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トアラセット配合錠「ケミファ」

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 非オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記疾患における鎮痛

    • ○非がん性慢性疼痛
    • ○抜歯後の疼痛

用法・用量

  • <非がん性慢性疼痛>

    • 通常、成人には、1回1錠、1日4回経口投与する。投与間隔は4時間以上空けること。
      なお、症状に応じて適宜増減するが、1回2錠、1日8錠を超えて投与しないこと。また、空腹時の投与は避けることが望ましい。
  • <抜歯後の疼痛>

    • 通常、成人には、1回2錠を経口投与する。
      なお、追加投与する場合には、投与間隔を4時間以上空け、1回2錠、1日8錠を超えて投与しないこと。また、空腹時の投与は避けることが望ましい。

禁忌 

【警告】

  • 1.1 本剤により重篤な肝障害が発現するおそれがあることに注意し、アセトアミノフェンの1日総量が1500mg(本剤4錠)を超す高用量で長期投与する場合には、定期的に肝機能等を確認するなど、慎重に投与すること。[8.6参照]
  • 1.2 本剤とトラマドール又はアセトアミノフェンを含む他の薬剤(一般用医薬品を含む)との併用により、過量投与に至るおそれがあることから、これらの薬剤との併用を避けること。[13.1、13.2参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • <効能共通>

    • 2.1 12歳未満の小児[9.7.1参照]
    • 2.2 アルコール、睡眠剤、鎮痛剤、オピオイド鎮痛剤又は向精神薬による急性中毒患者[中枢神経抑制及び呼吸抑制を悪化させるおそれがある。]
    • 2.3 モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)を投与中の患者、又は投与中止後14日以内の患者[10.1参照]
    • 2.4 ナルメフェン塩酸塩を投与中の患者又は投与中止後1週間以内の患者[10.1参照]
    • 2.5 治療により十分な管理がされていないてんかん患者[症状が悪化するおそれがある。][9.1.1参照]
    • 2.6 重篤な肝障害のある患者[重篤な転帰をとるおそれがある。][9.3.1参照]
    • 2.7 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者[9.1.5参照]
  • <抜歯後の疼痛>

