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プレガバリンOD錠25mg「オーハラ」、他

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • ○神経障害性疼痛
  • ○線維筋痛症に伴う疼痛

用法・用量

  • <神経障害性疼痛>

    • 通常、成人には初期用量としてプレガバリン1日150mgを1日2回に分けて経口投与し、その後1週間以上かけて1日用量として300mgまで漸増する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最高用量は600mgを超えないこととし、いずれも1日2回に分けて経口投与する。
  • <線維筋痛症に伴う疼痛>

    • 通常、成人には初期用量としてプレガバリン1日150mgを1日2回に分けて経口投与し、その後1週間以上かけて1日用量として300mgまで漸増した後、300~450mgで維持する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最高用量は450mgを超えないこととし、いずれも1日2回に分けて経口投与する。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 重度のうっ血性心不全の患者
心血管障害を有する患者において、うっ血性心不全があらわれることがある。[11.1.2参照]
9.1.2 血管浮腫の既往がある患者[11.1.5参照]
9.1.3 薬物依存の傾向のある患者又は既往歴のある患者、精神障害のある患者
依存の兆候がないかを観察し、慎重に投与すること。[15.1.2参照]
9.2 腎機能障害患者
クレアチニンクリアランス値を参考として本剤の投与量及び投与間隔を調節すること。本剤は主として未変化体が尿中に排泄されるため、血漿中濃度が高くなり副作用が発現しやすくなるおそれがある。[7.2、9.8.1、16.6.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験で、胎児異常(低体重、限局性浮腫の発生率上昇、骨格変異、骨化遅延等)、出生児への影響(体重低下、生存率の低下、聴覚性驚愕反応の低下、発育遅延、生殖能に対する影響等)が報告されている。
9.6 授乳婦
本剤投与中は授乳を避けさせること。本剤はヒト母乳中への移行が認められている。[16.6.4参照]
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。幼若ラットでは本薬の感受性が高く、最大臨床用量(600mg/日)と同等の曝露において、中枢神経症状(自発運動亢進及び歯ぎしり)及び成長への影響(一過性の体重増加抑制)が報告されている。また、最大臨床用量の2倍を超える曝露で聴覚性驚愕反応の低下が、約5倍の曝露で発情休止期の延長が報告されている。
9.8 高齢者
9.8.1 クレアチニンクリアランス値を参考に投与量、投与間隔を調節するなど、慎重に投与すること。腎機能が低下していることが多い。[7.2、9.2、16.6.2参照]
9.8.2 めまい、傾眠、意識消失等により転倒し骨折等を起こした例がある。[11.1.1参照]

8.重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 本剤の投与によりめまい、傾眠、意識消失等があらわれ、自動車事故に至った例もあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。[11.1.1参照]
8.2 本剤の急激な投与中止により、不眠、悪心、頭痛、下痢、不安及び多汗症等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、少なくとも1週間以上かけて徐々に減量すること。[7.1参照]
8.3 本剤の投与により体重増加を来すことがあるので、肥満に注意し、肥満の徴候があらわれた場合は、食事療法、運動療法等の適切な処置を行うこと。特に、投与量の増加、あるいは長期投与に伴い体重増加が認められることがあるため、定期的に体重計測を実施すること。
8.4 本剤の投与により、弱視、視覚異常、霧視、複視等の眼障害が生じる可能性があるので、診察時に、眼障害について問診を行う等注意し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。[15.2.2参照]
<神経障害性疼痛>
8.5 本剤による神経障害性疼痛の治療は原因療法ではなく対症療法であることから、疼痛の原因となる疾患の診断及び治療を併せて行い、本剤を漫然と投与しないこと。

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
