製品名 オノアクト点滴静注用50mg
オノアクト点滴静注用150mg
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- 一般名
- Landiolol Hydrochloride
- 薬効分類
-
降圧薬>β遮断薬(β1選択性)
- 価格
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50mg1瓶:4730円/瓶
150mg1瓶:12999円/瓶
- 製薬会社
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- 製造販売:小野薬品工業株式会社
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効能・効果
用法・容量 -
効能・効果
手術時の下記の頻脈性不整脈に対する緊急処置
- 心房細動、心房粗動、洞性頻脈
手術後の循環動態監視下における下記の頻脈性不整脈に対する緊急処置
- 心房細動、心房粗動、洞性頻脈
心機能低下例における下記の頻脈性不整脈
- 心房細動、心房粗動
生命に危険のある下記の不整脈で難治性かつ緊急を要する場合
- 心室細動、血行動態不安定な心室頻拍
用法・用量
手術時の下記の頻脈性不整脈に対する緊急処置
心房細動、心房粗動、洞性頻脈
- ランジオロール塩酸塩として、1分間0.125mg/kg/minの速度で静脈内持続投与した後、0.04mg/kg/minの速度で静脈内持続投与する。投与中は心拍数、血圧を測定し0.01~0.04mg/kg/minの用量で適宜調節する。
手術後の循環動態監視下における下記の頻脈性不整脈に対する緊急処置
心房細動、心房粗動、洞性頻脈
- ランジオロール塩酸塩として、1分間0.06mg/kg/minの速度で静脈内持続投与した後、0.02mg/kg/minの速度で静脈内持続投与を開始する。5~10分を目安に目標とする徐拍作用が得られない場合は、1分間0.125mg/kg/minの速度で静脈内持続投与した後、0.04mg/kg/minの速度で静脈内持続投与する。投与中は心拍数、血圧を測定し0.01~0.04mg/kg/minの用量で適宜調節する。
心機能低下例における下記の頻脈性不整脈
心房細動、心房粗動
- ランジオロール塩酸塩として、1μg/kg/minの速度で静脈内持続投与を開始する。投与中は心拍数、血圧を測定し1~10μg/kg/minの用量で適宜調節する。
生命に危険のある下記の不整脈で難治性かつ緊急を要する場合
心室細動、血行動態不安定な心室頻拍
- ランジオロール塩酸塩として、1μg/kg/minの速度で静脈内持続投与を開始する。投与中は心拍数、血圧を測定し1~10μg/kg/minの用量で適宜調節する。なお、心室細動又は血行動態不安定な心室頻拍が再発し本剤投与が必要な場合には、心拍数、血圧を測定し最大40μg/kg/minまで増量できる。
- 禁忌
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【禁忌】
次の患者には投与しないこと
<共通>
- 心原性ショックの患者〔心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。〕
- 糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者〔アシドーシスによる心筋収縮力の抑制を増強するおそれがある。〕
- 房室ブロック(II度以上)、洞不全症候群など徐脈性不整脈患者〔刺激伝導系に対し抑制的に作用し、悪化させるおそれがある。〕
- 肺高血圧症による右心不全のある患者〔心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。〕
- 未治療の褐色細胞腫の患者(「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照)
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
<手術時・手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置>
- うっ血性心不全のある患者〔心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。〕
- 副作用
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- ショック
- ショック(過度の血圧低下)があらわれることがある(0.05%)ので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 心停止、完全房室ブロック、洞停止、高度徐脈
- 心停止(0.09%)、完全房室ブロック(頻度不明※)、洞停止(0.05%)、高度徐脈(0.09%)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 心不全
