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アマルエット配合錠1番「ケミファ」、他

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 本剤(アムロジピン・アトルバスタチン配合剤)は、アムロジピン及びアトルバスタチンによる治療が適切である以下の患者に使用する。
    • 高血圧症又は狭心症と、高コレステロール血症又は家族性高コレステロール血症を併発している患者
  • なお、アムロジピンとアトルバスタチンの効能・効果は以下のとおりである。
    • <アムロジピン>

      • ○高血圧症
      • ○狭心症
    • <アトルバスタチン>

      • ○高コレステロール血症
      • ○家族性高コレステロール血症

用法・用量

  • 本剤(アムロジピン・アトルバスタチン配合剤)は、1日1回経口投与する。なお、以下のアムロジピンとアトルバスタチンの用法・用量に基づき、患者毎に用量を決めること。
    • ・アムロジピン

      • <高血圧症>

        • 通常、成人にはアムロジピンとして2.5~5mgを1日1回経口投与する。なお、症状に応じ適宜増減するが、効果不十分な場合には1日1回10mgまで増量することができる。
      • <狭心症>

        • 通常、成人にはアムロジピンとして5mgを1日1回経口投与する。なお、症状に応じ適宜増減する。
    • ・アトルバスタチン

      • <高コレステロール血症>

        • 通常、成人にはアトルバスタチンとして10mgを1日1回経口投与する。
          なお、年齢、症状により適宜増減するが、重症の場合は1日20mgまで増量できる。
      • <家族性高コレステロール血症>

        • 通常、成人にはアトルバスタチンとして10mgを1日1回経口投与する。
          なお、年齢、症状により適宜増減するが、重症の場合は1日40mgまで増量できる。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分又はジヒドロピリジン系化合物に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 肝代謝能が低下していると考えられる以下のような患者

    • 急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸[9.3.1、16.6.2参照]
  • 2.3 妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳婦[9.5、9.6参照]
  • 2.4 グレカプレビル・ピブレンタスビルを投与中の患者[10.1参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 過度に血圧の低い患者
アムロジピン投与により、さらに血圧が低下するおそれがある。
9.1.2 糖尿病の患者
アトルバスタチン投与により、糖尿病を悪化させることがある。
9.1.3 横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある以下の患者
・甲状腺機能低下症の患者
・遺伝性の筋疾患(筋ジストロフィー等)又はその家族歴のある患者
・薬剤性の筋障害の既往歴のある患者
・アルコール中毒の患者
[10.2、11.1.5参照]
9.1.4 重症筋無力症又はその既往歴のある患者
アトルバスタチン投与により重症筋無力症(眼筋型、全身型)が悪化又は再発することがある。[11.1.13参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎機能障害のある患者
アムロジピンによる降圧に伴い腎機能が低下することがある。
9.2.2 腎障害又はその既往歴のある患者
アトルバスタチン投与による横紋筋融解症の報告例の多くが腎機能障害を有する患者であり、また、横紋筋融解症に伴って急激な腎機能の悪化が認められている。[11.1.5参照]
9.2.3 腎機能検査値異常のある患者
本剤とフィブラート系薬剤を併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること。アトルバスタチンとフィブラート系薬剤を併用すると、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。やむを得ず併用する場合には、定期的に腎機能検査等を実施し、自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。[10.2、11.1.5参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝代謝能が低下していると考えられる以下のような患者
急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸
投与しないこと。アトルバスタチンの血漿中濃度が上昇し、副作用の発現頻度が増加するおそれがある。また、アトルバスタチンは主に肝臓において作用し代謝されるので、肝障害を悪化させるおそれがある。[2.2、16.6.2参照]
9.3.2 肝機能障害患者
増量時には慎重に投与すること。アムロジピン高用量(10mg)において副作用の発現率が高まる可能性がある。本剤は主に肝で代謝されるため、血中濃度半減期の延長及び血中濃度-時間曲線下面積(AUC)が増大することがある。[16.6.2参照]
9.3.3 肝障害又はその既往歴のある患者(9.3.1に該当する患者を除く)
アトルバスタチンは主に肝臓において作用し代謝されるので、肝障害を悪化させるおそれがある。[16.6.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。アムロジピンの動物実験において、妊娠末期に投与すると妊娠期間及び分娩時間が延長することが認められている。アトルバスタチンの動物実験において、出生児数の減少及び生存、発育に対する影響が認められ、胎児にも生存率低下と発育抑制が認められている。また、ラットに他のHMG-CoA還元酵素阻害剤を大量投与した場合に胎児の骨格奇形が報告されている。更に、ヒトでは、他のHMG-CoA還元酵素阻害剤で、妊娠3カ月までの間に服用したとき、胎児に先天性奇形があらわれたとの報告がある。[2.3参照]
9.6 授乳婦
投与しないこと。アムロジピンはヒト母乳中に移行することが報告されている。アトルバスタチンの動物実験(ラット)において、乳汁中へ移行することが報告されている。[2.3参照]
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
一般に生理機能が低下しており、アムロジピン及びアトルバスタチンの血中濃度が増加することがある。
アムロジピンは低用量(2.5mg/日)から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に過度の降圧は好ましくないとされている。
副作用が発現した場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。高齢者では、アトルバスタチン投与により横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。[11.1.5、16.6.3参照]

