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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • ○内数字は投与法を示す
    注I参照のこと
  • △印 ★印 注II参照のこと
  • <内科・小児科領域>

    • 内分泌疾患

      • 急性副腎皮質機能不全(副腎クリーゼ)〔[1][2][3]〕、甲状腺中毒症〔甲状腺(中毒性)クリーゼ〕〔[1][2][3]〕、慢性副腎皮質機能不全(原発性、続発性、下垂体性、医原性)〔[3]〕、ACTH単独欠損症〔[3]〕
    • 膠原病

      • リウマチ熱(リウマチ性心炎を含む)、エリテマトーデス(全身性及び慢性円板状)〔[1][2][3]〕
    • アレルギー性疾患

      • 気管支喘息〔[10][14]〕、アナフィラキシーショック〔[1][2]〕、喘息性気管支炎(小児喘息性気管支炎を含む)〔[3][10]〕、薬剤その他の化学的物質によるアレルギー・中毒(薬疹、中毒疹を含む)〔[1][2][3]〕、蕁麻疹(慢性例を除く)(重症例に限る)〔[2][3]〕
    • 神経疾患

      • 脳脊髄炎(脳炎、脊髄炎を含む)(但し、一次性脳炎の場合は頭蓋内圧亢進症状がみられ、かつ他剤で効果が不十分なときに短期間用いること)、重症筋無力症、多発性硬化症(視束脊髄炎を含む)〔[1][2][3]〕、末梢神経炎(ギランバレー症候群を含む)〔[1][2][3]〕、小舞踏病、顔面神経麻痺、脊髄蜘網膜炎〔[3]〕、脊髄浮腫〔[1][6]〕
    • 消化器疾患

      • 限局性腸炎、潰瘍性大腸炎〔[1][2][3][8]〕
    • 呼吸器疾患

      • びまん性間質性肺炎(肺線維症)(放射線肺臓炎を含む)〔[1][2][10]〕
    • 重症感染症

      • 重症感染症(化学療法と併用する)〔[1][2][3]〕
    • 新陳代謝疾患

      • 特発性低血糖症〔[1][2][3]〕
    • その他の内科的疾患

      • 重症消耗性疾患の全身状態の改善(癌末期、スプルーを含む)〔[1][2][3]〕、悪性リンパ腫(リンパ肉腫症、細網肉腫症、ホジキン病、皮膚細網症、菌状息肉症)及び類似疾患(近縁疾患)、好酸性肉芽腫〔[1][2][3]〕、乳癌の再発転移〔[3]〕
  • <外科領域>

    • 副腎摘除〔[1][2][3]〕、臓器・組織移植、副腎皮質機能不全患者に対する外科的侵襲〔[3]〕、侵襲後肺水腫〔[1][10]〕、外科的ショック及び外科的ショック様状態、脳浮腫、輸血による副作用、気管支痙攣(術中)〔[1]〕、手術後の腹膜癒着防止〔[7]〕、蛇毒・昆虫毒(重症の虫さされを含む)〔[3]〕
  • <整形外科領域>

    • 関節リウマチ、若年性関節リウマチ(スチル病を含む)〔[3][4]〕、リウマチ性多発筋痛〔[3]〕、強直性脊椎炎(リウマチ性脊椎炎)〔[3]〕、強直性脊椎炎(リウマチ性脊椎炎)に伴う四肢関節炎〔[4]〕
  • <泌尿器科領域>

