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タンボコール静注50mg

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 緊急治療を要する下記不整脈

    • 頻脈性不整脈
      (症候性の発作性心房細動・粗動、発作性上室性頻拍、心室頻拍、及び医師が生命に関わると判定した重症の心室性期外収縮)

用法・用量

  • 通常、成人には1回0.1~0.2mL/kg(フレカイニド酢酸塩として1.0~2.0mg/kg)を必要に応じてブドウ糖液で希釈し、血圧及び心電図監視下10分間かけて静脈内に注射する。
    なお、総投与量はフレカイニド酢酸塩として1回150mgまでとする。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 うっ血性心不全のある患者[本剤は陰性変力作用を有し、心不全症状を更に悪化させることがある。]
  • 2.2 高度の房室ブロック、高度の洞房ブロックのある患者[本剤は房室伝導、洞房伝導を抑制する作用を有し、刺激伝導を更に悪化させることがある。][9.1.2参照]
  • 2.3 心筋梗塞後の無症候性心室性期外収縮あるいは非持続型心室頻拍のある患者[突然死に関する臨床試験(CAST)の結果、このような患者では本薬の経口剤の投与により死亡率が増加するとの報告がある。][15.1.1参照]
  • 2.4 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]
  • 2.5 リトナビルを投与中の患者[10.1参照]
  • 2.6 ミラベグロンを投与中の患者[10.1参照]
  • 2.7 テラプレビルを投与中の患者[10.1参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 基礎心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)のある患者
本剤は陰性変力作用を有し、心機能を悪化させることがある。特に心不全を来すおそれのある患者では、少量を投与するなど投与量に注意し、慎重に観察しながら投与すること。心室頻拍の悪化、心室細動等が発現するおそれが高い。[8.1、11.1.1参照]
9.1.2 房室ブロック(高度を除く)、洞房ブロック(高度を除く)、脚ブロック等の刺激伝導障害のある患者
本剤は房室伝導、洞房伝導等を抑制する作用を有し、刺激伝導を更に悪化させることがある。[2.2参照]
9.1.3 著明な洞性徐脈のある患者
本剤は洞結節機能を抑制することがある。
9.1.4 うっ血性心不全の既往歴のある患者
本剤は陰性変力作用を有し、心機能を悪化させることがある。
9.1.5 血清カリウムの低下のある患者
催不整脈作用が生じやすく、高度の不整脈に発展するおそれがある。
9.1.6 遺伝性果糖不耐症の患者
本剤の添加剤D-ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されず、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発されるおそれがある。
9.1.7 ペースメーカー使用中、あるいは一時的ペーシング中の患者
少量を投与するなど投与量に注意し、慎重に観察しながら投与すること。[8.1参照]
本剤は心臓ペーシング閾値を上昇させる可能性がある。
9.1.8 他の抗不整脈薬を併用している患者
少量を投与するなど投与量に注意し、慎重に観察しながら投与すること。有効性、安全性が確立していない。[8.1参照]
9.2 腎機能障害患者
少量を投与するなど投与量に注意し、慎重に観察しながら投与すること。[8.1参照]
本剤は腎臓からの排泄により体内から消失する薬剤であり、本剤の薬物動態が変化する可能性がある。[16.5.1参照]
9.2.1 重篤な腎機能障害のある患者
過量投与になるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
少量を投与するなど投与量に注意し、慎重に観察しながら投与すること。[8.1参照]
本剤は肝臓で代謝される薬剤であり、本剤の薬物動態が変化する可能性がある。
9.3.1 重篤な肝機能障害のある患者
過量投与になるおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。本薬を経口投与したときの動物実験(ラット)において催奇形性が認められている。[2.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトにおいて乳汁中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
本剤の投与に際しては、必ず心電図及び血圧の連続監視を行い、少量(例えば0.05mL/kg;フレカイニド酢酸塩として0.5mg/kg)を投与するなど投与量に注意し、慎重に観察しながら投与すること。また、血圧低下、洞停止、胸部不快・圧迫感、QRS幅の増大、心室頻拍、PQの延長、房室ブロック、徐脈、動悸等の異常所見が認められた場合には、直ちに投与を中止すること。高齢者では、肝・腎機能が低下していることが多く、副作用が発現するおそれがある。[8.1参照]