14.1.2 本剤は舌の上にのせて唾液を湿潤させると崩壊するため、水なしで服用可能である。また、水で服用することもできる。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤の投与を中止する場合には、少なくとも1週間以上かけて徐々に減量すること。[8.2参照]
7.2 腎機能障害患者に本剤を投与する場合は、下表に示すクレアチニンクリアランス値を参考として本剤の投与量及び投与間隔を調節すること。また、血液透析を受けている患者では、クレアチニンクリアランス値に応じた1日用量に加えて、血液透析を実施した後に本剤の追加投与を行うこと。複数の用量が設定されている場合には、低用量から開始し、忍容性が確認され、効果不十分な場合に増量すること。なお、ここで示している用法・用量はシミュレーション結果に基づくものであることから、各患者ごとに慎重に観察しながら、用法・用量を調節すること。[9.2、9.8.1、16.6.2参照]
<神経障害性疼痛>
クレアチニンクリアランス(mL/min)≧60≧30-<60≧15-<30<15血液透析後の補充用量注)
1日投与量150~600mg75~300mg25~150mg25~75mg
初期用量1回75mg1日2回1回25mg1日3回
又は
1回75mg1日1回
1回25mg1日1回もしくは2回
又は
1回50mg1日1回
1回25mg1日1回25又は50mg
維持量1回150mg1日2回1回50mg1日3回
又は
1回75mg1日2回
1回75mg1日1回1回25又は50mg1日1回50又は75mg
最高投与量1回300mg1日2回1回100mg1日3回
又は
1回150mg1日2回
1回75mg1日2回
又は
1回150mg1日1回
1回75mg1日1回100又は150mg
注)2日に1回、本剤投与6時間後から4時間血液透析を実施した場合のシミュレーション結果に基づく。
<線維筋痛症に伴う疼痛>
クレアチニンクリアランス(mL/min)≧60≧30-<60≧15-<30<15血液透析後の補充用量注)
1日投与量150~450mg75~225mg25~150mg25~75mg
初期用量1回75mg1日2回1回25mg1日3回
又は
1回75mg1日1回
1回25mg1日1回もしくは2回
又は
1回50mg1日1回
1回25mg1日1回25又は50mg
維持量1回150mg1日2回1回50mg1日3回
又は
1回75mg1日2回
1回75mg1日1回1回25又は50mg1日1回50又は75mg
維持量(最高投与量)1回225mg1日2回1回75mg1日3回1回100もしくは125mg1日1回
又は
1回75mg1日2回
1回50又は75mg1日1回75又は100mg
注)2日に1回、本剤投与6時間後から4時間血液透析を実施した場合のシミュレーション結果に基づく。

5.効能又は効果に関連する注意

<線維筋痛症に伴う疼痛>
線維筋痛症の診断は、米国リウマチ学会の分類(診断)基準等の国際的な基準に基づき慎重に実施し、確定診断された場合にのみ投与すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人健康成人に、プレガバリン50、100、200、250及び300mg(各投与量6例)を絶食時に単回経口投与した時、投与後約1時間でCmaxに達し、t1/2は約6時間であった。Cmax及びAUC0-∞は、300mgまでの用量範囲で、用量に比例して増加した。
投与量(mg)Cmax(μg/mL)tmax(h)AUC0-∞(μg・h/mL)t1/2(h)CL/F(L/h)Vd/F(L)Ae(%)
502.03(0.40)0.67(0.26)10.7(1.1)5.98(0.65)4.72(0.44)40.6(4.9)83.9(5.4)
1003.56(0.67)0.75(0.27)20.4(1.3)5.66(0.59)4.93(0.35)40.3(6.4)95.0(2.7)
2006.35(0.73)1.00(0.32)43.2(3.0)5.93(0.32)4.64(0.32)39.7(2.7)91.8(2.6)
2507.18(1.43)1.17(0.52)49.2(6.1)5.57(0.72)5.15(0.61)41.0(3.8)95.6(4.4)
3008.25(1.36)1.08(0.38)61.7(6.3)5.80(0.62)4.91(0.52)40.9(4.3)97.7(7.3)
絶食時投与、各6例、平均値±S.D.Cmax:最高血漿中濃度tmax:最高血漿中濃度到達時間AUC0-∞:血漿中濃度-時間曲線下面積t1/2:血漿中濃度半減期CL/F:見かけの全身クリアランスVd/F:見かけの分布容積Ae(%):単回投与後60時間までの未変化体の尿中排泄率
16.1.2 反復投与