    • 前立腺癌(他の療法が無効の場合)、陰茎硬結〔[3]〕
  • <眼科領域>

    • 眼科領域の術後炎症〔[1][3][9]〕
  • <皮膚科領域>

    • 湿疹・皮膚炎群(急性湿疹、亜急性湿疹、慢性湿疹、接触皮膚炎、貨幣状湿疹、自家感作性皮膚炎、アトピー皮膚炎、乳・幼・小児湿疹、ビダール苔癬、その他の神経皮膚炎、脂漏性皮膚炎、進行性指掌角皮症、その他の手指の皮膚炎、陰部あるいは肛門湿疹、耳介及び外耳道の湿疹・皮膚炎、鼻前庭及び鼻翼周辺の湿疹・皮膚炎など)(但し、重症例以外は極力投与しないこと)〔★△[3]〕、乾癬及び類症〔尋常性乾癬(重症例)、関節症性乾癬、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬、稽留性肢端皮膚炎、疱疹状膿痂疹、ライター症候群〕〔★△[2]★△[3]〕、紅斑症(多形滲出性紅斑、結節性紅斑)(但し、多形滲出性紅斑の場合は重症例に限る)〔[3]〕、ウェーバークリスチャン病、粘膜皮膚眼症候群〔開口部びらん性外皮症、スチブンス・ジョンソン病、皮膚口内炎、フックス症候群、ベーチェット病(眼症状のない場合)、リップシュッツ急性陰門潰瘍〕、天疱瘡群(尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、Senear-Usher症候群、増殖性天疱瘡)、デューリング疱疹状皮膚炎(類天疱瘡、妊娠性疱疹を含む)〔[2][3]〕、帯状疱疹(重症例に限る)〔[3]〕、潰瘍性慢性膿皮症〔[3]〕、紅皮症(ヘブラ紅色粃糠疹を含む)〔★△[2]★△[3]〕
  • <耳鼻咽喉科領域>

    • メニエル病及びメニエル症候群、急性感音性難聴〔[1][2][3]〕、喉頭炎・喉頭浮腫〔[1][2][3][10][12]〕、食道の炎症(腐蝕性食道炎、直達鏡使用後)及び食道拡張術後〔[1][2][3][10][13]〕、アレルギー性鼻炎、花粉症(枯草熱)〔[3][10][11]〕、嗅覚障害〔[1][2][3][10][11]〕、難治性口内炎及び舌炎(局所療法で治癒しないもの)〔[5]〕
  • <口腔外科領域>

    • 口腔外科領域手術後の後療法〔[1][2][3]〕
  • 注I

    • 投与法
      • [1]静脈内注射
      • [2]点滴静脈内注射
      • [3]筋肉内注射
      • [4]関節腔内注射
      • [5]軟組織内注射
      • [6]硬膜外注射
      • [7]腹腔内注入
      • [8]注腸
      • [9]結膜下注射
      • [10]ネブライザー
      • [11]鼻腔内注入
      • [12]喉頭・気管注入
      • [13]食道注入
      • [14]静脈内注射又は点滴静脈内注射
  • 注II

    • △印-下記の場合にのみ用いること
      • 1)静脈内注射及び点滴静脈内注射
        • 経口投与不能時、緊急時及び筋肉内注射不適時
      • 2)筋肉内注射

        • 経口投与不能時
    • ★印-外用剤を用いても効果が不十分な場合あるいは十分な効果を期待し得ないと推定される場合にのみ用いること

用法・用量

  • <通常、成人における用法及び用量(ヒドロコルチゾンとして)>

    • 下表のとおりである。なお、年齢、症状により適宜増減する。
      用法
      注射・注入部位
      1回の用量(mg)1日投与回数緊急時1回用量(mg)
      [1]静脈内注射50~1001~4100~200
      [2]点滴静脈内注射50~1001~4100~200
      [3]筋肉内注射50~1001~4100~200
      [4]関節腔内注射5~25投与間隔2週以上
      [5]軟組織内注射12.5~25投与間隔2週以上
      [6]硬膜外注射12.5~50投与間隔2週以上
      [7]腹腔内注入40
      [8]注腸50~100
      [9]結膜下注射20~50mg/mL溶液
      0.2~0.5mL
      [10]ネブライザー10~151~3
      [11]鼻腔内注入10~151~3
      [12]喉頭・気管注入10~151~3
      [13]食道注入25
  • <気管支喘息([14])における静脈内注射又は点滴静脈内注射の用法及び用量(ヒドロコルチゾンとして)>

