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他剤形 薬剤一覧

効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 下記の状態で他の抗不整脈薬が使用できないか、又は無効の場合

    • 頻脈性不整脈

用法・用量

  • 通常、成人にはピルシカイニド塩酸塩水和物として、1日150mgを3回に分けて経口投与する。
    なお、年齢、症状により適宜増減するが、重症又は効果不十分な場合には、1日225mgまで増量できる。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 うっ血性心不全のある患者[不整脈(心室頻拍、心室細動等)の誘発又は増悪、陰性変力作用による心不全の悪化を来すおそれが高い。]
  • 2.2 高度の房室ブロック、高度の洞房ブロックのある患者[刺激伝導抑制作用により、これらの障害を更に悪化させるおそれがある。][9.1.3参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 基礎心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)のある患者
心不全を来すおそれのある患者では、少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。また、開始後1~2週間は入院させること。心室頻拍、心室細動等が発現するおそれが高い。なお、心筋梗塞発症後の無症候性あるいは軽度の症状を伴う患者の場合は、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。[15.1参照]
9.1.2 心不全の既往のある患者
心不全を来すおそれがある。
9.1.3 刺激伝導障害(房室ブロック、洞房ブロック、脚ブロック等)のある患者(高度の房室ブロック、高度の洞房ブロックのある患者を除く)
刺激伝導抑制作用により、これらの障害を更に悪化させるおそれがある。[2.2参照]
9.1.4 著明な洞性徐脈のある患者
高度の徐脈、洞停止を来すおそれがある。
9.1.5 血清カリウム低下のある患者
催不整脈作用が発現するおそれがある。
9.1.6 他の抗不整脈薬を併用している患者
少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。[10.2参照]
9.1.7 恒久的ペースメーカー使用中あるいは一時的ペーシング中の患者
ペースメーカー使用中の患者に投与する場合は適当な間隔でペーシング閾値を測定すること。また、異常が認められた場合には直ちに減量又は投与を中止すること。本剤は心臓ペーシング閾値を上昇させる可能性がある。
9.2 腎機能障害患者
投与量を減量するか、投与間隔をあけて使用すること。また、頻回に心電図検査を実施すること。本剤は腎臓からの排泄により体内から消失する薬剤であり、血中濃度が高くなりやすく、また高い血中濃度が持続しやすい。[16.6.1参照]
9.2.1 透析を必要とする腎不全患者[7.1、13.2参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝機能障害のある患者
AST、ALT、LDH等の上昇が報告されている。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で静脈内投与した場合、胎児に移行することが報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
入院させて本剤の投与を開始することが望ましい。少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。肝・腎機能が低下していることが多く、また体重が少ない傾向があるなど副作用が発現しやすい。[7.2参照]

8.重要な基本的注意

8.1 本剤の投与に際しては、頻回に患者の状態を観察し、心電図、脈拍、血圧、心胸比を定期的に調べること。PQの延長、QRS幅の増大、QTの延長、徐脈、血圧低下等の異常所見が認められた場合には、直ちに減量又は投与を中止すること。
8.2 1日用量150mgを超えて投与する場合は副作用発現の可能性が増大するので注意すること。
8.3 本剤でBrugada症候群に特徴的な心電図変化(右脚ブロック及び右側胸部誘導(V1~V3)のST上昇)の顕在化又はそれに伴う心室細動、心室頻拍、心室性期外収縮を発現させたとの報告があるので注意すること。
8.4 めまい等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 透析を必要とする腎不全患者では、1日25mgから投与を開始するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。[9.2.1参照]
7.2 高齢者では、1回25mgから投与を開始するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。[9.8参照]

