製品名 メマリードライシロップ2%
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- 一般名
- Memantine Hydrochloride
- 薬効分類
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パーキンソン病・認知症治療薬>認知症治療薬(NMDA受容体拮抗薬)
- 価格
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2%1g:406.9円/g
- 製薬会社
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- 26.1 製造販売元:第一三共株式会社
26.2 提携:メルツファーマシューティカルズ
- 26.1 製造販売元:第一三共株式会社
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効能・効果
用法・容量 -
効能・効果
- 中等度及び高度アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制
用法・用量
- 通常、成人にはメマンチン塩酸塩として1日1回5mgから開始し、1週間に5mgずつ増量し、維持量として1日1回20mgを経口投与する。
- 禁忌
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【禁忌】
次の患者には投与しないこと
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 副作用
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- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 11.1.1 痙攣(0.3%)
- 11.1.2 失神(頻度不明)、意識消失(頻度不明)
- 11.1.3 精神症状
- 激越(0.2%)、攻撃性(0.1%)、妄想(0.1%)、幻覚(頻度不明)、錯乱(頻度不明)、せん妄(頻度不明)等があらわれることがある。
- 11.1.4 肝機能障害(頻度不明)、黄疸(頻度不明)
- AST、ALT、ALP、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある。
- 11.1.5 横紋筋融解症(頻度不明)
- 筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれることがある。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
- 11.1.6 完全房室ブロック、高度な洞徐脈等の徐脈性不整脈(頻度不明)
- 注意
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9.特定の背景を有する患者に関する注意
- 9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1 てんかん又は痙攣の既往のある患者
- 発作を誘発又は悪化させることがある。
- 9.1.2 尿pHを上昇させる因子(尿細管性アシドーシス、重症の尿路感染等)を有する患者
- 尿のアルカリ化により本剤の尿中排泄率が低下し、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。[10.2、16.5参照]
- 9.2 腎機能障害患者
- 本剤は腎排泄型の薬剤であり、排泄が遅延する。[16.6.1参照]
- 9.2.1 高度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス値:30mL/min未満)のある患者[7.3参照]
- 9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1 高度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者
- 臨床試験では除外されている。
- 9.5 妊婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ウサギ)で胎児への移行が認められている。また、動物実験(ラット)で胎児及び出生児の体重増加抑制が認められている。[16.3.3参照]
- 9.6 授乳婦
- 治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で、乳汁中への移行が認められている。[16.3.3参照]
- 9.7 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
8.重要な基本的注意
- 8.1 投与開始初期においてめまい、傾眠が認められることがある。また、これらの症状により転倒等を伴うことがあるため、十分に注意すること。
- 8.2 通常、中等度及び高度アルツハイマー型認知症では、自動車の運転等危険を伴う機械の操作能力が低下することがある。また、本剤により、めまい、傾眠等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