    • 通常、成人には、ヒドロコルチゾンとして初回投与量100~500mgを緩徐に静脈内注射又は点滴静脈内注射する。症状が改善しない場合には、1回50~200mgを4~6時間毎に緩徐に追加投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
    • 通常、2歳以上の小児には、ヒドロコルチゾンとして初回投与量5~7mg/kgを緩徐に静脈内注射又は点滴静脈内注射する。症状が改善しない場合には、1回5~7mg/kgを6時間毎に緩徐に追加投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
    • 通常、2歳未満の小児には、ヒドロコルチゾンとして初回投与量5mg/kgを緩徐に静脈内注射又は点滴静脈内注射する。症状が改善しない場合には、1回5mg/kgを6~8時間毎に緩徐に追加投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 デスモプレシン酢酸塩水和物(男性における夜間多尿による夜間頻尿)を投与中の患者[10.1参照]
  • 2.3 感染症のある関節腔内又は腱周囲[免疫機能を抑制し、宿主防御能を低下させるので、感染症を悪化させるおそれがある。]
  • 2.4 動揺関節の関節腔内[関節の不安定化が起こり、症状を悪化させるおそれがある。]
  • 2.5 免疫抑制が生じる量の本剤を投与中の患者には生ワクチン又は弱毒生ワクチンを接種しないこと[10.1参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 以下の患者には治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。
(1)有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の真菌症の患者
免疫機能を抑制し、宿主防御能を低下させるので、感染症を悪化させるおそれがある。[11.1.2参照]
(2)消化性潰瘍、憩室炎の患者
消化管保護作用を減弱させ、また、組織の修復を阻害するので、症状を悪化させるおそれがある。[11.1.5参照]
(3)精神病の患者
中枢神経刺激作用により、症状を悪化させるおそれがある。[11.1.9参照]
(4)結核性疾患の患者
免疫機能を抑制し、宿主防御能を低下させ、症状を悪化又は顕性化させるおそれがあるので、適宜抗結核療法を併用すること。[11.1.2参照]
(5)単純疱疹性角膜炎の患者
角膜に穿孔を生じるおそれがある。[11.1.2参照]
(6)後嚢白内障の患者
水晶体嚢の透過性を変化させ、症状を悪化させるおそれがある。[8.4、11.1.11参照]
(7)緑内障の患者
眼圧を上昇させ、症状を悪化させるおそれがある。[8.4、11.1.11参照]
(8)高血圧症の患者
ナトリウム貯留作用により、症状を悪化させるおそれがある。
(9)電解質異常のある患者
電解質代謝に影響を与えるので、症状を悪化させるおそれがある。
(10)血栓症の患者
血液凝固促進作用により、症状を悪化させるおそれがある。[11.1.7参照]
(11)最近行った内臓の手術創のある患者
組織の修復を阻害するので、創傷治癒が障害されるおそれがある。
(12)急性心筋梗塞を起こした患者
心破裂を起こしたとの報告がある。[11.1.13参照]
(13)ウイルス性結膜・角膜疾患、結核性眼疾患、真菌性眼疾患及び急性化膿性眼疾患の患者に対する眼科的投与
免疫機能を抑制し、感染症を悪化させることがある。また、角膜に穿孔を生じるおそれがある。[11.1.2参照]
9.1.2 感染症の患者(有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の真菌症の患者を除く)
感染症に対する適切な処置を行うこと。免疫機能を抑制し、宿主防御能を低下させ、症状を悪化させるおそれがある。また、炎症反応を抑制し、徴候を隠蔽するおそれがある。[11.1.2参照]
9.1.3 糖尿病の患者
糖新生を促進させ、また、細胞のインスリンに対する感受性を低下させるので、症状を悪化させるおそれがある。[11.1.10参照]
9.1.4 骨粗鬆症の患者
骨基質の合成を阻害し、骨形成を抑制するので、症状を悪化させるおそれがある。[11.1.4参照]
9.1.5 うっ血性心不全の患者
ナトリウム貯留作用により、症状を悪化させるおそれがある。[11.1.14参照]
9.1.6 甲状腺機能低下のある患者
代謝が阻害され、副作用があらわれるおそれがある。
9.1.7 脂肪肝、脂肪塞栓症の患者
脂質代謝に影響を与えるので、症状を悪化させるおそれがある。
9.1.8 重症筋無力症の患者
使用当初、一時症状を悪化させるおそれがある。
9.1.9 気管支喘息の患者
喘息発作を悪化させることがある。薬物、食物、添加物等に過敏な喘息患者(アスピリン喘息の既往を有する患者等)には特に注意が必要である。[11.1.12参照]
9.1.10 潰瘍性大腸炎(切迫穿孔、膿瘍、他の化膿性感染症の疑いがある場合)の患者
炎症反応を抑制するので、これらの疑いがある場合、その徴候を隠蔽するおそれがある。
9.1.11 B型肝炎ウイルスキャリアの患者
本剤の投与期間中及び投与終了後は継続して肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルス増殖の徴候や症状の発現に注意すること。異常が認められた場合には、本剤の減量を考慮し、抗ウイルス剤を投与するなど適切な処置を行うこと。副腎皮質ホルモン剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの増殖による肝炎があらわれることがある。また、投与開始前にHBs抗原陰性の患者において、B型肝炎ウイルスによる肝炎を発症した症例が報告されている。[11.1.2参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 腎不全の患者
ナトリウム貯留作用により、症状を悪化させるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝硬変の患者
代謝が阻害され、副作用があらわれるおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(マウス、腹腔内投与)で催奇形作用(口蓋裂)が報告されており、また、新生児に副腎不全を起こすことがある。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。糖質コルチコイドは母乳中へ移行することがある。
9.7 小児等
9.7.1 観察を十分に行うこと。発育抑制があらわれることがある。
9.7.2 長期投与した場合、頭蓋内圧亢進症状があらわれることがある。
9.7.3 筋肉内又は皮内投与はなるべく避けること。特に投与部位の組織の萎縮(陥没)を起こしやすい。
9.7.4 新生児及び乳児において一過性の肥大型心筋症が起こることが報告されているため、本剤投与前及び本剤投与中は適宜心機能検査(心エコー等)によるモニタリングを行うなど、児の状態を十分に観察すること。
9.8 高齢者
慎重に投与すること。長期投与した場合、感染症の誘発、糖尿病、骨粗鬆症、高血圧症、後嚢白内障、緑内障等の副作用があらわれやすい。

