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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • ○統合失調症
  • ○双極性障害におけるうつ症状の改善

用法・用量

  • <統合失調症>

    • 通常、成人にはルラシドン塩酸塩として40mgを1日1回食後経口投与する。
      なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は80mgを超えないこと。
  • <双極性障害におけるうつ症状の改善>

    • 通常、成人にはルラシドン塩酸塩として20~60mgを1日1回食後経口投与する。
      なお、開始用量は20mg、増量幅は1日量として20mgとし、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は60mgを超えないこと。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 昏睡状態の患者[昏睡状態が悪化するおそれがある。]
  • 2.2 バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強される。]
  • 2.3 CYP3A4を強く阻害する薬剤(イトラコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール(経口剤、口腔用剤、注射剤)、フルコナゾール、ホスフルコナゾール、ポサコナゾール、リトナビルを含む製剤、ダルナビル、アタザナビル、ホスアンプレナビル、エンシトレルビル、コビシスタットを含む製剤、クラリスロマイシン)を投与中の患者[10.1、16.7.1参照]
  • 2.4 CYP3A4を強く誘導する薬剤(リファンピシン、フェニトイン、ホスフェニトイン)を投与中の患者[10.1、16.7.1参照]
  • 2.5 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.6 アドレナリンを投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)[10.1参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 パーキンソン病又はレビー小体型認知症の患者
錐体外路症状が悪化するおそれがある。
9.1.2 てんかん等の痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者
痙攣閾値を低下させるおそれがある。[11.1.3参照]
9.1.3 脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者
悪性症候群が起こりやすい。[11.1.1参照]
9.1.4 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者
自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。[8.5-8.9参照]
9.1.5 糖尿病又はその既往歴のある患者、あるいは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者
血糖値が上昇することがある。[8.3、11.1.4参照]
9.1.6 不整脈の既往歴のある患者、先天性QT延長症候群の患者
QTが延長する可能性がある。
9.1.7 心・血管疾患、低血圧又はそれらの疑いのある患者
一過性の血圧降下があらわれるおそれがある。
9.1.8 不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。[11.1.5参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 中等度以上の腎機能障害患者
血中濃度が上昇するおそれがある。[7.2、7.4、16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 中等度以上の肝機能障害患者
血中濃度が上昇するおそれがある。[7.3、7.5、16.6.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に、生理機能が低下している。

8.重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 興奮、不眠、不安等の精神症状を悪化させる可能性があるので観察を十分に行い、悪化がみられた場合には他の治療法に切り替えるなど適切な処置を行うこと。
8.2 眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
8.3 本剤の投与により、高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、本剤の投与に際しては、あらかじめこれらの副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導すること。特に糖尿病又はその既往歴あるいはその危険因子を有する患者については、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。[9.1.5、11.1.4参照]
8.4 投与初期、再投与時、増量時にα交感神経遮断作用に基づく起立性低血圧があらわれることがあるので、患者の状態を慎重に観察し、低血圧症状があらわれた場合には減量する等、適切な処置を行うこと。
<双極性障害におけるうつ症状の改善>
8.5 うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期並びに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。[9.1.4参照]
8.6 自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。[9.1.4参照]
8.7 家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。[9.1.4参照]
8.8 大うつ病性障害等の精神疾患(双極性障害におけるうつ症状を含む)を有する患者への抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。[9.1.4、15.1.3参照]
8.9 不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。[9.1.4参照]
8.10 うつ症状が改善した場合には、本剤の投与継続の要否について検討し、本剤を漫然と投与しないよう注意すること。双極性障害の維持療法における本剤の有効性は確立していない。

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 本剤の吸収は食事の影響を受けやすいので、食後に服用するよう指導すること。[16.1.1、16.2.2参照]
14.1.2 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