- 心不全の急激な増悪があらわれるおそれがある(0.05%)ので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- ※:頻度不明は自発報告による。
- 注意
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慎重投与
次の患者には慎重に投与すること
- <共通>
- 気管支痙攣性疾患の患者〔本剤はβ1受容体選択的遮断剤であるが、弱いながらもβ2受容体遮断作用も有することから、気管支筋収縮作用により、痙攣症状の誘発、悪化を起こすおそれがある。〕
- コントロール不十分な糖尿病患者〔低血糖症状としての頻脈等の交感神経系反応をマスクするおそれがある。〕
- 低血圧症の患者〔心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。〕
- 重篤な血液、肝、腎機能障害のある患者〔薬剤の代謝、排泄が影響を受けるおそれがある。〕
- 末梢循環障害のある患者(壊疽、レイノー症候群、間歇性跛行等)〔本剤はβ1受容体選択的遮断剤であるが、弱いながらもβ2受容体遮断作用も有することから、末梢血管の拡張を抑制し、症状が悪化するおそれがある。〕
- 大量出血や脱水症状等により循環血液量が減少している患者〔本剤投与により血圧低下をきたしやすい。〕
- <手術時・手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置>
- 左室収縮機能障害のある患者〔心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。〕
- <心機能低下例における頻脈性不整脈又は生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合>
- 非代償性心不全の患者〔代償性心不全の患者よりも、心不全が増悪するおそれがあり、重篤な状態に陥るおそれがさらにある。〕
重要な基本的注意
- <共通>
- 心電図による監視、血圧の測定等、心機能をモニターしながら投与すること。血圧低下又は徐脈を認めた場合等は減量あるいは投与を中止し、必要に応じて適切な処置を行うこと。(「過量投与」の項参照)また、PQ時間が過度に延長した場合、投与を中止すること。
- 心筋虚血のリスクのある患者では、心拍数減少の有益性が血圧低下の危険性を上回ると判断された場合にのみ適用を考慮すること。
- 狭心症の患者で類似化合物(プロプラノロール塩酸塩)の投与を急に中止したとき、症状が悪化したり、心筋梗塞を起こした症例が報告されている。本剤の投与を中止する場合においても観察を十分に行うこと。
- 心房細動及び心房粗動に対する使用に際しては、本剤の効果が心拍数の減少であることに留意し、頻脈性(型)であることを確認すること。(「臨床成績」の2.手術後の項(2)の試験成績を参照)
- 本剤の心拍数の減少効果は、投与終了後、速やかに減弱するものの、この効果の消失には投与終了後30~60分を要することに留意すること。(「臨床成績」の1.手術時の項(3)参照)
- <手術時・手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置>
- 大侵襲手術後等の心拍出量が低下している患者に本剤を投与する場合、本剤投与開始前の心機能を慎重に観察するとともに、心電図による監視、血圧の測定に加え、心拍出量及び血液ガス等の心機能をモニターし、患者の全身状態を十分管理しながら投与すること。
- 洞性頻脈に対して本剤を投与する場合は、心筋虚血や心不全等の発生及びその悪化のおそれのある患者における頻脈処置の必要性を十分考慮し、患者の基礎疾患、合併症の内容、手術前の状態及び手術内容等の事前の患者情報を精査した上で、頻脈の治療が必要とされる場合にのみ適用を考慮すること。
- 心不全の徴候又は症状が見られた場合は本剤を直ちに中止し、適切な処置を行うこと。また、本剤投与前に適切な緊急措置が可能となるように準備しておくこと。必要に応じてアトロピン、β1刺激剤、輸液や昇圧剤等を準備しておくことが望ましい。
- 手術時の使用においては、本剤は緊急治療を要する場合に短期間のみ適応すること。患者の状態を十分観察し、緊急治療の必要がなくなった場合は、漫然と継続投与しないこと。また、本剤投与5~10分を目安として、目標とする心拍数の低下が得られない場合は、本剤投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 手術後の使用においては、本剤は緊急治療を要する場合に短期間のみ適応すること。患者の状態を十分観察し、緊急治療の必要が無くなった場合は、漫然と継続投与しないこと。また、本剤投与5~10分を目安として、目標とする心拍数の低下が得られない場合は、最大用量に増量するか、本剤投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- <心機能低下例における頻脈性不整脈又は生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合>
