製品名 ホストイン静注750mg
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- 一般名
- Fosphenytoin Sodium Hydrate
- 薬効分類
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抗てんかん薬>ヒダントイン系薬
- 価格
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750mg10mL1瓶:6461円/瓶
- 製薬会社
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- 販売元:エーザイ株式会社
製造販売元:ノーベルファーマ株式会社
- 販売元:エーザイ株式会社
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効能・効果
用法・容量 -
効能・効果
- てんかん重積状態
- 脳外科手術又は意識障害(頭部外傷等)時のてんかん発作の発現抑制
- フェニトインを経口投与しているてんかん患者における一時的な代替療法
用法・用量
- 通常、成人又は2歳以上の小児には、以下の用法・用量にて投与すること。
てんかん重積状態
初回投与
- ホスフェニトインナトリウムとして22.5mg/kgを静脈内投与する。投与速度は3mg/kg/分又は150mg/分のいずれか低い方を超えないこと。
維持投与
- ホスフェニトインナトリウムとして5~7.5mg/kg/日を1回又は分割にて静脈内投与する。投与速度は1mg/kg/分又は75mg/分のいずれか低い方を超えないこと。
脳外科手術又は意識障害(頭部外傷等)時のてんかん発作の発現抑制
初回投与
- ホスフェニトインナトリウムとして15~18mg/kgを静脈内投与する。投与速度は1mg/kg/分又は75mg/分のいずれか低い方を超えないこと。
維持投与
- ホスフェニトインナトリウムとして5~7.5mg/kg/日を1回又は分割にて静脈内投与する。投与速度は1mg/kg/分又は75mg/分のいずれか低い方を超えないこと。
フェニトインを経口投与しているてんかん患者における一時的な代替療法
- ホスフェニトインナトリウムとして経口フェニトインの1日投与量の1.5倍量を、1日1回又は分割にて静脈内投与する。投与速度は1mg/kg/分又は75mg/分のいずれか低い方を超えないこと。
- 禁忌
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【禁忌】
次の患者には投与しないこと
- 本剤の成分又はヒダントイン系化合物に対し過敏症の患者
- 洞性徐脈、高度の刺激伝導障害のある患者〔心停止を起こすことがある。〕
- タダラフィル(肺高血圧症を適応とする場合)、リルピビリン、アスナプレビル、ダクラタスビル、バニプレビル、マシテンタン、ソホスブビルを投与中の患者〔「相互作用」の項参照〕
- 副作用
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- 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
- 観察を十分に行い、発熱、紅斑、水疱・びらん、そう痒感、咽頭痛、眼充血、口内炎等の異常が認められた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
- 過敏症症候群
- 初期症状として発疹、発熱がみられ、さらにリンパ節腫脹、肝機能障害等の臓器障害、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
- SLE様症状
- SLE様症状(発熱、紅斑、関節痛、肺炎、白血球減少、血小板減少、抗核抗体陽性等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 再生不良性貧血、汎血球減少、無顆粒球症、単球性白血病、血小板減少、溶血性貧血、赤芽球癆
- 観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸
- 劇症肝炎、著しいAST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPの上昇等を伴う重篤な肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 間質性肺炎
- 発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎(肺臓炎)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
- 心停止、心室細動、呼吸停止
- 投与速度や患者の状態により、これらの症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような場合には、投与を中止し、直ちに適切な処置を行うこと。〔「禁忌」、「用法・用量に関連する使用上の注意」、「慎重投与」の項参照〕
- 強直発作
- 観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 悪性リンパ腫、リンパ節腫脹
- 観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、減量するなど適切な処置を行うこと。
- 小脳萎縮
- 長期投与例で、小脳萎縮があらわれることがあり、持続したフェニトインの血中濃度上昇との関連が示唆されているので、小脳症状(眼振、構音障害、運動失調等)に注意し、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 横紋筋融解症