8.重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 本剤の投与により、誘発感染症、続発性副腎皮質機能不全、消化性潰瘍、糖尿病、精神障害等の重篤な副作用があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、次の注意が必要である。
8.1.1 投与に際しては特に適応、症状を考慮し、他の治療法によって十分に治療効果が期待できる場合には、本剤を投与しないこと。また、局所的投与で十分な場合には、局所療法を行うこと。
8.1.2 投与中は副作用の出現に対し、常に十分な配慮と観察を行い、また、患者をストレスから避けるようにし、事故、手術等の場合には増量するなど適切な処置を行うこと。
8.1.3 副腎皮質ホルモン剤の連用後、投与を急に中止すると、ときに発熱、頭痛、食欲不振、脱力感、筋肉痛、関節痛、ショック等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。離脱症状があらわれた場合には、直ちに再投与又は増量すること。
8.1.4 眼科用に用いる場合には原則として2週間以上の長期投与は避けること。
8.2 特に、本剤投与中に水痘又は麻疹に感染すると、致命的な経過をたどることがあるので、次の注意が必要である。[11.1.2参照]
8.2.1 本剤投与前に水痘又は麻疹の既往や予防接種の有無を確認すること。
8.2.2 水痘又は麻疹の既往のない患者においては、水痘又は麻疹への感染を極力防ぐよう常に十分な配慮と観察を行うこと。感染が疑われる場合や感染した場合には、直ちに受診するよう指導し、適切な処置を行うこと。
8.2.3 水痘又は麻疹の既往や予防接種を受けたことがある患者であっても、本剤投与中は、水痘又は麻疹を発症する可能性があるので留意すること。
8.3 高用量を数日間以上投与する場合には、高ナトリウム血症を発現することがあるため、メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムなどの他のステロイド剤に置き換えることが望ましい。
8.4 連用により眼圧亢進、緑内障、後嚢白内障を来すことがあるので、定期的に検査することが望ましい。[9.1.1、11.1.11参照]
<急性副腎皮質機能不全(副腎クリーゼ)>
8.5 本剤を急性副腎皮質機能不全(副腎クリーゼ)に対して在宅自己注射する場合は、以下の点に留意し、医師がその妥当性を慎重に検討すること。
8.5.1 在宅自己注射は、先天性副腎皮質酵素欠損症、先天性副腎低形成症、下垂体前葉機能低下症等の副腎クリーゼを発症する危険性が高いと判断された患者における副腎クリーゼの救急処置にのみ、医師の管理指導の下で実施すること。
8.5.2 患者及びその家族に対して、本剤投与の必要性の判断、本剤の調製方法、筋肉内注射の方法及び器具の廃棄方法等、自己注射に関する十分な教育訓練を実施し、自己注射後は直ちに医療機関を受診するよう指導すること。