    • 2.8 アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者[アスピリン喘息の発症にプロスタグランジン合成阻害作用が関与していると考えられる。][9.1.11参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
<効能共通>
9.1.1 てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者、あるいは痙攣発作の危険因子(頭部外傷、代謝異常、アルコール又は薬物の離脱症状、中枢性感染症等)を有する患者(治療により十分な管理がされていないてんかん患者を除く)
本剤投与中は観察を十分に行うこと。痙攣発作を誘発することがある。[2.5参照]
9.1.2 呼吸抑制状態にある患者
呼吸抑制を増強するおそれがある。
9.1.3 脳に器質的障害のある患者
呼吸抑制や頭蓋内圧の上昇を来すおそれがある。
9.1.4 薬物の乱用又は薬物依存傾向のある患者
厳重な医師の管理下に、短期間に限って投与すること。依存性を生じやすい。
9.1.5 オピオイド鎮痛剤に対し過敏症の既往歴のある患者(本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者を除く)[2.7参照]
9.1.6 ショック状態にある患者
循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがある。
9.1.7 消化性潰瘍又はその既往歴のある患者
症状が悪化又は再発を促すおそれがある。
9.1.8 血液の異常又はその既往歴のある患者
症状が悪化又は再発を促すおそれがある。
9.1.9 出血傾向のある患者
血小板機能異常が起こることがある。
9.1.10 心機能異常のある患者
症状が悪化又は心不全が増悪するおそれがある。
9.1.11 気管支喘息のある患者
症状が悪化するおそれがある。[2.8参照]
9.1.12 アルコール多量常飲者
肝障害があらわれやすくなる。[10.2参照]
9.1.13 絶食・低栄養状態・摂食障害等によるグルタチオン欠乏、脱水症状のある患者
肝障害があらわれやすくなる。
9.1.14 18歳未満の肥満、閉塞性睡眠時無呼吸症候群又は重篤な肺疾患を有する患者
投与しないこと。重篤な呼吸抑制のリスクが増加するおそれがある。
<非がん性慢性疼痛>
9.1.15 アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者
本剤を用いず、個別のアセトアミノフェン製剤を用いた用量調節を考慮すること。アスピリン喘息又はその既往歴のある患者では、アセトアミノフェンの1回あたりの最大用量は300mg以下とすることとされているが、本剤は1錠中にアセトアミノフェンを325mg含有している。アスピリン喘息の発症にプロスタグランジン合成阻害作用が関与していると考えられ、症状が悪化又は再発を促すおそれがある。[7.3参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 腎障害のある患者あるいはその既往歴のある患者
投与量の減量、投与間隔の延長を考慮すること。症状が悪化又は再発を促すおそれがある。また、高い血中濃度が持続し、作用及び副作用が増強するおそれがある。[16.6.2参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝障害のある患者
投与しないこと。重篤な転帰をとるおそれがある。[2.6参照]
9.3.2 肝障害のある患者あるいはその既往歴のある患者(重篤な肝障害のある患者を除く)
肝機能が悪化するおそれがある。また、高い血中濃度が持続し、作用及び副作用が増強するおそれがある。[16.6.1参照]
9.5 妊婦
9.5.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
トラマドールは胎盤関門を通過し、新生児に痙攣発作、身体的依存及び退薬症候、並びに胎児死亡及び死産が報告されている。また、動物実験で、トラマドールは器官形成、骨化及び出生児の生存に影響を及ぼすことが報告されている。
9.5.2 妊娠後期の女性へのアセトアミノフェンの投与により胎児に動脈管収縮を起こすことがある。
9.5.3 アセトアミノフェンは妊娠後期のラットで胎児に軽度の動脈管収縮を起こすことが報告されている。
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。トラマドールは、乳汁中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
9.7.1 12歳未満の小児
投与しないこと。海外において、12歳未満の小児で死亡を含む重篤な呼吸抑制のリスクが高いとの報告がある。[2.1参照]
9.7.2 12歳以上の小児
12歳以上の小児に対する有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.7.3 肥満、閉塞性睡眠時無呼吸症候群又は重篤な肺疾患を有する小児
投与しないこと。重篤な呼吸抑制のリスクが増加するおそれがある。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。生理機能が低下していることが多く、代謝・排泄が遅延し副作用があらわれやすい。

8.重要な基本的注意

8.1 本剤は、1錠中にトラマドール塩酸塩(37.5mg)及びアセトアミノフェン(325mg)を含む配合剤であり、トラマドールとアセトアミノフェン双方の副作用が発現するおそれがあるため、適切に本剤の使用を検討すること。
8.2 連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。[11.1.4参照]
8.3 悪心、嘔吐、便秘等の症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、悪心・嘔吐に対する対策として制吐剤の併用を、便秘に対する対策として緩下剤の併用を考慮するなど、適切な処置を行うこと。
8.4 眠気、めまい、意識消失が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。なお、意識消失により自動車事故に至った例も報告されている。
8.5 感染症を不顕性化するおそれがあるので、観察を十分に行うこと。
8.6 重篤な肝障害が発現するおそれがあるので注意すること。アセトアミノフェンの1日総量が1500mg(本剤4錠)を超す高用量で長期投与する場合には定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。高用量でなくとも長期投与する場合にあっては定期的に肝機能検査を行うことが望ましい。また、高用量で投与する場合などは特に患者の状態を十分に観察すること。[1.1、11.1.9参照]
8.7 鎮痛剤による治療は原因療法ではなく、対症療法であることに留意すること。

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
14.1.2 小児の手の届かない所に保管するよう指導すること。

7.用法及び用量に関連する注意

<非がん性慢性疼痛>
7.1 投与の継続
本剤投与開始後4週間を経過してもなお期待する効果が得られない場合は、他の適切な治療への変更を検討すること。また、定期的に症状及び効果を確認し、投与の継続の必要性について検討すること。
7.2 投与の中止
本剤の投与を必要としなくなった場合は、退薬症候の発現を防ぐために徐々に減量すること。
7.3 アスピリン喘息又はその既往歴のある患者に対して本剤を投与する場合は、1回1錠とすること。[9.1.15参照]

