ジカウイルス感染症

著者: 忽那賢志 国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター

著者校正/監修レビュー済:2019/11/21

概要・推奨  

  1. 疫学:
  1. ジカウイルス感染症は、主にネッタイシマカ(Aedes aegypti) とヒトスジシマカ(Aedes albopictus)で媒介し[1]、近年、急速に流行地域を拡大し、現在も中南米で400万人規模と言われる大流行を起こしている。
  1. なお、ヒトスジシマカは北海道を除いた日本全土に分布し、日本でも、今後アウトブレイクを起こす可能性がある。
  1. 小頭症との関連:
  1. 妊婦のジカウイルス感染と胎児の小頭症発症の関連が示されている[2]。また、CDCは、ジカウイルス感染症流行地域に渡航歴のある妊婦に対する小頭症のスクリーニング法についての推奨を発表している。
  1. ジカウイルス感染症が疑われる母児に対する検査手順:アルゴリズム
  1.  症状・想起:
  1. 8割は不顕性感染で、残りの2割が症状を認めると推察されている[3]。また症状が出たとしても、ジカウイルス感染症の症状自体は、軽症で、重篤化することはまれである。
  1. 潜伏期は2~7日であり、症状を認めた場合、皮疹(90%)、微熱を含む発熱(65%)、関節痛(65%)、眼球結膜充血(55%)、筋肉痛(48%)、頭痛(45%)などの症状を呈する[4][5]
  1. 厚生労働省は、2016年2月24日の事務連絡にて以下の場合は、ジカウイルス感染症を疑う症例として扱うとした[6](ただし、ジカウイルス感染症の診断のために必ずしもこの条件を満たす必要はなく、臨床的にジカウイルス感染症が疑われた場合には保健所に相談することが望ましい)。
  1. 下記の(1)~(3)にすべて該当し、かつ、他の感染症または他の病因によることが明らかでない場合
  1. (1)「発疹」または「発熱(※1)」を認める
  1. (2)「関節痛」、「関節炎」または「結膜炎(非滲出性、充血性)」のうち少なくとも1つ以上の症状を認める
  1. (3)流行地域(中南米・カリブ海地域、オセアニア太平洋諸島など詳細は下記)の国から出国後2~13日以内に上記の症状を呈している
  1. ※1発熱は、ほとんどの症例で38.5℃以下との報告がある[7]
  1. 診断:
  1. 診断は、血液・尿等からのウイルス分離やRT-PCR法によるウイルス遺伝子検出、ペア血清によるIgM抗体あるいは中和抗体の陽転化または抗体価の有意の上昇が用いられる。
  1. 治療:
  1. ジカウイルスに有効な抗ウイルス薬はなく、また有効なワクチンもない。
  1. 感染症法・対策:
  1. 2016年2月より4類感染症および検疫感染症に指定された。ジカウイルス感染症と診断した医師はただちに管轄の保健所に届出を提出しなければならない。
  1. 特に妊婦はジカウイルス感染症流行地域(中南米など)への旅行を避ける。また、流行地域に渡航の際には防蚊対策を徹底する。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、用語の統一、情報の追加・更新を行った。 


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