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
本剤は、添付の溶解液を用いて用時溶解すること。溶解した液を輸液と混合して使用する場合には、5%ブドウ糖注射液、生理食塩液等を使用すること。なおその際、本剤はpHの変動等により白沈又は黄沈を生じることがあるので、輸液等と混合する場合には注意すること。また、本剤を数種薬剤と混合して使用する場合には、特に注意する必要がある。
14.2 薬剤調製後の注意
溶解後はなるべく速やかに使用すること。なお、保存する場合でも24時間以内に使用すること。
14.3 薬剤投与時の注意
14.3.1 投与経路
本剤は用法及び用量にしたがって使用し、動脈注射、脊髄腔内注射等に使用しないこと。
14.3.2 静脈内投与時
静脈内投与により、血管痛、静脈炎があらわれることがあるので、これを予防するため、注射液の調製、注射部位、注射方法等について十分注意し、その注射速度はできるだけ遅くすること(例えば、本剤100mgあたり少なくとも1分ないし数分間かけて投与することが望ましい)。
14.3.3 筋肉内投与時
(1)神経走行部位を避けるように注意すること。
(2)注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり血液の逆流をみた場合は直ちに針を抜き、部位を変えて注射すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
ヒドロコルチゾンとして1回1mg/kg筋肉内投与後の血中濃度は、30~60分で最高値となり、また、1回100mg静脈内投与後の生物学的半減期は約100分である(外国人データ)。
16.3 分布
ラットに3H-ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム投与15分後における体内分布は、副腎を除くと肝が最も高く、次いで血清、腎、肺、脾、脳、筋肉の順であった。
16.4 代謝
ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウムは体内で速やかに加水分解され、ヒドロコルチゾンコハク酸エステル及びヒドロコルチゾンとして存在した(ラット)。生物学的作用・代謝等は、ヒドロコルチゾンを投与したときとほぼ同様に行われるものと考えられる。
16.5 排泄
ヒトのコルチコステロイドは主としてグルクロン酸抱合型で尿中に排泄されることが知られている。

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
生ワクチン又は弱毒生ワクチン
(乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、乾燥BCGワクチン等)
[2.5参照]
ワクチン株の異常増殖又は毒性の復帰があらわれるおそれがある。免疫抑制が生じる量の副腎皮質ホルモン剤の投与を受けている患者
デスモプレシン酢酸塩水和物(ミニリンメルト)(男性における夜間多尿による夜間頻尿)
[2.2参照]
低ナトリウム血症が発現するおそれがある。機序不明

