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著者: 巽浩一郎 千葉大学 真菌医学研究センター 呼吸器生体制御学研究部門

監修: 巽浩一郎 千葉大学 真菌医学研究センター 呼吸器生体制御学研究部門

著者校正/監修レビュー済:2023/05/24
参考ガイドライン:
  1. 国際肝移植学会(ILTS)診療ガイドライン (2016年)
    Krowka MJ, Fallon MB, Kawut SM, Fuhrmann V, Heimbach JK, Ramsay MA, Sitbon O, Sokol RJ. International Liver Transplant Society Practice Guidelines: Diagnosis and Management of Hepatopulmonary Syndrome and Portopulmonary Hypertension. Transplantation. 2016 Jul;100(7):1440-52.
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 最新の知見に基づき改訂を行なった。
  1. 「概要・推奨」について、以下推奨文の追記を行った。
  1. 進行性肝疾患に門脈圧亢進症を伴っている患者が労作時息切れを訴えた場合、肝肺症候群ないしは門脈圧亢進症に伴う肺高血圧症の存在を疑う。
  1. 肝肺症候群が重症になると高度低酸素血症を伴う。
  1. 肝肺症候群の本態は肺内シャントの存在である。
  1. 肝肺症候群に伴う低酸素血症に対して在宅酸素療法が施行されるが、肺内シャントによる低酸素血症には有効でなく、酸素分圧は改善しにくい(推奨度2)
  1. 重症の肝肺症候群に対する唯一有効な治療は肝移植である(推奨度2)

概要・推奨   

  1. 慢性肝疾患に重度低酸素血症を合併、その原因が肺内シャントの存在である場合に診断される。有効な内科的治療法はなく、低酸素血症に対する在宅酸素療法が施行されている。日常生活に支障を来す患者さんには、専門施設で生体肝移植が行われており、良好な成績が得られている。
  1. 国際肝移植学会は、PaO260Torrの重度低酸素血症を呈している肝肺症候群の患者さんは肝移植の適用を考慮すべきとしている。海外は死体肝移植が可能であるが、日本の医療状況では2020年の段階では厳しく、主に兄弟・姉妹からの生体肝移植が救命手段として行われている。
  1. 進行性肝疾患に門脈圧亢進症を伴っている患者が労作時息切れを訴えた場合、肝肺症候群ないしは門脈圧亢進症に伴う肺高血圧症の存在を疑う。
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病態・疫学・診察 

イントロダクション  
  1. 現在の専門外来制度では、慢性肝疾患(特に肝硬変患者)が呼吸器症状である労作時息切れを自ら訴えることは稀である。しかし、担当医が「以前と比べて動いた時に息が切れませんか。最近、動かなくなっていませんか。」と問診した場合には、呼吸器疾患ないしは 循環器疾患の合併が疑われる可能性がある。
  1. 内科外来には酸素飽和度測定のためのパルスオキシメーターの設置が増えている。安静時の酸素飽和度(SpO2)の正常値は97~98%である。SpO2の異常を捉える一つの手段は、外来診察室に入ってきた直後の患者SpO2の測定である。軽度の労作でもSpO2低下が生じているかの判断材料になる。慢性肝疾患(特に肝硬変患者)でSpO2低下を認める場合・労作時息切れが出現してきた場合に、「肝肺症候群」ないし「門脈圧亢進症に伴う肺高血圧症」を疑う契機になる。
定義  
  1. 進行性肝疾患(主に肝硬変)、門脈圧亢進症、先天性門脈体循環シャントが基礎病態としてあり、肺血管拡張(肺内シャント)が生じたために異常な低酸素血症を来した病態を肝肺症候群と定義している。

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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
巽浩一郎 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:巽浩一郎 : 特に申告事項無し[2025年]

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