7.用法及び用量に関連する注意

<統合失調症>
7.1 忍容性が確認され、効果不十分な場合にのみ増量を検討すること。また、本剤の投与量は必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節すること。
7.2 中等度以上の腎機能障害のある患者では、下記の表を参考に、腎機能の程度に応じて投与量を適宜減量し、慎重に投与すること。[9.2.1、16.6.1参照]
血清クレアチニンCr(mg/dL)クレアチニンクリアランス(CLcr,mL/min)開始用量増量幅維持用量最高用量
中等度の腎機能障害男性:1.4<Cr≦2.4
女性:1.2<Cr≦2.0
30≦CLcr<5020mg10mg40mg60mg
重度の腎機能障害男性:Cr>2.4
女性:Cr>2.0
CLcr<3020mg10mg20mg60mg
※:CLcrに相当する換算値(年齢60歳、体重65kg)
7.3 中等度以上の肝機能障害のある患者では、下記の表を参考に、肝機能の程度に応じて投与量を適宜減量し、慎重に投与すること。[9.3.1、16.6.2参照]
Child-Pugh分類開始用量増量幅維持用量最高用量
中等度の肝機能障害B20mg10mg40mg60mg
重度の肝機能障害C20mg10mg20mg30mg
<双極性障害におけるうつ症状の改善>
7.4 中等度以上の腎機能障害のある患者では、下記の表を参考に、腎機能の程度に応じて投与量を適宜減量し、慎重に投与すること。[9.2.1、16.6.1参照]
血清クレアチニンCr(mg/dL)クレアチニンクリアランス(CLcr,mL/min)開始用量増量幅維持用量最高用量
中等度の腎機能障害男性:1.4<Cr≦2.4
女性:1.2<Cr≦2.0
30≦CLcr<5010mg10mg60mg
重度の腎機能障害男性:Cr>2.4
女性:Cr>2.0
CLcr<3010mg10mg60mg
※:CLcrに相当する換算値(年齢60歳、体重65kg)、-:設定なし
7.5 中等度以上の肝機能障害のある患者では、下記の表を参考に、肝機能の程度に応じて投与量を適宜減量し、慎重に投与すること。[9.3.1、16.6.2参照]
Child-Pugh分類開始用量増量幅維持用量最高用量
中等度の肝機能障害B10mg10mg60mg
重度の肝機能障害C10mg10mg30mg
-:設定なし

