬物療法によって発現する悪心・嘔吐の制御について加筆・修正を行った。
  1. がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版(日本緩和医療学会)に基づき、オピオイドによる悪心・嘔吐への対処方法について加筆・修正を行った。

病態・疫学・診察

薬剤情報まとめ  
ポイント:
  1. 悪心(嘔気)は胃の内容物を吐き出したいという不快感を指し、嘔吐とは、胃の内容物を強制的に排出(吐き出す)させる行為である。悪心(嘔気)/嘔吐の原因は非常に多岐にわたる。薬理学的には、嘔吐の原因は、中枢性と末梢性に分けられる。
  1. 中枢性の嘔吐は、延髄網様態にある嘔吐中枢に刺激が加わったことにより生じる嘔吐、悪心である。嘔吐中枢に対する刺激は血中の化学物質の刺激により化学受容器引金帯(CTZ)を介して起こるものと、CTZを介さずに精神的・心理的刺激、半規管からの刺激等によって生じるものがある。血中の化学物質としてはドパミンやセロトニン、サブスタンスPが有名で、受容体としてはD2受容体、5HT3受容体、NK1受容体の関与がある。
  1. 一方、末梢性の嘔吐は、反射性嘔吐とも呼ばれるもので胸部、腹部等の臓器に生じた刺激が原因で反射的に生じるものである。末梢においても末梢にあるD2受容体等が関与している。薬物などによる消化器粘膜への刺激による副作用もこれに属する。
  1. 原因疾患は多岐にわたり、消化器(刺激、炎症、粘膜病変、閉塞)、中枢神経系・前庭神経系、代謝性・内分泌性(妊娠)、薬剤など。心筋梗塞でも嘔気を来す。ある研究の救急外来に訪れた嘔気・嘔吐患者64人の原因は、胃腸炎19%、高血糖6%、アルコール中毒5%、胃炎5%、腸閉塞35%、胆嚢炎3%、膵炎2%、腎疝痛2%、不明55%であった。
 
成人における術後悪心嘔吐(PONV:PostOperative Nausea and Vomiting)の危険因子

日本においてPONVに適応を有する制吐剤:
欧米においては様々な作用機序の制吐剤が用いられているが、日本においては塩酸ペルフェナジン(ピーゼットシー筋注2mg)、ジメンヒドリナート(ドラマミン錠50mg)、ヒドロキシジン塩酸塩(アタラックス−P注射液)、ペルフェナジンフェンジゾ酸塩(ピーゼットシー散1%)、ペルフェナジンマレイン酸塩(ピーゼットシー糖衣錠)、ペルフェナジン(トリラホン錠)が術前・術後の悪心・嘔吐の効能効果を有している。また、グラニセトロン塩酸塩注(カイトリル注)およびオンダンセトロン塩酸塩水和物注が術後の消化器症状(悪心、嘔吐)の適応追加予定である。(用法・用量はそれぞれの添付文書参照)
 
参考文献:
Gan TJ, Belani KG, Bergese S, et al. Fourth Consensus Guidelines for the Management of Postoperative Nausea and Vomiting. Anesth Analg. 2020 Aug;131(2):411-448. doi: 10.1213/ANE.0000000000004833. Erratum in: Anesth Analg. 2020 Nov;131(5):e241. PMID: 32467512.
 

出典

img1:  筆者提供
 
 
 
