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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • うつ病・うつ状態

用法・用量

  • 通常成人にはマプロチリン塩酸塩として1日30~75mgを2~3回に分割経口投与する。また上記用量は1日1回夕食後あるいは就寝前に投与できる。
    なお、年齢、症状により適宜増減する。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。]
  • 2.2 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.3 心筋梗塞の回復初期の患者[症状を悪化させるおそれがある。][11.1.8参照]
  • 2.4 てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣を起こすことがある。][11.1.2参照]
  • 2.5 尿閉(前立腺疾患等)のある患者[抗コリン作用により症状が悪化することがある。]
  • 2.6 MAO阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)の投与を受けているあるいは投与中止後2週間以内の患者[発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等があらわれるおそれがある。][10.1参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 排尿困難又は眼内圧亢進等のある患者
抗コリン作用により症状が悪化することがある。
9.1.2 心不全・心筋梗塞(心筋梗塞の回復初期の患者を除く)・狭心症・不整脈(発作性頻拍・刺激伝導障害等)等の心疾患のある患者又は甲状腺機能亢進症(または甲状腺ホルモン剤投与中)の患者
循環器系に影響を及ぼすことがある。[11.1.8参照]
9.1.3 躁うつ病患者
躁転、自殺企図があらわれることがある。[5.、8.1-8.4、9.1.6、15.1.1参照]
9.1.4 脳の器質障害又は統合失調症の素因のある患者
精神症状を増悪させることがある。[8.2、8.4、9.1.5参照]
9.1.5 衝動性が高い併存障害を有する患者
精神症状を増悪させることがある。[8.2、8.4、9.1.4参照]
9.1.6 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者[5.、8.1-8.4、9.1.3、15.1.1参照]
9.1.7 副腎髄質腫瘍(褐色細胞腫、神経芽細胞腫等)のある患者
高血圧発作を引き起こすことがある。
9.1.8 低血圧のある患者
高度の血圧低下が起こることがある。
9.1.9 高度な慢性の便秘のある患者
抗コリン作用により症状が悪化することがある。
9.1.10 三環系抗うつ剤に対し過敏症の患者
交差過敏反応があらわれるおそれがある。
9.1.11 開放隅角緑内障の患者
抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎障害のある患者
代謝・排泄障害により副作用があらわれやすい。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝障害のある患者
代謝・排泄障害により副作用があらわれやすい。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。三環系抗うつ剤で、新生児に呼吸困難、嗜眠、チアノーゼ、興奮性、低血圧、高血圧、痙攣、筋痙縮、振戦等の離脱症状を起こしたとの報告がある。
9.6 授乳婦
授乳中の女性に投与する場合には、治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行する。[16.3.1参照]
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性、安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
高齢者では、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。起立性低血圧、ふらつき、抗コリン作用による口渇、排尿困難、便秘、眼内圧亢進等があらわれやすい。

8.重要な基本的注意

8.1 うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。[5.、8.2-8.4、9.1.3、9.1.6、15.1.1参照]
8.2 不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。[5.、8.1、8.3、8.4、9.1.3-9.1.6、15.1.1参照]
8.3 自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。[5.、8.1、8.2、8.4、9.1.3、9.1.6、15.1.1参照]
8.4 家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。[5.、8.1-8.3、9.1.3-9.1.6、15.1.1参照]
8.5 投与量の急激な減少ないし投与の中止により、嘔気、頭痛、倦怠感、易刺激性、情動不安、睡眠障害、筋攣縮等の離脱症状があらわれることがある。投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。
8.6 めまい、眠気等が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
8.7 無顆粒球症があらわれることがあるので、定期的に血液検査を実施すること。[11.1.5参照]
8.8 QT延長、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)、心室細動があらわれることがあるので、定期的に心電図検査を行うこと。[11.1.8参照]
8.9 連用中は定期的に肝・腎機能検査を行うことが望ましい。

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

5.効能又は効果に関連する注意

抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。[8.1-8.4、9.1.3、9.1.6、15.1.1参照]

