腸腰筋膿瘍

著者: 関川喜之 関東労災病院 総合内科

監修: 上原由紀 聖路加国際病院 臨床検査科/感染症科

著者校正/監修レビュー済:2020/02/14
参考ガイドライン:
  1. Practice Guidelines for the Diagnosis and Management of Skin and Soft Tissue Infections: 2014 Update by the Infectious Diseases Society of America, Clinical Infectious Diseases 2014;59(2):147–59
  1. 2015 Infectious Diseases Society of America (IDSA) Clinical Practice Guidelines for the Diagnosis and Treatment of Native Vertebral Osteomyelitis in Adults, Clinical Infectious Diseases 2015;61(6):e26–46
  1. Official American Thoracic Society/Centers for Disease Control and Prevention/Infectious Diseases Society of America Clinical Practice Guidelines: Treatment of Drug-Susceptible Tuberculosis, Clinical Infectious Diseases 2016;63(7):e147–95
  1. 日本感染症学会/日本化学療法学会:JAID/JSC感染症治療ガイド2019
  1. 日本結核病学会:結核診療ガイドライン 改訂第3版

概要・推奨  

  1. 腸腰筋は大腰筋と腸骨筋、小腰筋から成り、同部位に膿瘍を形成する。
  1. 原発巣不明で血行性やリンパ管性に感染する原発性膿瘍(primary abscess)と隣接臓器より直達性に感染する続発性膿瘍(secondary abscess)に分類される。
  1. 起因微生物はStaphylococcus aureusが多い。
  1. 続発性膿瘍の原因は、化膿性脊椎炎やクローン病が多い。
  1. 発熱、背部痛(腰痛)、跛行を認めるが、症状がはっきりせず不明熱として扱われる場合もある。
  1. CTとMRIが診断に有用である(推奨度1)
  1. 全患者に血液培養(少なくとも2セット)を提出する(推奨度1)
  1. 膿瘍ドレナージを施行する(推奨度2)
  1. 可能な限り経験的治療は避け、Gram染色や培養結果を参考にする(推奨度1
  1. 原発性膿瘍もしくは化膿性脊椎炎に続発する場合の経験的治療はStaphylococcus aureusに対してセファゾリンもしくはバンコマイシンを検討する。特に、数カ月以内の抗菌薬使用や長期入院、透析、HIV、過去のMRSA検出歴、CVカテーテルやFoleyカテーテルなどデバイス留置、違法静注薬物使用、コンタクトスポーツ(ラグビーやサッカーなど)がある場合はMRSAを想定しバンコマイシンを使用する(推奨度2
  1. 腹腔内臓器に続発する場合の経験的治療はStaphylococcus aureusに加えて腸内細菌と嫌気性菌をカバーし、バンコマイシン+アンピシリン・スルバクタム or ピペラシリン・タゾバクタム or カルバペネム or セフトリアキソン+メトロニダゾール(推奨度2)
  1. 血液もしくは膿培養の結果から狭域化する(推奨度1)
  1. 定まった治療期間はない。しかし、膿瘍が消失もしくは全身状態改善後膿瘍が縮小しサイズが不変となるまでが治療期間の目安となる。原疾患によっても治療期間は変わり、化膿性脊椎炎や感染性心内膜炎の場合は、少なくとも4~6週間、結核性脊椎炎の場合は6~12月間の治療が必要である(推奨度2
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
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