- 8.3 本剤投与により効果が認められない場合、漫然と投与しないこと。
14.適用上の注意
- 14.1 薬剤交付時の注意
- 本剤は、服用直前に水に懸濁し速やかに服用するが、粉末のまま水とともに服用することもできる。
7.用法及び用量に関連する注意
- 7.1 各有効成分に対するドライシロップとしての用量は次のとおりである。
有効成分 ドライシロップ 5mg 0.25g 10mg 0.5g 15mg 0.75g 20mg 1.0g
- 7.2 1日1回5mg(本剤0.25g)からの漸増投与は、副作用の発現を抑える目的であるので、維持量まで増量すること。
- 7.3 高度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス値:30mL/min未満)のある患者には、患者の状態を観察しながら慎重に投与し、維持量は1日1回10mg(本剤0.5g)とすること。[9.2.1、16.6.1参照]
- 7.4 医療従事者、家族等の管理の下で投与すること。
5.効能又は効果に関連する注意
- 5.1 アルツハイマー型認知症と診断された患者にのみ使用すること。
- 5.2 本剤がアルツハイマー型認知症の病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない。
- 5.3 アルツハイマー型認知症以外の認知症性疾患において本剤の有効性は確認されていない。
- 5.4 他の認知症性疾患との鑑別診断に留意すること。
16.薬物動態
- 16.1 血中濃度
- 16.1.1 単回投与
- (1)メマンチン塩酸塩ドライシロップ
- 健康成人男性にメマンチン塩酸塩ドライシロップ1g(1g中にメマンチン塩酸塩を20mg含有、水に懸濁して服用又は粉末のまま水で服用)又はメマンチン塩酸塩錠20mg(水で服用)を空腹時単回経口投与したとき、いずれの服用方法でも両製剤の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは同様であること、並びに両製剤が生物学的に同等であることが確認された。
- ドライシロップ2%1g(水に懸濁して服用)又は錠20mg(水で服用)を単回経口投与時の薬物動態パラメータ
投与量 n Cmax(ng/mL) Tmax(hr) AUC0-192h(ng・hr/mL) t1/2(hr) ドライシロップ2%1g(水に懸濁して服用) 19 27.3±3.89 5.16±1.89 1,890±315注1) 60.6±12.5 錠20mg(水で服用) 19 27.9±3.81 5.74±1.85 1,950±288 60.3±10.1 注1)n=18(mean±SD) - ドライシロップ2%1g(粉末のまま水で服用)又は錠20mg(水で服用)を単回経口投与時の薬物動態パラメータ
投与量 n Cmax(ng/mL) Tmax(hr) AUC0-192h(ng・hr/mL) t1/2(hr) ドライシロップ2%1g(粉末のまま水で服用) 22 27.7±3.94 4.68±1.76 1,890±266注2) 57.1±7.68注2) 錠20mg(水で服用) 22 28.5±3.70 4.95±2.17 1,880±271 57.3±8.07 注2)n=21(mean±SD)
- 健康成人男性にメマンチン塩酸塩ドライシロップ1g(1g中にメマンチン塩酸塩を20mg含有、水に懸濁して服用又は粉末のまま水で服用)又はメマンチン塩酸塩錠20mg(水で服用)を空腹時単回経口投与したとき、いずれの服用方法でも両製剤の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは同様であること、並びに両製剤が生物学的に同等であることが確認された。
- (2)メマンチン塩酸塩錠
- 健康成人男性に、メマンチン塩酸塩5、10及び20mgを空腹時単回経口投与したとき、最高血漿中濃度(Cmax)と血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)は投与量にほぼ比例して増加した。消失半減期(t1/2)は55.3~71.3時間であり、投与量による変化はみられなかった。
- メマンチン塩酸塩単回経口投与時の血漿中濃度の推移
- メマンチン塩酸塩単回経口投与時の薬物動態パラメータ
投与量 n Cmax(ng/mL) Tmax(hr) AUC(ng・hr/mL) t1/2(hr) 5mg 6 6.86±0.66 5.3±2.1 489.4±51.0 55.3±6.4 10mg 6 12.18±1.68 5.3±1.6 1,091.7±172.7 63.1±11.8 20mg 6 28.98±3.65 6.0±3.8 2,497.6±482.8 71.3±12.6 (mean±SD)
- 健康成人男性に、メマンチン塩酸塩5、10及び20mgを空腹時単回経口投与したとき、最高血漿中濃度(Cmax)と血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)は投与量にほぼ比例して増加した。消失半減期(t1/2)は55.3~71.3時間であり、投与量による変化はみられなかった。
- 16.1.2 反復投与