制吐薬の種類:
  1. 上記のように嘔吐は中枢性と、末梢性に分かれ、また、中枢性の嘔吐は、受容体としてはD2受容体、5HT3受容体の関与などが示唆されている。これらの作用機序を基に、制吐薬として用いられている薬剤は、末梢性ドパミン受容体拮抗薬、セロトニン受容体拮抗薬、中枢神経のニューロキニン1(NK1)受容体拮抗薬、抗ヒスタミン薬、中枢性D2受容体拮抗薬などに分類される。
  1. 例えば、頭を動かしたときに吐き気が起きる場合は、前庭の異常を示唆する。そのような嘔気には、抗ヒスタミン薬であるジフェンヒドラミン・ジプロフィリン配合(トラベルミン)、d-クロルフェニラミン(ポララミン)などを用いる。
  1. 小腸粘膜の細胞にある腸クロム親和性細胞からのセロトニンの放出による嘔気には抗ヒスタミン薬の効果がある。抗がん薬投与の初期(24時間以内)に起こる嘔気は抗がん薬が小腸粘膜の細胞を刺激しセロトニンを放出することにより起きるものであり、5HT3受容体拮抗薬であるパロノセトロン(アロキシ)など効果がある。また、腸炎による嘔気も同様の作用が働いており、セロトニン拮抗薬の効果があるが、日本では保険適用ではない。
  1. 抗がん薬投与後の24時間以降経過して発生する嘔気は、遅発性嘔吐と呼ばれ、NK1受容体拮抗薬であるアプレピタント(イメンド)に効果がある。パロノセトロン(アロキシ)を除くセロトニン受容体拮抗薬はこの遅発性嘔吐にはあまり効果がないことが知られている。
  1. 抗がん薬を投与する前に起きる嘔吐は、予測性嘔吐と呼ばれるが、不安などの背景が影響を与えており、ベンゾジアゼピン系抗不安薬(ロラゼパム)などを抗がん薬投与前に内服することで対応をする。
  1. 食後などに起きる吐き気や妊娠悪阻には、胃や腸の停留などの作用機序が考えられており、末梢性ドパミン受領対拮抗薬であるドンペリドン(ナウゼリン)、メトクロプラミド(プリンペラン)を用いることが多い。ただし、催奇形性の関係で妊婦にはドンペリドン(ナウゼリン)を用いることが望ましい。
  1. また、オピオイド投与後数時間後に起きる嘔気に関しては、オピオイドが直接CTZを刺激している可能性を考えて、中枢性のドパミン受容体拮抗薬であるプロクロルペラジン(ノバミン)や抗ヒスタミン薬(ジフェンヒドラミン・ジプロフィリン配合[トラベルミン])などの使用を考慮する。
  1. ほかに、作用機序が不明であるが、抗がん薬投与時に抗セロトニン拮抗薬とステロイドを併用することで効果が増強することが知られている。
 
制吐薬の作用点

中枢性:
  1. 延髄網様態にある嘔吐中枢に刺激が加わると嘔吐、悪心は生じる。嘔吐中枢に対する刺激は血中の化学物質の刺激により化学受容誘導体(CTZ)を介して起こるものと、CTZを介さずに精神的・心理的刺激、半規管からの刺激等によって生じるものがある。血中の化学物質としてはドパミン、セロトニン、サブスタンスPが有名で、受容体としてはD2受容体、5HT3受容体、NK1受容体の関与がある。
末梢性:
  1. 反射性嘔吐とも呼ばれるもので胸部、腹部等の臓器に生じた刺激が原因で反射的に生じるもの。末梢においても末梢にあるD2受容体等が関与している。薬物などによる消化器粘膜への刺激による副作用もこれに属する。

 
悪心・嘔吐のメカニズム
 
抗がん薬による悪心・嘔吐のメカニズム

  1. 悪心・嘔吐は上部消化管に優位に存在する5HT3受容体と第4脳室のCTZに存在するNK1受容体、ドパミンD2受容体が複合的に刺激され、延髄の嘔吐中枢が興奮することで悪心を感じ、さらに遠心性に臓器の反応が起こることで嘔吐が引き起こされると考えられており、これらと拮抗する薬剤が制吐薬として用いられている。
  1. 抗がん薬投与後の発現の状態により①急性の悪心・嘔吐(投与24時間以内)、②遅発性の悪心・嘔吐(投与24時間後から1週間程度)、③突出性悪心・嘔吐(制吐薬の予防的投与にもかかわらず発現)、④予期性悪心・嘔吐(抗がん薬投与を考えただけで誘発)に分類されている。
 
分類に応じた制吐薬:
  1. ①急性の悪心・嘔吐
  1. 高度リスクの抗がん薬による急性の悪心・嘔吐に対しては,アプレピタント(もしくはホスアプレピタント)と5HT3受容体拮抗薬およびデキサメタゾンを併用する。
  1. 中等度リスクの抗がん薬による急性の悪心・嘔吐に対しては,5HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾンを併用する。必要に応じてアプレピタントを追加・併用する。
  1. ②遅発性の悪心・嘔吐
  1. 高度リスクの抗がん薬による遅発性嘔吐に対しては,NK1受容体拮抗薬アプレピタントとデキサメタゾンを併用する。
  1. 中等度リスクの抗がん薬による遅発性嘔吐に対しては,デキサメタゾンを単独で使用するが必要に応じてアプレピタントとデキサメタゾンの併用,もしくは5HT3受容体拮抗薬,アプレピタントを単独で使用してもよい。
  1. ③突出性悪心・嘔吐
  1. 作用機序の異なる制吐薬を複数,定時投与する。
  1. ④予期性悪心・嘔吐
  1. ベンゾジアゼピン系抗不安薬(ロラゼパム、アルプラゾラム)が有効である。