- 本剤の投与により心不全が悪化するおそれがあり、重篤な状態に陥るおそれがあるため、心不全の悪化に常に注意すること。
- 患者の状態を十分観察し、治療の必要がなくなった場合は、漫然と継続投与しないこと。また、心機能低下例では10μg/kg/minの速度まで本剤を増量しても目標とする心拍数の低下が得られない場合、又は生命に危険のある不整脈では40μg/kg/minの速度まで本剤を増量しても発作の抑制効果が得られない場合は、本剤投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 本剤の減量・中止時に、患者の状態に応じて経口β遮断剤への切り替えを考慮すること。
適用上の注意
- 投与時
- 本剤は輸液以外の薬剤とは別経路で投与すること。(患者の心拍数・血圧の変化に応じて本剤の投与速度を適宜調節する必要がある。)
- 精密持続点滴装置(シリンジポンプ又は輸液ポンプ)の誤操作により、過量投与の可能性があるので、投与前に精密持続点滴装置の操作を十分習得し、流量の設定には十分注意すること。
- 調製方法
- 本剤は、ランジオロール塩酸塩50mgを5mL以上、ランジオロール塩酸塩150mgを15mL以上の生理食塩液等で溶解する。
10mg/mLを超える濃度で点滴すると、局所反応や皮膚壊死が発現するおそれがあるので、十分に注意すること。精密持続点滴装置使用に際しては、バッグあるいはシリンジ内に気泡が混入しないように注意すること。
- 本剤は、ランジオロール塩酸塩50mgを5mL以上、ランジオロール塩酸塩150mgを15mL以上の生理食塩液等で溶解する。
- <共通>
- 目標とする心拍数に調節した後は、循環動態、特に血圧低下に注意し、本剤を心拍数の維持に必要な最低の速度で持続投与すること。
- 手術後及び心機能低下例及び生命に危険のある不整脈の使用においては、本剤投与により血圧低下(収縮期血圧90mmHgを目安とする)あるいは過度の心拍数減少(心拍数60回/分を目安とする)が生じた場合は、減量するか投与を中止すること。
- 褐色細胞腫の患者では、本剤投与により急激に血圧が上昇するおそれがあるので、α遮断剤を投与した後に本剤を投与し、常にα遮断剤を併用すること。
- 手術時、手術後、心機能低下例及び生命に危険のある不整脈の用法・用量がそれぞれ異なることに留意すること。
- 本剤投与に際しては、下記の体重別静脈内持続投与速度表を参考にすること。
- <体重別静脈内持続投与速度表>
- 精密持続点滴装置(シリンジポンプ又は輸液ポンプ)を使用する場合
- 表内の単位は投与速度を表示
- <手術時の頻脈性不整脈に対する緊急処置>
- 本剤50mgを5mLに溶解した場合
投与時期 用法・用量 適宜調整 投与開始から1分間 投与開始1分後以降 体重\投与量 0.125mg/kg/min 0.04mg/kg/min 0.01~0.04mg/kg/min 30kg 22.5mL/時 7.2mL/時 1.8~7.2mL/時 40kg 30.0mL/時 9.6mL/時 2.4~9.6mL/時 50kg 37.5mL/時 12.0mL/時 3.0~12.0mL/時 60kg 45.0mL/時 14.4mL/時 3.6~14.4mL/時 70kg 52.5mL/時 16.8mL/時 4.2~16.8mL/時
- 本剤50mgを20mLに溶解した場合
投与時期 用法・用量 適宜調整 投与開始から1分間 投与開始1分後以降 体重\投与量 0.125mg/kg/min 0.04mg/kg/min 0.01~0.04mg/kg/min 30kg 90.0mL/時 28.8mL/時 7.2~28.8mL/時 40kg 120.0mL/時 38.4mL/時 9.6~38.4mL/時 50kg 150.0mL/時 48.0mL/時 12.0~48.0mL/時 60kg 180.0mL/時 57.6mL/時 14.4~57.6mL/時 70kg 210.0mL/時 67.2mL/時 16.8~67.2mL/時
- <手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置>
- 本剤50mgを5mLに溶解した場合
投与時期 開始用量 最大用量 投与開始から1分間 投与開始1分後以降 投与開始から1分間 投与開始1分後以降 体重\投与量 0.06mg/kg/min 0.02mg/kg/min 0.125mg/kg/min 0.04mg/kg/min 30kg 10.8mL/時 3.6mL/時 22.5mL/時 7.2mL/時 40kg 14.4mL/時 4.8mL/時 30.0mL/時 9.6mL/時 50kg 18.0mL/時 6.0mL/時 37.5mL/時 12.0mL/時 60kg 21.6mL/時 7.2mL/時 45.0mL/時 14.4mL/時 70kg 25.2mL/時 8.4mL/時 52.5mL/時 16.8mL/時
- 本剤50mgを20mLに溶解した場合