日本人健康成人にプレガバリン1回150及び300mg(各投与量8例)を1日2回7日間反復経口投与した時、投与後24~48時間で定常状態に達し、投与7日目のt1/2はそれぞれ6.02及び6.31時間であった。投与7日目のAUC0-12は、投与第1日目の1.4倍であった。
Cmax(μg/mL)tmax(h)AUC0-12(μg・h/mL)t1/2(h)
第1日第7日第1日第7日第1日第7日第1日第7日
1回150mg(1日2回)4.23(0.72)6.30(0.74)1.3(1.1)0.9(0.4)22.2(1.9)31.6(3.6)5.11(0.69)6.02(0.47)
1回300mg(1日2回)8.82(2.34)10.3(2.3)1.6(1.0)1.6(0.8)42.1(6.9)58.8(10.6)5.42(0.87)6.31(0.54)
平均値±S.D.、各8例
16.1.3 生物学的同等性試験
<プレガバリンOD錠25mg「オーハラ」>
プレガバリンOD錠25mg「オーハラ」とリリカOD錠25mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(プレガバリンとして25mg)健康成人男子に絶食後、水なし及び水あり単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
薬物動態パラメータ
nAUC0→48(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)tmax(hr)t1/2(hr)
水なし投与プレガバリンOD錠25mg「オーハラ」184998±973923.3±201.30.88±0.485.54±0.39
リリカOD錠25mg185069±1076860.2±207.60.97±0.605.60±0.55
水あり投与プレガバリンOD錠25mg「オーハラ」184889±556866.1±193.10.74±0.415.98±0.47
リリカOD錠25mg184914±483893.4±206.00.65±0.275.97±0.48
(平均値±S.D.)
プレガバリンOD錠25mg「オーハラ」(水なし投与)
血漿中プレガバリン濃度の推移
プレガバリンOD錠25mg「オーハラ」(水あり投与)
血漿中プレガバリン濃度の推移
<プレガバリンOD錠75mg「オーハラ」>
プレガバリンOD錠75mg「オーハラ」とリリカOD錠75mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(プレガバリンとして75mg)健康成人男子に絶食後、水なし及び水あり単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
薬物動態パラメータ
nAUC0→48(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)tmax(hr)t1/2(hr)
水なし投与プレガバリンOD錠75mg「オーハラ」2315940±21772598±5561.13±0.745.99±0.59
リリカOD錠75mg2315510±20952513±6061.09±0.675.89±0.56
水あり投与プレガバリンOD錠75mg「オーハラ」2216150±19112680±6330.83±0.616.12±0.76
リリカOD錠75mg2215920±19482472±4380.71±0.246.03±0.67
(平均値±S.D.)
プレガバリンOD錠75mg「オーハラ」(水なし投与)
血漿中プレガバリン濃度の推移
プレガバリンOD錠75mg「オーハラ」(水あり投与)
血漿中プレガバリン濃度の推移
<プレガバリンOD錠150mg「オーハラ」>
プレガバリンOD錠150mg「オーハラ」とリリカOD錠150mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(プレガバリンとして150mg)健康成人男子に絶食後、水なし及び水あり単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
薬物動態パラメータ
nAUC0→48(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)tmax(hr)t1/2(hr)
水なし投与プレガバリンOD錠150mg「オーハラ」2434040±43395632±15261.35±0.686.29±0.53
リリカOD錠150mg2433990±44535614±12551.34±0.756.32±0.55
水あり投与プレガバリンOD錠150mg「オーハラ」2332280±34745568±9700.77±0.436.09±0.57
リリカOD錠150mg2332320±38635495±11120.84±0.376.13±0.65
(平均値±S.D.)
