今日の臨床サポート

診断書交付の義務

著者: 中西泰造 福井赤十字病院 救急部

監修: 林寛之 福井大学医学部附属病院

著者校正/監修レビュー済:2021/02/24

概要・推奨   

  1. 診察を行った医師は、患者から診断書交付の求めがあった場合には、正当な理由がなければこれを拒んではならない。
  1. 医師は、自ら診察しないで治療をしたり、診断書や処方箋を交付してはならない。
  1. 公的機関に提出する診断書に虚偽の記載をした場合には、虚偽診断書作成罪となる。また、医師が公務員であった場合は、虚偽診断書作成罪ではなく、より罪の重い虚偽公文書作成罪が適用される。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
中西泰造 : 特に申告事項無し[2021年]
監修:林寛之 : 講演料(メディカ出版),原稿料(羊土社)[2021年]

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った(変更なし)。

まとめ

まとめ  
  1. 診察を行った医師は、患者から診断書交付の求めがあった場合には、正当な理由がなければこれを拒んではならない。
  1. 医師は、自ら診察しないで治療をしたり、診断書や処方箋を交付してはならない。
  1. 診断書交付を拒むことのできる正当な理由
  1. 個人情報漏洩や犯罪に使用される恐れのある場合
  1. 虚偽の記載をするよう求められた場合
  1. 患者や第三者などに病名や症状が知られると、診療上重大な支障が生ずる恐れがある場合
  1. 医師は医療を受ける者に対し、良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならない。その過程で患者から診断書の発行を求められる場合があるが、診断書は各種保険金の受け取り請求、刑事民事訴訟の際の証拠書類として用いられるなど、社会において重要な書類であるので慎重に記載する必要がある。
  1. 診療を行った医師は、診療に基づき責任を持って診断書を記載しなければならない。何のために必要な診断書なのかを確認し、それに応じて必要な内容を記載することが望ましい。
 
  1. 診断書に関連した法律として以下が挙げられる。
 
医師法第19条第1項
診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。
 
医師法第19条第2項
診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会つた医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があつた場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない。
 
医師法第20条
医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。
 
  1. 医師は、自分の診断に基づき診断書を記載する権限があるため、患者の求める内容と診断書が異なるからといって、交付しなかったことにはならない。万が一、公的機関に提出する診断書に虚偽の記載をした場合には、虚偽診断書作成罪として刑法第160条が適用される。また、医師が公務員であった場合は、虚偽診断書作成罪ではなく、より罪の重い虚偽公文書作成罪(刑法第156条)が適用される。
 
インフルエンザ診断書

感冒やインフルエンザの患者に対し診断書を書く機会は多いと思われるが、病名や加療期間などはなるべく具体的に書くよう心がける。
治癒説明書や陰性証明書の提出を求めることについては、インフルエンザの陰性を証明することは一般に困難であることや、患者の治療にあたる医療機関に過剰な負担をかける結果になることから、望ましくない。(新型インフルエンザ(A_H1N1)に関する事業者・職場のQ&A(平成21年10月30日)

出典

 
適応障害診断書

専門外だからという理由で診断書の作成を断ることはできないので、非精神科医でも精神疾患に対し診断書を書く機会があると思われる。ただし長期の加療期間を記載することは避けるべきで、専門的な治療や長期の治療が必要な場合には必ず専門医を紹介する。

出典

 
頚椎捻挫診断書

交通事故などで長期の加療が必要になる場合は、加害者への処分が重くなることがあり注意を要する。軽傷事故は治療を要する期間が30日未満の場合をいうが、15日以上か15日未満で処分が異なる。また重傷事故は治療を要する期間が3カ月以上か30日以上3カ月未満かで処分が異なる。

出典

 
流行性耳下腺炎診断書

学校保健安全法施行規則が2012年4月に改正され、流行性耳下腺炎の出席停止期間が
『耳下腺の腫脹が消失するまで』→『下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹が始まった後五日を経過し、かつ、全身状態が良好となるまで』
に変更になった。

出典

 
腸管出血性大腸菌感染症診断書

食品衛生法により医師は、疑い例を含む食中毒患者を診断した場合には直ちに最寄りの保健所長に届け出なくてはならない。
ただし微生物学的検査もせずに「食中毒」との診断書を発行することは、後にトラブルにつながる可能性があるので、慎むべきである。

出典

 
てんかん診断書

てんかん患者の自動車運転に関しては、日本神経学会よりガイドラインが発行されているので参考にして頂きたい。

出典

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