8.重要な基本的注意

8.1 本剤は、アムロジピン2.5mgあるいは5mgとアトルバスタチン5mgあるいは10mgとの配合剤であり、アムロジピンとアトルバスタチン双方の副作用が発現するおそれがあることに留意すること。[11.参照]
8.2 アムロジピンの降圧作用に基づくめまい等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
8.3 アムロジピンは血中濃度半減期が長く投与中止後も緩徐な降圧効果が認められるので、本剤投与中止後に他の降圧剤を使用するときは、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
8.4 あらかじめ高コレステロール血症治療の基本である食事療法を行い、更に運動療法や高血圧、喫煙等の虚血性心疾患のリスクファクターの軽減等も十分考慮すること。
8.5 投与中は血中脂質値を定期的に検査し、治療に対する反応が認められない場合には投与を中止すること。
8.6 アトルバスタチン投与により劇症肝炎等の肝炎があらわれることがあるので、悪心・嘔吐、倦怠感等の症状があらわれた場合には本剤を中止し、医師等に連絡するよう患者に指導すること。投与中は投与開始又は増量時より12週までの間に1回以上、それ以降は定期的(半年に1回等)に肝機能検査を行うこと。[11.1.7参照]
8.7 アトルバスタチン投与により無顆粒球症、汎血球減少症、血小板減少症があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど十分な観察を行うこと。[11.1.9参照]
8.8 アトルバスタチン投与により高血糖、糖尿病があらわれることがあるので、口渇、頻尿、全身倦怠感等の症状の発現に注意するとともに、定期的に検査を行うなど十分な観察を行うこと。[11.1.11参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

7.用法及び用量に関連する注意

本剤(アムロジピン・アトルバスタチン配合剤)は次の4製剤がある。
1番:アムロジピン2.5mg/アトルバスタチン5mg
2番:アムロジピン2.5mg/アトルバスタチン10mg
3番:アムロジピン5mg/アトルバスタチン5mg
4番:アムロジピン5mg/アトルバスタチン10mg
上記配合用量以外の用量を投与する場合は、個別のアムロジピン製剤又はアトルバスタチン製剤を用いることができるが、それぞれの成分の用法・用量の範囲内で投与すること。

