今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 末松篤樹 正翔会クリニック江南

監修: 野口善令 豊田地域医療センター 総合診療科

著者校正/監修レビュー済:2024/11/27
参考ガイドライン:
  1. 日本静脈経腸栄養学会:静脈経腸栄養ガイドライン 第3版
  1. ESPEN guideline on home enteral nutrition. Clin Nutr, 2020; 39(1): 5-22.
  1. ESPEN practical guideline: Home enteral nutrition. Clin Nutr, 2022; 41(2): 468-88.
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、重複箇所を整理し、「概要・推奨」欄を充実させた。

概要・推奨   

  1. PEG造設後の患者には、留置後のPEG先端の位置を確認することが勧められる。
  1. 重症患者において、下痢は、経管栄養を未施行の患者では6%であるのに比して、経管栄養を施行中の患者では大体15~18%程度の患者に起こる[1][2]
  1. 抗菌薬、プロトンポンプ阻害薬(PPI)、ソルビトールなどの下痢を引き起こす可能性のある薬剤、基礎疾患による吸収不良、Clostridium difficile(CD)腸炎、経管栄養剤の種類、不適切な投与法が原因となり得る。
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  1. ボーラス投与、間欠的投与、持続投与は臨床状況に合わせて行うことができる[6]。ボーラス投与が下痢を起こしやすいというエビデンスはない[7]

病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 急性疾患であっても、慢性疾患であっても、栄養不良の患者は栄養が良好な患者と比べて、よい転機をとらず、合併症や感染症、必要とする医療資源が増加する。
  1. 経管栄養は一般的に、その簡便さ、安全性、低コスト、粘膜バリア機能の維持によいことから、経静脈栄養より好まれる。
  1. 重症患者において、下痢は、経管栄養を未施行の患者では6%であるのに比して、経管栄養を施行中の患者では大体15~18%程度の患者に起こる[1][2]
  1. 抗菌薬、プロトンポンプ阻害薬(PPI)、ソルビトールなどの下痢を引き起こす可能性のある薬剤、基礎疾患による吸収不良、Clostridium difficile(CD)腸炎、経管栄養剤の種類、不適切な投与法が原因となり得る。ただし、経管栄養患者において、下痢が起こる正確な機序はわかっていない。
 
  1. PEG造設後の患者には、留置後のPEG先端の位置を確認することが勧められる。
  1. 胃と腹壁の間に横行結腸が位置する患者では、PEG造設時に結腸を貫通して胃へのチューブ留置が行われることがある。多くの場合、造設後は無症状で経過し、初回のチューブ交換後に結腸内にチューブが留置されると栄養剤が横行結腸へと注入され下痢が出現する。
  1. 初回のPEG交換直後より発生する栄養剤の甘い臭いのする水溶性下痢便が特徴である。
問診・診察のポイント  
 
  1. 抗菌薬、プロトンポンプ阻害薬、ソルビトールなどの下痢を引き起こす可能性のある薬剤がないか確認する[3][4]
  1. 基礎疾患に炎症性腸疾患、甲状腺機能亢進症といった腸管蠕動運動の亢進や異常を呈する疾患や、糖尿病や強皮症といった腸管蠕動運動の低下による小腸内細菌の増殖を起こす疾患や、乳糖不耐症などの既往歴がないか確認する。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
末松篤樹 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:野口善令 : 特に申告事項無し[2024年]

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経管栄養患者の下痢

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