製品名 リスパダール内用液1mg/mL
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- 一般名
- risperidone
- 薬効分類
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抗精神病薬>非定型抗精神病薬(SDA)
- 価格
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0.1%1mL:67.1円/mL
- 製薬会社
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- 26.1 製造販売元:ヤンセンファーマ株式会社
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効能・効果
用法・容量 -
効能・効果
- ○統合失調症
- ○小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性
用法・用量
6.1 統合失調症
- 通常、成人にはリスペリドンとして1回1mg(1mL)1日2回より開始し、徐々に増量する。維持量は通常1日2~6mg(2~6mL)を原則として1日2回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。但し、1日量は12mg(12mL)を超えないこと。
6.2 小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性
6.2.1 体重15kg以上20kg未満の患者
- 通常、リスペリドンとして1日1回0.25mg(0.25mL)より開始し、4日目より1日0.5mg(0.5mL)を1日2回に分けて経口投与する。症状により適宜増減するが、増量する場合は1週間以上の間隔をあけて1日量として0.25mg(0.25mL)ずつ増量する。但し、1日量は1mg(1mL)を超えないこと。
6.2.2 体重20kg以上の患者
- 通常、リスペリドンとして1日1回0.5mg(0.5mL)より開始し、4日目より1日1mg(1mL)を1日2回に分けて経口投与する。症状により適宜増減するが、増量する場合は1週間以上の間隔をあけて1日量として0.5mg(0.5mL)ずつ増量する。但し、1日量は、体重20kg以上45kg未満の場合は2.5mg(2.5mL)、45kg以上の場合は3mg(3mL)を超えないこと。
- 禁忌
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【禁忌】
次の患者には投与しないこと
- 2.1 昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させるおそれがある。]
- 2.2 バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強されることがある。]
- 2.3 アドレナリンを投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療に使用する場合を除く)[10.1参照]
- 2.4 本剤の成分及びパリペリドンに対し過敏症の既往歴のある患者
- 副作用
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- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
「重大な副作用」及び「その他の副作用」の項における副作用の頻度については、統合失調症患者を対象とした結果に基づき算出した。
- 11.1.1 悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明)
- 無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡することがある。[9.1.3、9.1.7参照]
- 11.1.2 遅発性ジスキネジア(0.55%)
- 長期投与により、口周部等の不随意運動があらわれ、投与中止後も持続することがある。
- 11.1.3 麻痺性イレウス(頻度不明)
- 腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、本剤は動物実験(イヌ)で制吐作用を有することから、悪心・嘔吐を不顕性化する可能性があるので注意すること。[15.2.1参照]
- 11.1.4 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明)
- 低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがある。
- 11.1.5 肝機能障害、黄疸(頻度不明)
- AST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。[9.3、16.6.1参照]
- 11.1.6 横紋筋融解症(頻度不明)
- 筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
- 11.1.7 不整脈(頻度不明)
- 心房細動、心室性期外収縮等があらわれることがある。
- 11.1.8 脳血管障害(頻度不明)
- 11.1.9 高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡(頻度不明)
- 高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、本剤投与中は、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、血糖値の測定を行うなど十分な観察を行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与等の適切な処置を行うこと。[8.3、8.5、9.1.6参照]
- 11.1.10 低血糖(頻度不明)
- 脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。[8.4、8.5参照]
- 11.1.11 無顆粒球症、白血球減少(頻度不明)
- 11.1.12 肺塞栓症、深部静脈血栓症(頻度不明)
- 肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[9.1.8参照]
- 11.1.13 持続勃起症(頻度不明)
- α交感神経遮断作用に基づく持続勃起症があらわれることがある。
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 注意
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9.特定の背景を有する患者に関する注意
- 9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1 心・血管系疾患、低血圧、又はそれらの疑いのある患者
- 一過性の血圧降下があらわれることがある。
- 9.1.2 不整脈の既往歴のある患者、先天性QT延長症候群の患者
- QTが延長する可能性がある。
- 9.1.3 パーキンソン病又はレビー小体型認知症のある患者