8.重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 本剤の投与に際しては、必ず心電図及び血圧の連続監視を行い、PQの延長、QRS幅の増大、QTの延長、徐脈、洞停止、房室ブロック、血圧低下、動悸等の異常所見が認められた場合には、直ちに投与を中止すること。なお、本剤の投与により、Torsade de pointes、Adams-Stokes発作が認められている。[9.1.1、9.1.7、9.1.8、9.2、9.3、9.8、11.1.1、11.2参照]
8.2 経口投与が可能となった後は、速やかに経口投与に切り替えること。
8.3 投与中に不整脈が消失した場合は、患者の状態を観察しながら投与を中止すること。
8.4 本剤の投与により効果の発現が認められない場合は、他の治療方法に切り替えること。
8.5 本剤投与後に他の抗不整脈薬投与が必要な場合には、効果及び副作用が増強する可能性があるので十分注意して投与すること。[10.2参照]
8.6 本剤でBrugada症候群に特徴的な心電図変化(右脚ブロック及び右側胸部誘導(V1~V3)のST上昇)が顕在化したとの報告があるので、それに伴う心室細動、心室頻拍、心室性期外収縮等の発現に注意すること。
<発作性心房細動・粗動>
8.7 発作停止時に洞停止、洞不全症候群の誘発の危険性が高くなるので、十分に注意すること。

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤を希釈して使用する場合は、希釈液としてブドウ糖液のみを使用すること。
14.1.2 生理食塩液、リンゲル液、ソリタ-T1号、T2号、T3号、ラクテック注等塩化物を含有する溶液及びアルカリ性溶液と配合した場合、白濁ないし白色沈殿を生じるため配合しないこと。

7.用法・用量に関連する注意

7.1 本剤の投与により効果を認めたものの、その後再発した場合には、初回用量がフレカイニド酢酸塩としての最大用量2.0mg/kg(体重75kg以上の場合は150mg)の半量以下の場合を除き、再投与は行わないこと。なお、再投与する際も1日総投与量として2.0mg/kg(体重75kg以上の場合は150mg)を超えないこと。
7.2 血漿中濃度が予測以上に上昇した場合、副作用発現の可能性が増大するので、1回投与量150mgを超える投与はしないこと。

5.効能又は効果に関連する注意

5.1 本剤は緊急治療を要する頻脈性不整脈に対してのみ適用を考慮すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人男子3名にフレカイニド酢酸塩1.0mg/kgを5分間注)、又は2.0mg/kgを10分間定速静注したとき、血漿中未変化体濃度は投与量に応じて線形に推移し、AUCも投与量にほぼ比例して増加した。血漿中未変化体濃度推移は消失半減期2.4~2.6分及び8.6~9.3時間の2相性を示した。
フレカイニド酢酸塩単回定速静注(1.0,2.0mg/kg)時の血漿中未変化体濃度の推移
フレカイニド酢酸塩単回定速静注時の薬物動態パラメータ
投与量(mg/kg)静注時間(min)Cmax(ng/mL)AUC(ng・hr/mL)t1/2λ1(min)t1/2λz(hr)CL(mL/min/kg)
1.05注)1,395±1861,765±2282.4±0.18.6±1.49.7±1.2
2.0101,644±5344,211±4562.6±0.79.3±1.08.1±0.8
(Mean±S.E.,n=3)
注)本剤の承認された用法・用量は、「通常、成人には1回0.1~0.2mL/kg(フレカイニド酢酸塩として1.0~2.0mg/kg)を必要に応じてブドウ糖液で希釈し、血圧及び心電図監視下10分間かけて静脈内に注射する。なお、総投与量はフレカイニド酢酸塩として1回150mgまでとする。」である。
16.4 代謝
本薬の主代謝経路はメタ位のO-脱アルキル化とその代謝物のグルクロン酸抱合である。他にピペリジン環の酸化的ラクタム生成がある。O-脱アルキル化反応には主としてP450分子種のCYP2D6が関与している。[10.参照]
16.5 排泄
16.5.1 尿中排泄
健康成人男子にフレカイニド酢酸塩0.5注)~2.0mg/kgを5分間注)又は10分間定速静注したとき、投与後72時間までに未変化体及び主代謝物の総尿中排泄率はいずれの投与量においても約50%であった。総尿中排泄量のうち約2/3が未変化体であり、投与量に関わらず未変化体と主代謝物の比率はほぼ一定であった。[9.2参照]
注)本剤の承認された用法・用量は、「通常、成人には1回0.1~0.2mL/kg(フレカイニド酢酸塩として1.0~2.0mg/kg)を必要に応じてブドウ糖液で希釈し、血圧及び心電図監視下10分間かけて静脈内に注射する。なお、総投与量はフレカイニド酢酸塩として1回150mgまでとする。」である。

