肩関節脱臼 :トップ    
監修: 落合直之 キッコーマン総合病院外科系センター
望月由 県立広島病院 整形外科

概要

疾患のポイント:
  1. 肩関節は最も脱臼しやすい関節である。肩関節脱臼は、転倒や転落、スポーツの接触プレーなどで肩関節が外転・外旋、あるいは水平伸展された場合に生じる。
  1. 外傷性肩関節脱臼は前方脱臼と後方脱臼に大きく分けられ、前方脱臼が90%以上を占める。
  1. 10~20歳代の初回肩関節脱臼の50%以上が再脱臼を生じて反復性脱臼に移行する。
  1. 前方関節唇・下関節靱帯前索複合体(AIGHL complex)が関節窩から剝離するBankart損傷が94~97%に認められる。
 
診断:アルゴリズム >詳細情報 
  1. 健側の手で患肢を支えて来診し、自動挙上ができない場合に想起する。肩関節の自動運動は不能で、他動運動に対して疼痛とばね様の抵抗があることが多い。
  1. 視診にて、肩関節の丸みが消失して扁平化し、肩峰の突出が目立つことで診断となる。
  1. 触診により脱臼した骨頭を肩関節前下方に触れる。
  1. X線検査により確定診断を行う。AP像のほか、Scapula Y view(traumatic view)を撮るほうが望ましい。多くの場合に上腕骨頭後外側の骨軟骨欠損(Hill-Sachs損傷)を伴う。
  1.  単純X線画像(脱臼位):<図表>
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 脱臼を放置すると、骨損傷、軟部組織損傷の拡大、神経麻痺などを起こす可能性があり、経過するほど徒手整復しにくくなるのでできる限り早期に脱臼を整復する。
  1. 脱臼に骨折を合併する場合もあるので、多方面のX線検査やCT、MRIを行うほうがよい。
 
治療:アルゴリズム >詳細情報 
  1. 整復方法としては、Hip…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

肩関節脱臼の診断方法例、保存的治療例
  1. 診断:
  1. すべての患者で、単純X線を行う。脱臼を早期に整復し、再度単純X線を行う。骨性病変の評価のためCTを、軟部組織の損傷の評価のためにMRIを行う。
  1. さらに、腋窩神経損傷を疑う場合は筋電図を行う。
  1. 保存的治療:
  1. 早期に脱臼を整復し、合併症の有無を精査する。
  1. 外固定を行い、経過観察し、再来を指導する。
○ 臨床所見・X線にて脱臼を確認し、整復後時期をみてCT、MRIで精査する。腋窩神経損傷が疑われた際に筋電図検査を予定する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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肩関節脱臼の診断・治療アルゴリズム
Hippocrates法
Kocher法
著者校正/監修レビュー済
2016/09/02