- 横紋筋融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。
- 急性腎不全、間質性腎炎
- 急性腎不全、間質性腎炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 悪性症候群
- 悪性症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、意識障害、筋強剛、不随意運動、発汗、頻脈等があらわれた場合には、本剤の投与中止、体冷却、水分補給、呼吸管理等の適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。
- 注意
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次の患者には慎重に投与すること
- 衰弱の著しい患者、高齢者、低血圧又は心疾患のある患者〔心停止、呼吸停止が起こりやすい。〕
- 肝障害のある患者〔肝障害の悪化、また、血中非結合型フェニトイン濃度が上昇するおそれがある。〕
- 腎障害のある患者、低アルブミン血症の患者〔血中非結合型フェニトイン濃度が上昇するおそれがある。〕
- 血液障害のある患者〔血液障害が悪化するおそれがある。〕
- 薬物過敏症の患者
- 甲状腺機能低下症の患者〔甲状腺機能の異常をきたすおそれがある。〕
- 糖尿病の患者〔2型糖尿病の患者で、高血糖を起こしたとの報告がある。〕
- 投与に際しては、心電図、血圧、呼吸機能等のバイタルサインのモニタリングを実施するなど、慎重に患者の状態を観察すること。また、意識障害、血圧低下、心抑制、呼吸障害があらわれた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。
- 連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、てんかん重積状態があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。なお、高齢者、虚弱者の場合は特に注意すること。
- 連用する場合には、定期的に肝・腎機能、血液検査を行うことが望ましい。
- 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
- 投与経路
- 本剤は静脈内注射にのみ使用すること。
- 調製方法
- 本剤は、使用直前に適宜希釈すること。
- 液に不溶性異物又は微粒子が認められる場合は本剤を使用しないこと。
- 希釈後の残液は廃棄すること。
- 投与
- 投与にあたっては、投与速度を適切に調節できる方法で行うこと。
- 配合変化
- 本剤を生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液に30倍(2.5mg/mL)で希釈したとき、室温で8時間、冷所(5~8℃)で24時間安定であった。また、乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液、重炭酸リンゲル液又は維持液に5倍(15mg/mL)で希釈したとき、室温で24時間安定であった。
- 急速に静脈内投与した場合、心停止、一過性の血圧低下、呼吸抑制等の循環・呼吸障害を起こすことがあるので、用法・用量を遵守すること。また、衰弱の著しい患者、高齢者、心疾患、肝障害又は腎障害のある患者等では、通常の投与速度よりも、より緩徐に投与するなど注意すること。〔「慎重投与」の項参照〕
- 維持投与は、初回投与から12~24時間あけて行うこと。また、本剤を投与しても発作が止まらない場合、他の抗てんかん薬の投与を考慮し、本剤の追加投与はしないこと。〔血漿蛋白との結合部位においてホスフェニトインとフェニトインの置換が生じることにより、血中非結合型フェニトイン濃度が上昇するおそれがある。〕
- 初回投与、維持投与前には、可能な限り血中フェニトイン濃度を測定し、過量投与とならないよう注意すること。なお、初回投与時に神経症状等が発現した患者では、血中フェニトイン濃度の測定を行うとともに、維持投与速度の減速を考慮すること。〔「臨床検査結果に及ぼす影響」の項参照〕
- 経口投与が可能になった場合は速やかに経口フェニトイン製剤に切り替えること。〔国内では、3日間を超えて連用した経験がない。〕
- 本薬(ホスフェニトインナトリウムとして)の分子量はフェニトインナトリウムの約1.5倍である。
- 本剤を希釈する場合には、配合変化に注意すること。〔「適用上の注意」の項参照〕
- フェニトインを経口投与しているてんかん患者における一時的な代替療法における用法は、フェニトイン経口投与時と同じ用法とすること。
- フェニトインを経口投与しているてんかん患者における一時的な代替療法に用いる場合には、フェニトインの経口投与により発作がコントロールされているてんかん患者で、一時的にフェニトインの経口投与が不可能となった場合にのみ投与すること。
- 本剤の初回投与量の減量又は投与速度の減速を考慮し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。〔高齢者では、心抑制、呼吸抑制が起こりやすいので、投与速度を減速するなど、患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。「用法・用量に関連する使用上の注意」、「慎重投与」、「重要な基本的注意」の項参照〕
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性(母体のてんかん発作頻発を防ぎ、胎児を低酸素状態から守る)が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
