薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
テオフィリン | テオフィリンの血中濃度が低下することがある。 | ランソプラゾールが肝薬物代謝酵素を誘導し、テオフィリンの代謝を促進することが考えられている。 |
タクロリムス水和物 | タクロリムスの血中濃度が上昇することがある。また、腎障害が発現することがある。 | ランソプラゾールが肝薬物代謝酵素におけるタクロリムスの代謝を競合的に阻害するためと考えられている。 アスピリンと腎障害の副作用を相互に増強すると考えられている。 |
ジゴキシン メチルジゴキシン | 左記薬剤の作用を増強する可能性がある。 | ランソプラゾールの胃酸分泌抑制作用によりジゴキシンの加水分解が抑制され、ジゴキシンの血中濃度が上昇する可能性がある。 |
イトラコナゾール チロシンキナーゼ阻害剤 ゲフィチニブ ボスチニブ水和物 ニロチニブ塩酸塩水和物 エルロチニブ塩酸塩 アカラブルチニブ セリチニブ ダサチニブ水和物 ダコミチニブ水和物 ラパチニブトシル酸塩水和物 カプマチニブ塩酸塩水和物 | 左記薬剤の作用を減弱する可能性がある。 ボスチニブ水和物との併用は可能な限り避けること。 | ランソプラゾールの胃酸分泌抑制作用により左記薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
酸化マグネシウム | 酸化マグネシウムの緩下作用が減弱するおそれがある。 | ランソプラゾールの胃酸分泌抑制作用による胃内pH上昇により酸化マグネシウムの溶解度が低下するためと考えられる。 |
ベルモスジルメシル酸塩 | ベルモスジルメシル酸塩の血中濃度が低下する可能性がある。 | ランソプラゾールの胃酸分泌抑制作用による胃内pH上昇によりベルモスジルメシル酸塩の吸収が抑制されるおそれがある。 |
メトトレキサート | メトトレキサートの血中濃度が上昇することがある。高用量のメトトレキサートを投与する場合は、本剤から他のアスピリン製剤への一時的な変更を考慮すること。また、メトトレキサートの副作用(骨髄抑制、肝・腎・消化器障害等)が増強されることがある。 | ランソプラゾールによるメトトレキサートの血中濃度上昇の機序は不明である。 アスピリン(高用量投与時)は血漿蛋白に結合したメトトレキサートと置換し、遊離させる。また、アスピリンはメトトレキサートの腎排泄を阻害すると考えられている。 |
抗凝固剤 クマリン系抗凝固剤 ワルファリンカリウム [8.、11.1.7参照] | クマリン系抗凝固剤の作用を増強し、出血時間の延長、消化管出血等を起こすことがあるので、クマリン系抗凝固剤を減量するなど慎重に投与すること。 | アスピリンは血漿蛋白に結合したクマリン系抗凝固剤と置換し、遊離させる。また、アスピリンは血小板凝集抑制作用、消化管刺激による出血作用を有する。 |
抗凝固剤 血液凝固阻止剤 ヘパリン製剤 ダナパロイドナトリウム 第Xa因子阻害剤 リバーロキサバン等 抗トロンビン剤 ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩等 トロンボモデュリン アルファ等 [8.、11.1.7参照] | 左記薬剤との併用により、出血の危険性が増大するおそれがあるので、観察を十分に行い、注意すること。 | アスピリンは血小板凝集抑制作用を有するため、左記薬剤との併用により出血傾向が増強されるおそれがある。 |
血小板凝集抑制作用を有する薬剤 チクロピジン塩酸塩 シロスタゾール クロピドグレル硫酸塩 トロンボキサン合成酵素阻害剤 オザグレルナトリウム プロスタグランジンE1製剤、E1及びI2誘導体製剤 ベラプロストナトリウム等 サルポグレラート塩酸塩 イコサペント酸エチル等 [8.、11.1.7参照] | 左記薬剤との併用により、出血の危険性が増大するおそれがあるので、観察を十分に行い、注意すること。 | アスピリンは血小板凝集抑制作用を有するため、左記薬剤との併用により出血傾向が増強されるおそれがある。 |
血栓溶解剤 ウロキナーゼ t-PA製剤等 [8.、11.1.7参照] | 左記薬剤との併用により、出血の危険性が増大するおそれがあるので、観察を十分に行い、注意すること。 | アスピリンは血小板凝集抑制作用を有するため、左記薬剤との併用により出血傾向が増強されるおそれがある。 |
糖尿病用剤 ヒトインスリン トルブタミド等 | 糖尿病用剤の作用を増強し、低血糖を起こすことがあるので、糖尿病用剤を減量するなど慎重に投与すること。 | アスピリン(高用量投与時)は血漿蛋白に結合した糖尿病用剤と置換し、遊離させる。また、アスピリンは大量で血糖降下作用を有する。 |
バルプロ酸ナトリウム | バルプロ酸ナトリウムの作用を増強し、振戦等を起こすことがある。 | アスピリン(高用量投与時)は血漿蛋白に結合したバルプロ酸ナトリウムと置換し、遊離させる。 |