プレガバリンOD錠150mg「オーハラ」(水なし投与)
血漿中プレガバリン濃度の推移
プレガバリンOD錠150mg「オーハラ」(水あり投与)
血漿中プレガバリン濃度の推移
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、血液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
日本人健康成人19例において、絶食時及び食後にプレガバリンを150mg単回経口投与した時のCmaxはそれぞれ4.95及び3.22μg/mL、tmaxは0.947及び3.37時間、AUC0-48はそれぞれ31.2及び28.8μg・h/mLであった。食後投与においてCmaxは約35%低下し、tmaxは約2.4時間延長したが、AUC0-48の低下は約8%であった。
16.3 分布
日本人健康成人に、プレガバリン50、100、200、250及び300mg(各投与量6例)を絶食時に単回経口投与した時の見かけの分布容積(Vd/F)は約40Lであった。プレガバリンは血球に移行し、血漿中濃度に対する全血中濃度の比は、0.76であった。プレガバリンは、0.1~20μg/mLにおいて血漿蛋白に、ほとんど結合しなかった(in vitro試験)。
16.4 代謝
プレガバリンはほとんど代謝を受けない。健康成人(外国人6例)に14C-プレガバリン100mg(107.9μCi)投与後、尿中に回収された放射能の約99%が未変化体であった。尿中に検出されたプレガバリンの主要代謝物であるN-メチル誘導体は尿中に投与量の0.9%として回収された。In vitro試験において、プレガバリン159μg/mL(1mM、600mg/日投与時の定常状態のCmaxの約10倍)でCYP1A2、CYP2A6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1及びCYP3A4に対する阻害は認められなかった。
16.5 排泄
日本人健康成人に、プレガバリン50、100、200、250及び300mg(各投与量6例)を絶食時に単回経口投与した時のCL/Fは4.64~5.15L/hであった。この時の尿中排泄率は83.9~97.7%であった。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 高齢者
年齢が67~78歳の日本人健康高齢者6例にプレガバリン100mgを単回経口投与した時、tmaxは1.4時間、t1/2は6.32時間であった。AUC0-∞及びt1/2は、健康非高齢者にプレガバリン100mgを単回経口投与した時と比較してわずかに増大及び延長する傾向が確認された。
Cmax(μg/mL)tmax(h)AUC0-∞(μg・h/mL)t1/2(h)CL/F(L/h)
健康高齢者3.24(0.55)1.4(0.5)26.6(4.3)6.32(0.82)3.82(0.65)
健康非高齢者3.56(0.67)0.75(0.27)20.4(1.3)5.66(0.59)4.93(0.35)
絶食時投与、各6例、平均値±S.D.
16.6.2 腎機能障害患者
(1)腎機能の異なる被験者26例を対象に、プレガバリン50mgを単回経口投与した時、腎機能の低下に従ってt1/2が延長し、AUC0-∞が増加した。CL/F及び腎クリアランス(CLr)はクレアチニンクリアランスに比例した(外国人データ)。
クレアチニンクリアランスCmax(μg/mL)tmax(h)AUC0-∞(μg・h/mL)t1/2(h)CL/F(mL/min)CLr(mL/min)
≧60mL/min(n=11)1.86(0.39)1.00(0.22)15.9(4.4)9.11(2.83)56.5(17.6)44.9(23.6)
≧30-<60mL/min(n=7)1.53(0.29)1.29(0.39)28.2(5.0)16.7(4.1)30.6(7.3)15.4(7.7)
≧15-<30mL/min(n=7)1.90(0.62)1.93(1.48)52.3(11.7)25.0(6.7)16.7(3.9)9.23(3.37)
<15mL/min(n=1)1.691.0010148.78.304.30
投与量:50mg(単回)、平均値±S.D.CLr:腎クリアランス
(2)母集団薬物動態解析
838例の被験者(日本人474例を含む:健康被験者70例、帯状疱疹後神経痛患者26例、糖尿病性末梢神経障害に伴う疼痛を有する患者154例及び線維筋痛症患者224例)を対象として母集団薬物動態解析を実施した結果、一次吸収を含む1-コンパートメントモデルが構築され、共変量としてCL/Fに対してクレアチニンクリアランス(CLcr)及び理想体重、Vd/Fに対してBMI、理想体重、性別及び年齢が同定されたが、プレガバリンの薬物動態に影響を与える因子としてはCL/Fに対するCLcrが重要であると考えられた。腎機能障害患者において、CLcrの低下により、プレガバリンのCL/Fは低下するため、CLcr値を参考とした用法・用量の調節が必要である。
また、日本人の糖尿病性末梢神経障害に伴う疼痛患者において、CLcrが30mL/min以上60mL/min未満に低下している患者にプレガバリン150mgを1日2回反復経口投与(300mg/日)したときの定常状態におけるAUC0-12(AUC0-12,SS)のモデルによる推定値は、CLcrが60mL/min以上の患者にプレガバリン300mgを1日2回反復経口投与(600mg/日)したときと同じであった。CLcrが30mL/min以上60mL/min未満の患者におけるプレガバリンのクリアランスは、CLcrが60mL/min以上の患者の約半分であった。[7.2、9.2、9.8.1参照]
クレアチニンクリアランス投与量AUC0-12,ss(μg・h/mL)CL/F(mL/min)
≧60mL/min(n=31)1回300mg(1日2回)86.1(27.8)63.6(18.5)
≧30-<60mL/min(n=14)1回150mg(1日2回)85.7(22.6)31.1(8.11)
平均値±S.D.
