薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
アリスキレンフマル酸塩 | 腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。 なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。 | レニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。 |
アンジオテンシン変換酵素阻害剤 | 腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。 | レニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。 |
利尿降圧剤 フロセミド トリクロルメチアジド等 [11.1.7参照] | 一過性の急激な血圧低下(失神及び意識消失等を伴う)を起こすおそれがある。 | 利尿降圧剤で治療を受けている患者にはレニン活性が亢進している患者が多く、バルサルタンが奏効しやすい。 重度のナトリウムないし体液量の減少した患者では、まれに症候性の低血圧が生じることがある。 |
カリウム保持性利尿剤 スピロノラクトン トリアムテレン等 カリウム補給製剤 塩化カリウム | 血清カリウム値が上昇することがある。 | バルサルタンのアルドステロン分泌抑制によりカリウム貯留作用が増強する可能性がある。 危険因子:腎機能障害 |
ドロスピレノン・エチニルエストラジオール | 血清カリウム値が上昇することがある。 | バルサルタンによる血清カリウム値の上昇とドロスピレノンの抗ミネラルコルチコイド作用によると考えられる。 危険因子:腎障害患者、血清カリウム値の高い患者 |
トリメトプリム含有製剤 スルファメトキサゾール・トリメトプリム | 血清カリウム値が上昇することがある。 | 血清カリウム値の上昇が増強されるおそれがある。 |
シクロスポリン | 血清カリウム値が上昇することがある。 | 高カリウム血症の副作用が相互に増強されると考えられる。 |
シクロスポリン | 高尿酸血症及びこれに伴う痛風があらわれやすいので、血中尿酸値に注意すること。 | 高尿酸血症の副作用が相互に増強される可能性が考えられる。 |
非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs) インドメタシン等 | 本剤の降圧作用が減弱することがある。 | NSAIDsの腎プロスタグランジン合成阻害作用により、本剤の降圧作用が減弱することがある。 |
非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs) インドメタシン等 | 腎機能を悪化させるおそれがある。 | NSAIDsの腎プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。 危険因子:高齢者 |
ビキサロマー | バルサルタンの血中濃度が約30~40%に低下したとの報告がある。バルサルタンの作用が減弱するおそれがある。 | リン酸結合性ポリマーにより、同時に服用した場合、バルサルタンの吸収を遅延あるいは減少させる可能性がある。 |
バルビツール酸誘導体 | 起立性低血圧が増強されることがある。 | これらの薬剤の中枢抑制作用とヒドロクロロチアジドの降圧作用による。 |
あへんアルカロイド系麻薬 | 起立性低血圧が増強されることがある。 | ヒドロクロロチアジドとあへんアルカロイドの大量投与で血圧低下があらわれる可能性がある。 |
アルコール | 起立性低血圧が増強されることがある。 | ヒドロクロロチアジドと血管拡張作用を有するアルコールとの併用により降圧作用が増強される可能性がある。 |
昇圧アミン ノルアドレナリン アドレナリン | 昇圧アミンの作用を減弱することがある。手術前の患者に使用する場合、本剤の一時休薬等の処置を講ずること。 | ヒドロクロロチアジドは昇圧アミンに対する血管壁の反応性を低下させる可能性がある。 |