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 健康成人
マプロチリン塩酸塩25及び75mgを1回経口投与した場合、約6~12時間で最高血漿中濃度に達し、その後ゆっくりと減衰する。生物学的半減期は個人差が大きく(19時間~73時間)、平均値は25mg投与で約46時間、75mg投与で約45時間である。
16.1.2 うつ病
30及び75mg/日を分割投与あるいは1日1回投与した場合、血漿中濃度は2週間以内に定常状態に達し、その平均値は両投与法に差はなく、分割投与例では31.3及び76.9ng/mL、1日1回投与例では、31.7及び70.6ng/mLである。
16.3 分布
16.3.1 乳汁中への移行
健康な出産後の婦人にマプロチリン塩酸塩を単回あるいは連続経口投与した場合、母乳中濃度は全血中濃度の推移に近似し、定常状態における母乳中濃度の全血中濃度に対する比は一定で、その平均値は約1.37である。(外国人のデータ)[9.6参照]
16.4 代謝
3H-マプロチリンを健康成人に経口投与後、放射活性は48時間内に30%が尿中へ、96時間内に48%が尿中へ、13%が糞中へ排泄される。
16.5 排泄
尿中排泄物は90%以上が代謝物であり、75%はグルクロン酸抱合体で、代謝産物としてN-脱メチル化体、側鎖及び環の水酸化体等の12種が同定されている(外国人のデータ)。

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
MAO阻害剤
セレギリン塩酸塩(エフピー)、ラサギリンメシル酸塩(アジレクト)、サフィナミドメシル酸塩(エクフィナ)
[2.6参照]
発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等があらわれることがある。
MAO阻害剤の投与を受けた患者に本剤を投与する場合には、少なくとも2週間の間隔をおき、また本剤からMAO阻害剤に切り替えるときには、2~3日間の間隔をおくことが望ましい。
本剤は活性アミンのシナプス内への取り込みを阻害して、受容体の感受性を増強する。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
痙攣閾値を低下させる薬剤
フェノチアジン誘導体等
痙攣発作が起こることがある。機序:いずれも痙攣閾値を低下させる。
危険因子:痙攣素因のある患者
副交感神経刺激剤
ピロカルピン
ピロカルピンの作用が減弱されることがある。本剤の抗コリン作用によりピロカルピンと拮抗的に作用すると考えられている。
ベンゾジアゼピン誘導体併用中のベンゾジアゼピン誘導体を中止すると痙攣発作が起こることがある。機序:併用中のベンゾジアゼピン誘導体を中止すると、痙攣発作が顕性化する。
危険因子:痙攣素因のある患者
抗コリン作用を有する薬剤
トリヘキシフェニジル
アトロピン等
口渇、便秘、尿閉、視力障害、眠気等があらわれることがある。いずれも抗コリン作用を有するため。
アドレナリン作動薬
アドレナリン
ノルアドレナリン
フェニレフリン等
心血管作用(高血圧等)を増強することがある。本剤は交感神経末梢へのノルアドレナリン等の取り込みを抑制し、受容体部位へのアドレナリン作動性を上昇させ、作用を増強させる。
アトモキセチン相互に作用が増強するおそれがある。ノルアドレナリンへの作用を相加的又は相乗的に増強する可能性がある。
フェノチアジン誘導体
レボメプロマジン等
鎮静、抗コリン作用の増強があらわれることがある。いずれも中枢神経抑制作用、抗コリン作用を有するため。
リスペリドン
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)
フルボキサミン
パロキセチン等
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されることがある。これらの薬剤は本剤の肝臓での酸化的な代謝を阻害し、本剤の血中濃度を上昇させると考えられる。
テルビナフィン本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。テルビナフィンがCYP2D6を阻害し、本剤の血中濃度を上昇させると考えられる。
中枢神経抑制剤
バルビツール酸誘導体等
全身麻酔剤
ハロタン
抗不安剤
ベンゾジアゼピン誘導体等
アルコール
サリドマイド
中枢神経抑制作用が増強されることがある。いずれも中枢神経抑制作用を有するため。
肝酵素誘導作用をもつ薬剤
バルビツール酸誘導体
フェニトイン等
三環系抗うつ剤(イミプラミン)の作用が減弱されることがあるとの報告がある。バルビツール酸誘導体又はフェニトイン等の肝酵素誘導作用によりイミプラミンの代謝が促進されると考えられている。
アドレナリン作動性神経遮断作用を有する降圧剤
グアネチジン等
降圧作用を減弱することがある。本剤がアドレナリン作動性神経遮断作用を有する降圧剤の交感神経ニューロンへの取り込みを阻害する。また、本剤は交感神経ニューロンへのカテコラミン取り込み阻害作用も有する。
肝初回通過効果を受けやすいβ-遮断剤
プロプラノロール塩酸塩等
起立性低血圧、鎮静、口渇、霧視、運動失調等があらわれることがある。競合的に本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇する。
フェニトイン三環系抗うつ剤(イミプラミン)で、フェニトインの作用が増強するとの報告がある。フェニトインの代謝が阻害され、フェニトインの血中濃度が上昇すると考えられている。
電気ショック療法痙攣閾値を低下させ、痙攣状態に陥るおそれがある。本剤は痙攣閾値を低下させる。
抗不整脈剤
キニジン
プロパフェノン
メチルフェニデート
シメチジン
三環系抗うつ剤(イミプラミン)の作用が増強するとの報告がある。これらの薬剤により、イミプラミンの肝代謝が阻害され、血中濃度が上昇すると考えられている。
キニジンでは本剤の肝代謝が阻害されるとの報告がある。
インスリン製剤
インスリン
スルフォニル尿素系糖尿病用剤
グリベンクラミド
併用により過度の血糖低下を来すことがある。本剤での機序は不明であるが、三環系抗うつ剤(ドキセピン)により低血糖に対する反応性が変化するか、インスリンに対する感受性が増大し、血糖降下作用が増強すると考えられている。
クマリン系抗凝血剤
ワルファリン
三環系抗うつ剤(ノルトリプチリン)との併用によりクマリン系抗凝血剤の血中濃度半減期が延長するとの報告がある。機序不明。
スルファメトキサゾール・トリメトプリム三環系抗うつ剤(イミプラミン)との併用により抑うつが再発又は悪化するとの報告がある。イミプラミンの代謝促進及び両剤の受容体レベルでの拮抗作用により抗うつ剤の効果があらわれない可能性がある。
QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤
スニチニブ
ダサチニブ
イミプラミン等
QT間隔延長、心室性不整脈(Torsades de pointesを含む)等の重篤な副作用を起こすおそれがある。いずれもQT間隔を延長させるおそれがあるため。
ゾニサミド高血圧、失神、不全収縮、発汗、てんかん、動作・精神障害の変化及び筋強剛等の副作用があらわれるおそれがある。相加・相乗作用によると考えられる。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明)
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行う。
本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、またミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、他の三環系及び四環系抗うつ剤の投与中、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。
11.1.2 てんかん発作(0.1%~5%未満)[2.4参照]
11.1.3 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
11.1.4 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)
11.1.5 無顆粒球症(頻度不明)[8.7参照]
11.1.6 麻痺性イレウス(0.1%未満)
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止すること。なお、この悪心・嘔吐は、本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること。
11.1.7 間質性肺炎、好酸球性肺炎(頻度不明)
発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には投与を中止し、速やかに胸部X線等の検査を実施し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.8 QT延長、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)(頻度不明)[2.3、8.8、9.1.2参照]
11.1.9 肝機能障害、黄疸(頻度不明)
AST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