5.効能又は効果に関連する注意

5.1 原則として、アムロジピン及びアトルバスタチンを併用、あるいはいずれか一方を使用している場合に、本剤の使用を検討すること。なお、両有効成分のいずれか一方を服用している患者に本剤を使用する場合は、患者の状態を十分に考慮した上で、各単剤の併用よりも本剤の投与が適切であるか慎重に判断すること。
5.2 アムロジピンは効果発現が緩徐であるため、本剤は緊急な治療を要する不安定狭心症には効果が期待できない。
5.3 適用の前に十分な検査を実施し、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症であることを確認した上で本剤の適用を考慮すること。
5.4 家族性高コレステロール血症ホモ接合体については、LDL-アフェレーシス等の非薬物療法の補助として、あるいはそれらの治療法が実施不能な場合に本剤の適用を考慮すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 アムロジピン・アトルバスタチン配合剤の成績
(1)健康成人16例ずつにアムロジピン・アトルバスタチン配合剤(アムロジピン2.5mg/アトルバスタチン5mg又はアムロジピン5mg/アトルバスタチン10mg)をそれぞれ空腹時に単回投与したときのアムロジピン、アトルバスタチン未変化体及び主代謝物であるアミド結合位置のベンゼン環の2位の水酸化体(M-2)の薬物動態パラメータを表に示した。アムロジピン及びアトルバスタチンのCmax及びAUCは投与量に応じて増加し、両薬剤のTmax及びアムロジピンのT1/2は投与量に依存せず同様の値を示した。健康成人16例にアムロジピン・アトルバスタチン配合剤(アムロジピン5mg/アトルバスタチン10mg)を空腹時及び食後に単回投与した結果、アムロジピンの薬物動態に食事による大きな影響は認められず、アトルバスタチンのCmaxは食事により低下するもののAUCは影響を受けなかった。なお、日本人と外国人においてアムロジピン・アトルバスタチン配合剤投与時のアムロジピン及びアトルバスタチンの薬物動態を比較した結果、両薬剤の薬物動態に民族差は認められなかった。
健康成人におけるアムロジピン・アトルバスタチン配合剤 単回投与時の薬物動態パラメータ
アムロジピン・アトルバスタチン配合剤投与量薬物名Cmax(ng/mL)Tmax(h)AUC0-Tlast(ng・h/mL)T1/2(h)
2.5mg/5mg(N=16)アムロジピン1.46±0.3476.3±1.255.4±19.943.5±10.6
アトルバスタチン1.42±0.7081.0±1.49.51±4.77NC
M-20.568±0.2955.5±3.19.11±4.67NC
5mg/10mg(N=16)アムロジピン3.15±0.5456.6±1.0125±31.843.2±6.6
アトルバスタチン3.61±1.541.0±0.721.4±8.7311.0±3.6注1)
M-21.57±0.9432.6±2.821.4±10.7NC
Cmax:最高血漿中濃度、Tmax:最高血漿中濃度到達時間AUC0-Tlast:血漿中濃度-時間曲線下面積、T1/2:血漿中濃度半減期、NC:算出せず算術平均値±標準偏差、注1)N=8
(2)生物学的同等性
健康成人(4試験の合計170例)にアムロジピン・アトルバスタチン配合剤(アムロジピン/アトルバスタチンとして2.5mg/5mg、2.5mg/10mg、5mg/5mg又は5mg/10mgを含有)1錠と、アムロジピン錠(アムロジピン・アトルバスタチン配合剤と同量のアムロジピンを含有)及びアトルバスタチン錠(アムロジピン・アトルバスタチン配合剤と同量のアトルバスタチンを含有)各1錠を空腹時に単回投与した結果、アムロジピン・アトルバスタチン配合剤投与とアムロジピン錠及びアトルバスタチン錠の併用投与は生物学的に同等であった。アムロジピン・アトルバスタチン配合剤投与時のアムロジピン及びアトルバスタチンの薬物動態パラメータを表に示した(外国人データを含む)。
生物学的同等性試験におけるアムロジピン・アトルバスタチン配合剤 単回投与時の薬物動態パラメータ
アムロジピン・アトルバスタチン配合剤投与量アムロジピンアトルバスタチン
Cmax(ng/mL)AUCt(ng・h/mL)Cmax(ng/mL)AUCt(ng・h/mL)
2.5mg/5mg(N=36)1.2650.51.4011.5
2.5mg/10mg(N=40)1.1850.43.3124.9
5mg/5mg(N=39)3.321251.348.84
5mg/10mg(N=55)2.841243.1821.3
Cmax:最高血漿中濃度、AUCt:血漿中濃度-時間曲線下面積調整済み幾何平均値
16.1.2 アムロジピンとアトルバスタチン併用投与での成績