5.効能又は効果に関連する注意

<非がん性慢性疼痛>
原因となる器質的病変、心理的・社会的要因、依存リスクを含めた包括的な診断を行い、本剤の投与の適否を慎重に判断すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男性にトラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠1~3錠注)(トラマドール塩酸塩として37.5、75及び112.5mg、アセトアミノフェンとして325、650及び975mg)を単回経口投与したとき、投与量にかかわらず、トラマドール【(±)-TRAM】及びアセトアミノフェンは速やかに吸収され、(±)-TRAM及びアセトアミノフェンの血漿中濃度はそれぞれ投与後約1~2時間及び約1時間にCmaxに達した後、それぞれ約5~5.5時間及び約3時間のt1/2で低下した。両薬物の薬物動態は用量比例性を示した。また、(±)-TRAMは速やかに活性代謝物O-脱メチルトラマドール【(±)-M1】に代謝され、(±)-M1の血漿中濃度は投与後約2時間にCmaxに達した後、約6.5時間のt1/2で低下した。血漿中(±)-TRAM及び(±)-M1の各鏡像異性体【(+)-体及び(-)-体】の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは類似していた。
注)本剤の承認された1回最高用量は2錠である。
トラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠1~3錠注)を単回経口投与したときの血漿中(±)-TRAM、(±)-M1及びアセトアミノフェンの薬物動態パラメータ
対象トラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠Cmax(ng/mL)tmax(h)AUC(ng・h/mL)t1/2(h)
(±)-TRAM1錠119.8
(34.3)
1.8
(0.5~3.0)
938.2
(360.7)
5.1
(0.8)
2錠263.8
(45.6)
1.0
(0.5~1.5)
2004.3
(580.5)
5.6
(1.0)
3錠注)424.5
(146.1)
1.3
(1.0~3.0)
3274.3
(1070.4)
5.6
(1.1)
(±)-M11錠34.2
(10.6)
1.8
(0.5~3.0)
359.4
(63.7)
6.4
(0.9)
2錠65.6
(24.4)
1.8
(1.0~4.0)
680.9
(142.2)
6.3
(0.9)
3錠注)95.7
(26.3)
1.8
(1.0~3.0)
1083.8
(224.3)
6.3
(0.9)
アセトアミノフェン1錠5.0
(2.0)a
0.8
(0.5~1.5)
17.1
(4.8)b
2.8
(0.6)
2錠9.2
(2.3)a
1.0
(0.5~1.5)
38.9
(12.4)b
3.3
(0.9)
3錠注)15.1
(4.3)a
0.8
(0.5~1.5)
62.3
(18.1)b
3.3
(1.0)
(N=8,平均値(S.D.),tmax;中央値(範囲))a:μg/mLb:μg・h/mL
16.1.2 反復投与
健康成人男性にトラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠1回1又は2錠(トラマドール塩酸塩として37.5又は75mg、アセトアミノフェンとして325又は650mg)を1日4回(6時間ごと)反復経口投与(トラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠1錠:5日間、トラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠2錠:3日間)したとき、血漿中(±)-TRAM及び(±)-M1濃度は反復経口投与開始後48時間までに、また血漿中アセトアミノフェン濃度は反復経口投与開始後24時間までに定常状態に達しており、蓄積性は認められなかった。
トラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠1回1又は2錠を1日4回(6時間ごと)反復経口投与(トラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠1錠:5日間、トラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠2錠:3日間)したときの最終投与後の血漿中(±)-TRAM、(±)-M1及びアセトアミノフェンの薬物動態パラメータ
対象トラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠Cmax(ng/mL)tmax(h)AUCτ(ng・h/mL)RAt1/2(h)
(±)-TRAM1錠290.6
(72.9)
1.0
(0.5~1.5)
1141.2
(265.8)
1.3
(0.5)
6.6
(1.0)
2錠542.6
(114.4)
1.3
(1.0~2.0)
2355.8
(533.3)
1.3
(0.3)
6.5
(0.6)
(±)-M11錠78.5
(18.7)
1.3
(0.5~6.0)
325.2
(88.0)
0.9
(0.1)
7.4
(1.4)
2錠142.0
(29.3)
1.3
(0.5~2.0)
666.6
(103.8)
0.9
(0.2)
6.7
(0.9)
アセトアミノフェン1錠6.7
(1.6)a
0.5
(0.5~1.0)
17.4
(2.8)b
1.0
(0.1)
4.3
(2.7)
2錠11.0
(2.9)a
0.8
(0.5~1.5)
30.4
(4.9)b
0.9
(0.1)
3.3
(1.1)