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
エリスロマイシン
エストロゲン(経口避妊薬を含む)
本剤の作用が増強するおそれがある。
必要に応じて本剤又はこれらの薬剤を減量するなど用量に注意すること。
これらの薬剤がCYP3A4を阻害することにより、本剤の代謝が阻害される。
抗凝血剤
パルナパリンナトリウム
ワルファリンカリウム等
抗凝血剤の作用を増強又は減弱させるおそれがある。
必要に応じて本剤又は抗凝血剤の用量を調節すること。
本剤は血液凝固能を高め、抗凝血剤の効果に拮抗する可能性がある。
また一方、本剤の消化器系の副作用により、抗凝血剤の出血の危険性が増大する可能性がある。
非脱分極性筋弛緩剤
ベクロニウム臭化物
パンクロニウム臭化物等
非脱分極性筋弛緩剤の作用を増強又は減弱させるおそれがある。
また、併用により短期間でミオパチーがあらわれ、四肢麻痺に至るおそれがある。
必要に応じて本剤又は非脱分極性筋弛緩剤の用量を調節すること。
機序不明
非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤
サザピリン
ジクロフェナク等
消化器系の副作用(消化性潰瘍、消化管出血等)を起こすおそれが高くなる。
必要に応じて本剤又は非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤を減量するなど用量に注意すること。
ともに消化器系の副作用を起こすおそれがある。
カリウム排泄型利尿剤
トリクロルメチアジド
ヒドロクロロチアジド
フロセミド等
低カリウム血症があらわれるおそれがある。
必要に応じて本剤又はカリウム排泄型利尿剤を減量するなど用量に注意すること。
カリウム排泄が促進される。
ジゴキシンジゴキシン中毒があらわれるおそれがある。
必要に応じて本剤又はジゴキシンを減量するなど用量に注意すること。
カリウム排泄による血中カリウム値低下により、ジゴキシンの作用が増強する。
サリチル酸誘導体
サザピリン
アスピリン等
サリチル酸中毒(めまい、耳鳴、悪心・嘔吐、過呼吸、高熱、意識障害等の症状)を起こすおそれがある。
必要に応じて本剤又はサリチル酸誘導体の用量を調節すること。
サリチル酸中毒があらわれた場合には、サリチル酸誘導体の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
本剤はサリチル酸誘導体の代謝・排泄を促進すると考えられているので、本剤の急な減量又は中止により、血清中のサリチル酸誘導体の濃度が増加すると考えられる。
バルビツール酸誘導体
フェノバルビタール等
フェニトイン
リファンピシン
本剤の作用が減弱するおそれがある。
必要に応じて本剤又はこれらの薬剤の用量を調節すること。
これらの薬剤はCYP3A4を誘導し、本剤の代謝が促進される。
糖尿病用剤
ビグアナイド系薬剤
スルホニルウレア剤
速効型インスリン分泌促進剤
α-グルコシダーゼ阻害剤
チアゾリジン系薬剤
DPP-4阻害剤
GLP-1受容体作動薬
SGLT2阻害剤
インスリン製剤等
これらの薬剤の効果が減弱されるおそれがある。
必要に応じて本剤又はこれらの薬剤の用量を調節すること。
本剤の糖新生促進作用等により、血糖値を上昇させる。
シクロスポリン双方の血中濃度が上昇するおそれがある。また、痙攣が起こるおそれがある。
必要に応じて本剤又はシクロスポリンを減量するなど用量に注意すること。
相互に代謝が阻害される。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(頻度不明)
呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹等のアナフィラキシーを伴うことがある。
11.1.2 感染症(頻度不明)
ウイルス、細菌、真菌、原虫、寄生虫等による感染症の誘発又は徴候の隠蔽、感染症の悪化等があらわれることがある。これらの感染症の発現頻度は、副腎皮質ホルモン剤を増量すると高くなるとの報告があるので、抗菌剤等による適切な処置を行うこと。[8.2、9.1.1、9.1.2、9.1.11参照]
11.1.3 続発性副腎皮質機能不全(頻度不明)
観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに再投与又は増量するなど適切な処置を行うこと。
11.1.4 骨粗鬆症(頻度不明)、骨頭無菌性壊死(頻度不明)
骨粗鬆症があらわれ、脊椎圧迫骨折、病的骨折を起こすことがある。また、大腿骨及び上腕骨等の骨頭無菌性壊死があらわれることがあるので、疼痛等の症状の観察を十分に行い、異常が認められた場合にはMRI等の検査を実施し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[9.1.4参照]
11.1.5 胃腸穿孔(頻度不明)、消化管出血(頻度不明)、消化性潰瘍(頻度不明)
便潜血のチェック等の観察を十分に行うこと。[9.1.1参照]
11.1.6 ミオパチー(頻度不明)
連用によりミオパチーがあらわれることがある。また、非脱分極性筋弛緩剤との併用又は重症筋無力症等の神経筋接合部位障害のある患者において短期間でミオパチーがあらわれ、四肢麻痺に至ったことが報告されているので、筋力低下、CKの上昇等の観察を十分に行うこと。
11.1.7 血栓症(頻度不明)[9.1.1参照]
11.1.8 頭蓋内圧亢進(頻度不明)、痙攣(頻度不明)
11.1.9 精神変調(頻度不明)、うつ状態(頻度不明)[9.1.1参照]
11.1.10 糖尿病(頻度不明)[9.1.3参照]
11.1.11 緑内障(頻度不明)、後嚢白内障(頻度不明)
連用により眼圧亢進、緑内障、後嚢白内障を来すことがある。[8.4、9.1.1参照]
11.1.12 気管支喘息(頻度不明)
喘息発作の誘発又は悪化があらわれることがある。[9.1.9参照]
11.1.13 心破裂(頻度不明)
急性心筋梗塞を起こした患者で、心破裂があらわれたとの報告がある。[9.1.1参照]
11.1.14 うっ血性心不全(頻度不明)
観察を十分に行い、異常が認められた場合には心電図等の検査を実施し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[9.1.5参照]
11.1.15 食道炎(頻度不明)
11.1.16 カポジ肉腫(頻度不明)
11.1.17 腱断裂(頻度不明)
アキレス腱等の腱断裂があらわれたとの報告がある。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

