今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 守山祐樹 国立国際医療研究センター 国際感染症センター

監修: 大曲貴夫 国立国際医療研究センター

著者校正/監修レビュー済:2022/06/08
参考ガイドライン:
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、疫学情報および治療方針に加筆修正を行った。

概要・推奨   

  1. ジカウイルス感染症とは、フラビウイルス科フラビウイルス属のジカウイルスによって起こる蚊媒介性感染症である。
  1. 感染経路は、主にネッタイシマカ(Aedes aegypti)とヒトスジシマカ(Aedes albopictus)の蚊を媒介して感染する。日本においては、ヒトスジシマカは北海道を除いた日本全土に分布している。
  1. ジカウイルスに感染した者のうち、約20%の患者が2~7日の潜伏期間を経て症状を呈する。また、残りの約80%が不顕性感染で症状を認めない。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
疾患のポイント:
  1. ジカウイルス感染症とは、フラビウイルス科フラビウイルス属のジカウイルスによって起こる蚊媒介性感染症である。
 
病原体:
  1. ジカウイルスはフラビウイルス科フラビウイルス属に属する。同じくフラビウイルス科に属するウイルスとして、デングウイルス、黄熱ウイルス、日本脳炎ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルスなどがある[1]
  1. デング熱のように複数の血清型はなく、単一の血清型のみである。
 
感染経路:
  1. ジカウイルス感染症を媒介する蚊は、主にネッタイシマカ(Aedes aegypti)とヒトスジシマカ(Aedes albopictus)である[2]。日本にはネッタイシマカは生息していないが、ヒトスジシマカは北海道を除いた日本全土に分布している。このため、日本国内でも輸入例を発端とした流行が起こり得る。
  1. 性交渉によって男性から女性[3]、女性から男性[4]、男性から男性[5]に感染したと思われる症例も報告されているが、症例の大半は蚊の刺咬による感染例であり、性交渉による感染例は全体の一部と考えられる。
  1. 輸血による感染例も報告がある。
 
疫学:
  1. ジカウイルスは、1947年にウガンダのジカ森林のアカゲザルから初めて分離され、ヒトからは1968年にナイジェリアで分離された[6]。実際のジカウイルス感染症例はこれまでにウガンダ、ナイジェリア、カンボジア、マレーシア、インドネシアからの報告があった。また、2007年ミクロネシア連邦のヤップ島でジカウイルス感染症の最初の大規模なアウトブレイクがあり、約300名の感染者が出ている[7]
  1. 2013年9月より仏領ポリネシアで始まったジカウイルス感染症の大流行は、ニューカレドニア、クック諸島にも波及し、感染者は3万人以上にも上ると推計されている[8]
  1. 2015年6月にブラジルで渡航歴のないジカウイルス感染症例が報告され[9]、その後急激に中南米で流行が広がった。その後、中南米での症例数は減少している。
  1. 2019年11月の時点で日本では11例の症例が報告されている。2013年12月および2014年1月の症例は仏領ポリネシアから帰国後の症例[10]であり、2014年8月の症例はタイのサムイ島から帰国後の症例であった[11]。また、2016年2月26日はブラジルからの帰国後の症例であった。
  1. またアジアでは、タイ、インドネシア、ベトナム、シンガポール、フィリピン、ミャンマー、インドなどでもジカウイルス感染症の症例が報告されている。
  1. 2022年4月時点では世界的にアウトブレイクは確認されている地域はない[12]。しかし、ジカウイルスを媒介する蚊は世界のさまざまな地域で確認されているため、再び流行する可能性は残っている。直近では2021年7月にインド南西部ケララ州においてジカ熱のアウトブレイクが発生している。また、ジカウイルス感染症は軽微な症状であることがあり、検査されない感染もあると考えられる。過去の流行状況を鑑みて疑わしい場合は検査を検討すべきである。
 