5%以上又は頻度不明0.1~5%未満0.1%未満
循環器血圧降下、血圧上昇起立性低血圧、心悸亢進、心電図異常(QT延長等)心ブロック、頻脈、不整脈、失神
精神神経系激越、ミオクロヌス、情緒不安眠気、パーキンソン様症状・振戦・アカシジア等の錐体外路障害、言語障害、知覚異常、睡眠障害(不眠等)、神経過敏、不安、集中力欠如(思考力低下、頭がボーッとする等)、躁状態幻覚、陰萎、せん妄、運動失調、錯乱状態、悪夢、記憶障害、離人症
抗コリン作用口渇、緑内障、尿閉便秘、排尿困難、視調節障害(散瞳等)鼻閉
皮膚紫斑、脱毛光線過敏症
過敏症皮膚血管炎発疹蕁麻疹、そう痒感、発熱
血液好酸球増多、血小板減少白血球減少、白血球増多
肝臓AST、ALT、γ-GTPの上昇ALPの上昇
消化器悪心、胃部不快感等の胃腸症状、食欲不振、腹痛、口内苦味感、味覚異常嘔吐、異常食欲亢進、口内炎、下痢、嚥下困難
内分泌乳房肥大、乳汁漏出体重増加
呼吸器気管支痙攣
その他めまい、ふらつき、倦怠感、脱力感、熱感、発汗、頭痛、頭重、頻尿・夜尿、浮腫耳鳴、流涎
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