投与時期 開始用量 最大用量 投与開始から1分間 投与開始1分後以降 投与開始から1分間 投与開始1分後以降 体重\投与量 0.06mg/kg/min 0.02mg/kg/min 0.125mg/kg/min 0.04mg/kg/min 30kg 43.2mL/時 14.4mL/時 90.0mL/時 28.8mL/時 40kg 57.6mL/時 19.2mL/時 120.0mL/時 38.4mL/時 50kg 72.0mL/時 24.0mL/時 150.0mL/時 48.0mL/時 60kg 86.4mL/時 28.8mL/時 180.0mL/時 57.6mL/時 70kg 100.8mL/時 33.6mL/時 210.0mL/時 67.2mL/時
- <心機能低下例における頻脈性不整脈>
- 本剤50mgを50mLに溶解した場合
体重\投与量 用法・用量 投与開始時 適宜調整 1μg/kg/min 1~10μg/kg/min 30kg 1.8mL/時 1.8~18.0mL/時 40kg 2.4mL/時 2.4~24.0mL/時 50kg 3.0mL/時 3.0~30.0mL/時 60kg 3.6mL/時 3.6~36.0mL/時 70kg 4.2mL/時 4.2~42.0mL/時
- <生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合>
- 本剤50mgを50mLに溶解した場合
体重\投与量 用法・用量 投与開始時 適宜調整 最大用量 1μg/kg/min 1~10μg/kg/min 40μg/kg/min 30kg 1.8mL/時 1.8~18.0mL/時 72.0mL/時 40kg 2.4mL/時 2.4~24.0mL/時 96.0mL/時 50kg 3.0mL/時 3.0~30.0mL/時 120.0mL/時 60kg 3.6mL/時 3.6~36.0mL/時 144.0mL/時 70kg 4.2mL/時 4.2~42.0mL/時 168.0mL/時
- <手術時・手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置>
- 本剤を再投与する際の投与間隔は5~15分間を目安とすること。なお、再投与は用法・用量に従って実施すること。(「臨床成績」の1.手術時の項(4)、「薬物動態」の項参照)
- <心機能低下例における頻脈性不整脈>
- 心拍数及び血圧等に十分に注意し、慎重に、狭い用量幅で用量を調節すること(「臨床成績」の3.心機能低下例における頻脈性不整脈の項(1)参照)。
- <生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合>
- 心拍数及び血圧等に十分に注意し、慎重に、狭い用量幅で用量を調節すること(「臨床成績」の4.生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合の項参照)。
- <手術時・手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置、心機能低下例における頻脈性不整脈>
- 本剤は、予防的には使用しないこと。
- <生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合>
- 本剤は、難治性の心室細動又は血行動態不安定な心室頻拍の再発抑制に使用すること。
- 臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者を選択すること。
- <手術時・手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置>
- 洞性頻脈においては、その原因検索及びその除去が重要であることに十分留意するとともに、本剤の効果が心拍数の減少作用であることを踏まえて、本剤は緊急処置として必要に応じて使用すること。(「重要な基本的注意」の手術時・手術後の項(2)参照)
- 手術後の使用においては、ICU、CCU及びそれに準じた全身管理が可能な施設において、循環動態の評価、不整脈診断及び呼吸・循環等の全身管理の十分な経験を持つ医師のもとで、心電図モニターを用い、心拍数の監視、血圧測定を原則として5分間隔で、必要ならば頻回に行うこと。(「重要な基本的注意」の共通の項(1)及び手術時・手術後の項(1)参照)
- <心機能低下例における頻脈性不整脈又は生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合>
- 心機能低下例又は生命に危険のある不整脈の使用においては、ICU、CCU及びそれに準じた全身管理が可能な施設において、心不全又は生命に危険のある不整脈に対する治療の経験が十分にある医師のもとで、心電図モニターを用い、心拍数の監視、血圧測定を行うこと。また、本剤の投与により、心不全が悪化するおそれがあるため、経皮的酸素飽和度をモニターする等、心不全の増悪に留意すること。心不全が悪化した際には、本剤の投与を直ちに中止するとともに、ホスホジエステラーゼ阻害薬の投与や大動脈バルーンパンピング、経皮的心肺補助装置を施行する等、適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」の共通の項(1)、(2)及び心機能低下例又は生命に危険のある不整脈の項(1)参照)
