薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
カリウム保持性利尿剤 スピロノラクトン、トリアムテレン等 カリウム補給剤 塩化カリウム | 血清カリウム値が上昇することがある。 | イルベサルタン: 機序:アルドステロン分泌抑制によりカリウム貯留作用が増強する可能性がある。 危険因子:腎機能障害のある患者 |
利尿降圧剤 フロセミド等 [11.1.2参照] | 一過性の急激な血圧低下を起こすおそれがあるので、利尿降圧剤投与中の患者に本剤を投与する場合は低用量から開始し、増量する場合は徐々に行うこと。 | イルベサルタン: 利尿降圧剤で治療を受けている患者では、体液量の減少によりレニン活性が亢進しており、降圧作用が増強するおそれがある。 |
アリスキレンフマル酸塩 | 腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。 | イルベサルタン: レニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。 |
アンジオテンシン変換酵素阻害剤 エナラプリル、イミダプリル等 | 腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。 | イルベサルタン: レニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。 |
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) ロキソプロフェン、インドメタシン等 | 降圧作用が減弱するおそれがある。 | イルベサルタン: 血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成阻害により、本剤の降圧作用を減弱させる可能性がある。 |
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) ロキソプロフェン、インドメタシン等 | 腎機能が低下している患者では、更に腎機能が悪化するおそれがある。 | イルベサルタン: プロスタグランジンの合成阻害により、腎血流量が低下するためと考えられる。 |
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) ロキソプロフェン、インドメタシン等 | 利尿降圧作用が減弱されることがある。 | トリクロルメチアジド: 非ステロイド系消炎鎮痛剤のプロスタグランジン合成酵素阻害作用による腎内プロスタグランジンの減少が、水・ナトリウムの体内貯留を引き起こし、利尿剤の作用と拮抗する。 |
バルビツール酸誘導体 アヘンアルカロイド系麻薬 アルコール | 臨床症状:起立性低血圧を増強することがある。 | トリクロルメチアジド: これらの薬剤は血管拡張作用を有するので、チアジド系利尿剤の降圧作用が増強されると考えられる。 |
昇圧アミン ノルアドレナリン、アドレナリン | 昇圧アミンの作用を減弱するおそれがあるので、手術前の患者に使用する場合には、本剤の一時休薬等を行うこと。 | トリクロルメチアジド: 血管壁の反応性の低下及び交感神経終末からの生理的ノルアドレナリンの放出抑制が起こることが、動物試験で報告されている。 |
ツボクラリン及びその類似作用物質 ツボクラリン塩化物 | 麻痺作用を増強することがあるので、手術前の患者に使用する場合には、本剤の一時休薬等の処置を行うこと。 | トリクロルメチアジド: 利尿剤による血清カリウム値の低下により、これらの薬剤の神経・筋遮断作用が増強されると考えられている。 |
他の降圧剤 β遮断剤 | 降圧作用を増強するおそれがあるので、降圧剤の用量調節等に注意すること。 | 作用機序が異なる降圧剤との併用により、降圧作用が増強されるとの報告がある。 |
ジギタリス剤 ジゴキシン、ジギトキシン | 臨床症状:ジギタリスの心臓に対する作用を増強し、ジギタリス中毒を起こすおそれがある。 措置方法:血清カリウム値、ジギタリス血中濃度等に注意すること。 | トリクロルメチアジド: チアジド系利尿剤による血清カリウム値の低下により、多量のジギタリスが心筋Na+-K+ATPaseに結合し、心収縮力増強と不整脈が起こる。 |
糖質副腎皮質ホルモン剤 ACTH | 臨床症状:低カリウム血症が発現するおそれがある。 | トリクロルメチアジド: 共にカリウム排泄作用を有する。 |
グリチルリチン製剤 甘草含有製剤 | 血清カリウム値の低下があらわれやすくなる。 | トリクロルメチアジド: これらの薬剤は低カリウム血症を主徴とした偽アルドステロン症を引き起こすことがあり、本剤との併用により低カリウム血症を増強する可能性がある。 |
糖尿病用剤 SU剤、インスリン | 糖尿病用剤の作用を著しく減弱するおそれがある。 | トリクロルメチアジド: 機序は明確ではないが、チアジド系利尿剤によるカリウム喪失により膵臓のβ細胞のインスリン放出が低下すると考えられている。 |
リチウム 炭酸リチウム | リチウム中毒が報告されている。 | イルベサルタン: リチウムの再吸収はナトリウムと競合するため、本剤のナトリウム排泄作用により、リチウムの再吸収が促進されると考えられる。 |
リチウム 炭酸リチウム | 臨床症状:リチウム中毒(振戦、消化器愁訴等)が増強される。 措置方法:血清リチウム濃度の測定を行うなど注意すること。 | トリクロルメチアジド: チアジド系利尿剤は遠位尿細管でナトリウムの再吸収を抑制するが、長期投与では近位尿細管で代償的にナトリウム、リチウムの再吸収を促進し、リチウムの血中濃度が上昇する。 |
コレスチラミン | 利尿降圧作用が減弱される。 | トリクロルメチアジド: コレスチラミンの吸着作用により、利尿剤の吸収が阻害される。 |