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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 激しい疼痛を伴う各種癌における鎮痛

用法・用量

  • 通常、成人にはモルヒネ硫酸塩水和物として1日20~120mgを2回に分割経口投与する。
    なお、初回量は10mgとすることが望ましい。
    症状に応じて適宜増減する。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 重篤な呼吸抑制のある患者[呼吸抑制を増強する。]
  • 2.2 気管支喘息発作中の患者[気道分泌を妨げる。]
  • 2.3 重篤な肝機能障害のある患者[9.3.1参照]
  • 2.4 慢性肺疾患に続発する心不全の患者[呼吸抑制や循環不全を増強する。]
  • 2.5 痙攣状態(てんかん重積症、破傷風、ストリキニーネ中毒)にある患者[脊髄の刺激効果があらわれる。]
  • 2.6 急性アルコール中毒の患者[呼吸抑制を増強する。]
  • 2.7 本剤の成分及びアヘンアルカロイドに対し過敏症の患者
  • 2.8 出血性大腸炎の患者[腸管出血性大腸菌(O157等)や赤痢菌等の重篤な細菌性下痢のある患者では、症状の悪化、治療期間の延長を来すおそれがある。][9.1.1参照]
  • 2.9 ナルメフェン塩酸塩水和物を投与中又は投与中止後1週間以内の患者[10.1参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 細菌性下痢のある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。治療期間の延長を来すおそれがある。[2.8参照]
9.1.2 心機能障害のある患者
循環不全を増強するおそれがある。
9.1.3 呼吸機能障害のある患者
呼吸抑制を増強するおそれがある。
9.1.4 脳に器質的障害のある患者
呼吸抑制や頭蓋内圧の上昇を起こすおそれがある。
9.1.5 ショック状態にある患者
循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがある。
9.1.6 代謝性アシドーシスのある患者
呼吸抑制を起こすおそれがある。
9.1.7 甲状腺機能低下症(粘液水腫等)の患者
呼吸抑制や昏睡を起こすおそれがある。
9.1.8 副腎皮質機能低下症(アジソン病等)の患者
呼吸抑制作用に対し、感受性が高くなっている。
9.1.9 薬物依存の既往歴のある患者
依存性を生じやすい。
9.1.10 衰弱者
呼吸抑制作用に対し、感受性が高くなっている。
9.1.11 前立腺肥大による排尿障害、尿道狭窄、尿路手術術後の患者
排尿障害を増悪することがある。
9.1.12 器質的幽門狭窄、麻痺性イレウス又は最近消化管手術を行った患者
消化管運動を抑制する。
9.1.13 痙攣の既往歴のある患者
痙攣を誘発するおそれがある。
9.1.14 胆嚢障害及び胆石のある患者
胆道痙攣を起こすことがある。
9.1.15 重篤な炎症性腸疾患のある患者
連用した場合、巨大結腸症を起こすおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
排泄が遅延し、副作用があらわれるおそれがある。
腎不全患者及び血液透析患者において、薬理活性をもつ代謝物のモルヒネ-6-グルクロナイドの蓄積によると考えられる遷延性の意識障害あるいは遷延性の呼吸抑制が起きたとの報告がある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝機能障害のある患者
投与しないこと。昏睡に陥ることがある。[2.3参照]
9.3.2 肝機能障害のある患者(重篤な肝機能障害のある患者を除く)
代謝が遅延し、副作用があらわれるおそれがある。
9.5 妊婦
9.5.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物試験(マウス、ラット)で催奇形作用(マウスでは脳脱、軸骨格癒合)が報告されている。
9.5.2 分娩前に投与した場合、出産後新生児に退薬症候(多動、神経過敏、不眠、振戦等)があらわれることがある。
9.5.3 分娩時の投与により、新生児に呼吸抑制があらわれることがある。
9.6 授乳婦
本剤投与中は授乳を避けさせること。ヒト母乳中へ移行することがある。
9.7 小児等
新生児、乳児では低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。新生児、乳児では呼吸抑制の感受性が高い。
9.8 高齢者
低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。一般に生理機能が低下しており、特に呼吸抑制の感受性が高い。

8.重要な基本的注意

8.1 連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。[11.1.2参照]
8.2 眠気、めまいが起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
8.3 本剤を増量する場合には、副作用に十分注意すること。