 
  1. オピオイドによる悪心・嘔吐のメカニズム[1]
  1. オピオイド投与初期に出現するものと、増量時に出現するもの、体動時に突然起こるものがある。
  1. これらはオピオイドCTZに発現しているμオピオイド受容体を刺激することによりドパミンの遊離を引き起こし嘔吐中枢が刺激されることで生じると考えられている。また、前庭器に発現しているμ受容体を刺激することにより、ヒスタミンが遊離しCTZや嘔吐中枢を刺激することで引き起こされる。
  1. これらの対策として抗ヒスタミン薬(トラベルミン)やドパミン受容体拮抗薬(プロクロルペラジン)が用いられる。
 
末梢性ドパミン受容体拮抗薬: >詳細情報 
  1. ドパミンは消化器系に対しては、アセチルコリンの遊離を抑え胃の機能を低下させる作用と化学受容器引金帯(CTZ)に作用して嘔吐を引き起こす作用を持っている。末梢性ドパミン受容体拮抗薬は、ドパミンD2受容体を遮断することで胃腸運動機能を亢進させたり制吐作用を示す。
  1. ドパミン受容体拮抗薬(制吐薬)に属する薬剤として、メトクロプラミド(プリンペラン)、ドンペリドン(ナウゼリン)、イトプリド(ガナトン)などがある。
  1. 同効薬間での選択については、効果には差を認めていない。急性胃腸炎の小児167人の二重盲検ランダム化比較試験では、オンダンセトロンの静注で84人のうち68人(81%)に、メトクロプラミド(プリンペラン)の静注で83人のうち60人(72%)に嘔吐がみられなくなった。2剤の効果に有意差はみられていない。
  1. 坐薬、OD錠による内服の場合には、ドンペリドン(ナウゼリン)が、点滴による治療の際には、メトクロプラミド(プリンペラン)が用いられる。
  1. 妊婦に対しての使用は、メトクロプラミド(プリンペラン)が、ドンペリドン(ナウゼリン)と比較して使用しやすい。(メトクロプラミド:FDA薬剤胎児危険度分類基準 B・ドンペリドン:虎の門病院の薬剤の催奇形危険度評価2点/情報量:++)
 
セロトニン受容体拮抗薬: >詳細情報 
  1. 化学受容器引金帯(CTZ)や嘔吐中枢を刺激する上部消化管に存在する5HT3受容体と結合して嘔吐を抑制する。
  1. セロトニン受容体拮抗型制吐薬に属する薬剤として、グラニセトロン(カイトリル)、ラモセトロン(ナゼア)、パロノセトロン(アロキシ)などがある。
  1. 内臓神経はセロトニンを介しており、胃腸炎を含む消化管の粘膜に刺激や炎症を与える病態には5HT3受容体拮抗薬の有用性が高いと考えられるが、わが国で保険適用となっているのは抗がん薬による嘔気・嘔吐のみである。
  1. なお、パロノセトロン(アロキシ)を除くセロトニン受容体拮抗薬はこの遅発性嘔吐にはあまり効果がないことが知られている。
  1. 通常複数のCYPにより代謝を受けるが、オンダンセトロン、グラニセトロン(カイトリル)は、主にCYP3A4で、パロノセトロン(アロキシ)はCYP2D6に、ラモセトロン(ナゼア)は、CYP1A2、CYP2D6などにより代謝されこれらの酵素で代謝される抗がん薬との併用は臨床上問題となることも多い。
 
セロトニン受容体のタイプ

出典

img1:  編集部作成
 
 
 
