悪性中皮腫 :トップ    
監修: 高橋和久 順天堂大学大学院
中野孝司 国家公務員共済組合連合会 大手前病院

概要

疾患のポイント:
  1. 胸膜中皮腫とは、壁側胸膜の中皮細胞に初発する難治性悪性腫瘍である。アスベスト曝露と密接に関連して発生し、曝露から発症までの潜伏期間は約40年である。
  1. 中皮腫は上皮型(epithelioid type、60%)、肉腫型(sarcomatoid type、10%)、およびそれらの混在する二相型(biphasic type、30%)の病理組織型に分類されている。
  1. 二相型悪性胸膜中皮腫の病理像(HE染色):<図表>
  1. 日本肺癌学会「肺癌取扱い規約第8版」の中皮腫各組織亜型の定義:<図表>
  1. 特殊亜型の線維形成型中皮腫(desmoplastic mesothelioma)は腫瘍組織の50%以上が線維組織で占められ、きわめて悪性であるが、良性石綿胸膜炎などの良性疾患に組織像が類似する。
  1. 線維形成型中皮腫( desmoplastic mesothelioma)の病理像(HE染色):<図表>
 
診断: >詳細情報 
  1. 画像で胸水貯留を確認したら、胸腔穿刺を行い、胸水細胞診・胸水一般性状(後述の中皮腫診断マーカー、ADA含む)を調べる。
  1. 中皮腫の胸水細胞診:<図表>
  1. 胸膜腫瘍組織は胸腔鏡(局所麻酔下胸腔鏡検査またはVATS)での採取が確実であり、経皮的胸膜針生検の診断率は低い。
 
ステージング・合併症の確認: >詳細情報 
  1. 悪性胸膜中皮腫のTNM分類は、発育進展経過を基にしたIMIG分類が長く用いられてきたが、第8版IASLC分類ではIMIG分類の各因子による生存期間を基に改定されている。CT、MRI、FDG-PETなどに加えて胸腔鏡検査が行われる。臨床早期例に対する胸腔鏡検査は、生検とともに十分な胸腔内観察が必要である。侵襲的な外科治療前には縦隔鏡検査が行われることがある。
  1. 悪性胸膜中皮腫のTNM分類(第8版IASLC分類とIMIG分類の比較):

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

確定診断のための検査例
  1. 胸膜中皮腫を細胞診で強く疑うことは可能であるが、確定診断には胸腔鏡検査が必要である。
  1. 胸膜針生検の診断率は低く、胸膜腫瘍組織は胸腔鏡での採取が確実である。
  1. 胸膜中皮腫は最も早期には腫瘍は壁側胸膜に限局し、次に臓側胸膜に播種される。臨床早期の胸膜中皮腫の胸腔鏡検査時の胸腔内観察は重要である(IMIG分類T1a、T1b)。
  1. 胸水が比較的多く貯留しているような場合は局麻下胸腔鏡検査を実施するが、胸水が少なかったり、胸膜癒着があるような場合には呼吸器外科医によるVATS生検を依頼する。VATS生検のほうが十分な組織を得ることができる。
○ 悪性胸膜中皮腫の確定診断には十分な組織が必要である。胸腔鏡による生検を考慮する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)

悪性胸膜中皮腫治療のアルゴリズム
日本の中皮腫死亡の年次推移(1995~2015年)
二相型悪性胸膜中皮腫の病理像(HE染色)
線維形成型中皮腫( desmoplastic mesothelioma)の病理像(HE染色)
中皮腫の予後不良因子
悪性胸膜中皮腫(T4):切除不可能な胸壁浸潤
悪性胸膜中皮腫の発育経過(T1~T2)と臨床病期分類
T1a期(IMIG分類)の悪性胸膜中皮腫の胸腔鏡所見
悪性胸膜中皮腫(IMIG分類T1b)の胸腔鏡所見
T2期の悪性胸膜中皮腫の胸腔鏡所見
著者校正/監修レビュー済
2018/04/18


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