頻度不明
内分泌月経異常、クッシング様症状
消化器膵炎、下痢、悪心・嘔吐、胃痛、胸やけ、腹部膨満感、口渇、食欲不振、食欲亢進
循環器徐脈、血圧降下、血圧上昇
精神神経系多幸症、不眠、頭痛、めまい
筋・骨格筋力低下、筋肉痛、関節痛
投与部位関節腔内投与:関節の不安定化a)、疼痛・腫脹・圧痛の悪化
筋肉内、皮内投与:組織の萎縮、陥没
脂質・蛋白質代謝満月様顔貌、野牛肩、窒素負平衡
体液・電解質浮腫、低カリウム性アルカローシス、カリウム低下、ナトリウム貯留
肝臓AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、脂肪肝
中心性漿液性網脈絡膜症等による網膜障害、眼球突出
血液白血球増多
皮膚創傷治癒障害、紫斑、皮下溢血、ざ瘡、多毛、脱毛、色素沈着、色素脱失、線条、発汗異常、皮膚菲薄化・脆弱化、脂肪織炎
過敏症発疹、紅斑、そう痒
その他発熱、疲労感、ステロイド腎症、体重増加、精子数及びその運動性の増減、無菌膿瘍、仮性脳腫瘍

a:これらの症状は投与直後に患部を強く動かすと起こりやすいとされているので、投与後は患者をしばらく安静にさせること。

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