NK1受容体拮抗薬: >詳細情報 
  1. 抗がん薬による中枢性の嘔吐は、中枢神経のニューロキニン1(NK1)受容体が抗がん薬によって分泌が亢進されたサブスタンスPと結合することで生じるので、NK1受容体を拮抗することで嘔吐は抑制される。
  1. NK1受容体拮抗型制吐薬に属する薬剤として、アプレピタント(イメンド)、ホスアプレピタントメグルミン(プロイメンド)などがある。
  1. 抗がん薬投与後2~5日目にみられる遅発性の嘔吐に用いられる。
 
中枢性D2受容体拮抗薬:
  1. 中枢性D2受容体拮抗薬は、延髄にある化学受容器引金帯(CTZ)に直接作用して制吐作用を示す。
  1. 抗精神病薬(フェノチアジン系)に属する薬剤として、ペルフェナジン(トリラホン、ピーゼットシー)、クロルプロマジン(ウインタミン、コントミン)、プロクロルペラジン(ノバミン)、レボメプロマジン(ヒルナミン)などがあるが、悪心・嘔吐および術前・術後の悪心・嘔吐に保険適用があるのは、クロルプロマジン(ウインタミン、コントミン)、ペルフェナジン(トリラホン、ピーゼットシー)、プロクロルペラジン(ノバミン)である。わが国では、プロクロルペラジン(ノバミン)の使用機会は多い。特にオピオイドによる嘔気・嘔吐に対して用いられることが多い。
  1. クロルプロマジン(ウインタミン、コントミン)の保険適用は、悪心・嘔吐で、ペルフェナジン(トリラホン、ピーゼットシー)、プロクロルペラジン(ノバミン)の保険適用は術前・術後の悪心・嘔吐である。
 
ヒスタミン1受容体拮抗薬:
  1. ジフェンヒドラミン・ジプロフィリン(トラベルミン)は、ヒスタミンはH1受容体に作用して嘔吐中枢や前庭器に作用するのでH1受容体を拮抗させると嘔気やめまいは軽減する。
 
ムスカリンM1受容体拮抗薬:
  1. ブチルスコポラミン(ブスコパン)は、抗コリン作用を示し、主に消化器系の疾患により起きる嘔気を軽減する。
 
妊娠悪阻への対応:
  1. つわりの段階で医学的介入を行い、可能な限り妊娠悪阻への進展を予防する。
  1. まず、食事療法として少量・頻回に食事をとり、刺激の強い食べ物を避ける。
 
妊娠中の悪心・嘔吐に対する食事療法

出典

img1:  Optimal management of nausea and vomiting of pregnancy.
 
 Int J Womens Health. 2010 Aug 4;2:241-8.・・・
 
  1. 治療としては、まずショウガ粉末を試みる。次いで、症状が強いときはビタミンB6や制吐薬であるジメンヒドリナート(ドラマミン)、メトクロプラミド(プリンペラン)、プロメタジン(ヒベルナ、ピレチア)や漢方などの薬物療法を試みる。また、水分摂取ができない場合や脱水、尿ケトン体陽性例では塩酸チアミン(ビタミンB1)を添加して輸液を行う。
 
妊娠中の悪心・嘔吐に対する薬物治療のアルゴリズム

*1:RCTでの悪阻に対する有効性と安全性が確認されている。わが国での添付文書では
「妊婦へは有益性投与」である。
*2:「有益性投与」で、わが国で比較的広く使用されている。児への悪影響はほぼ否定されて
いるが、悪阻に対する有効性を示したRCTはまだない。
*3:RCTで悪阻に対する有効性は確認されているが、わが国の添付文書では「妊婦へは
   投与しないことが望ましい」との記載である。
*4:悪阻に対する輸液療法を比較検討したstudyはなく、local ruleで行う。

出典

img1:  Nausea and vomiting of pregnancy. Evidence-based treatment algorithm.
 
 Can Fam Physician. 2002 Feb;48:267-8, 27・・・
 
  1. 嘔吐が継続し、ビタミンB1欠乏によるWernicke脳症を生じると、神経学的後遺症を残すこともあるため、このような状態になる前に治療が特に重要である。
 
抗がん薬の悪心・嘔吐への対応:
  1. ポイント:
  1. 抗がん薬の催吐リスクを評価し、それに基づいて予防投与を行う。嘔吐が始まった後の対応は現在のところコンセンサスはないが、ステロイド、セロトニン受容体拮抗薬などを用いる。
 
