製品名 バルプロ酸Na徐放顆粒40%「フジナガ」
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- 一般名
- Sodium Valproate
- 薬効分類
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抗てんかん薬>バルプロ酸
- 価格
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40%1g:23.1円/g
- 製薬会社
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効能・効果
用法・容量 -
効能・効果
- 各種てんかん(小発作・焦点発作・精神運動発作ならびに混合発作)およびてんかんに伴う性格行動障害(不機嫌・易怒性等)の治療。
- 躁病および躁うつ病の躁状態の治療。
- 片頭痛発作の発症抑制。
用法・用量
各種てんかん(小発作・焦点発作・精神運動発作ならびに混合発作)およびてんかんに伴う性格行動障害(不機嫌・易怒性等)の治療、躁病および躁うつ病の躁状態の治療
- 通常、バルプロ酸ナトリウムとして400~1200mgを1日1回経口投与する。ただし、年齢、症状に応じ適宜増減する。
片頭痛発作の発症抑制
- 通常、バルプロ酸ナトリウムとして400~800mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状に応じ適宜増減するが、1日量として1000mgを超えないこと。
- 禁忌
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【禁忌】
次の患者には投与しないこと
〔効能共通〕
- 重篤な肝障害のある患者[肝障害が強くあらわれ致死的になるおそれがある。]
- 本剤投与中はカルバペネム系抗生物質(パニペネム・ベタミプロン、メロペネム水和物、イミペネム水和物・シラスタチンナトリウム、ビアペネム、ドリペネム水和物、テビペネム ピボキシル)を併用しないこと(「相互作用」の項参照)。
- 尿素サイクル異常症の患者[重篤な高アンモニア血症があらわれることがある。]
〔片頭痛発作の発症抑制〕
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
- 原則禁忌
次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること
〔各種てんかんおよびてんかんに伴う性格行動障害の治療、躁病および躁うつ病の躁状態の治療〕
妊婦又は妊娠している可能性のある女性(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)
- 副作用
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- 劇症肝炎等の重篤な肝障害、黄疸、脂肪肝等(頻度不明)
- これらの症状を起こすことがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 高アンモニア血症を伴う意識障害(頻度不明)
- 高アンモニア血症を伴う意識障害があらわれることがあるので、定期的にアンモニア値を測定するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 溶血性貧血、赤芽球癆、汎血球減少、重篤な血小板減少、顆粒球減少(頻度不明)
- これらの症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 急性膵炎(頻度不明)
- 急性膵炎があらわれることがあるので、激しい腹痛、発熱、嘔気、嘔吐等の症状があらわれたり、膵酵素値の上昇が認められた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 間質性腎炎、ファンコニー症候群(頻度不明)
- これらの症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)
- これらの症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 過敏症症候群(頻度不明)
- 過敏症症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、初期症状として発疹、発熱がみられ、さらにリンパ節腫脹、肝機能障害、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
- 脳の萎縮、認知症様症状(健忘、見当識障害、言語障害、寡動、知能低下、感情鈍麻等)、パーキンソン様症状(静止時振戦、硬直、姿勢・歩行異常等)(頻度不明)
- これらの症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
なお、これらの症状が発現した例では中止により、ほとんどが1~2ヵ月で回復している。
- 横紋筋融解症(頻度不明)
- 横紋筋融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビンの上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明)
- 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム量の増加、高張尿等があらわれた場合には水分摂取の制限等の適切な処置を行うこと。
- 間質性肺炎、好酸球性肺炎(頻度不明)
- 間質性肺炎、好酸球性肺炎があらわれることがあるので、咳嗽、呼吸困難、発熱等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。間質性肺炎、好酸球性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
- 注意