- アルツハイマー型認知症患者(10mg/日:11例、20mg/日:12例)に、メマンチン塩酸塩1日1回(朝食後)5mgから開始し、1週間ごとに5mgずつ漸増し10mg又は20mgを維持用量として24週間反復経口投与したとき、血漿中濃度は投与4週後ではほぼ定常状態に達しており、その時の血漿中濃度は10mg/日群で64.8~69.8ng/mL、20mg/日群で112.9~127.8ng/mLであった。
- 16.3 分布
- 16.3.1 脳脊髄液への移行性
- アルツハイマー型認知症患者にメマンチン塩酸塩1日1回(朝食後)5mgから開始し、1週間ごとに5mgずつ漸増し10mg又は20mgを維持用量として24週間反復経口投与したとき、脳脊髄液中濃度の血漿中濃度に対する比は10mg/日群で0.63、20mg/日群で0.72であった。
- 16.3.2 涙液への移行性
- 健康成人男性にメマンチン塩酸塩を空腹時に単回経口投与した場合、涙液中への移行が認められた。
- 16.3.3 ラット及びウサギにおける移行性
- ラットに14C-標識体を単回経口投与したとき、放射能は主として消化管内容物、陰茎、腎臓、尿路、肝臓、肺、副腎、涙腺、ハーダー氏腺、唾液腺及び脾臓に分布した。
ラットにメマンチン塩酸塩を混餌投与したとき、脳内メマンチンのAUCは血漿中メマンチンのAUCの18倍以上高かった。
- また、妊娠中のウサギに14C-標識体を単回静脈内投与したとき、放射能は胎児に移行した。授乳期のラットに14C-標識体を単回経口投与したとき、放射能は乳汁に移行した。[9.5、9.6参照]
- ラットに14C-標識体を単回経口投与したとき、放射能は主として消化管内容物、陰茎、腎臓、尿路、肝臓、肺、副腎、涙腺、ハーダー氏腺、唾液腺及び脾臓に分布した。
- 16.4 代謝
- 16.4.1 高齢男性にメマンチン塩酸塩20mgを単回経口投与したとき、投与後72時間以内に未変化体が34.1%、代謝物であるフラノース型グルクロン酸が結合した抱合体が2.2%尿中に排泄された。
- 16.4.2 メマンチン塩酸塩は、ヒトチトクロームP450(CYP)分子種を発現した細胞を用いた検討で、ヒトのP450で代謝されにくいことが示された。ヒト肝細胞においてCYP1A2、2C9、2E1、3A4及び3A5を誘導しなかった。臨床用量における血漿中濃度付近(1μmol/L)で、ヒト肝ミクロソームにおける各P450活性、エポキシド加水分解酵素(EH)活性、フラビン含有モノオキシゲナーゼ(FMO)活性、グルクロン酸転移酵素(UGT)活性及び硫酸転移酵素(SULT)活性を阻害しなかった(in vitro)。
- 16.5 排泄
- 健康成人男性に、メマンチン塩酸塩5mgを1日3回経口投与し、定常状態に到達した13日目の初回投与時に14C-標識体5mgを経口投与したところ、総放射能の尿中への累積排泄率は投与20日後までに83.2±11.7%であり、糞中への累積排泄率は7日後までに0.54±0.41%であった(外国人データ)。
- また、炭酸水素ナトリウムを併用し、尿pHをアルカリ性状態にした場合には、メマンチンの全身クリアランス(CL/F)は単独投与時と比べて大きく低下したとの報告がある(外国人データ)。[9.1.2、10.2参照]
- 16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1 腎機能障害患者での体内動態
- 本剤は腎排泄型の薬剤であり、腎機能が低下する程度に応じて、本剤のt1/2の延長とAUCの増大が認められている。[7.3、9.2参照]
- メマンチン塩酸塩10mg単回経口投与時の腎機能障害患者及び腎機能正常者における平均血漿中濃度の推移
- メマンチン塩酸塩10mg単回経口投与時の腎機能障害患者及び腎機能正常者での薬物動態パラメータ
腎機能(Ccr) 正常者(Ccr>80) 軽度障害患者(50≦Ccr≦80) 中等度障害患者(30≦Ccr<50) 高度障害患者(5≦Ccr<30) n 6 6 6 7 平均Ccr(推定値)(mL/min) 91.1 62.7 40.9 19.1 Cmax(ng/mL) 12.66±2.14 17.25±3.94 15.76±3.70 15.83±0.62 AUC(ng・hr/mL) 1,046±82 1,640±180 2,071±531 2,437±451 t1/2(hr) 61.2±7.5 83.0±17.0 100.1±16.3 124.3±21.0 CL/F(mL/min) 133.0±9.6 85.3±8.8 70.4±17.0 58.6±11.3 CLr(mL/min) 82.2±19.8 62.1±10.9 42.1±9.0 28.5±12.2 (mean±SD)
- 本剤は腎排泄型の薬剤であり、腎機能が低下する程度に応じて、本剤のt1/2の延長とAUCの増大が認められている。[7.3、9.2参照]
- 16.7 薬物相互作用
- 健康成人20例にメマンチン塩酸塩を漸増法(メマンチン塩酸塩5mgを3日間、続いて10mgを4日間投与後、20mgを14日間)により1日1回経口投与した後、メマンチン塩酸塩20mgとヒドロクロロチアジド(25mg)・トリアムテレン(50mg)配合剤を7日間併用したとき、ヒドロクロロチアジドのCmax及びAUCは単独投与時の約80%に低下した(外国人データ)。[10.2参照]