ジカウイルス感染症の流行状況

  1. 2022年4月5日時点で、米国CDCはジカウイルス感染症の流行状況を以下の5つに分類している。
 
  1. 現在ジカ熱が発生している地域 (赤):
  1. なし
  1. 過去にジカ熱の発生があるが現在アウトブレイクが報告されていない地域(紫):
  1. アメリカ領サモア、アンゴラ、アンギラ、アンティグア・バーブーダ、アルゼンチン、アルバ、バハマ、バングラデシュ、バルバドス、ベリーズ、ボリビア、ボネール、ブラジル、英領バージン諸島、ブルキナファソ、ブルンジ、ギニア、パラグアイ、ペルー、フィリピン、プエルトリコ、サバ、セントバーツ、セントクリストファー・ネイビス、セントルシア、セントマーチン、セントビンセント・グレナディーン諸島、サモア、セネガル、シンガポール、シント・ユースタティウス、シント・マールテン、ソロモン諸島、スリナム、タイ、トンガ、トリニダード・トバゴ、タークス・カイコス諸島、ウガンダ、米国(米国大陸)、米領バージン諸島、バヌアツ、ベネズエラ、ベトナム
  1. ジカ熱を媒介する蚊が存在するが、過去にジカ熱の報告がない地域(黄):
  1. オーストラリア、ベニン、ブータン、ボツワナ、ブルネイ、チャド、中国、クリスマス島、コンゴ、コンゴ民主共和国、ジブチ、東ティモール、エジプト、赤道ギニア、エリトリア、ジョージア、ガーナ、グアム、ギニア、リベリア、マダガスカル、マデイラ諸島、マラウイ、マリ、モザンビーク、ナミビア、ナウル、ナウル、ネパール、ニジェール、ニウエ、北マリアナ諸島、オマーン、パキスタン、ロシア、ルワンダ、サウジアラビア、シエラレオネ、ソマリア、南アフリカ、南スーダン、スリランカ、スーダン、台湾、タンザニア、ガンビア、トーゴ、トケラウ、トルコ、ツバル、ウルグアイ、ウォリス・フツナ、イエメン、ザンビア、ジンバブエ
  1. ジカ熱を媒介する蚊が存在しない地域(緑):
  1. アフガニスタン、アルバニア、アルジェリア、アンドラ、アルメニア、オーストリア、アゼルバイジャン、アゾレス諸島、バーレーン、ベラルーシ、ベルギー、バミューダ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、イギリス領インド洋地域、ブルガリア、カナダ、カナリア諸島、チリ、ココス諸島、コモロ、コルシカ島、クロアチア、クロゼ諸島、キプロス、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、エスワティニ、フォークランド諸島、フェロー諸島、フィンランド、ドイツ、ジブラルタル、ギリシャ、グリーンランド、ガーンジー、香港、ハンガリー、アイスランド、イラン、イラク、アイルランド、マン島、イスラエル、イタリア、日本、ジャージー、ヨルダン、カザフスタン、ケルゲレン諸島、コソボ、クウェート、キルギス、ラトビア、レバノン、レバノン、レソト、リビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、韓国、北マケドニア、ノルウェー、ピトケアン諸島、ポーランド、ポルトガル、カタール、同窓会、ルーマニア、セントヘレナ、セントポール・ニューアムステルダム諸島、サンピエール・ミクロン諸島、サンマリノ、サントメ・プリンシペ、セルビア、セーシェル、スロバキア、スロベニア、サウスジョージア・サウスサンドウィッチ諸島、韓国、スペイン、スウェーデン、スイス、シリア、タジキスタン、チュニジア、トルクメニスタン、ウクライナ、アラブ首長国連邦、イギリス、ウズベキスタン、バチカン市国、ウェイク島、西サハラ

出典

CDC(Centers for Disease Control and Prevention):[https://wwwnc.cdc.gov/travel/page/zika-travel-information Zika Travel Information](2022年5月6日閲覧)
 
問診・診察のポイント  
  1. ポイント:
  1. ジカウイルスに感染した者のうち、約20%の患者が2~7日の潜伏期間を経て症状を呈する[13]。また、残りの約80%が不顕性感染で症状を認めない[13]
  1. ジカウイルス感染症の臨床症状として頻度が高いのは、微熱を含む発熱、関節痛、皮疹(紅斑・紅丘疹)、眼球結膜充血である[14]。これ以外にも頭痛、筋肉痛、後眼窩痛などの症状がみられることもある。発熱は微熱程度のことが多く、まったく発熱を呈さないここともあり、発熱がないからといってジカウイルス感染症を除外することはできない点に注意が必要である。
  1. 一般的に軽症例が多く、入院を要することはまれであり、死亡例の報告もまれである。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
守山祐樹 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:大曲貴夫 : 特に申告事項無し[2024年]

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