- 妊娠中にフェニトインを投与された患者の中に、奇形を有する児(口唇裂、口蓋裂、心奇形等)を出産した例が多いとの疫学的調査報告がある。
- 妊娠中のフェニトイン投与により、児に腫瘍(神経芽細胞腫等)がみられたとの報告がある。
- 妊娠中のフェニトイン投与により、新生児に出血傾向があらわれることがある。
- 本薬をラットの交配前から妊娠期間中に投与した場合、胎児の脳及び心血管系等に奇形がみられた。また、周産期の投与では、母動物に分娩の遅延、致死量の低下がみられ、新生児に回避行動の増加傾向がみられた。
- 妊娠期間中にフェニトインを投与されたラットの新生児においては、行動発達の抑制、自発運動の増加あるいは減少、異常回転運動、迷路学習の抑制等の報告がある。
- 妊娠中にやむを得ず本剤を投与する場合には、可能な限り単独投与することが望ましい。
- 妊娠中に他の抗てんかん剤(特にプリミドン)と併用してフェニトイン投与された患者群に、奇形を有する児を出産した例がフェニトイン単独投与群と比較して多いとの疫学的調査報告がある。
- 妊娠中のフェニトイン投与により、血中葉酸低下が生じるとの報告がある。
- 授乳中の婦人に投与する場合は、授乳を避けさせること。〔ラット及びウサギにおいて、乳汁中へ移行することが報告されている。〕
- 2歳未満の小児に対する有効性及び安全性は確立していない。〔使用経験がない。〕
- 血中濃度
- 健康成人に本剤750mgを25mg/分又は75mg/分の速度で静脈内投与したときの血漿中の未変化体濃度(図1)、総フェニトイン濃度(図2)及び非結合型フェニトイン濃度(図3)の推移(平均±標準偏差)、及びそれぞれの薬物動態パラメータを表1に示す。
- 図1
- 図2
- 図3
- 表1 本剤750mgを静脈内投与した時の薬物動態パラメータ
薬物濃度 投与速度 Cmax
(μg/mL)AUCt
(μg・h/mL)tmax
(h)t1/2
(h)未変化体 75mg/分 161±15 50.4±4.9 0.17±0.00 0.30±0.07 25mg/分 90±15 56.1±6.3 0.53±0.07 0.28±0.04 総フェニトイン 75mg/分 13.7±3.5 283±33 0.33±0.00 16.5±1.8 25mg/分 11.8±1.2 290±59 0.75±0.09 15.7±3.9 非結合型フェニトイン 75mg/分 1.33±0.24 19.8±1.3 0.30±0.08 16.4±2.2 25mg/分 1.14±0.16 19.9±3.8 0.53±0.07 17.3±3.5 (平均±標準偏差)
- 健康成人に本剤375mg(10名、平均体重64.5kg)及びフェニトインナトリウム注射液250mg(10名、平均体重63.9kg)を、それぞれ30分かけて静脈内投与したときの薬物動態パラメータを表2に示す。
- 表2 本剤375mg及びフェニトインナトリウム注射液250mgを30分間で静脈内投与した時の薬物動態パラメータ
薬物濃度 投与薬剤 Cmax
(μg/mL)AUCt
(μg・h/mL)tmax
(h)t1/2
(h)総フェニトイン 本剤 5.97±0.70 104±27 0.82±0.17 12.6±2.9 PHT 7.60±1.99 118±32 0.45±0.11 16.0±3.8 非結合型フェニトイン 本剤 0.46±0.08 5.36±1.72 0.77±0.16 15.9±3.8 PHT 0.55±0.16 6.93±2.45 0.43±0.09 17.7±5.5 PHT:フェニトインナトリウム注射液(平均±標準偏差)
- 健康成人に本剤750mgを25mg/分又は75mg/分の速度で静脈内投与したときの血漿中の未変化体濃度(図1)、総フェニトイン濃度(図2)及び非結合型フェニトイン濃度(図3)の推移(平均±標準偏差)、及びそれぞれの薬物動態パラメータを表1に示す。
- 血漿蛋白結合率
- 日本人患者における血漿中フェニトインの蛋白結合率は85.7~88.1%であり、年齢により大きな差異は認められなかった。
- ジアゼパムとの併用(外国人)
- 健康成人9名(平均体重77.2kg)を対象に本剤(1,125mg)とジアゼパム(10mg)を静脈内に併用投与した時、血漿中フェニトインのCmax及びAUCtは、ジアゼパム非併用時と比較してそれぞれ7.8%及び1.8%減少した。一方、血漿中ジアゼパムのCmaxは、本剤非併用時と比較して10%減少し、AUCtは16%増加した。
- 肝機能障害及び腎機能障害患者の薬物動態(外国人)
- 健康成人、肝硬変患者及び腎不全患者各4例に、本剤375mg(投与速度12.5mg/分)を投与したときの血漿中総フェニトインの薬物動態パラメータは次のとおりであった。
パラメータ 健康成人 肝硬変 腎不全 Cmax(μg/mL) 4.20±0.62 4.41±1.33 4.59±1.20a t1/2(h) 21.3±4.8 26.5±11.2 17.6±5.0 AUCt(μg・h/mL) 62.2±9.4 50.4±11.1 59.9±17.4 a:n=3、(平均±標準偏差)
- 代謝酵素
- 本剤投与後に、アルカリホスファターゼによりフェニトインの他、ホルムアルデヒド及びリン酸塩が生成し、ホルムアルデヒドはすみやかにギ酸塩に変化する。フェニトインは、主としてCYP2C9により代謝を受け、また一部CYP2C19によっても代謝を受ける。
- 代謝及び排泄(外国人)
- 本剤投与後、体内でホスフェニトインは2時間以内にフェニトインにほぼ完全に変換され、フェニトインは、肝で主として5-(4'-hydroxyphenyl)-5-phenylhydantoin(p-HPPH)及びそのグルクロン酸抱合体に代謝され、尿中に排泄される。尿中には未変化体のホスフェニトインは検出されず、フェニトインは投与量の2%未満であった。