輸血後の肺合併症 :トップ    
監修: 長瀬隆英 東京大学 内科学専攻器官病態内科学講座
岡崎仁 東京大学医学部附属病院輸血部

概要

疾患のまとめ:
  1. 輸血後の肺合併症には以下の3つの主要な病態が存在する。
  1. 輸血のアレルギー性副作用(アナフィラキシー)の部分症状としての喉頭浮腫・喘息様気管支攣縮により呼吸困難を来す重篤な肺合併症であり、胸部X線上は異常を示さないことが多い。
  1. 輸血関連急性肺障害(TRALI)は、輸血中もしくは輸血後6時間以内に起こる非心原性肺水腫でありARDSの一部である。頻度は患者の原疾患の重篤度などにより違う可能性があるが、1:1,300~1:5,000程度といわれている。重症患者における頻度はこれよりも高く、1つの前方視的研究では輸血バッグあたり1.1%、輸血された患者あたり8%であった。
  1. 輸血関連循環過負荷(TACO)は、輸血中もしくは輸血後6時間以内に起こる容量負荷による心不全である。
 
診断:アルゴリズム  >詳細情報 
  1. 輸血を開始して、数分以内に発症した呼吸困難は、まずアナフィラキシーとして対応したほうがよい。
  1. 輸血中もしくは輸血後6時間以内に発症した呼吸困難についてはTRALI、TACOを念頭に置いて治療を行う。
  1. TRALIは2004年に発表されたConsensus Conferenceの診断基準を用いて診断する。 エビデンス 
  1. TRALIの胸部X線写真およびCT画像:<図表>
 
  1. TRALI診断基準:
  1. TRALI:
  1. A:ALI(急性肺障害):
  1. I. 急性発症
  1. II. 低酸素血症
  1. 研究目的:室内にてPaO2/FiO2≦300、またはSpO2<90%(室内気で)
  1. 研究以外目的:PaO2/FiO2≦300、またはSpO2< 90%(室内気で)または低酸素血症の臨床的証拠
  1. III. 正面胸部X線写真にて両側性浸潤影

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

輸血によるアナフィラキシー発症時の薬剤治療例
  1. 通常のアナフィラキシーの治療に準ずる。
○ 禁忌、併用注意なども確認のうえ、下記の処方を第1選択とする。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

TRALIとTACOの鑑別診断
アナフィラキシーの治療手順
著者校正/監修レビュー済
2016/04/01

編集履歴:
2018年3月13日 誤植修正
修正箇所:図表(APACHEⅡスコア)
血動脈pH:749
 血清Na濃度(mEq/L):54
血動脈pH:7.49
 血清Na濃度(mEq/L):5.4


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