16.6.3 血液透析患者
血液透析を受けている被験者12例にプレガバリン50mgを単回経口投与した時、4時間の血液透析により血漿中プレガバリン濃度は約50%まで減少した。その時の透析クリアランスは192mL/minであった(外国人データ)。[13.2参照]
16.6.4 授乳婦
産後12週間以上の授乳婦(10例)に、プレガバリン150mgを12時間ごとに投与(300mg/日)した時、プレガバリンは母乳に移行し、母乳中の定常状態における平均濃度は、母体血漿中の約76%であった。乳児の平均母乳摂取量を150mL/kg/日と仮定すると、プレガバリンの乳児への1日あたりの平均曝露量は0.31mg/kg/日(体重換算すると母体投与量の約7%)と推定される(外国人データ)。[9.6参照]
16.7 薬物相互作用
プレガバリンは主として未変化体のまま尿中に排泄され、ヒトにおいてほとんど代謝されることなく、また血漿蛋白にも結合しないため、プレガバリンが薬物相互作用を引き起こす可能性は低い(外国人データ)。
16.7.1 ガバペンチン
プレガバリンとガバペンチンの薬物相互作用について、健康成人11例を対象にプレガバリン100mg及びガバペンチン300mgを単回投与した試験、及び健康成人18例にプレガバリン100mg及びガバペンチン400mgを反復投与(投与間隔:8時間)した試験を実施して検討した。その結果、単回投与及び反復投与のいずれにおいても、プレガバリンの併用によってガバペンチンの薬物動態は変化しなかった。また、プレガバリンの吸収速度はガバペンチン併用によってわずかに低下したが、吸収量には影響がなかった。
16.7.2 経口避妊薬(酢酸ノルエチンドロン及びエチニルエストラジオールの合剤)
健康成人女性16例を対象に経口避妊薬(酢酸ノルエチンドロン1mg及びエチニルエストラジオール0.035mgの合剤1日1回)とプレガバリン(1回200mg1日3回)を同時に経口投与した時、プレガバリン併用時のノルエチンドロンのCmaxはプレガバリン非併用時と比較して変化せず、プレガバリン併用時のAUC0-24はプレガバリン非併用時と比較して16%増加し、プレガバリンはノルエチンドロンの薬物動態に影響を及ぼさなかった。プレガバリン併用時のエチニルエストラジオールのCmax及びAUC0-24は、プレガバリン非併用時と比較してそれぞれ5%及び14%増加し、プレガバリンはエチニルエストラジオールの薬物動態に影響を及ぼさなかった。また、経口避妊薬はプレガバリンの血漿中濃度(トラフ値)に影響を及ぼさなかった。
16.7.3 ロラゼパム
健康成人12例を対象にプレガバリン(1回300mg1日2回)を反復経口投与後、ロラゼパム(1mg)を併用投与した時、ロラゼパムのCmax及びAUC0-∞は、プレガバリン非併用時と比較してそれぞれ6%及び8%増加し、プレガバリンはロラゼパムの薬物動態に影響を及ぼさなかった。また、ロラゼパム併用時のプレガバリンのCmaxは、ロラゼパム非併用時より2%増加し、AUC0-12は1.8%低く、ロラゼパムはプレガバリンの薬物動態に影響を与えなかった。プレガバリンとロラゼパムの併用により、認知機能及び粗大運動機能における反応速度や正答率等が、単剤投与時に比べて相加的に低下する傾向が認められた。
16.7.4 オキシコドン
健康成人12例を対象にプレガバリン(1回300mg1日2回)を反復経口投与後、オキシコドン(10mg)を併用投与した時、オキシコドンのCmax及びAUC0-∞は、プレガバリン非併用時と比較してそれぞれ1.1%及び9.5%減少し、プレガバリンはオキシコドンの薬物動態に影響を及ぼさなかった。また、オキシコドン併用時のプレガバリンのCmaxは、オキシコドン非併用時より4.5%低かったが、AUC0-12は同程度であり、オキシコドンはプレガバリンの薬物動態に影響を与えなかった。プレガバリンとオキシコドンの併用により、認知機能及び粗大運動機能における反応速度や正答率等が、単剤投与時に比べて相加的に低下する傾向が認められた。