(1)単回投与
健康成人25例にアムロジピン10mg及びアトルバスタチン80mg注2)の併用と、各製剤を単独で単回投与した結果、アムロジピンの薬物動態に対するアトルバスタチン併用投与の影響は認められなかった。アトルバスタチンのAUC0-∞はアムロジピン併用投与時に18%増加したが、Cmaxに対する影響は認められなかった(外国人データ)。
(2)反復投与
健康成人16例にアムロジピン10mg及びアトルバスタチン80mg注2)の併用と、アトルバスタチン80mgを単独で1日1回8日間反復投与した結果、アトルバスタチンのCmaxに対するアムロジピン併用投与の影響は認められず、AUC0-Tlastは16%増加したが有意差は認められなかった(外国人データ)。
注2)アトルバスタチンの国内承認用量は、高コレステロール血症では1日20mgまで、家族性高コレステロール血症では1日40mgまでである。
16.1.3 アムロジピン単独投与での成績
健康成人6例にアムロジピン2.5mgを1日1回14日間反復投与した場合の血清中濃度は投与開始6日目以降に定常状態に達した。最終投与日(14日目)のCmax及びAUC0-24hはそれぞれ3.5ng/mL及び61.8ng・h/mLであり、初回投与時(1.4ng/mL及び19.3ng・h/mL)の約3倍であった。投与中止後、血清中濃度は漸減し、投与中止5日目には0.24ng/mLとなった。
16.1.4 アトルバスタチン単独投与での成績
健康成人6例にアトルバスタチン10mg及び20mgを1日1回朝食後7日間反復投与した結果、血漿中薬物濃度は投与開始後4日目までに定常状態に到達した。また、1日目と7日目の血漿中薬物濃度を比較すると、20mg投与群で上昇しているものの有意な差ではなく、蓄積性は認められなかった。
16.1.5 生物学的同等性
<アマルエット配合錠3番「ケミファ」>
アマルエット配合錠3番「ケミファ」とカデュエット配合錠3番を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(アムロジピン5mg及びアトルバスタチン5mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
薬物動態パラメータ
判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-72(ng・h/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(h)T1/2(h)
アムロジピンアマルエット配合錠3番「ケミファ」87.63±23.442.4630±0.53336.73±0.9838.88±8.49
カデュエット配合錠3番89.97±25.662.5089±0.61746.53±1.0438.10±7.45
アトルバスタチンアマルエット配合錠3番「ケミファ」13.33±4.971.7466±0.81620.80±0.4812.04±2.93
カデュエット配合錠3番13.57±4.571.6898±0.66120.91±0.8912.00±3.62
(算術平均値±標準偏差、N=30)
アムロジピンの血漿中濃度推移
アトルバスタチンの血漿中濃度推移
<アマルエット配合錠4番「ケミファ」>
アマルエット配合錠4番「ケミファ」とカデュエット配合錠4番を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(アムロジピン5mg及びアトルバスタチン10mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
薬物動態パラメータ
判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-72(ng・h/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(h)T1/2(h)
アムロジピンアマルエット配合錠4番「ケミファ」89.23±15.072.6067±0.32846.33±1.3743.00±11.56
カデュエット配合錠4番94.64±17.302.7455±0.45706.27±1.3441.13±8.07
アトルバスタチンアマルエット配合錠4番「ケミファ」26.84±7.744.1982±1.41891.14±0.6910.77±2.32
カデュエット配合錠4番28.19±11.994.3683±2.00861.13±0.8810.78±2.41
(算術平均値±標準偏差、N=30)
アムロジピンの血漿中濃度推移
アトルバスタチンの血漿中濃度推移
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.3 分布