ツボクラリンの類似作用物質 パンクロニウム臭化物 | ツボクラリンの類似作用物質の麻痺作用を増強することがある。手術前の患者に使用する場合、本剤の一時休薬等の処置を講ずること。 | ヒドロクロロチアジドによる血清カリウム値の低下により、これらの薬剤の神経・筋遮断作用が増強すると考えられている。 |
降圧作用を有する他の薬剤 β-遮断剤 ニトログリセリン等 | 降圧作用を増強するおそれがある。 降圧剤の用量調節等に注意すること。 | 作用機序の異なる降圧作用により互いに協力的に作用する。 |
ジギタリス製剤 ジゴキシン ジギトキシン | ジギタリスの心臓に対する作用を増強し、不整脈等を起こすことがある。血清カリウム値に十分注意すること。 | ヒドロクロロチアジドによる血清カリウム値の低下により多量のジギタリスが心筋Na-K ATPaseに結合し、心収縮力増強と不整脈が起こる。マグネシウム低下も同様の作用を示す。 |
乳酸ナトリウム | チアジド系薬剤による代謝性アルカローシス、低カリウム血症を増強することがある。 | ヒドロクロロチアジドのカリウム排泄作用により低カリウム血症や代謝性アルカローシスが引き起こされることがある。アルカリ化剤である乳酸ナトリウムの併用はこの状態を更に増強させる。 |
リチウム | 振戦、消化器愁訴等、リチウム中毒を増強することがある。血清リチウム濃度に注意すること。 | ヒドロクロロチアジドは腎におけるリチウムの再吸収を促進し、リチウムの血中濃度を上昇させる。 |
リチウム | リチウム中毒を起こすことが報告されている。 | バルサルタンのナトリウム排泄作用により、リチウムの蓄積が起こると考えられている。 |
副腎皮質ホルモン剤 ACTH | 低カリウム血症が発現することがある。 | ヒドロクロロチアジドとこれらの薬剤はともにカリウム排泄作用を有する。 |
グリチルリチン製剤 | 血清カリウム値の低下があらわれやすくなる。 | グリチルリチン製剤は低カリウム血症を主徴とした偽アルドステロン症を引き起こすことがある。したがってヒドロクロロチアジドとグリチルリチン製剤の併用により低カリウム血症を増強する可能性がある。 |
糖尿病用剤 SU剤 インスリン等 | 糖尿病用剤の作用を著しく減弱することがある。 | 機序は明確ではないが、ヒドロクロロチアジドによるカリウム喪失により膵臓のβ細胞のインスリン放出が低下すると考えられている。 |
ジアゾキシド | ジアゾキシドの血糖上昇作用及び血中尿酸上昇作用が増強するおそれがある。 | 機序は明確ではないが、ヒドロクロロチアジドによるカリウム喪失により膵臓のβ細胞のインスリン放出が低下すると考えられている。また、ヒドロクロロチアジドとジアゾキシドはともに尿酸排泄抑制作用を有する。 |
陰イオン交換樹脂剤 コレスチラミン等 | チアジド系薬剤の作用が減弱することがある。陰イオン交換樹脂剤投与の少なくとも4時間前に投与する等、投与時間をずらすことで薬剤相互作用を最小限にできるとの報告がある。 | 陰イオン交換樹脂剤の吸着作用によりヒドロクロロチアジドの吸収が阻害されることがある。 |
アマンタジン | アマンタジンの作用が増強されることがある。 | ヒドロクロロチアジドがアマンタジンの腎排泄を低下させ、血中濃度の上昇を起こすためと考えられる。 |
アロプリノール | 重症の過敏反応(悪寒、全身性の皮疹等)が発現したとの報告がある。 | 機序は不明である。 |
抗コリン作用を有する薬剤 アトロピン ビペリデン | チアジド系薬剤の作用が増強されるおそれがある。 | チアジド系薬剤の吸収が促進される可能性が考えられる。 |
メチルドパ | チアジド系薬剤との併用による溶血性貧血の報告がある。 | メチルドパがチアジド系薬剤の抗体産生を促進する可能性が考えられる。 |
抗腫瘍剤 シクロホスファミド メトトレキサート等 | これらの薬剤の骨髄抑制作用を増強するおそれがある。 | チアジド系薬剤が抗腫瘍剤の腎排泄を減少させるためと考えられる。 |
ビタミンD カルシウム剤 | 高カルシウム血症を起こすおそれがある。 | 血清カルシウム濃度の上昇をチアジド系薬剤と相互に増強させる可能性が考えられる。 |
カルバマゼピン | 低ナトリウム血症があらわれることがある。 | ヒドロクロロチアジドとカルバマゼピンはともに血清中のナトリウムを低下させることがある。 |