16.7.5 エタノール
健康成人13例を対象にプレガバリン(1回300mg1日2回)を反復経口投与後、エタノール(0.70g/kg)を併用投与した時、エタノールのCmax及びAUC0-∞は、プレガバリン非併用時と比較してそれぞれ8.9%及び9.6%減少し、プレガバリンはエタノールの薬物動態に影響を及ぼさなかった。また、エタノール併用時のプレガバリンのCmax及びAUC0-12は、エタノール非併用時と比較してそれぞれ21%及び1%高かったが、この差は臨床上問題となる差ではないと考えられた。プレガバリンとエタノールの併用により、認知機能及び粗大運動機能における反応速度や正答率等が、単剤投与時に比べて相加的に低下する傾向が認められた。
16.7.6 フェニトイン
フェニトイン単剤の維持投与により症状が安定している成人部分てんかん患者10例を対象にプレガバリン(1回200mg1日3回)を反復経口投与した時、プレガバリンはフェニトインの血漿中濃度(トラフ値)に影響を及ぼさず、またフェニトインもプレガバリンの薬物動態に影響を与えなかった。
16.7.7 カルバマゼピン
カルバマゼピン単剤を維持投与されている成人てんかん患者12例を対象にプレガバリン(1回200mg1日3回)を反復経口投与した時、プレガバリンはカルバマゼピン及びその代謝物(10,11-エポキシド体)の血漿中濃度(トラフ値)に影響を及ぼさず、またカルバマゼピンもプレガバリンの薬物動態に影響を与えなかった。
16.7.8 バルプロ酸
バルプロ酸ナトリウム単剤を維持投与されている成人てんかん患者12例を対象にプレガバリン(1回200mg1日3回)を反復経口投与した時、プレガバリンはバルプロ酸の血漿中濃度(トラフ値)に影響を及ぼさず、またバルプロ酸もプレガバリンの薬物動態に影響を与えなかった。
16.7.9 ラモトリギン
ラモトリギンを単剤で維持投与されている成人てんかん患者12例を対象にプレガバリン(1回200mg1日3回)を反復経口投与した時、プレガバリンはラモトリギンの血漿中濃度(トラフ値)に影響を及ぼさず、またラモトリギンもプレガバリンの薬物動態に影響を与えなかった。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
中枢神経抑制剤
オピオイド系鎮痛剤
呼吸不全、昏睡がみられたとの報告がある。機序不明
オキシコドン
ロラゼパム
アルコール(飲酒)
認知機能障害及び粗大運動機能障害に対して本剤が相加的に作用するおそれがある。相加的な作用による
血管浮腫を引き起こす薬剤(アンジオテンシン変換酵素阻害薬等)血管浮腫との関連性が示されている薬剤を服用している患者では、血管浮腫(顔面、口、頸部の腫脹など)を発症するリスクが高まるおそれがある。機序不明
末梢性浮腫を引き起こす薬剤(チアゾリジン系薬剤等)チアゾリジン系薬剤と本剤の併用により末梢性浮腫を発症するリスクが高まるおそれがある。また、チアゾリジン系薬剤は体重増加又は体液貯留を引き起こし、心不全が発症又は悪化することがあるため、本剤と併用する場合には慎重に投与すること。機序不明

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 めまい(20%以上)、傾眠(20%以上)、意識消失(0.3%未満)
めまい、傾眠、意識消失があらわれ、転倒し骨折等に至ったとの報告がある。[8.1、9.8.2参照]
11.1.2 心不全(0.3%未満)、肺水腫(頻度不明)
心不全のリスクがある患者では、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[9.1.1参照]