16.3.1 アムロジピン単独投与での成績
アムロジピンのヒト血漿蛋白との結合率は97.1%(in vitro)であった。
16.3.2 アトルバスタチン単独投与での成績
ヒト血漿を用いたin vitroの実験で、アトルバスタチンの血漿蛋白結合率は95.6~99.0%以上を示した。
16.4 代謝
健康成人6例にアトルバスタチン10mg及び40mgを単回投与したとき、血漿中にアミド結合位置のベンゼン環の4位の水酸化体(M-1)及び2位の水酸化体(M-2)の2種類が確認されているが、血漿中主活性代謝物はM-2であった。アトルバスタチンの主要代謝臓器は肝臓であり、M-1及びM-2はCYP3A4によって生成することが明らかにされている。
16.5 排泄
16.5.1 アムロジピン単独投与での成績
アムロジピン2.5mg又は5mgを健康成人6例に単回経口投与した場合の投与後6日目までの尿中累積排泄率は、いずれの用量においても約8%であった。またアムロジピン2.5mgを1日1回14日間反復投与した場合の尿中排泄率は投与開始6日目でほぼ定常状態に達し、6日目以降の1日当たりの未変化体の尿中排泄率は6.3~7.4%であった。
健康成人2例に14C-標識アムロジピン15mgを単回経口投与した場合、投与12日目までに投与放射能の59.3%は尿中、23.4%は糞中に排泄され、尿中放射能の9%は未変化体であり、その他に9種の代謝物が認められた(外国人データ)。
なお、これら代謝物にはアムロジピンをしのぐ薬理作用は認められていない。
16.5.2 アトルバスタチン単独投与での成績
健康成人に14C-アトルバスタチンを投与したとき、放射能の尿中排泄率は極めて低く(<2%)、糞中に未変化体、M-1及びM-2がそれぞれ糞中放射能の8.3%、11.7%及び18.2%排泄された。更に、14C-アトルバスタチンを用いたヒト胆汁中排泄試験では、投与された放射能の43.7~70.2%が胆汁中に排泄され、未変化体のほかにM-1、M-2及びM-2のグルクロン酸抱合体が同定された。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎機能正常者6例及び腎機能障害者14例にアトルバスタチン10mgを1日1回14日間反復投与したとき、腎機能障害は、アトルバスタチンの薬効及び体内動態に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
16.6.2 肝機能障害患者
(1)アムロジピン単独投与での成績
肝硬変患者(Child分類A,B)5例にアムロジピン2.5mgを単回投与した結果、健康成人に比し、投与72時間後の血中濃度が有意に上昇し、T1/2、AUC0-∞はやや高値を示したが有意差は認められなかった。[9.3.2参照]
(2)アトルバスタチン単独投与での成績
健康成人及び肝硬変患者8例ずつにアトルバスタチン10mgを1日1回14日間反復投与したとき、肝硬変患者では健康成人に比べてChild-Pugh A患者及びChild-Pugh B患者において、Cmaxではそれぞれ5.5倍及び14.4倍、AUC0-24hではそれぞれ4.4倍及び9.8倍の増加、Tmaxではいずれも1/2の短縮が認められたがT1/2はほとんど変化しなかった。また、血清脂質に対する作用には差がなかった(外国人データ)。[2.2、9.3.1、9.3.3参照]
16.6.3 高齢者
(1)アムロジピン単独投与での成績
高齢高血圧患者6例(平均年齢79.7歳)にアムロジピン5mgを単回、及び8日間反復投与した結果、若年健康者(平均22.3歳)に比し、Cmax、AUC0-48hは有意に高値を示したが、T1/2に有意差は認められなかった。[9.8参照]
(2)アトルバスタチン単独投与での成績
健康高齢者(66~73歳)6例及び若年者(20~22歳)6例に、アトルバスタチン10mgを空腹時に単回投与した結果、高齢者は若年者に比べてCmax及びAUC0-∞は約2倍に増加したが、Tmax及びT1/2に差は認められなかった。[9.8参照]
16.8 その他
<アマルエット配合錠1番「ケミファ」>
アマルエット配合錠1番「ケミファ」は、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン」に基づき、アマルエット配合錠3番「ケミファ」を標準製剤としたとき、溶出挙動が同等と判断され、生物学的に同等とみなされた。
<アマルエット配合錠2番「ケミファ」>
アマルエット配合錠2番「ケミファ」は、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン」に基づき、アマルエット配合錠4番「ケミファ」を標準製剤としたとき、溶出挙動が同等と判断され、生物学的に同等とみなされた。

