経管栄養患者の下痢 :トップ    
監修: 野口善令 名古屋第二赤十字病院
丹羽一貴 関東労災病院 感染症治療管理部

概要

症状のポイント:
  1. 経管栄養患者の下痢とは、文字通り、経管栄養患者で認められる下痢症のことである。
  1. 重症患者において、下痢は、経管栄養を未施行の患者では6%であるのに比して、経管栄養を施行中の患者では大体15~18%程度の患者に起こる
  1. 抗菌薬、プロトンポンプ阻害薬(PPI)、ソルビトールなどの下痢を起こし得る明らかな原因薬剤、基礎疾患による吸収不良、Clostridium difficile(CD)腸炎、経管栄養剤の種類、不適切な投与法が原因となり得る。
 
緊急対応: >詳細情報 
  1. 下痢を主訴とする疾患で緊急の対応が必要な診断として急性副腎不全、甲状腺クリーゼ、アナフィラキシーがあり、早期の診断、治療を要する。
 
症状治療・診断的治療: >詳細情報 
  1. 下痢の症状治療で現在エビデンスのあるものに、食物繊維の投与がある。
  1. 抗菌薬関連下痢においては、プロバイオティクス投与を考慮する。

入院適応: >詳細情報 
  1. ひどい下痢による脱水、急性腎不全、電解質異常が認められた患者などは入院を考慮する。
 
診断へのアプローチ:アルゴリズム(身体診察 >詳細情報 ・鑑別疾患 鑑別疾患 )
  1. 経管栄養剤が高浸透性のものでないか確認する。
  1. 経管栄養の投与速度を確認し、投与速度をゆっくり(10~30ml/時程度)に変更する。
  1. 抗菌薬、プロトンポンプ阻害薬、ソルビトールなどの下痢を起こし得る明らかな原因薬剤があれば可能な限り中止する。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

経腸栄養患者の下痢の検査例
  1. まず、経腸栄養患者に特有の原因とCD関連、薬剤性など経腸栄養患者に頻度の高い原因を考える。
  1. 次には、虚血性腸炎、大腸癌など経腸栄養を施行される患者の背景に比較的頻度が高い原因を検索し、これらの原因がなければ、その他一般患者の下痢症と同じ原因を検索していく。 便通異常(下痢、便秘) 
○ 薬剤が原因でない場合は、下記を病態、抗菌薬投与歴に合わせて適宜行う。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

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著者校正/監修レビュー済
2016/04/01