労作性の呼吸困難 :トップ    
監修: 金城紀与史 沖縄県立中部病院
柳 秀高 東海大学 内科学系総合内科

概要

症状のポイント:
  1. 息切れは、急性発症では内科的緊急症であることが多く、診断の遅れや誤りが予後を悪くする可能性がある。
 
緊急時対応: >詳細情報 
  1. ショック、著明な高血圧、低酸素血症、頻脈、頻呼吸、高二酸化炭素、呼吸筋疲労、心停止、呼吸停止、などを伴っている場合には緊急な対応が必要である。それぞれの診断、症状に従い治療する。 エビデンス 
 
症状治療・診断的治療: >詳細情報 
  1. ABC(気道確保、呼吸、循環)をチェックする。気道確保できていなければ気管挿管、輪状甲状間膜切開などを考慮する。
  1. 低酸素があれば、酸素投与し、効果不十分な場合は人工換気の利用を考慮する。
 
専門医相談のタイミング: >詳細情報 
  1. 初期治療に反応しない心不全、人工呼吸を要する喘息/COPD急性増悪、ショックを伴う肺血栓塞栓症、肺癌、心タンポナーデ、上気道閉塞、気管腫瘍、神経筋疾患などは専門医への相談を考慮する。
 
診断へのアプローチ:(診察: >詳細情報 )
  1. 急性発症の労作性の息切れの原因疾患として、心筋虚血、心不全(心原性肺水腫)、心タンポナーデ、不整脈、肺血栓塞栓症、喘息、気胸、肺炎、上気道閉塞、アナフィラキシー、中毒(一酸化炭素など)などに注意が必要である。 エビデンス 
  1. 鑑別診断も考えつつ、同時に気道が通っていることを確認し、気道(airway)、呼吸(breathing)、循環(circulation)を安定させる。安定してから詳しい病歴聴取、身体所見、検査に進むことが推奨される。
  1. 胸痛のない心筋梗塞も状況次第(糖尿病、高齢者、女性)では少なくなく、またほかにあまり所見のない疾患(肺塞栓など)もある。
  1. 慢性(反復性)の労作性の息切れの原因疾患としては、喘息、COPD、間質性肺疾患、心筋障害、などの頻度が高い。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

急性心不全の評価例
  1. 心不全を疑ったときに、診断確定のために最も有用な病歴は心不全の既往であり(感度60%、特異度90%)、心筋梗塞 (感度40%、特異度87%)が続く。
  1. 症状では夜間発作性呼吸困難(感度41%、特異度84%)、起坐呼吸(感度50%、特異度77%)などが心不全の可能性を上昇させる。身体所見で診断に最も有用なものはⅢ音の存在で、感度13%、特異度99%である。また、頸静脈怒張は感度39%、特異度92%である。
  1. 外頚静脈拡張<図表>
  1. 胸部X線写真で肺静脈うっ血(感度54%、特異度96%)と心陰影拡大(感度74%、特異度78%)は、信頼性が高い。特に肺静脈うっ血所見があれば心不全の診断に有用である。
  1. Tripod position 口すぼめもしている<図表>
  1. 心電図で心房細動が認められれば心不全に関する感度が26%、特異度が93%で、診断に役立つ。
  1. BNPはカットオフを100pg/mlとすると感度93%、特異度66%と、陰性であれば心不全を否定する方向に有用である。また、BNPのカットオフを250pg/mlにすると感度89%、特異度81%で特異度は上がる。BNPについては500pg/ml以上で心不全が非常に疑わしく、100pg/ml以下で心不全が否定的、100~500pg/mlではグレーゾーンと考えておくとよいだろう。
○ 心不全の診断には、心不全の既往、心筋梗塞の既往、夜間発作性呼吸困難、起坐呼吸 、頚静脈怒張などの病歴、Ⅲ音の存在、身体所見をもとに、1)~4)の検査を使って診断する。

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薬剤監修について:
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呼吸困難の鑑別1
呼吸困難の鑑別2
肺血栓塞栓症 診断のアルゴリズム
外頚静脈拡張
心タンポナーデ
血管浮腫
胸水の主な原因
胸水の胸部レントゲン所見
心原性肺水腫
Tripod position口すぼめもしている
著者校正/監修レビュー済
2018/02/28


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