今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 望月昭英 セントラル総合クリニック 脳神経内科

監修: 庄司進一 筑波大学

著者校正/監修レビュー済:2024/09/04
参考ガイドライン:
  1. 厚生労働科学研究費 難治性疾患等政策研究事業「希少難治性筋疾患に関する調査研究」斑:筋チャネル病 遺伝性周期性四肢麻痺(指定難病115)非ジストロフィー性ミオトニー症候群(指定難病114)診療の手引き(案)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 妊娠時、周産期における注意点を追加した。

概要・推奨   

  1. 症状が遷延、呼吸筋麻痺や脳神経領域の麻痺の合併例であれば入院での加療で症状の経過を観察する必要がある。
  1. 経過中に血清カリウム値の変動が大きい場合は心電図異常を伴うことがあり得る。
  1. 発作予防には、誘因の回避の指導のほか、炭酸脱水酵素抑制薬の内服を基本とする。

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 反復する一過性の四肢筋の脱力発作であって、病名にあるような、一定間隔で繰り返すという意味の周期性はない。
  1. 発作時の血清カリウム値により低カリウム性と高カリウム性に分類される。
  1. 原因には遺伝性と症候性がある。
  1. 遺伝性はイオンチャンネル遺伝子異常による。常染色体優性遺伝形式をとり、頻度は少なく、多くは10歳以下で発症する。Andersen-Tawil症候群では骨格奇形にQT延長と心室性不整脈を伴う。
  1. 症候性の原因には、低カリウム血症を来す疾患、薬物と、高カリウム血症を来す疾患、薬物がある。
  1. 最も多い原因は、青年男性で甲状腺機能亢進症に伴う低カリウム性で、全体の約半数を占める。
  1. 持続時間は数時間から数日持続する。
  1. 誘因として、低カリウム性には過度の運動、炭水化物やナトリウムの過剰摂取、飲酒、高カリウム性には過度の運動、カリウムの過剰摂取、寒冷などがある。
  1. 四肢筋の違和感ののち深夜から早朝にかけ下肢から上肢に広がる筋脱力で気づくことが多い。
  1. 左右対称性の四肢の弛緩性麻痺を呈し、通常呼吸筋や脳神経領域の麻痺はない。
  1. 運動障害のみで感覚障害、小脳障害、膀胱直腸障害はない。
  1. のちに慢性進行性の筋力低下(ミオパチー型)を呈することがある。
  1. 高カリウム性では発作間欠期に顔面、舌、母指球などにミオトニー(筋のこわばり)がみられることがある。
  1. 麻酔時に低カリウム性では悪性高熱症の発症、高カリウム性では咬筋や呼吸筋のミオトニーによる気管内挿管やレスピレーター管理の障害の可能性がある。
病歴・診察のポイント  
  1. 家族歴の有無

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
望月昭英 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:庄司進一 : 特に申告事項無し[2024年]

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周期性四肢麻痺

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