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慎重投与
次の患者には慎重に投与すること
- 肝機能障害又はその既往歴のある患者[肝機能障害が強くあらわれるおそれがある。]
- 薬物過敏症の既往歴のある患者
- 自殺企図の既往及び自殺念慮のある躁病及び躁うつ病の躁状態の患者[症状が悪化するおそれがある。]
- 以下のような尿素サイクル異常症が疑われる患者[重篤な高アンモニア血症があらわれるおそれがある。]
- 原因不明の脳症もしくは原因不明の昏睡の既往のある患者
- 尿素サイクル異常症又は原因不明の乳児死亡の家族歴のある患者
重要な基本的注意
- 本剤で催奇形性が認められているため、妊娠する可能性のある女性に使用する場合には、本剤による催奇形性について十分に説明し、本剤の使用が適切であるか慎重に判断すること(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)。
- てんかん患者においては、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、てんかん重積状態があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。なお、高齢者、虚弱者の場合は特に注意すること。
- 片頭痛患者においては、本剤は発現した頭痛発作を緩解する薬剤ではないので、本剤投与中に頭痛発作が発現した場合には必要に応じて頭痛発作治療薬を頓用させること。投与前にこのことを患者に十分に説明しておくこと。
- 片頭痛患者においては、本剤投与中は症状の経過を十分に観察し、頭痛発作発現の消失・軽減により患者の日常生活への支障がなくなったら一旦本剤の投与を中止し、投与継続の必要性について検討すること。なお、症状の改善が認められない場合には、漫然と投与を継続しないこと。
- 重篤な肝障害(投与初期6ヵ月以内に多い)があらわれることがあるので、投与初期6ヵ月間は定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
その後も連用中は定期的に肝機能検査を行うことが望ましい。
また、肝障害とともに急激な意識障害があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。
- 連用中は定期的に腎機能検査、血液検査を行うことが望ましい。
- 尿素サイクル異常症が疑われる患者においては、本剤投与前にアミノ酸分析等の検査を考慮すること。なお、このような患者では本剤投与中は、アンモニア値の変動に注意し、十分な観察を行うこと。
- 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
- 本剤は製剤学的にバルプロ酸ナトリウムの溶出を制御して徐放化させたものであり、服用後一定時間消化管内に滞留する必要がある。
したがって重篤な下痢のある患者では血中濃度が十分に上昇しない可能性があるので注意すること。
- 他のバルプロ酸ナトリウム製剤を使用中の患者において使用薬剤を本剤に切り替える場合、血中濃度が変動することがあるので注意すること。
適用上の注意
- 保存時
- 本剤は徐放性製剤であり、製剤の吸湿により溶出が加速されることがあるので、吸湿しないように保存させること。
- 服用時
- 本剤は徐放性製剤であり、製剤をかみ砕くことにより溶出が加速されることがあるので、薬剤をかみ砕かないで服用させること。
- 本剤投与後に白色の粒子が糞便中に排泄されるが、これは賦形剤の一部である。
効能効果に関連する使用上の注意
- [片頭痛発作の発症抑制]
- 本剤は、片頭痛発作の急性期治療のみでは日常生活に支障をきたしている患者にのみ投与すること。
高齢者への投与
- 本剤は、血漿アルブミンとの結合性が強いが、高齢者では血漿アルブミンが減少していることが多いため、遊離の薬物の血中濃度が高くなるおそれがあるので、用量に留意して慎重に投与すること。
- てんかん患者においては、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、てんかん重積状態があらわれやすいので慎重に投与すること。
- 片頭痛発作の発症抑制に対する、高齢者における安全性及び有効性については、現在までの国内外の臨床試験で明確なエビデンスが得られていない。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
- 〔片頭痛発作の発症抑制〕
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。
- 〔各種てんかんおよびてんかんに伴う性格行動障害の治療、躁病および躁うつ病の躁状態の治療〕
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
- 妊娠中にやむを得ず本剤を投与する場合には、可能な限り単独投与することが望ましい[他の抗てんかん剤(特にカルバマゼピン)と併用して投与された患者の中に、奇形を有する児を出産した例が本剤単独投与群と比較して多いとの疫学的調査報告がある。]。
- 〔効能共通〕
- 二分脊椎児を出産した母親の中に、本剤の成分を妊娠初期に投与された例が対照群より多いとの疫学的調査報告があり、また、本剤の成分を投与された母親に、心室中隔欠損等の心奇形や多指症、口蓋裂、尿道下裂等の外表奇形、その他の奇形を有する児を出産したとの報告がある。また、特有の顔貌(前頭部突出、両眼離開、鼻根偏平、浅く長い人中溝、薄い口唇等)を有する児を出産したとする報告がみられる。
- 妊娠中の投与により、新生児に呼吸障害、肝障害、低フィブリノーゲン血症等があらわれることがある。
- 妊娠中の投与により、新生児に低血糖、退薬症候(神経過敏、過緊張、けいれん、嘔吐)があらわれるとの報告がある。