- 悪性症候群(Syndrome malin)が起こりやすくなる。また、錐体外路症状の悪化に加えて、錯乱、意識レベルの低下、転倒を伴う体位不安定等の症状が発現するおそれがある。[11.1.1参照]
- 9.1.4 てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者
- 痙攣閾値を低下させるおそれがある。
- 9.1.5 自殺企図の既往及び自殺念慮を有する患者
- 症状を悪化させるおそれがある。
- 9.1.6 糖尿病又はその既往歴のある患者、あるいは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者
- 血糖値が上昇することがある。[8.3、8.5、11.1.9参照]
- 9.1.7 脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者
- 悪性症候群が起こりやすい。[11.1.1参照]
- 9.1.8 不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者
- 抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。[11.1.12参照]
- 9.2 腎機能障害患者
- 本剤の半減期の延長及びAUCが増大することがある。[16.6.1参照]
- 9.3 肝機能障害患者
- 肝障害を悪化させるおそれがある。[11.1.5、16.6.1参照]
- 9.5 妊婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。
- 9.6 授乳婦
- 治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトで乳汁移行が認められている。
- 9.7 小児等
- <統合失調症>
- 9.7.1 13歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- <小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性>
- 9.7.2 低出生体重児、新生児、乳児、5歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。
- 9.8 高齢者
- 患者の状態を観察しながら少量(1回0.5mg(0.5mL))から投与するなど、慎重に投与すること。高齢者では錐体外路症状等の副作用があらわれやすく、また、腎機能障害を有する患者では最高血漿中濃度が上昇し、半減期が延長することがある。[16.6.1参照]
8.重要な基本的注意
- <効能共通>
- 8.1 投与初期、再投与時、増量時にα交感神経遮断作用に基づく起立性低血圧があらわれることがあるので、少量から徐々に増量し、低血圧があらわれた場合は減量等、適切な処置を行うこと。
- 8.2 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
- 8.3 本剤の投与により、高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、本剤投与中は、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、特に糖尿病又はその既往歴あるいはその危険因子を有する患者については、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。[8.5、9.1.6、11.1.9参照]
- 8.4 低血糖があらわれることがあるので、本剤投与中は、脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状に注意するとともに、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。[8.5、11.1.10参照]
- 8.5 本剤の投与に際し、あらかじめ上記8.3及び8.4の副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、高血糖症状(口渇、多飲、多尿、頻尿等)、低血糖症状(脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等)に注意し、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう指導すること。[8.3、8.4、9.1.6、11.1.9、11.1.10参照]
- <統合失調症>
- 8.6 興奮、誇大性、敵意等の陽性症状を悪化させる可能性があるので観察を十分に行い、悪化がみられた場合には他の治療法に切り替えるなど適切な処置を行うこと。
- <小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性>
- 8.7 定期的に安全性及び有効性を評価し、漫然と長期にわたり投与しないこと。
14.適用上の注意
- 14.1 薬剤投与時の注意
- 内服用にのみ使用させること。
- 14.2 薬剤交付時の注意
- 以下について患者に指導すること。
- 14.2.1 分包品においては、包装のまま服用しないこと。
- 14.2.2 本剤を直接服用するか、もしくは1回の服用量を水、ジュース又は汁物に混ぜて、コップ一杯(約150mL)くらいに希釈して使用すること。なお、希釈後はなるべく速やかに使用すること。
- 14.2.3 茶葉抽出飲料(紅茶、烏龍茶、日本茶等)及びコーラは、混合すると含量が低下することがあるので、希釈して使用しないこと。
- 14.2.4 30mLの瓶包装品に添付されているピペットの最小目盛は、約0.05mLである。
- 14.2.5 分包品(0.5mL、1mL、2mL、3mL)は、1回使い切りである。開封後は全量を速やかに服用すること。
- 以下について患者に指導すること。
- 14.3 薬剤調製時の注意
- 抗てんかん薬のザロンチンシロップ(エトスクシミド)、デパケンシロップ(バルプロ酸ナトリウム)及び抗アレルギー性精神安定薬のアタラックス-Pシロップ(ヒドロキシジン)との配合により、混濁、沈殿や含量低下を認めたことから、混合は避けること。
7.用法及び用量に関連する注意
- 7.1 本剤の活性代謝物はパリペリドンであり、パリペリドンとの併用により作用が増強するおそれがあるため、本剤とパリペリドンを含有する経口製剤との併用は、避けること。
5.効能又は効果に関連する注意
- <小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性>
- 5.1 原則として5歳以上18歳未満の患者に使用すること。
16.薬物動態
- 16.1 血中濃度
- 16.1.1 日本人単回投与試験
- 健康成人にリスペリドン1mg(内用液又は錠)を経口投与した場合、血漿中未変化体濃度は投与後約1時間で最高値に達し、消失半減期は約4時間であった。主代謝物9-ヒドロキシリスペリドン(パリペリドン)の血漿中濃度は投与後約3時間で最高値に達した後、約21時間の半減期で消失した。
- 健康成人にリスペリドンを単回経口投与した場合の血漿中濃度
- 健康成人にリスペリドンを単回経口投与した場合の血中濃度パラメータ(平均値±S.D.)