 
  1. 抗がん薬の催吐リスク
  1. 高度催吐性:制吐薬を使用しないと急性期に90%以上の嘔吐事象を誘発する抗がん薬
  1. 中等度催吐性:制吐薬を使用しないと急性期に30~90%の嘔吐事象を誘発する抗がん薬
  1. 低度催吐性:制吐薬を使用しないと急性期に10~30%の嘔吐事象を誘発する抗がん薬
  1. 最小催吐性:制吐薬を使用しないと急性期に10%以下の嘔吐事象を誘発する抗がん薬
 
  1. 予防投与:
  1. ポイント:
  1. 予防投与は、基本的にガイドラインに沿って行う。
  1. 高度催吐性抗がん薬:
  1. 急性期:3剤併用(NK1受容体拮抗薬+5HT3受容体拮抗薬+デキサメタゾン)
  1. 遅発期:NK1受容体拮抗剤+デキサメタゾン
  1. AC療法;乳癌の標準治療にて、ほとんどが女性患者対象であるため高度催吐性抗がん薬に準ずる。
  1. 急性期:3剤併用療法
  1. 遅発期:NK1受容体拮抗薬
  1. 中等度催吐性抗がん薬:
  1. 急性期:2剤併用(NK1受容体拮抗薬+デキサメタゾン)
  1. 遅発期(デキサメタゾン)
  1. 低度催吐性抗がん薬:
  1. 急性期:デキサメタゾン
  1. 遅発期:予防投与なし
  1. 最小催吐性抗がん薬:
  1. 急性期:予防投与なし 
  1. 遅発期:予防投与なし
 
  1. 嘔吐発作の重症度評価:
  1. 例えば有害事象共通用語規準(CTCAE)でgradingし、そのgradeに従って治療や減量・休薬規定を設け、その規定に原則基づいて診療を行うことを施設でのガイドラインとすることなどが望ましいと考えられる。
  1. Grade 1:
  1. 嘔吐24時間に1~2エピソードの嘔吐(5分以上間隔が開いたものをそれぞれ1エピソードとする)
  1. Grade 2:
  1. 24時間に3~5エピソードの嘔吐(5分以上間隔が開いたものをそれぞれ1エピソードとする)
  1. Grade 3:
  1. 24時間に6エピソード以上の嘔吐(5分以上間隔が開いたものをそれぞれ1エピソードとする); TPNまたは入院を要する
  1. Grade 4:
  1. 生命を脅かす; 緊急処置を要する
  1. Grade 5:
  1. 死亡
 
  1. 患者による主観的評価:
  1. 悪心は、主観的な症状であるため、以下の方法で評価することができる。
 
患者による主観的評価

  1. Visual Analogue Scale(VAS)(a)
   症状の強さについて100mmの線上に記載してもらう。
  1. Numerical Rating Scale(NRS)(b)
  今まで感じた最悪の症状を10,症状がない状態を0 として現在は何点かを答えてもらう。
  1. Verbal Rating Scale(VRS)(c)
  症状の強さが何段階目にあたるかで評価する方法である。 
  1. フェーススケール(d)
  言葉で症状の強さを表現する代わりに人間の表情で示したもので,小児で頻用され,6 段階で表したWong-Baker Face Scale が最もよく使用されている。
 
参考文献:
日本緩和医療学会編:がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2020年版).2020、p37 図1 痛みの強さの評価法
https://www.jspm.ne.jp/guidelines/pain/2020/pdf/pain2020.pdf(2022年2月閲覧)
 

 
  1. 嘔吐発作時の対応:
  1. 水バランスが負の場合、補液で脱水を改善する。
  1. ひとたび悪心・嘔吐が出現した際に、どのような治療を施すかは、指針がない。よって、予防薬の一部(デキサメタゾン、セロトニン受容体拮抗薬)を延長投与するのか、まったく系統の異なる治療薬(安定剤やドーパミン受容体拮抗薬など)を投与するのかは、医師の判断になる。
  1. 急性期(抗がん薬投与後24時間以内)の嘔吐に続く遅発期の嘔吐予防には、ステロイド(デキサメタゾン)の投与が推奨されている。デキサメタゾンが有効でない場合や、使用できない場合、セロトニン受容体拮抗薬が次の選択肢である。これも無効な場合、ドパミン受容体拮抗剤を使用する。また最近候補薬として臨床試験で有望視されているのが、オランザピンである。

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