膝関節腫脹 :トップ    
監修: 酒井昭典 産業医科大学 整形外科学教室
王寺享弘 福岡整形外科病院

概要

症状のポイント:
  1. 膝関節腫脹とは、関節構成体である軟骨、滑膜、靱帯、半月板などに異常により、炎症が惹起され血漿濾過液が増加し、滑膜からの分泌も多くなり、関節液が貯留し、その結果として関節が腫脹した状態である。
  1. 急性炎症による腫脹では発赤や熱感さらに発熱、自発痛や歩行困難もみられ、慢性炎症による腫脹では膝関節特に膝蓋上包の腫脹と張ったような重い感じ、膝の曲げ伸ばしがしにくい、膝窩部の鈍痛などの訴えがみられる。
  1. 穿刺した関節液の肉眼的所見、粘稠度、細胞成分や数、生化学的検査、さらに細菌学的検査を行うことにより、疾患の診断の一助となる。
 
緊急時の対応: >詳細情報 
  1. 化膿性関節炎による腫脹、骨折や靱帯損傷などの外傷性では緊急対応が必要になる。

症状治療、診断的治療:
  1. 穿刺により関節液の除去を行うことがある。

専門医に紹介: >詳細情報 
  1. 化膿性関節炎や関節内骨折は早期の治療が必要であり、すぐに専門医に紹介する。
  1. 腫瘍性疾患であるPVSや血管腫、さらに破壊性疾患であるCharcot関節やステロイド関節症、慢性期の外傷性関節炎、離断性骨軟骨炎、特発性骨壊死、滑膜性(骨)軟骨腫症などの疾患も専門医に紹介する。

診断へのアプローチ:(診察・診察  >詳細情報  )
  1. 問診・診察のポイント:増加した関節液は、膝関節の最も体積のある膝蓋上包に貯留し触知できる。進行すると後方の膝窩部嚢胞(ベーカー嚢腫)に波及することもある。
  1. 膝関節のみの腫脹か、あるいはほかの関節も腫れているのかの評価を行う。また、初発か、再発性か、発熱・風邪症状があるか、外傷歴、薬剤歴、既往歴を確認する。
  1. 膝蓋骨波動、熱感・発赤、疼痛の程度、膝関節の変形、関節の可動域も確認する。前膝蓋骨滑液包炎のような関節外の腫脹との鑑別もしておく。
  1. 必要があれば無菌的に関節液を穿刺して、色調・透明度・粘稠度(mucin clot test)・脂肪滴の有無さらには顕微鏡検査(結晶成分の有無)・培養検査(好気性、嫌気性、結核性)・生化学的検査などを行う。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

鑑別のための評価例
  1. 下記の疾患を評価する。
  1. 頻度の多い疾患:変形性関節症、関節リウマチ、結晶誘発性関節炎、半月板損傷、PVS  >詳細情報 
  1. 重篤な疾患:化膿性関節炎、関節内骨折、Charcot関節およびステロイド関節症 >詳細情報 
○ 上記の鑑別疾患に基づき、下記の検査を考慮する。

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薬剤監修について:
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※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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関節液の検査項目
関節液の分類
膝関節腫脹を来す鑑別疾患
著者校正/監修レビュー済
2016/04/01