剤形 Cmax(ng/mL) Tmax(hr) AUC(ng・hr/mL) t1/2(hr) 消失速度定数(hr-1) 内用液(n=21) 未変化体 7.26±4.09 0.81±0.22 34.84±35.81 3.57±2.16 0.243±0.096 主代謝物 5.39±2.00 2.67±2.45 116.54±32.04 20.91±3.72 0.034±0.007 錠(n=21) 未変化体 7.01±3.82 1.13±0.36 35.50±35.67 3.91±3.25 0.244±0.102 主代謝物 5.19±1.87 3.27±2.54 115.54±30.08 21.69±4.21 0.033±0.007
- 健康成人にリスペリドン1mg(内用液又は錠)を経口投与した場合、血漿中未変化体濃度は投与後約1時間で最高値に達し、消失半減期は約4時間であった。主代謝物9-ヒドロキシリスペリドン(パリペリドン)の血漿中濃度は投与後約3時間で最高値に達した後、約21時間の半減期で消失した。
- 16.1.2 小児及び青年の精神疾患患者での成績
- 小児及び青年の精神疾患患者にリスペリドン錠を0.01~0.08mg/kg/日の用量で1日2回反復経口投与したとき、体重あたりの用量0.04mg/kg/日で規格化した血漿中未変化体のCmax,ss及びAUCτ,ssは青年と比較して小児で若干低値であったが、血漿中主代謝物9-ヒドロキシリスペリドンのCmax,ss及びAUCτ,ssは小児と青年で同程度であった(外国人データ)。
- 小児及び青年の精神疾患患者にリスペリドンを反復経口投与した場合の血中濃度パラメータ(体重あたりの用量0.04mg/kg/日で規格化)(平均値±S.D.)
Cmax,ss(ng/mL) Cmin,ss(ng/mL) AUCτ,ss(ng・hr/mL) CL/F(mL/min.kg) 小児(6~11歳)(n=12) 未変化体 12.4±9.0 2.06±2.68 87.5±61.5a) 6.11±4.15a) 主代謝物 16.7±6.8 8.98±3.58 152±58 2.52±1.00 青年(12~16歳)(n=12) 未変化体 22.5±23.9 8.61±13.1 190±235b) 6.51±6.72b) 主代謝物 16.8±8.8 11.7±6.9 172±94 2.37±1.01 a)n=9,b)n=11
- 小児及び青年の精神疾患患者にリスペリドン錠を0.01~0.08mg/kg/日の用量で1日2回反復経口投与したとき、体重あたりの用量0.04mg/kg/日で規格化した血漿中未変化体のCmax,ss及びAUCτ,ssは青年と比較して小児で若干低値であったが、血漿中主代謝物9-ヒドロキシリスペリドンのCmax,ss及びAUCτ,ssは小児と青年で同程度であった(外国人データ)。
- 16.3 分布
- 16.3.1 体組織への分布(参考:ラットでのデータ)
- ラットにおける14C-リスペリドンの単回投与後の組織内放射能濃度は、ほとんどの組織において投与2時間以内に最高値に達し、その後の消失は血漿中からの消失と同様な傾向を示した。
放射能濃度が最も高かった肝臓では血漿中放射能濃度の12~22倍程度あり、胃、小腸、副腎、腎臓及び各種腺組織等でも高い放射能濃度が認められた。
妊娠ラットに14C-リスペリドンを投与した時の胎児中放射能濃度は、血漿中濃度の約1/2であった。
- ラットにおける14C-リスペリドンの単回投与後の組織内放射能濃度は、ほとんどの組織において投与2時間以内に最高値に達し、その後の消失は血漿中からの消失と同様な傾向を示した。
- 16.3.2 血液-脳関門通過性