- 海外で実施された観察研究において、妊娠中に抗てんかん薬を投与されたてんかん患者からの出生児224例を対象に6歳時の知能指数(IQ)[平均値(95%信頼区間)]を比較した結果、本剤を投与されたてんかん患者からの出生児のIQ[98(95-102)]は、ラモトリギン[108(105-111)]、フェニトイン[109(105-113)]、カルバマゼピン[106(103-109)]を投与されたてんかん患者からの出生児のIQと比較して低かったとの報告がある。なお、本剤の投与量が1,000mg/日(本研究における中央値)未満の場合は[104(99-109)]、1,000mg/日を超える場合は[94(90-99)]であった。
- 海外で実施された観察研究において、妊娠中に本剤を投与された母親からの出生児508例は、本剤を投与されていない母親からの出生児655,107例と比較して、自閉症発症リスクが高かったとの報告がある[調整ハザード比:2.9(95%信頼区間:1.7-4.9)]。
- 動物実験(マウス)で、本剤が葉酸代謝を阻害し、新生児の先天性奇形に関与する可能性があるとの報告がある。
- 授乳婦に投与する場合には授乳を避けさせること[ヒト母乳中へ移行することがある。]。
小児等への投与
- 低出生体重児、新生児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
- 片頭痛発作の発症抑制に対する、小児における安全性及び有効性については、現在までの国内外の臨床試験で明確なエビデンスが得られていない。
薬物動態
- バルプロ酸の薬物動態の特徴
- 薬物動態パラメータ(参考:海外文献報告値)
生物学的利用率 約100%(剤型の違いによらない。) 血漿中蛋白結合率 >90%(およそ100μg/mL以上の濃度では結合が飽和する。) 分布容積 0.1~0.4L/kg(ほぼ細胞外液に相当) 全身クリアランス
(吸収率を100%と仮定)6~8mL/hr/kg(健康成人:16~60歳)
13~18mL/hr/kg(小児てんかん患者:3~16歳、単剤投与時)
(高齢者では、全身クリアランスは成人と差はないが、遊離型のクリアランスは低下するとの報告がある。)尿中排泄率 1~3%(未変化体)
- 全身クリアランスに影響を与える因子
- バルプロ酸の全身クリアランスは主に肝固有クリアランスと血漿中非結合率の影響を受ける。バルプロ酸の主代謝経路に影響を与える可能性のある薬剤を併用する場合は、慎重に投与すること。バルビツール酸製剤、フェニトイン及びカルバマゼピンはバルプロ酸の代謝を誘導すると考えられるので併用には注意が必要である(「相互作用」の項参照)。蛋白結合率が低下した場合、定常状態では総血漿中濃度は低下すると考えられるが、非結合型濃度は低下しないとされている。
- 有効血中濃度
- 有効血中バルプロ酸濃度
- 40~120μg/mL
- 各種てんかんおよびてんかんに伴う性格行動障害、躁病および躁うつ病の躁状態に対する有効血中濃度に関しては各種の報告があるが、その下限は50μg/mLを示唆する報告もあり、上限は150μg/mLとする報告もある。
- 躁病および躁うつ病の躁状態に対する本剤の使用に際しては、急性期治療を目的としているため、原則的に血中濃度モニタリングの実施は必須ではないが、本剤の用量増減時に臨床状態の変化があった場合や、予期した治療効果が得られない場合等には、必要に応じ血中濃度のモニタリングを行い、用量調整することが望ましい。
- 片頭痛発作に対する本剤の使用に際しては、有効血中濃度が明確になっていないため、原則的に血中濃度モニタリングの実施は必須ではないが、本剤の用量増減時に臨床状態の悪化があった場合等には、必要に応じ血中濃度のモニタリングを行い、用量調整することが望ましい。
- 生物学的同等性試験
- バルプロ酸Na徐放顆粒40%「フジナガ」と標準製剤を、クロスオーバー法によりそれぞれ1g(バルプロ酸ナトリウムとして400mg)健康成人男子34名(絶食時投与:20名、食後投与:14名)に絶食時及び食後に単回経口投与して血漿中濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータについて統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。
- 絶食時投与
AUC(0-72hr)
(hr・μg/mL)Cmax
(μg/mL)Tmax
(hr)T1/2
(hr)バルプロ酸Na徐放顆粒40%「フジナガ」 640.1±166.7 20.7±4.3 9.5±2.7 16.7±3.5 標準製剤
(顆粒、40%)679.2±185.9 22.5±5.7 9.2±5.5 16.2±3.4 (Mean±S.D.,n=20)
- 食後投与
AUC(0-72hr)
(hr・μg/mL)Cmax
(μg/mL)Tmax
(hr)T1/2
(hr)バルプロ酸Na徐放顆粒40%「フジナガ」 635.5±170.2 26.4±3.2 8.1±2.1 16.2±4.1 標準製剤
(顆粒、40%)679.3±159.1 30.2±2.6 8.1±1.5 15.7±3.0 (Mean±S.D.,n=14)
- 血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
- バルプロ酸Na徐放顆粒40%「フジナガ」の反復投与における血中濃度をシミュレーションした場合、絶食時(バルプロ酸ナトリウムとして1,000mg投与)及び食後投与(バルプロ酸ナトリウムとして1,200mg投与)とも1日1回投与で有効血中濃度を維持する。
- バルプロ酸Na徐放顆粒40%「フジナガ」と標準製剤を、クロスオーバー法によりそれぞれ1g(バルプロ酸ナトリウムとして400mg)健康成人男子34名(絶食時投与:20名、食後投与:14名)に絶食時及び食後に単回経口投与して血漿中濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータについて統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。
- 溶出挙動
- バルプロ酸Na徐放顆粒40%「フジナガ」は、日本薬局方外医薬品規格第3部に定められたバルプロ酸ナトリウム徐放顆粒の溶出規格に適合していることが確認されている。