製品名 トリンテリックス錠10mg
トリンテリックス錠20mg
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- 一般名
- Vortioxetine Hydrobromide
- 薬効分類
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抗うつ・気分安定薬>抗うつ薬(その他)
- 価格
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10mg1錠:168.9円/錠
20mg1錠:253.4円/錠
- 製薬会社
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- 製造販売元:武田薬品工業株式会社
提携:ルンドベック・ジャパン株式会社
- 製造販売元:武田薬品工業株式会社
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効能・効果
用法・容量 -
効能・効果
- うつ病・うつ状態
用法・用量
- 通常、成人にはボルチオキセチンとして10mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により1日20mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて行うこと。
- 禁忌
-
【禁忌】
次の患者には投与しないこと
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩及びサフィナミドメシル酸塩)を投与中又は投与中止後14日間以内の患者(「相互作用」の項参照)
- 副作用
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- (いずれも頻度不明)
- セロトニン症候群
- 不安、焦燥、興奮、錯乱、発汗、下痢、発熱、高血圧、固縮、頻脈、ミオクローヌス、自律神経不安定等があらわれるおそれがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。セロトニン作用薬との併用時には、特に注意すること。(「相互作用」の項参照)
- 痙攣
- 痙攣があらわれるおそれがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
- 低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれるおそれがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。高齢者、肝硬変を有する患者、SIADH、低ナトリウム血症を起こすことが知られている薬剤を投与中の患者等では特に注意すること。
- 注意
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慎重投与
次の患者には慎重に投与すること
- 自殺念慮のある患者、自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者[自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。]
- 双極性障害患者[躁転、自殺企図があらわれることがある。]
- 脳の器質的障害又は統合失調症の素因のある患者[精神症状が増悪するおそれがある。]
- 衝動性が高い併存障害を有する患者[精神症状が増悪することがある。]
- てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣があらわれるおそれがある。]
- 出血傾向又は出血性素因のある患者[出血傾向が増強することがある。](「その他の副作用」の項参照)
- 緑内障又は眼内圧亢進の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
- 高齢者(「副作用」、「高齢者への投与」の項参照)
- 小児(「小児等への投与」の項参照)
重要な基本的注意
- うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期及び投与量を変更する際には、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。
- 不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。
- 自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する際には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。
- 家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患の悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。
- 投与中止(突然の中止)により、不安、焦燥、興奮、浮動性めまい、錯感覚、頭痛及び悪心等があらわれることが報告されている。投与を中止する際には患者の状態を観察しながら慎重に行うこと。
- 眠気、めまい等があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。また、これらの症状を自覚した場合には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう患者に指導すること。
適用上の注意
- 薬剤交付時
- PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
用法用量に関連する使用上の注意
- 本剤の投与量は必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節すること。
- CYP2D6の阻害作用を有する薬剤を投与中の患者又は遺伝的にCYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者(Poor Metabolizer)では、本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるため、10mgを上限とすることが望ましい。投与に際しては、患者の状態を注意深く観察し、慎重に投与すること。(「相互作用」、【薬物動態】の項参照)
効能効果に関連する使用上の注意
- 抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。(「その他の注意」の項参照)
- 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)及びノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ剤(NaSSA)において、海外で実施された18歳以下の大うつ病性障害患者を対象としたプラセボ対照臨床試験において有効性が確認できなかったとの報告がある。本剤を18歳未満の大うつ病性障害患者に投与する際には適応を慎重に検討すること。(「小児等への投与」の項参照)
高齢者への投与
- 一般的に高齢者では生理機能が低下していることが多く、また、低ナトリウム血症、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)の危険性が高くなることがあるので慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