- 健康成人にリスペリドン1mg錠を単回投与し、脳内におけるドパミンD2及びセロトニン5-HT2受容体占拠率について検討した結果、各受容体に結合親和性を有することが確認された。
したがって、リスペリドンは血液-脳関門を通過することが示唆された。
- 健康成人にリスペリドン1mg錠を単回投与し、脳内におけるドパミンD2及びセロトニン5-HT2受容体占拠率について検討した結果、各受容体に結合親和性を有することが確認された。
- 16.3.3 血漿蛋白結合率
- リスペリドン:約90.0%(in vitro、平衡透析法、10ng/mL)
- 9-ヒドロキシリスペリドン:約77.4%(in vitro、平衡透析法、50ng/mL)
- 16.4 代謝
- 健康成人にリスペリドンを経口投与した場合、主に肝臓で代謝されると推定され、主代謝物は9-ヒドロキシリスペリドンであった。
- 初回通過効果の有無及びその割合:あり(割合は不詳)
- 代謝物の活性の有無:主代謝物9-ヒドロキシリスペリドンの活性はin vitro及びin vivoの薬理試験においてリスペリドン未変化体とほぼ同程度かやや弱いことが示されている。
- 代謝酵素(チトクロームP450)の分子種:CYP2D6、CYP3A4
- 健康成人にリスペリドンを経口投与した場合、主に肝臓で代謝されると推定され、主代謝物は9-ヒドロキシリスペリドンであった。
- 16.5 排泄
- 健康成人にリスペリドン1mg錠及び2mg錠を経口投与した場合、投与後72時間までに排泄された尿中未変化体は約2%であり、主代謝物の9-ヒドロキシリスペリドンは約20%であった。外国人でのデータでは、健康成人に14C-リスペリドン1mgを単回経口投与した場合、投与後7日間までに放射活性の14%が糞中に、69%が尿中に排泄された。
- 16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1 高齢者及び腎機能障害患者での成績
- 健康成人、高齢者、肝機能障害患者及び腎機能障害患者にリスペリドン1mg錠を単回経口投与したとき、活性成分(リスペリドン+9-ヒドロキシリスペリドン)の薬物動態は、健康成人と比して、中等度腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス:30~60mL/min/1.73m2)でt1/2に35%の延長及びAUCに2.7倍の増大、重度腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス:10~29mL/min/1.73m2)でt1/2に55%の延長及びAUCに2.6倍の増大、高齢者でt1/2に30%の延長及びAUCに1.4倍の増大が認められた(外国人データ)。[9.2、9.3、9.8、11.1.5参照]
- 16.7 薬物相互作用
- 健康成人、健康高齢者又は患者(統合失調症、統合失調感情障害、双極性障害、精神病)を対象とした薬物相互作用の検討結果を以下に示す(外国人データ)。
- 16.7.1 リスペリドンの薬物動態に対する他剤の影響[10.2参照]
- (1)カルバマゼピン
- 統合失調症患者11例にCYP3A4誘導作用を有するカルバマゼピン(400~1000mg/日反復投与)とリスペリドン(6mg/日反復投与)を21日間併用したときの活性成分(リスペリドン+9-ヒドロキシリスペリドン)のCmax及びAUCτは約50%減少した。
- (2)シメチジン及びラニチジン
- 健康成人12例にCYP3A4及びCYP2D6阻害作用を有するシメチジン(800mg/日反復投与)とリスペリドン(1mg単回投与)を併用したときの活性成分のCmax及びAUCはそれぞれ25%及び8%増加した。また、ラニチジン(300mg/日反復投与)と併用したとき、それぞれ36%及び20%増加した。