フェニトイン | 総フェニトイン濃度を低下させるが、非結合型フェニトイン濃度を低下させないとの報告があるので、総フェニトイン濃度に基づいて増量する際には臨床症状等を慎重に観察すること。 | アスピリン(高用量投与時)は血漿蛋白に結合したフェニトインと置換し、遊離させる。 |
フェニトイン | フェニトインの作用を増強する可能性がある。 | フェニトインの代謝、排泄が遅延することがランソプラゾールの類薬(オメプラゾール)で報告されている。 |
副腎皮質ホルモン剤 ベタメタゾン プレドニゾロン メチルプレドニゾロン等 | アスピリン(高用量投与時)との併用時に副腎皮質ホルモン剤を減量すると、サリチル酸中毒を起こすことが報告されている。また、消化管出血を増強させることが考えられている。 | 機序は不明。 |
リチウム製剤 | リチウム中毒を起こすことが報告されている。 | アスピリン(高用量投与時)は腎のプロスタグランジンの生合成を抑制し、腎血流量を減少させることにより、リチウムの腎排泄を低下させることが考えられている。 |
チアジド系利尿剤 ヒドロクロロチアジド等 ループ利尿剤 フロセミド | 左記薬剤の作用を減弱させることが報告されている。 | アスピリンは腎のプロスタグランジンの生合成を抑制して、水、塩類の体内貯留が生じ、利尿剤の水、塩類排泄作用に拮抗するためと考えられている。 |
β遮断剤 プロプラノロール塩酸塩 ピンドロール等 ACE阻害剤 エナラプリルマレイン酸塩等 | 左記薬剤の作用を減弱させることが報告されている。 | アスピリンは血管拡張作用を有する腎プロスタグランジンの生合成、遊離を抑制し、血圧を上昇させることが考えられている。 |
ニトログリセリン製剤 | ニトログリセリンの作用を減弱させることがある。 | アスピリンはプロスタグランジンの生合成を抑制することにより、冠動脈を収縮させ、ニトログリセリンの作用を減弱させることが考えられている。 |
尿酸排泄促進剤 プロベネシド ベンズブロマロン | 左記薬剤の作用を減弱させることがある。 | アスピリン(高用量投与時)は左記薬剤の尿酸排泄に拮抗する。 |
非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤 インドメタシン ジクロフェナクナトリウム等 [8.、11.1.7参照] | アスピリンとの併用により出血及び腎機能の低下を起こすことがある。 | 機序は不明。 |
イブプロフェン ナプロキセン ピロキシカム スルピリン | アスピリンの血小板凝集抑制作用を減弱するとの報告がある。 | 血小板のシクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)とアスピリンの結合を阻害するためと考えられている。 |
炭酸脱水酵素阻害剤 アセタゾラミド等 | アセタゾラミドの副作用を増強し、嗜眠、錯乱等の中枢神経系症状、代謝性アシドーシス等を起こすことが報告されている。 | アスピリンは血漿蛋白に結合したアセタゾラミドと置換し、遊離させる。 |
ドネペジル塩酸塩 [11.1.9参照] | アスピリンとの併用により消化性潰瘍を起こすことがある。 | コリン系が賦活され胃酸分泌が促進される。 |
シクロスポリン | 腎障害が発現することがある。 | アスピリンと腎障害の副作用を相互に増強すると考えられている。 |
ザフィルルカスト | アスピリンとの併用によりザフィルルカストの血漿中濃度が上昇することがある。 | 機序は不明。 |
プロスタグランジンD2、トロンボキサンA2受容体拮抗剤 ラマトロバン セラトロダスト | ヒト血漿蛋白結合に対する相互作用の検討(in vitro)において、アスピリンにより左記薬剤の非結合型分率が上昇することがある。 | 左記薬剤がアスピリンと血漿蛋白結合部位で置換し、遊離型血中濃度が上昇すると考えられている。 |
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI) フルボキサミンマレイン酸塩 塩酸セルトラリン等 [8.、11.1.7参照] | 皮膚の異常出血(斑状出血、紫斑等)、出血症状(胃腸出血等)が報告されている。 | SSRIの投与により血小板凝集が阻害され、アスピリンとの併用により出血傾向が増強すると考えられている。 |
アルコール [9.1.5、11.1.7参照] | 消化管出血が増強されるおそれがある。 | アルコールによる胃粘膜障害とアスピリンのプロスタグランジン合成阻害作用により、相加的に消化管出血が増強すると考えられている。 |
ジアゼパム | ジアゼパムの作用を増強する可能性がある。 | ジアゼパムの代謝、排泄が遅延することがランソプラゾールの類薬(オメプラゾール)で報告されている。 |