(N=8,平均値(S.D.),tmax;中央値(範囲))a:μg/mLb:μg・h/mLRA:蓄積率(最終投与後のAUCτ/初回投与時のAUC
16.1.3 配合による影響
健康成人男性にトラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠2錠(トラマドール塩酸塩として75mg、アセトアミノフェンとして650mg)、トラマドール塩酸塩2カプセル(75mg)又はアセトアミノフェン2カプセル(650mg)をそれぞれ単回経口投与したとき、トラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠を投与したときの(±)-TRAM、(±)-M1及びアセトアミノフェンの薬物動態パラメータは、トラマドール塩酸塩及びアセトアミノフェンをそれぞれ単独で投与したときと同様の値を示し、(±)-TRAM、(±)-M1及びアセトアミノフェンの薬物動態にトラマドール塩酸塩及びアセトアミノフェンの配合による影響は認められなかった。
16.1.4 生物学的同等性試験
トアラセット配合錠「ケミファ」とトラムセット配合錠を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(トラマドール塩酸塩として37.5mg及びアセトアミノフェンとして325mg)を健康成人男性に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
薬物動態パラメータ
判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-36h
(ng・h/mL)
Cmax
(ng/mL)
tmax
(h)
t1/2
(h)
(±)-TRAMトアラセット配合錠「ケミファ」644.5±199.7112.6±23.91.1±0.55.39±1.35
トラムセット配合錠658.8±207.4109.9±23.81.3±0.65.52±1.32
アセトアミノフェントアラセット配合錠「ケミファ」15653.1±3508.15515.4±1799.70.9±0.74.55±0.79
トラムセット配合錠15470.8±3395.95174.2±2061.31.0±0.74.66±0.84
(N=24,平均値±S.D.)
(±)-TRAMの血漿中濃度推移
アセトアミノフェンの血漿中濃度推移
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
16.2.1 食事による影響
健康成人にトラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠3錠注)(トラマドール塩酸塩として112.5mg、アセトアミノフェンとして975mg)を高脂肪食後及び空腹時にそれぞれ単回経口投与したとき、(±)-TRAM、(±)-M1及びアセトアミノフェンの薬物動態に食事による顕著な影響は認められなかった(外国人データ)。
16.3 分布
ヒト血漿蛋白結合率
(±)-TRAM(0.2~10μg/mL)及びアセトアミノフェン(280μg/mL)約20%(in vitro
16.4 代謝
(±)-TRAMは主に肝臓でCYP2D6により活性代謝物(±)-M1に代謝される。また、その他の主な代謝経路は、肝臓でのCYP3A4によるN-脱メチル化、グルクロン酸抱合及び硫酸抱合である。アセトアミノフェンの主な代謝経路は、肝臓でのグルクロン酸抱合、硫酸抱合並びにCYP1A2、CYP2E1及びCYP3A4によるN-アセチル-p-ベンゾキノンイミンへの酸化及びそのグルタチオン抱合である。
16.5 排泄
健康成人男性にトラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠1~3錠注)を単回経口投与及びトラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠1回1又は2錠を1日4回(6時間ごと)反復経口投与したとき、(±)-TRAM、(±)-M1及びアセトアミノフェンの累積尿中排泄率(単回:投与後48時間、反復:最終投与後48時間)は、それぞれ投与量の18.2~20.3%、9.4~14.8%及び2.5~3.3%であり、投与量及び反復投与による影響は認められなかった。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害
(1)トラマドール
肝硬変患者12例にトラマドール塩酸塩カプセル50mgを経口投与したとき、健康成人と比較して血清中トラマドールのCmax及びAUCは顕著に増加し、t1/2は約2.6倍に延長した(外国人データ)。[9.3.2参照]
(2)アセトアミノフェン
肝機能障害患者(軽度~中等度:9例、高度:5例)にアセトアミノフェン1000mgを経口投与したとき、健康成人と比較して血漿中アセトアミノフェンのAUC6hは約1.7倍増加し、t1/2は約2時間延長した(外国人データ)。[9.3.2参照]
16.6.2 腎機能障害
(1)トラマドール
腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス:80mL/min以下)21例にトラマドール塩酸塩100mgを静脈内投与したとき、血清中トラマドールのt1/2及びAUCは健康成人のそれぞれ最大で1.5倍及び2倍であった(外国人データ)。[9.2.1参照]
(2)アセトアミノフェン
腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス:30mL/min以下)13例にアセトアミノフェン1000mgを経口投与したとき、投与8~24時間後の血漿中アセトアミノフェンのt1/2は健康成人(4.9時間)と比較して11.7時間に延長し、AUC8-24hも約1.9倍増加した(外国人データ)。[9.2.1参照]