- (3)パロキセチン
- 統合失調症患者12例にCYP2D6阻害作用を有するパロキセチン(10、20及び40mg/日反復投与)とリスペリドン(4mg/日反復投与)を併用したとき、活性成分の定常状態におけるトラフ値がそれぞれ1.3、1.6及び1.8倍上昇した。
- (4)セルトラリン
- 統合失調症又は統合失調感情障害患者11例にCYP2D6阻害作用を有するセルトラリン(50mg/日反復投与)とリスペリドン(4~6mg/日反復投与)を併用したとき、活性成分の血漿中濃度に併用薬は影響を及ぼさなかった。また、セルトラリンを100mg/日に増量した患者では、活性成分の定常状態におけるトラフ値が15%上昇し、150mg/日に増量した2例では、それぞれ36%及び52%上昇した。
- (5)フルボキサミン
- 統合失調症患者11例にCYP3A4及びCYP2D6阻害作用を有するフルボキサミン(100mg/日反復投与)とリスペリドン(3~6mg/日反復投与)を併用したとき、活性成分の血漿中濃度に併用薬は影響を及ぼさなかった。また、フルボキサミンを200mg/日に増量した患者では、リスペリドンの定常状態におけるトラフ値が86%上昇したが、9-ヒドロキシリスペリドンの血漿中濃度に影響を及ぼさなかった。
- (6)イトラコナゾール
- 統合失調症患者19例にCYP3A4阻害作用を有するイトラコナゾール(200mg/日反復投与)とリスペリドン(2~8mg/日反復投与)を併用したときの活性成分の定常状態におけるトラフ値は65%上昇した。
- (7)ベラパミル
- 健康男性成人12例にP糖蛋白阻害作用を有するベラパミル(240mg反復投与)とリスペリドン(1mg単回投与)を併用したときの活性成分のCmax及びAUC∞はそれぞれ1.3倍及び1.4倍増加した。
- (8)その他
- 統合失調症患者12例にCYP2D6の基質であるアミトリプチリン(50~100mg/日反復投与)とリスペリドン(6mg/日反復投与)を7日間併用したとき、健康成人18例にCYP3A4阻害作用を有するエリスロマイシン(2000mg/日反復投与)とリスペリドン(1mg単回投与)を併用したとき、双極性障害患者19例にCYP3A4の基質であるトピラマート(100~400mg/日反復投与)とリスペリドン(1~6mg/日反復投与)を39日間併用したとき、健康高齢者16例にCYP2D6及びCYP3A4の基質であるガランタミン(8~24mg/日反復投与)とリスペリドン(1mg/日反復投与)を7日間併用したとき、健康成人24例にCYP2D6及びCYP3A4の基質であるドネペジル(5mg/日反復投与)とリスペリドン(1mg/日反復投与)を14日間併用したとき、それぞれ活性成分の薬物動態に併用薬の影響は認められなかった。
- 16.7.2 他剤の薬物動態に対するリスペリドンの影響
- 健康高齢者18例にジゴキシン(0.125mg/日)とリスペリドン(0.5mg/日)を10日間併用したとき、双極I型障害患者10例にバルプロ酸(1000mg/日)とリスペリドン(2~4mg/日)を14日間併用したとき、それぞれの薬剤の薬物動態に併用の影響は認められなかった。精神病患者13例にリチウム(炭酸リチウムとして443~1330mg/日)を反復投与したときのリチウムの薬物動態に、リスペリドン以外の他の抗精神病薬併用からリスペリドン(6mg/日反復投与)併用へ変更しても影響はみられなかった。また、16.7.1での同時検討で、リスペリドンはカルバマゼピン、エリスロマイシン、トピラマート、ガランタミン及びドネペジルの血漿中濃度に影響を及ぼさなかった。