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 本剤は徐放性の製剤であるため、かまずに服用するように指示すること。
14.1.2 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
14.1.3 本剤が不要となった場合には、病院又は薬局へ返却するなどの処置について適切に指導すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 モルヒネ塩酸塩水溶液経口投与時との比較
がん疼痛患者を対象として、MSコンチン錠1回30mg(10mg製剤3錠)を12時間ごと経口投与時と、モルヒネ塩酸塩水溶液1回10mgを4時間ごと経口投与時の、定常状態における薬物動態について比較、検討した。
速度論的に解析可能であった症例の血漿中濃度の平均値を用いて血漿中濃度曲線を予測して検討した結果、MSコンチン錠12時間ごと投与時の血漿中濃度は、モルヒネ塩酸塩水溶液4時間ごと投与時の血漿中濃度とほぼ同等であった。
図16-1 MSコンチン錠及びモルヒネ塩酸塩水溶液経口投与時の血漿中遊離モルヒネ濃度予測曲線
MSコンチン錠投与時のモルヒネの消失速度はモルヒネ塩酸塩水溶液投与時とほぼ一致し、AUCも両者でほぼ同じ値を示し、差は認められなかった。しかし、MSコンチン錠の吸収速度は遅く、Tmaxは長く、Cmaxは低く(単位量あたり)なり、本剤の徐放性が示された。
表16-1 薬物動態パラメータ
投与量(mg)例数Cmax(ng/mL)注1Tmax(hr)注1
MSコンチン錠30注2829.9±13.32.7±0.8
モルヒネ塩酸塩水溶液10注3519.5±8.10.5±0.2
AUC0-12(ng・hr/mL)注1T1/2kab)(hr)T1/2kel)(hr)
MSコンチン錠165.5±78.30.41±0.272.58±0.85
モルヒネ塩酸塩水溶液160.8±44.1注40.12±0.072.90±1.14
注1:パラメータから計算
注2:10mg製剤3錠を12時間ごと投与
注3:10mgを4時間ごと投与
注4:10mg 3回投与時のAUCに換算
T1/2kab):吸収半減期、T1/2kel):消失半減期
(平均値±標準偏差)
16.1.2 効果発現時間
1時間30分~2時間
16.2 吸収
16.2.1 初回通過効果を受ける。生物学的利用率は22.4%である。
16.2.2 健康成人10例において本剤の吸収は食事による影響をほとんど受けなかった(外国人データ)。
16.3 分布
血漿蛋白結合率
約35%
16.4 代謝
モルヒネは主としてグルクロン酸抱合を受け、モルヒネ-3-グルクロナイド及び薬理活性をもつモルヒネ-6-グルクロナイドに代謝される。
16.5 排泄
がん疼痛患者12例のMSコンチン錠1回30mg、1日2回投与時の定常状態時におけるモルヒネ、モルヒネ-6-グルクロナイド、モルヒネ-3-グルクロナイド及びこれら3者の合計の24時間の全尿中排泄率(平均値±標準偏差)は、それぞれ2.6±2.6%、4.8±1.8%、21.6±11.2%、29.1±14.1%であった。

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
ナルメフェン塩酸塩水和物
セリンクロ
[2.9参照]
本剤の離脱症状があらわれるおそれがある。また、本剤の効果が減弱するおそれがある。μオピオイド受容体拮抗作用により、本剤の作用が競合的に阻害される。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
中枢神経抑制剤
フェノチアジン誘導体
バルビツール酸誘導体等
吸入麻酔剤
モノアミン酸化酵素阻害剤
三環系抗うつ剤
β-遮断剤
アルコール
呼吸抑制、低血圧及び顕著な鎮静又は昏睡が起こることがある。相加的に中枢神経抑制作用が増強される。
クマリン系抗凝血剤
ワルファリン
クマリン系抗凝血剤の作用が増強されることがある。機序は不明である。
抗コリン作動性薬剤麻痺性イレウスに至る重篤な便秘又は尿貯留が起こることがある。相加的に抗コリン作用が増強される。
ジドブジン(アジドチミジン)ジドブジンの副作用(骨髄抑制等)を増強させるおそれがある。ジドブジンのグルクロン酸抱合が競合的に阻害され、ジドブジンの代謝が阻害される。
ブプレノルフィンブプレノルフィンの高用量(8mg連続皮下投与)において、本剤の作用に拮抗するとの報告がある。μオピオイド受容体拮抗作用により、本剤の作用が競合的に阻害される。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(頻度不明)
11.1.2 依存性(頻度不明)
連用により生じることがある。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、あくび、くしゃみ、流涙、発汗、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、散瞳、頭痛、不眠、不安、せん妄、振戦、全身の筋肉・関節痛、呼吸促迫等の退薬症候があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、1日用量を徐々に減量するなど、患者の状態を観察しながら行うこと。[8.1参照]
11.1.3 呼吸抑制(0.7%)
息切れ、呼吸緩慢、不規則な呼吸、呼吸異常等があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、本剤による呼吸抑制には、麻薬拮抗剤(ナロキソン、レバロルファン等)が拮抗する。
11.1.4 錯乱(1.7%)、せん妄(頻度不明)
11.1.5 無気肺(頻度不明)、気管支痙攣(頻度不明)、喉頭浮腫(頻度不明)
11.1.6 麻痺性イレウス(頻度不明)、中毒性巨大結腸(頻度不明)
炎症性腸疾患の患者に投与した場合にあらわれるとの報告がある。
11.1.7 肝機能障害(頻度不明)
AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇等があらわれることがある。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

5%以上5%未満頻度不明
過敏症発疹、そう痒感等
循環器不整脈、血圧変動、顔面潮紅等
精神神経系眠気・傾眠(11.2%)不安定感、意識障害、発汗、めまい、視調節障害等不穏、不安、興奮
消化器便秘(13.3%)、悪心(14.3%)、嘔吐、口渇食欲不振
その他排尿障害、頭蓋内圧の亢進
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