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
グレカプレビル・ピブレンタスビル
(マヴィレット)
[2.4参照]
グレカプレビル・ピブレンタスビル(400mg・120mg)との併用により、アトルバスタチンのAUCが8.28倍、Cmaxが22.0倍に上昇したとの報告がある。本剤の血中濃度が上昇し、副作用が発現しやすくなるおそれがある。機序:グレカプレビルのOATP1B1/1B3及びBCRP阻害、ピブレンタスビルのOATP1B1及びBCRP阻害に基づく作用によるものと考えられている。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
降圧作用を有する薬剤降圧作用が増強されるおそれがある。相互に作用を増強するおそれがある。
CYP3A4阻害剤
エリスロマイシン
ジルチアゼム
リトナビル
ニルマトレルビル・リトナビル
イトラコナゾール等
エリスロマイシン及びジルチアゼムとの併用により、アムロジピンの血中濃度が上昇したとの報告がある。アムロジピンの代謝が競合的に阻害される可能性が考えられる。
CYP3A4誘導剤
リファンピシン等
アムロジピンの血中濃度が低下するおそれがある。アムロジピンの代謝が促進される可能性が考えられる。
グレープフルーツジュースアムロジピンの降圧作用が増強されるおそれがある。グレープフルーツに含まれる成分がアムロジピンの代謝を阻害し、アムロジピンの血中濃度が上昇する可能性が考えられる。
タクロリムス併用によりタクロリムスの血中濃度が上昇し、腎障害等のタクロリムスの副作用が発現するおそれがある。併用時にはタクロリムスの血中濃度をモニターし、必要に応じてタクロリムスの用量を調整すること。アムロジピンとタクロリムスは、主としてCYP3A4により代謝されるため、併用によりタクロリムスの代謝が阻害される可能性が考えられる。
薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
フィブラート系薬剤
ベザフィブラート等
[9.1.3、9.2.3、11.1.5参照]
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。機序:フィブラート系薬剤とHMG-CoA還元酵素阻害剤との副作用誘発性の相加作用が示唆されている。
危険因子:腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者
ニコチン酸製剤
ニセリトロール等
[11.1.5参照]
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。機序:ニコチン酸製剤とHMG-CoA還元酵素阻害剤との副作用誘発性の相加作用が示唆されている。
危険因子:腎機能障害
免疫抑制剤
シクロスポリン等
[11.1.5参照]
1)筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。
2)シクロスポリンとの併用により、アトルバスタチンのAUC0-24hが8.7倍に上昇したとの報告がある。
機序:1)シクロスポリンとHMG-CoA還元酵素阻害剤との副作用誘発性の相加作用、2)シクロスポリンによるHMG-CoA還元酵素阻害剤の代謝・胆汁中排泄に対する競合阻害に基づく相互作用、3)シクロスポリンによるアトルバスタチンの肝への取り込み阻害に基づく相互作用が示唆されている。
危険因子:腎機能障害
アゾール系抗真菌薬
イトラコナゾール等
エリスロマイシン
[11.1.5参照]
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。機序:アゾール系抗真菌薬又はエリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用が考えられている。
危険因子:腎機能障害
クラリスロマイシンアトルバスタチンの血漿中薬物濃度の有意な上昇(Cmax:+55.9%、AUC0-Tlast:+81.8%)がみられた。機序:クラリスロマイシンのCYP3A4に対する阻害作用が考えられている。
HIVプロテアーゼ阻害剤
ロピナビル・リトナビル等
ロピナビル・リトナビルとの併用によりアトルバスタチンのAUCが5.88倍に上昇するとの報告がある。機序:これらの薬剤によるCYP3A4の阻害が考えられている。
ニルマトレルビル・リトナビル併用によりアトルバスタチンの血中濃度が上昇するおそれがある。アトルバスタチンの副作用が発現しやすくなるおそれがあるため、十分な観察を行いながら慎重に投与し、必要に応じて減量や休薬等の適切な措置を講ずること。機序:アトルバスタチンの代謝を競合的に阻害するためと考えられている。
エンシトレルビル フマル酸併用によりアトルバスタチンの血中濃度が上昇し、副作用が発現しやすくなるおそれがある。機序:エンシトレルビル フマル酸のCYP3Aに対する阻害作用が考えられている。
グラゾプレビルグラゾプレビル(200mg)との併用によりアトルバスタチンの血漿中薬物濃度が上昇した(Cmax:5.66倍、AUC0-∞:3.00倍)との報告がある。機序:グラゾプレビルによる腸管のCYP3A及びBCRPの阻害が考えられている。