- [1)妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。2)ラット及びウサギの胚・胎児発生毒性試験において、催奇形作用及び胎児生存率への影響は認められなかった。なお、母動物に毒性がみられる用量(ラット及びウサギにおいて、最大臨床用量(20mg/日)におけるボルチオキセチンの曝露量(AUC)のそれぞれ30倍以上及び1倍未満の曝露量)において、胎児体重の減少及び骨化の遅延が認められている。また、ラットを用いた出生前及び出生後の発生並びに母体の機能に関する試験では、最大臨床用量(20mg/日)におけるボルチオキセチンの曝露量(Cmax)の8.4倍以上の曝露量で出生児の体重増加不良、発達遅延及び死亡率の増加が認められている。3)妊娠末期にSSRI又はSNRIを投与された婦人が出産した新生児において、入院期間の延長、呼吸補助、経管栄養を必要とする、離脱症状と同様の症状が出産直後にあらわれたとの報告がある。4)海外の疫学調査において、妊娠中にSSRIを投与された婦人が出産した新生児において、新生児遷延性肺高血圧症のリスクが増加したとの報告がある。このうち1つの調査では、妊娠34週以降に生まれた新生児における新生児遷延性肺高血圧症発生のリスク比は、妊娠早期の投与では2.4(95%信頼区間1.2-4.3)、妊娠早期及び後期の投与では3.6(95%信頼区間1.2-8.3)であった。]
- 授乳中の婦人には投与を避けることが望ましいが、やむを得ず投与する際には授乳を避けさせること。[ラットで乳汁中へ移行することが報告されている。]
小児等への投与
- 18歳未満の患者に対する有効性及び安全性は確立していない。
- 海外で実施された18歳以下の大うつ病性障害(DSM-IV※における分類)患者を対象とした、SSRI、SNRI及びNaSSAのプラセボ対照の臨床試験において有効性が確認できなかったとの報告がある。
- ※DSM-IV:American Psychiatric Association(米国精神医学会)のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders.4th edition(DSM-IV精神疾患の診断・統計マニュアル)
薬物動態
- 血中濃度
- 単回投与
- 健康成人男性(18例)にボルチオキセチンとして10mgを空腹時に単回投与したときのボルチオキセチンの血漿中濃度推移及び薬物動態学的パラメータは以下のとおり。
- 血漿中濃度推移
- 薬物動態学的パラメータ
投与量 Cmaxa)
(ng/mL)Tmaxb)
(h)AUC168a)
(h・ng/mL)T1/2a)
(h)10mg 3.923
(0.70785)12.0
(6‐14)289.9
(88.126)67.63
(18.516)a)平均値(標準偏差)b)中央値(最小-最大)
- 健康成人男性(18例)にボルチオキセチンとして10mgを空腹時に単回投与したときのボルチオキセチンの血漿中濃度推移及び薬物動態学的パラメータは以下のとおり。
- 反復投与
- 健康成人男性(6例)に、ボルチオキセチンとして10mgを12日間投与したときのボルチオキセチンの血漿中濃度推移及び薬物動態学的パラメータは以下のとおり。
- 血漿中濃度推移
- 薬物動態学的パラメータ
投与量 Cmaxa)
(ng/mL)Tmaxb)
(h)AUC24a)
(h・ng/mL)T1/2a)
(h)10mg 21.15
(4.0451)8.0
(6-12)431.7
(76.023)65.06
(13.276)a)平均値(標準偏差)b)中央値(最小-最大)
- 健康成人男性(6例)に、ボルチオキセチンとして10mgを12日間投与したときのボルチオキセチンの血漿中濃度推移及び薬物動態学的パラメータは以下のとおり。
- 吸収
- バイオアベイラビリティ(外国人データ)
- 健康成人(22例)に対しボルチオキセチンとして単回経口投与(20mg)及び静脈内投与(10mg)したときの、絶対的バイオアベイラビリティは74.9%であった。
- 食事の影響
- 健康成人男性(18例)に対しボルチオキセチンとして10mgを空腹時又は食後に投与したとき、Cmax及びAUCは統計学的有意差は認められず、食事の影響は認められなかった。
- 分布
- ボルチオキセチンは血管外に広く分布する。in vitroでの血漿タンパク結合率は98.2~99.3%であった。
健康成人を対象とした母集団集団解析の結果、見かけの分布容積は約2600Lであった。
- ボルチオキセチンは血管外に広く分布する。in vitroでの血漿タンパク結合率は98.2~99.3%であった。
- 代謝
- 主に酸化及びグルクロン酸抱合により広範な代謝を受ける。ボルチオキセチンの代謝には複数のCYP分子種(CYP2D6、CYP3A4/5、CYP2C19、CYP2C9、CYP2A6、CYP2C8及びCYP2B6)が関与する。ボルチオキセチンはP-糖蛋白質の基質である可能性は低く、P-糖蛋白質の弱い阻害作用を示す。健康被験者を対象とした母集団薬物動態解析の結果、本剤の血中濃度は、CYP2D6の遺伝子型がExtensive Metabolizerの患者と比較して、Poor Metabolizerの患者で約2倍になることが想定された。
- 排泄(外国人データ)
- 未変化体はほぼ検出されず、代謝物は主に尿中及び糞便中に排泄された。健康成人男性(6例)にボルチオキセチンとして50mg注3)を単回投与したとき、投与360時間後までに総放射能の約59%が尿中に26%が糞便中に排泄された。
- 腎機能障害者(外国人データ)
- ボルチオキセチンとして10mgを投与したとき、軽度腎機能障害患者(Cockcroft-Gaultの式で求めたクレアチニンクリアランス51~80mL/min)(8例)において、健康成人と比較しボルチオキセチンのAUCは9.13%高く、Cmaxは10.50%低かった。中等度腎機能障害患者(30~50mL/min)(8例)において、健康成人と比較しボルチオキセチンのAUCは16.03%高かったが、Cmaxは同程度であった。高度腎機能障害患者(30mL/min未満)(9例)において、健康成人と比較しボルチオキセチンのAUC及びCmaxはそれぞれ10.52%及び8.18%高かった。
- 肝機能障害者(外国人データ)
- ボルチオキセチンとして10mgを投与したとき、軽度肝機能障害患者(Child-Pugh分類で重症度分類でClass A)(8例)において、健康成人と比較しボルチオキセチンのAUC及びCmaxはそれぞれ9.07%及び14.45%低かった。中等度肝機能障害患者(Class B)(8例)において、健康成人と比較しボルチオキセチンのAUC及びCmaxはそれぞれ1.93%及び16.12%低かった。ボルチオキセチンとして5mg注3)を投与したとき、高度肝機能障害患者(Class C)(6例)において、健康成人と比較しボルチオキセチンのAUCは10%高く、Cmaxは24%低かった。
- 高齢者
- ボルチオキセチンとして10mgを投与したとき、ボルチオキセチンの曝露量は、高齢男性のほうが成人男性に比べ約9%高かった。
- 薬物間相互作用
- CYP2D6阻害薬
- 健康成人(28例)にボルチオキセチン10mg 1日1回とBupropion(本邦未承認薬)150mgを1日2回反復併用投与したとき、ボルチオキセチンのAUC24及びCmaxは、単独投与時に比べ2.3倍及び2.1倍に増加した。(外国人データ)
- 肝薬物代謝酵素の誘導作用を有する薬剤
- 健康成人(14例)にリファンピシン600mg反復投与時にボルチオキセチン20mgを単回単独投与したとき、ボルチオキセチンの単回投与時に比べてリファンピシン併用投与時のボルチオキセチンのAUCは77.20%低かった。(外国人データ)
- 注3)本剤の国内承認用量:1日1回10mg、患者の状態により1日20mgを超えない範囲で適宜増減する。