11.1.3 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
11.1.4 腎不全(0.1%未満)
11.1.5 血管浮腫(頻度不明)
血管浮腫等の過敏症があらわれることがある。[9.1.2参照]
11.1.6 低血糖(0.3%未満)
脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、意識障害等の低血糖症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.7 間質性肺炎(頻度不明)
咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状を十分に観察し、異常が認められた場合には胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.8 ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(0.1%未満)
11.1.9 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)、多形紅斑(頻度不明)
11.1.10 劇症肝炎(頻度不明)、肝機能障害(0.4%)
劇症肝炎、AST、ALT上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

1%以上0.3%以上1%未満0.3%未満頻度不明
血液及びリンパ系障害好中球減少症、白血球減少症血小板減少症
代謝及び栄養障害食欲不振、食欲亢進、高脂血症高血糖
精神障害不眠症錯乱、失見当識、多幸気分、異常な夢、幻覚うつ病、落ち着きのなさ、気分動揺、抑うつ気分、無感情、不安、リビドー消失、睡眠障害、思考異常離人症、無オルガズム症、激越、喚語困難、リビドー亢進、パニック発作、脱抑制
神経系障害浮動性めまい、頭痛、平衡障害、運動失調振戦、注意力障害、感覚鈍麻、嗜眠、構語障害、記憶障害、健忘、錯感覚、協調運動異常鎮静、認知障害、ミオクローヌス、反射消失、ジスキネジー、精神運動亢進、体位性めまい、知覚過敏、味覚異常、灼熱感、失神、精神的機能障害、会話障害昏迷、嗅覚錯誤、書字障害
眼障害霧視、複視、視力低下視覚障害、網膜出血視野欠損、眼部腫脹、眼痛、眼精疲労、流涙増加、光視症、斜視、眼乾燥、眼振眼刺激、散瞳、動揺視、深径覚の変化、視覚の明るさ、角膜炎
耳及び迷路障害回転性めまい耳鳴聴覚過敏
心臓障害動悸第一度房室ブロック、頻脈、洞性不整脈、洞性徐脈、心室性期外収縮洞性頻脈
血管障害高血圧、低血圧、ほてり
呼吸器、胸郭及び縦隔障害呼吸困難鼻咽頭炎、咳嗽、いびき、鼻出血、鼻炎鼻乾燥、鼻閉、咽喉絞扼感
胃腸障害便秘、悪心、下痢、腹痛、嘔吐腹部膨満、消化不良、鼓腸、胃炎、胃不快感、口内炎流涎過多、胃食道逆流性疾患、膵炎、舌腫脹腹水、嚥下障害
皮膚及び皮下組織障害発疹そう痒症、湿疹、眼窩周囲浮腫多汗症、冷汗、蕁麻疹、脱毛丘疹
筋骨格系及び結合組織障害筋力低下、筋痙縮、関節腫脹、四肢痛、背部痛筋肉痛、重感、関節痛、筋骨格硬直
腎及び尿路障害尿失禁、排尿困難尿閉乏尿
生殖系及び乳房障害乳房痛、勃起不全、女性化乳房射精遅延、性機能不全、無月経、乳房分泌、月経困難症、乳房肥大
全身障害及び投与局所様態浮腫、口渇、疲労、異常感、歩行障害、顔面浮腫無力症、疼痛、圧痕浮腫、倦怠感、胸痛発熱、冷感、悪寒、易刺激性、酩酊感胸部絞扼感
傷害、中毒及び処置合併症転倒・転落
臨床検査体重増加血中CK増加、ALT増加、AST増加、血中アミラーゼ増加、血中クレアチニン増加体重減少、血中尿酸増加血中カリウム減少
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