輸血後の肺合併症

著者: 岡崎仁 東京大学医学部附属病院輸血部

監修: 長瀬隆英 東京大学 内科学専攻器官病態内科学講座

著者校正/監修レビュー済:2019/05/09

概要・推奨  

  1. 輸血によるアナフィラキシーの治療は、通常のアナフィラキシーの治療と同様である。アドレナリンが初期治療に用いられてはいるが、アドレナリンと偽薬/無治療/他のアドレナリン作動薬とのランダム化比較試験の報告がないために新たにこれを推奨するという結論には至っていないが、初期治療としてアドレナリンの筋注はおそらく推奨される(推奨度2)。
  1. 輸血によるアナフィラキシーの治療薬は、通常のアナフィラキシーの治療と同様である。ステロイドのアナフィラキシーに対する緊急治療薬としての有効性に関するエビデンスは乏しく、投与に関しては推奨も否定もしないが、アナフィラキシーを起こした患者に喘息や遷延または遅発型薬物アレルギーの既往のある場合に投与はおそらく推奨される(推奨度3)。
  1. 抗ヒスタミン薬のアナフィラキシー治療における有用性については、エビデンスに乏しく推奨されない。ただし、随伴する蕁麻疹、掻痒感、鼻炎症状などの局所的症状には効果があるとされているが、気道狭窄などには効果は期待できない(推奨度3)。
  1. TRALIの診断基準は現在のところ、2004年に発表されたConsensus Conferenceの診断基準を用いることが強く推奨される(推奨度1)。
  1. TRALIの診断基準におけるドナーの抗白血球抗体検査の診断的意義は、現在の診断基準においては考慮されないことになってはいるが、参考所見としてドナーの抗白血球抗体検査を行うことはおそらく推奨される(推奨度2)。
  1. TRALIにおける特異的薬物療法はなく、ALI/ARDSの治療に準ずる。急性期からの少量のグルココルチコイドの使用はおそらく推奨される(推奨度2)。
  1. TRALIにおける特異的薬物療法はなく、ALI/ARDSの治療に準ずる。好中球エラスターゼ阻害薬(シベレスタット:エラスポール)の使用はALI/ARDSのday3における酸素化の改善は認めたものの、生存率の改善には寄与しない(推奨度3)。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、準拠ガイドラインを追加した。


ページ上部に戻る

疫学、診断、治療、予後、それらのエビデンス等をご覧になりたい場合には、
トライアル登録またはご契約へ
  • 呼吸器 の他のコンテンツを見る