レテルモビルレテルモビルとの併用によりアトルバスタチンの血漿中薬物濃度が上昇した(Cmax:2.17倍、AUC0-∞:3.29倍)との報告がある。機序:レテルモビルによるCYP3A、OATP1B1/1B3及びBCRPの阻害が考えられている。
フチバチニブ併用によりアトルバスタチンの血中濃度が上昇し、副作用が発現しやすくなるおそれがある。機序:フチバチニブによるBCRPの阻害が考えられている。
グレープフルーツジュースグレープフルーツジュース1.2L/日との併用により、アトルバスタチンのAUC0-72hが約2.5倍に上昇したとの報告がある。機序:グレープフルーツジュースによるCYP3A4の阻害が考えられている。
エファビレンツアトルバスタチンの血漿中薬物濃度が低下した(Cmax:-12%、AUC0-24h:-43%)との報告がある。機序:エファビレンツによるCYP3A4の誘導が考えられている。
リファンピシンリファンピシン投与17時間後にアトルバスタチンを投与したところアトルバスタチンの血漿中薬物濃度が低下した(Cmax:-40%、AUC:-80%)との報告がある。機序:リファンピシンによるCYP3A4の誘導が考えられている。
ベキサロテンベキサロテンとの併用により本剤のAUCが約50%低下したとの報告がある。機序:ベキサロテンによるCYP3A4の誘導が考えられている。
陰イオン交換樹脂アトルバスタチンの血漿中薬物濃度が約25%低下したが、LDL-コレステロールの低下率はそれぞれを単独で使用したときより大きかった。機序:これらの薬剤によるアトルバスタチンの吸収阻害(吸着)に基づく血漿中薬物濃度の低下が考えられている。
ジゴキシン定常状態において血漿中ジゴキシン濃度が上昇する(アトルバスタチン10mg投与でCmax:+9.9%、AUC0-24h:+3.6%、CLr:129→128mL/min、80mg投与でCmax:+20.0%、AUC0-24h:+14.8%、CLr:160→149mL/min)ことが報告されている。併用する場合は、血漿中薬物濃度のモニターを十分に行うこと。機序:アトルバスタチンによるジゴキシンのP-gpを介した排出の抑制が示唆されている。
経口避妊薬
ノルエチンドロン-エチニルエストラジオール
ノルエチンドロン(Cmax:+24%、AUC0-24h:+28%)及びエチニルエストラジオール(Cmax:+30%、AUC0-24h:+19%)の血漿中濃度の上昇が認められた。機序:アトルバスタチンによるノルエチンドロン及びエチニルエストラジオールの初回通過効果の減少が考えられている。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[8.1参照]
<アムロジピン>
11.1.1 劇症肝炎(頻度不明)、肝機能障害(0.1%未満)、黄疸(0.1%未満)
AST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。
11.1.2 無顆粒球症(頻度不明)、白血球減少(0.1%未満)、血小板減少(頻度不明)
11.1.3 房室ブロック(0.1%未満)
徐脈、めまい等があらわれることがある。
11.1.4 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
<アトルバスタチン>
11.1.5 横紋筋融解症(頻度不明)、ミオパチー(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれ、急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがある。また、ミオパチーがあらわれることがあるので、広範な筋肉痛、筋肉圧痛や著明なCKの上昇があらわれた場合には投与を中止すること。[9.1.3、9.2.2、9.2.3、9.8、10.2参照]
11.1.6 免疫介在性壊死性ミオパチー(頻度不明)
近位筋脱力、CK高値、炎症を伴わない筋線維の壊死、抗HMG-CoA還元酵素(HMGCR)抗体陽性等を特徴とする免疫介在性壊死性ミオパチーがあらわれ、投与中止後も持続する例が報告されているので、患者の状態を十分に観察すること。なお、免疫抑制剤投与により改善がみられたとの報告例がある。
11.1.7 劇症肝炎(頻度不明)、肝炎(頻度不明)、肝機能障害(0.1%未満)、黄疸(頻度不明)[8.6参照]
11.1.8 過敏症(頻度不明)
血管神経性浮腫、アナフィラキシー反応、蕁麻疹を含む過敏症状があらわれたとの報告がある。
11.1.9 無顆粒球症(頻度不明)、汎血球減少症(頻度不明)、血小板減少症(頻度不明)[8.7参照]
11.1.10 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)、多形紅斑(頻度不明)
水疱性発疹があらわれたとの報告がある。
11.1.11 高血糖(0.1%未満)、糖尿病(頻度不明)[8.8参照]
11.1.12 間質性肺炎(頻度不明)
長期投与であっても、発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.13 重症筋無力症(頻度不明)
重症筋無力症(眼筋型、全身型)が発症又は悪化することがある。[9.1.4参照]