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
MAO阻害剤
セレギリン塩酸塩
(エフピー)
ラサギリンメシル酸塩
(アジレクト)
サフィナミドメシル酸塩
(エクフィナ)
[2.3参照]
外国において、セロトニン症候群(錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射異常亢進、ミオクローヌス、下痢等)を含む中枢神経系(攻撃的行動、固縮、痙攣、昏睡、頭痛)、呼吸器系(呼吸抑制)及び心血管系(低血圧、高血圧)の重篤な副作用が報告されている。MAO阻害剤を投与中の患者又は投与中止後14日以内の患者には投与しないこと。また、本剤投与中止後にMAO阻害剤の投与を開始する場合には、2~3日間の間隔を空けることが望ましい。相加的に作用が増強され、また、中枢神経のセロトニンが蓄積すると考えられる。
ナルメフェン塩酸塩
セリンクロ
[2.4参照]
離脱症状を起こすおそれがある。また、鎮痛作用が減弱するおそれがある。
ナルメフェン塩酸塩を投与中の患者又は投与中止後1週間以内の患者には投与しないこと。
μオピオイド受容体への競合的阻害による。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
オピオイド鎮痛剤
中枢神経抑制剤
フェノチアジン系薬剤
催眠鎮静剤等
痙攣閾値の低下や呼吸抑制の増強を来すおそれがある。中枢神経抑制作用が相加的に増強されると考えられる。
三環系抗うつ剤
セロトニン作用薬
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)等
セロトニン症候群(錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射異常亢進、ミオクローヌス、下痢等)があらわれるおそれがある。また、痙攣発作の危険性を増大させるおそれがある。相加的に作用が増強され、また、中枢神経のセロトニンが蓄積すると考えられる。
リネゾリドセロトニン症候群(錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射異常亢進、ミオクローヌス、下痢等)があらわれるおそれがある。また、痙攣発作の危険性を増大させるおそれがある。リネゾリドの非選択的、可逆的MAO阻害作用により、相加的に作用が増強され、また、中枢神経のセロトニンが蓄積すると考えられる。
メチルチオニニウム塩化物水和物(メチレンブルー)セロトニン症候群(錯乱、激越、発熱、発汗、運動失調、反射異常亢進、ミオクローヌス、下痢等)があらわれるおそれがある。メチルチオニニウム塩化物水和物のモノアミン酸化酵素阻害作用によりセロトニン作用が増強される。
カルバマゼピン
フェノバルビタール
フェニトイン
プリミドン
リファンピシン
イソニアジド
トラマドールの血中濃度が低下し作用が減弱する可能性がある。
また、これらの薬剤の長期連用者では肝代謝酵素が誘導され、アセトアミノフェン代謝物による肝障害を生じやすくなるとの報告がある。
これらの薬剤の肝代謝酵素誘導作用により、トラマドールの代謝が促進される。また、アセトアミノフェンから肝毒性を持つN-アセチル-p-ベンゾキノンイミンへの代謝が促進される。
アルコール(飲酒)
[9.1.12参照]
呼吸抑制が生じるおそれがある。
また、アルコール多量常飲者がアセトアミノフェンを服用したところ肝不全を起こしたとの報告がある。
相加的に作用が増強されると考えられる。
アルコール常飲によるCYP2E1の誘導により、アセトアミノフェンから肝毒性を持つN-アセチル-p-ベンゾキノンイミンへの代謝が促進される。
キニジン相互に作用が増強するおそれがある。機序不明
クマリン系抗凝血剤
ワルファリン
出血を伴うプロトロンビン時間の延長等のクマリン系抗凝血剤の作用を増強することがある。機序不明
ジゴキシンジゴキシン中毒が発現したとの報告がある。機序不明
オンダンセトロン塩酸塩水和物本剤の鎮痛作用を減弱させるおそれがある。本剤の中枢におけるセロトニン作用が抑制されると考えられる。
ブプレノルフィン
ペンタゾシン等
本剤の鎮痛作用を減弱させるおそれがある。また、退薬症候を起こすおそれがある。本剤が作用するμ-オピオイド受容体の部分アゴニストであるため。
エチニルエストラジオール含有製剤アセトアミノフェンの血中濃度が低下するおそれがある。エチニルエストラジオールは肝におけるアセトアミノフェンのグルクロン酸抱合を促進すると考えられる。
エチニルエストラジオール含有製剤エチニルエストラジオールの血中濃度が上昇するおそれがある。アセトアミノフェンはエチニルエストラジオールの硫酸抱合を阻害すると考えられる。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(頻度不明)
呼吸困難、喘鳴、血管浮腫、蕁麻疹等があらわれることがある。
11.1.2 痙攣(0.2%)
11.1.3 意識消失(0.2%)
11.1.4 依存性(頻度不明)
長期使用時に、耐性、精神的依存及び身体的依存が生じることがある。本剤の中止又は減量時において、激越、不安、神経過敏、不眠症、運動過多、振戦、胃腸症状、パニック発作、幻覚、錯感覚、耳鳴等の退薬症候が生じることがある。[8.2参照]
11.1.5 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、急性汎発性発疹性膿疱症(頻度不明)
11.1.6 間質性肺炎(頻度不明)
咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。異常が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.7 間質性腎炎、急性腎障害(頻度不明)
11.1.8 喘息発作の誘発(頻度不明)
11.1.9 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸(頻度不明)
劇症肝炎、AST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。[8.6参照]
11.1.10 顆粒球減少症(頻度不明)
11.1.11 呼吸抑制(頻度不明)
11.1.12 薬剤性過敏症症候群(頻度不明)
初期症状として発疹、発熱がみられ、更に肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある。なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