高齢者への投与
- 高齢者では十分に患者の状態を観察しながら投与すること。〔高齢者では生理機能が低下していることが多く、本剤の作用が強く発現するおそれがある。〕
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。〕
小児等への投与
- 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
薬物動態
- 血中濃度
- 60分間静脈内持続投与(健康成人)
- 健康成人5名に0.04mg/kg/minで60分間静脈内持続投与すると、全血中濃度は投与開始約15分後で定常に達し、投与60分後の全血中濃度(C60min)は1,008ng/mLを示し、AUCは59.34μg・min/mLである。投与終了後の血中半減期(T1/2)は3.96分であり、全身クリアランス(CLtot)は41.8mL/min/kg、分布容積(Vd)は242mL/kgである。
C60min(ng/mL) AUC0-∞(μg・min/mL) T1/2(min) CLtot(mL/min/kg) Vd(mL/kg) 1008±303 59.34±12.49 3.96±0.46 41.8±8.3 242±67 平均値±標準偏差
- 1分間+60分間静脈内持続投与(健康成人)
- 健康成人5名に0.25mg/kg/minで1分間投与後、0.04mg/kg/minで60分間静脈内持続投与すると、全血中濃度は投与2分後で最高に達し、その全血中濃度(Cmax)は2,008ng/mLを示すが、その後全血中濃度は低下し、投与開始5分後にほぼ定常濃度となり、投与61分後の全血中濃度(C61min)は1,237ng/mLである。AUCは82.43μg・min/mL、投与終了後の血中半減期(T1/2)は3.47分である。
Tmax(min) Cmax(ng/mL) C61min(ng/mL) AUC0-∞(μg・min/mL) T1/2(min) 2 2008±798 1237±329 82.43±23.52 3.47±0.44 平均値±標準偏差
- 2用量(1分間+10分間静脈内持続投与)漸増投与(健康成人)
- 健康成人6名に0.06mg/kg/minで1分間投与後、0.02mg/kg/minで10分間静脈内持続投与し、更に用量を切り替えて0.125mg/kg/minで1分間投与後、0.04mg/kg/minで10分間静脈内持続投与すると、全血中濃度は投与開始2分後で速やかに定常に達し、用量切り替えの2分後(投与開始13分後)にCmaxに達した後、速やかに定常に達した。
Cmax(0-11min)(ng/mL) Tmax(0-11min)(min) Cmax(12-22min)(ng/mL) Tmax(12-22min)(min) AUC0-∞(μg・min/mL) C11min(ng/mL) T1/2(min) C22min(ng/mL) 704±119 3.5±3.7 1990±280 13±0 27.8±3.4 655±136 3.5±0.3 1270±160 平均値±標準偏差
- 肝障害患者における薬物動態
- 肝障害患者6名(Child-Pugh分類A:5名、B:1名)及び健康成人6名に0.06mg/kg/minで1分間投与後、0.02mg/kg/minで60分間静脈内持続投与したとき、全血中濃度のCmax及びAUCはそれぞれ1.42及び1.44倍、肝障害患者で高く推移したが、T1/2は4.0分であり、健康成人と差がないことが示された。
Cmax(ng/mL) C61min(ng/mL) AUC0-∞(μg・min/mL) T1/2(min) 肝障害患者 942±140 866±54 52.4±5.2 4.0±0.4 健康成人 665±119 641±125 36.3±3.6 4.0±1.5 平均値±標準偏差
- 代謝
- 本剤はヒト肝臓及び血漿中で加水分解され、速やかに代謝される。肝代謝クリアランスは肝血流が律速と考えられ、全身クリアランスの約半分を占める。また、in vitroの血漿中代謝半減期は4.1分であり、血漿中での代謝の寄与も大きい。ヒト肝臓における主代謝酵素はカルボキシエステラーゼ、ヒト血漿中における主代謝酵素は擬コリンエステラーゼであると推定された。
また、本剤及びその代謝物(カルボン酸体、安息香酸体)はヒトのチトクロームP450の分子種(CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6及びCYP3A4)に対してほとんど阻害活性を示さなかった(in vitro)。
- 排泄
- 主排泄経路は尿中であり、健康成人に0.04mg/kg/minで60分間投与すると、投与24時間後までに約99%が尿中に排泄される。そのうち未変化体は8.7%であり、主要代謝物はカルボン酸体である。
- 蛋白結合率
- ヒト血清に対する蛋白結合率は1.5~7.0%である(in vitro、限外ろ過法)。