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[8.1参照]

1%~2%未満a)1%未満a)頻度不明b)
過敏症そう痒光線過敏、発疹、多形紅斑、蕁麻疹、血管炎、血管浮腫
皮膚脱毛、帯状疱疹、発赤、皮膚変色、皮膚乾燥、皮膚亀裂、多汗、爪の障害
血液好酸球増加血小板減少、白血球減少、白血球増加、貧血、紫斑
肝臓肝機能障害Al-P上昇、ALT上昇AST上昇、γ-GTP上昇、LDH上昇、黄疸、腹水
消化器歯肉障害、膵炎、胃炎、胃食道逆流性疾患、胃不快感、腹部膨満、過敏性腸症候群、嘔気・嘔吐、便秘口内炎、舌痛、舌炎、舌のしびれ、口のしびれ、口唇炎、口渇、(連用により)歯肉肥厚、消化不良、アミラーゼ上昇、食欲不振、腹痛、下痢・軟便、排便回数増加、胃腸炎
呼吸器咳、呼吸困難、咽頭不快感、肺炎、鼻炎、鼻出血
筋骨格系筋肉痛CK上昇、血中ミオグロビン上昇、無力症、筋痙攣、筋緊張亢進、筋炎、関節痛、背部痛、腱炎、腱痛
感覚器視力異常、霧視、耳鳴、味覚異常
精神・神経系頭痛、眩暈・ふらつき片頭痛、不眠症振戦、眠気、気分動揺、末梢神経障害、健忘症、抑うつ、悪夢、錐体外路症状
内分泌甲状腺腫テストステロン低下、コリンエステラーゼ上昇、TSH上昇、ACTH上昇、アルドステロン低下、女性化乳房
代謝異常血清コレステロール上昇、HbA1c上昇、高血糖、糖尿病、尿中ブドウ糖陽性、低血糖症、血清鉄低下
循環器動悸浮腫c)、ほてり(熱感、顔面潮紅等)、期外収縮、血圧上昇洞房又は房室ブロック、洞停止、心房細動、頻脈、徐脈、血圧低下、失神
腎臓・泌尿器BUN上昇、クレアチニン上昇、血中カリウム増加、血中カリウム減少、頻尿・夜間頻尿、排尿困難、勃起障害、尿管結石、尿潜血陽性、尿中蛋白陽性
その他脳梗塞、全身倦怠感、脱力感、疲労、しびれ、発熱、体重増加、体重減少、疼痛、異常感覚、胸痛、着色尿

a)本剤国内臨床試験において報告された副作用
b)アムロジピン製剤あるいは(及び)アトルバスタチン製剤で報告された副作用
c)アムロジピン10mgへの増量により高頻度に認められた。[17.1.3参照]

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