5%以上1%以上
5%未満
1%未満頻度不明
感染症及び寄生虫症腎盂腎炎
血液及びリンパ系障害貧血
代謝及び栄養障害食欲不振高脂血症、低血糖症
精神障害不眠症不安、幻覚錯乱、多幸症、神経過敏、健忘、離人症、うつ病、薬物乱用、インポテンス、悪夢、異常思考、せん妄
神経系障害傾眠(25.9%)、浮動性めまい(18.9%)、頭痛味覚異常筋緊張亢進、感覚鈍麻、錯感覚、注意力障害、振戦、筋不随意運動、第4脳神経麻痺、片頭痛運動失調、昏迷、会話障害、運動障害
眼障害視覚異常縮瞳、散瞳
耳及び迷路障害耳不快感、耳鳴、回転性めまい
心臓障害動悸不整脈、頻脈
血管障害高血圧、ほてり低血圧、起立性低血圧
呼吸器、胸郭及び縦隔障害呼吸困難、嗄声
胃腸障害悪心(41.4%)、嘔吐(26.2%)、便秘(21.2%)、胃不快感腹痛、下痢、口内炎、口内乾燥、消化不良、胃炎逆流性食道炎、口唇炎、胃腸障害、腹部膨満、胃潰瘍、鼓腸、メレナ、上部消化管出血嚥下障害、舌浮腫
肝胆道系障害肝機能検査異常
皮膚及び皮下組織障害そう痒症発疹、多汗症、冷汗
腎及び尿路障害排尿困難アルブミン尿、尿閉乏尿
全身障害及び投与局所様態異常感口渇、倦怠感、発熱、浮腫胸部不快感、無力症、悪寒疲労、胸痛、失神、離脱症候群
臨床検査体重減少、血中CPK増加、血中尿素増加、血中トリグリセリド増加、血中ビリルビン増加、尿中血陽性、尿中ブドウ糖陽性好酸球数増加、白血球数増加、ヘモグロビン減少、尿中蛋白陽性、血中クレアチニン増加、血中ブドウ糖増加、血小板数増加、血中クレアチニン減少、血中尿酸増加、好中球百分率増加
傷害、中毒及び処置合併症転倒・転落
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