16.薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人男性18例にピルシカイニド塩酸塩水和物25mg、50mg及び100mg注)を空腹時単回経口投与したとき、消化管からの吸収は良好であり、血漿中濃度の推移は次のとおりであった。
ピルシカイニド塩酸塩水和物単回経口投与時の血漿中濃度の推移(空腹時)
ピルシカイニド塩酸塩水和物単回経口投与時の薬物動態パラメータ(空腹時)
投与量(mg)例数Tmax(hr)Cmax(μg/mL)t1/2(hr)AUC(μg・hr/mL)
2521.61±0.010.150±0.0024.4±0.391.278±0.080
5081.22±0.180.356±0.0274.8±0.342.975±0.112
10081.06±0.180.650±0.0294.9±0.375.238±0.307
(平均±SE)
なお、本剤の有効血漿中濃度は0.2~0.9μg/mLと報告されている。
16.3 分布
16.3.1 組織移行
ラットに14C-ピルシカイニド塩酸塩水和物を経口投与したとき、主に十二指腸から吸収され、主として肝臓、腎臓に分布し、脳への分布は少なかった。
また、ラットに14C-ピルシカイニド塩酸塩水和物を静脈内投与したとき、胎児及び乳汁中には母体の血漿中濃度とほぼ同程度かあるいはそれ以上の移行が認められた。
16.3.2 蛋白結合率
ヒト血漿蛋白結合率は、1.0μg/mL以下の濃度で約35%と一定であったが、50μg/mLでは約20%に低下した(in vitro)。
16.4 代謝
健康成人ではピルシカイニド塩酸塩水和物は代謝されにくい。
代謝物2-ヒドロキシメチル体の生成に関与するヒト肝チトクロームP450分子種を検討したところ、CYP2D6により上記代謝物の生成が僅かに認められた。
16.5 排泄
健康成人男性18例にピルシカイニド塩酸塩水和物25mg、50mg及び100mg注)を空腹時単回経口投与したとき、24時間以内に75~86%が未変化体として尿中に排泄された。また50mg、100mg投与群においては、24時間以内に4.5~6.5%が代謝物2-ヒドロキシメチル体として尿中に排泄された。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
ピルシカイニド塩酸塩水和物は腎排泄型の薬剤であり、次のように腎機能障害患者、腎機能が低下している高齢者では半減期が延長する。したがって内因性クレアチニンクリアランス(CLcr)を指標とした障害の程度に応じて、投与間隔をあけるかあるいは症例によって投与量を減じるなど、用法及び用量に十分注意する必要がある。[9.2参照]
50≦CLcr:半減期は腎機能正常例とほぼ同じ。
20≦CLcr<50:半減期は腎機能正常例に比し約2倍に延長する。
CLcr<20:半減期は腎機能正常例に比し約5倍に延長する。
ピルシカイニド塩酸塩水和物50mg単回経口投与時の腎機能障害患者での血漿中濃度の推移
ピルシカイニド塩酸塩水和物50mg単回経口投与時における腎機能障害患者の薬物動態パラメータ
腎機能CLcr(mL/min)例数Tmax(hr)Cmax(μg/mL)t1/2(hr)Vd(L/kg)CLtot(mL/min)
CLcr≧8063.1±0.60.41±0.083.4±0.21.48±0.19280.0±37.5
80>CLcr≧50102.7±0.80.46±0.035.7±0.31.46±0.11182.8±11.8
50>CLcr≧2083.1±0.80.51±0.059.3±1.11.70±0.15123.4±19.3
20>CLcr83.8±0.70.63±0.0523.7±2.01.46±0.1138.8±4.6
(平均±SE)
注)本剤の承認された用法及び用量は、1日150~225mgを3回に分けて投与である。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
リファンピシン本剤の作用を減弱させることがある。リファンピシンによりチトクロームP450の産生が誘導され、本剤の代謝速度が促進し、血中濃度が低下する可能性が考えられている。
カルシウム拮抗薬
ベラパミル
β-受容体遮断薬
プロプラノロール
ジギタリス製剤
ジゴキシン
硝酸・亜硝酸エステル系薬剤
ニトログリセリン
[9.1.6参照]
動物実験(イヌ)において、本剤の作用が増強される可能性が報告されている。機序は明らかではないが、作用増強の可能性が考えられている。
セチリジン両剤の血中濃度が上昇し、本剤の副作用が発現したとの報告がある。腎でのトランスポーターを介した排泄が競合するためと考えられている。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 心室細動(頻度不明)、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)(頻度不明)、洞停止(頻度不明)、完全房室ブロック(頻度不明)、失神(頻度不明)、心不全(頻度不明)
ショック、心停止に至る場合もあるので、頻回な心電図検査、胸部X線検査等を実施すること。
11.1.2 急性腎障害(頻度不明)
ショック等による急性腎障害があらわれることがある。
11.1.3 肝機能障害(頻度不明)
AST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

0.1~5%未満頻度不明
循環器QRS幅の増大、QT延長、房室ブロック、洞房ブロック、胸部不快感、動悸、心室性期外収縮、上室性期外収縮、心房細動、上室性頻拍胸痛、徐脈、心房粗動、血圧低下
消化器胃痛、悪心、嘔吐、口渇、下痢、腹部不快感便秘、食欲不振
精神神経系めまい、頭痛、眠気振戦、不眠、しびれ
血液好酸球増加、リンパ球減少白血球数減少、血小板数減少
肝臓AST上昇、ALT上昇、LDH上昇
過敏症発疹、蕁麻疹そう痒感
腎臓BUN上昇、クレアチニン上昇、尿蛋白陽性
泌尿器排尿困難
その他全身倦怠感、CK上昇、脱力感熱感
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