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
リトナビル
(ノービア)
[2.5参照]
不整脈、血液障害、痙攣等の重篤な副作用を起こすおそれがある。リトナビルのチトクロームP450に対する競合的阻害作用により、併用した場合、本剤の血中濃度が大幅に上昇することが予測される。
ミラベグロン
(ベタニス)
[2.6参照]
QTが延長し、心室性不整脈(Torsade de pointesを含む)等を起こすおそれがある。本剤並びにミラベグロンは催不整脈作用を有する。また、ミラベグロンのチトクロームP450(CYP2D6)阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
テラプレビル
(テラビック)
[2.7参照]
QTが延長し、心室性不整脈(Torsade de pointesを含む)等を起こすおそれがある。本剤並びにテラプレビルはQT延長作用を有する。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
ジギタリス配糖体
ジゴキシン
ジギトキシン
デスラノシド等
[8.5参照]
相手薬剤の血中濃度が上昇することがある。機序は不明である。
β遮断剤
プロプラノロール塩酸塩等
[8.5参照]
心機能低下や房室ブロックがあらわれることがある。また、プロプラノロールとの併用においては、本剤並びにプロプラノロールの血中濃度が上昇することがある。本剤並びにβ遮断剤(プロプラノロール等)は相互に陰性変力作用と房室伝導抑制作用を有する。また、本剤並びにプロプラノロールはともにCYP2D6の基質であるため、相手薬剤の代謝を競合的に阻害する。
パロキセチン塩酸塩水和物本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。相手薬剤が肝代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
シメチジン
キニジン硫酸塩水和物[8.5参照]
本剤の血中濃度が上昇することがある。相手薬剤のチトクロームP450阻害作用に基づく。
フェニトイン
フェノバルビタール
カルバマゼピン
本剤の血中濃度が低下することがある。相手薬剤の肝薬物代謝酵素誘導作用に基づく。
アミオダロン塩酸塩
[8.5参照]
本剤の血中濃度が1.5倍に上昇するとの報告があるので、本剤を2/3に減量すること。機序は不明である。
Ca拮抗剤
ベラパミル塩酸塩等
[8.5参照]
心機能低下や房室ブロックがあらわれることがある。本剤並びにCa拮抗剤(ベラパミル等)は相互に陰性変力作用と房室伝導抑制作用を有する。
塩酸リドカイン
プロカインアミド塩酸塩
[8.5参照]
実験的不整脈モデルにおいて抗不整脈活性あるいは毒性症状が増強するとの報告がある。機序は不明である。

重大な副作用 

11.1.1 一過性心停止、心室頻拍(Torsade de pointesを含む)、心房粗動、心室細動(各0.1~5%未満)、Adams-Stokes発作(0.1%未満)
一過性心停止、心室頻拍(Torsade de pointesを含む)、心房粗動、心室細動、Adams-Stokes発作があらわれることがある。このような場合には、本剤の投与を中止し、次の処置法を考慮すること。[8.1、9.1.1、13.2参照]
(1)ドパミン、ドブタミン、イソプレナリン等の強心薬投与
(2)IABP等の補助循環
(3)ペーシングや電気的除細動

その他の副作用 

0.1~5%未満0.1%未満
循環器注)QRS幅の増大、血圧低下、洞停止、徐脈、胸部不快・圧迫感、PQの延長、房室ブロック動悸、心房細動
精神神経系頭がボーッとする、めまい、頭重頭部不快感、手足のしびれ、眠気
消化器口渇、嘔気
視覚器視力異常
肝臓AST、ALTの上昇等
腎臓BUNの上昇等
その他舌・口唇のしびれ、体熱感、顔面熱感

注)[8.1参照]

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