薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
抗凝血剤 ワルファリン | プロトロンビン時間の延長、重大な又は致死的な出血が生じることが報告されているため、抗凝血剤を1/3~1/2に減量し、プロトロンビン時間を厳密に監視すること。 | 本剤によるCYP2C9阻害が考えられる。 また、甲状腺機能が亢進されると、抗凝血剤の作用が増強されることが考えられる。 |
P糖蛋白を基質とする抗凝固剤 ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩 エドキサバントシル酸塩水和物 | これらの薬剤の血中濃度が上昇し、抗凝固作用が増強することが報告されている。 | 本剤によるP糖蛋白阻害が考えられる。 |
ジゴキシン | ジゴキシン血中濃度が上昇し、臨床的な毒性(洞房ブロック、房室ブロック、憂鬱、胃腸障害、精神神経障害等)を生じることが報告されているため、本剤を投与開始するときはジギタリス治療の必要性を再検討し、ジギタリス用量を1/2に減量するか又は投与を中止すること。 | 本剤による腎外クリアランスの低下、消化管吸収の増加が考えられる。また、甲状腺機能の変化がジゴキシンの腎クリアランスや吸収に影響することなどが考えられる。 |
キニジン | キニジン血中濃度が上昇し、Torsade de pointesが起こることが報告されているため、キニジンを1/3~1/2に減量するか又は投与を中止すること。 | 機序不明。 |
メキシレチン | Torsade de pointesを発現したとの報告がある。 | 機序不明。 |
ジソピラミド | Torsade de pointesを発現したとの報告がある。 | 本剤は、心刺激伝導作用を延長させることが考えられる。 |
ソタロール | 併用によりTorsade de pointesを起こすことがある。 | 併用によりQT延長作用が相加的に増加することがある。 |
プロカインアミド | プロカインアミド、N-アセチルプロカインアミド血中濃度が上昇し、心血管作用が増強されることが報告されているため、プロカインアミドを1/3に減量するか又は投与を中止すること。 | 本剤は、プロカインアミドの肝代謝と腎クリアランスを阻害することが考えられる。 |
テオフィリン | テオフィリン血中濃度を上昇させるとの報告がある。 | 本剤によるCYP1A2阻害が考えられる。 |
フェニトイン | フェニトインの血中濃度上昇による精神神経障害があらわれることがある。観察を十分に行い、過量投与の症状があらわれた場合には速やかにフェニトイン投与量を減らすこと。 | 本剤によるCYP2C9阻害が考えられる。 |
フレカイニド | フレカイニド血中濃度が上昇することが報告されているため、フレカイニドを2/3に減量すること。 | 本剤によるCYP2D6阻害が考えられる。 |
アプリンジン | アプリンジン血中濃度の上昇、心血管作用の増加の報告がある。 | 本剤によるCYP2D6阻害が考えられる。 |
CYP3A4で代謝される薬剤 シクロスポリン タクロリムス ジヒドロエルゴタミン エルゴタミン トリアゾラム ミダゾラム 等 | 左記薬剤の血中濃度を上昇させるとの報告がある。 | 本剤によるCYP3A4阻害が考えられる。 |
CYP3A4で代謝されるHMG-CoA還元酵素阻害剤 シンバスタチン 等 | 併用により筋障害のリスクが増加するとの報告がある。 | 本剤によるCYP3A4阻害により、血中濃度が上昇することがある。 |
リドカイン | 洞停止、洞房ブロックを発現したとの報告がある。 | 本剤による洞結節の相加的抑制、代謝阻害が考えられる。 |
フェンタニル | 血圧低下、徐脈を発現したとの報告がある。 | 本剤とフェンタニルには、血圧低下、徐脈作用があり併用により作用が増強されることが考えられる。 |
全身麻酔剤 | ハロゲン化吸入麻酔薬の心筋抑制因子及び伝導障害に対する感受性が高くなることがあり、また、アトロピンが不奏効の徐脈、低血圧、伝導障害、心拍出量低下といった潜在的に重度の合併症が報告されている。さらに、非常にまれであるがときに致命的な急性呼吸窮迫症候群が通常手術直後に認められている。 | 機序不明。 |
局所麻酔剤 | 心機能抑制作用が増強するおそれがあるので、心電図検査等によるモニタリングを行うこと。 | 併用により作用が増強されることが考えられる。 |
β遮断薬 メトプロロール プロプラノロール | 徐脈、心停止を発現したとの報告がある。 | 本剤がメトプロロール、プロプラノロールの肝代謝を抑制し、初回通過効果を低下させることが考えられる。 |
Ca-拮抗剤 ジルチアゼム ベラパミル | 心停止、房室ブロックを発現したとの報告がある。 | 本剤はこれらの薬剤との併用で洞房と房室結節伝導を遅延させ、心筋収縮力を相加的に低下させることが考えられる。 |
低カリウム血症を起こす薬剤 利尿剤 副腎皮質ステロイド剤 アムホテリシンB ACTH(テトラコサクチド) | Torsade de pointesを起こすことがある。 | 機序不明。 低カリウム血症が惹起された場合、本剤のQT延長作用が増加されることが考えられる。 |
シルデナフィルクエン酸塩(肺動脈性肺高血圧症を効能又は効果とするもの) | QT延長を起こすおそれがある。 | 併用によりQT延長作用が相加的に増加するおそれがある。 |
レジパスビル/ソホスブビル配合剤 [8.5参照] | 徐脈等の不整脈があらわれるおそれがあり、海外の市販後において死亡例も報告されていることから、併用は可能な限り避けること。やむを得ず本剤と併用する場合は、不整脈の徴候の発現等に注意して十分に観察し、異常が認められた場合には適切な対応を行うこと。 | 機序不明。 |
ヒドロキシクロロキン硫酸塩 | 心室性不整脈を起こすおそれがある。 | 機序不明。 |
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 | 血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。 | セイヨウオトギリソウにより本剤の代謝酵素が誘導され、代謝が促進されることが考えられる。 |