尿道分泌物 :トップ    
監修: 力石辰也 聖マリアンナ医科大学
荒川創一 三田市民病院

概要

所見のポイント:
  1. 尿道分泌物は、通常、尿道の炎症の存在を意味し、その原因の多くが感染症である。
  1. また、感染の原因として性感染症(sexually transmitted infection、STI・発症したものをsexually transmitted disease、STD)と尿路感染症(urinary tract infection、UTI)とがある。性感染症での原因菌は、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、クラミジア(Chlamydia trachomatis)、マイコプラズマ(Mycoplasma genitalium)などが挙げられる。一方、尿路感染症としては、尿道留置カテーテル(フォーリーカテーテル)に起因する尿道炎が、その大多数を占める。尿路感染症の原因菌は、グラム陽性菌からグラム陰性菌まで多岐にわたり、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、腸球菌、大腸菌、クレブシエラ、セラチア、緑膿菌などが挙げられる。
  1. STDでは自覚症状として外尿道口からの排膿および排尿初期痛または瘙痒感、他覚所見として初尿中に10個以上/400倍視野の白血球を証明することが客観所見として重要である。
 
緊急時の対応: >詳細情報 
  1. 泌尿器科医にコンサルトできる状況であれば、そちらへ受診するよう指示する。
  1. それが困難な場合、過去1カ月にdirty sexual intercourseがなかったかどうか問診して、性感染症と考えられたら、初尿中の有意の白血球数の確認、尿道分泌物の性状(膿性か漿液性かによる)を視診(医療者は手袋着用)する。黄色膿性であれば淋菌性と考えてよい。
 
治療: >詳細情報 
  1. 臨床的に問題となるのは多くが性感染症である。尿道カテーテル留置に伴う尿路感染症の部分症状としての尿道分泌物に対する治療は、異物であるカテーテルがある限り除菌は困難であり、性器感染症である前立腺炎や精巣上体炎に進展しない限り抗菌薬治療は選択されるべきでない。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

黄色膿の尿道分泌物の治療例
  1. 黄色膿の場合、できれば膿のグラム染色を施し、淋菌の存否を即断し、淋菌培養にも供する。これらができない場合、初尿検体の核酸増幅検査で淋菌・クラミジアの両者を調べる。
  1. 臨床的に淋菌性尿道炎と診断される場合、当初から淋菌、非淋菌病原体(主にクラミジア)両者の存在を想定して、セフトリアキソン1g単回静注に加えて、アジスロマイシン1g単回内服を初回に同時投与する。同時投与の際には、淋菌性尿道炎、クラミジア性尿道炎の両方の病名記載と検査提出を行う必要がある
○ 下記の1)と2)を併用することで治療を開始する。ただし、1)のみで治療し次週核酸増幅の検査の結果を2)を投与することも、再来が確実と思われる場合は考慮しても

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薬剤監修について:
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尿道炎の診断・治療
著者校正/監修レビュー済
2017/04/27