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男性11例に、本剤40mgを食後又は空腹時に単回経口投与したとき、血清中ルラシドンの薬物動態パラメータは以下のとおりであった。[14.1.1、16.2.2参照]
健康成人男性に本剤を単回投与した場合の薬物動態パラメータ
投与時期例数Cmax(ng/mL)AUC0-48(ng・h/mL)AUC0-∞(ng・h/mL)Tmaxa)(h)t1/2(h)
食後1152.73±21.92193.20±66.18212.37±76.131.50(1.5-4.0)22.45±6.99
空腹時1122.10±8.65115.99±39.10125.64±47.061.50(1.0-4.0)15.97±6.40
平均値±標準偏差、a)中央値(範囲)
16.1.2 反復投与
<統合失調症>
統合失調症患者20例に本剤1日1回20mgから80mgを漸増漸減法により8週間食後経口投与した。同一用量で6日間以上反復投与した後の血清中ルラシドンのCmax、Cmin及びAUC0-24は、いずれも投与量の増加に伴って、ほぼ線形に増加した。
統合失調症患者に本剤を反復経口投与した場合の定常状態の薬物動態パラメータ
投与量例数Cmax(ng/mL)Cmina)(ng/mL)AUC0-24b)(ng・h/mL)Tmaxc)(h)
20mg616.37±8.991.60±0.5995.16±29.012.75(1.1-7.8)
40mg948.33±25.354.34±2.15285.56±113.373.80(1.5-5.9)
60mg865.97±37.425.01±1.91362.83±175.772.00(1.0-4.0)
80mg779.39±41.397.32±4.33487.39±211.902.00(0.5-3.8)
平均値±標準偏差、a)投与直前の濃度、b)20mgの1例についてAUC0-8を用いて算出、c)中央値(範囲)
<双極性障害におけるうつ症状の改善>
母集団薬物動態解析の結果、健康成人、統合失調症患者及び双極I型障害患者の各集団(健康成人131例、統合失調症患者1491例及び双極I型障害患者454例)で推定された経口クリアランスの平均値及びその95%信頼区間(下限-上限)はそれぞれ220.7(201.5-239.8)、220.7(210.1-231.4)及び210.5(171.6-249.3)L/hと被験者集団間で類似しており、被験者集団間で薬物動態は同様であると考えられた(外国人データ)。
16.2 吸収
16.2.1 吸収率
健康成人男性に14C標識ルラシドン40mgを食後単回経口投与したときの尿中放射能排泄率から、経口投与後9.19~19.1%が吸収されていると考えられた(外国人データ)。
16.2.2 食事の影響
血清中ルラシドンのCmax、AUC0-48及びAUC0-∞は、空腹時投与に比べて食後投与では2.4倍、1.7倍及び1.7倍に増加した。[14.1.1、16.1.1参照]
16.3 分布
16.3.1 蛋白結合率
99.8%以上(in vitro、ヒト血清、100ng/mL~1μg/mL、平衡透析法)
16.4 代謝
ルラシドンは、主にCYP3A4による代謝を受け体内から消失する。複数の代謝経路の組み合わせにより多くの代謝物が存在する。そのうち量的に主要なものはシクロヘキシルメチル-ピペラジン間のC-N結合の開裂を受けた2種の代謝物で、AUC0-8は総放射能のそれぞれ約24%及び約11%であったが、いずれも薬理活性を示さなかった。また、ノルボルナン骨格の水酸化体2種は、in vivoで未変化体と同程度の薬理活性を示すが、いずれもヒトの血清中濃度は未変化体より低かった。[10.参照]
16.5 排泄
健康成人男性各6例に本剤2.5mg注)から30mgを食後単回経口投与したとき、投与後48時間までに、未変化体として尿中に排泄されたのは投与量の0.2%以下であり、本剤は主に代謝により体内から消失することが示された。
健康成人男性11例に14C標識ルラシドン40mgを食後単回経口投与したとき、尿中及び糞中放射能排泄率はそれぞれ投与量の9.19~19.1%及び67.2~80.1%であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎機能障害患者27例(軽度:クレアチニンクリアランス50mL/min以上80mL/min以下9例、中等度:30mL/min以上50mL/min未満9例、重度:30mL/min未満9例)に本剤40mgを食後単回投与したとき、健康成人に比べて、血清中ルラシドンのAUC0-∞は腎機能障害が軽度、中等度及び重度でそれぞれ1.5倍、1.9倍及び2.0倍に上昇し、Cmaxは1.4倍、1.9倍及び1.5倍に上昇した(外国人データ)。[7.2、7.4、9.2.1参照]
16.6.2 肝機能障害患者
肝機能障害患者15例(軽度:Child-Pugh分類クラスA6例、中等度:クラスB6例、重度:クラスC3例)に、本剤20mgを食後単回投与したとき、血清中ルラシドンのAUC0-∞は健康成人に比べて軽度では1.3倍、中等度では1.8倍、重度では3.0倍に上昇した。肝機能障害の程度はCmaxに影響しなかった(外国人データ)。[7.3、7.5、9.3.1参照]
※:AUC0-∞の比は算出不能であったため、AUC0-lastの比を示した。
16.6.3 高齢者
65歳以上の健康高齢男性12例及び健康非高齢男性8例に本剤20mgを食後単回投与したとき、血清中ルラシドン濃度は、高齢者では非高齢者よりTmaxが約1.7倍長く、Cmaxが0.7倍に低下したが、AUC0-48は同程度であった。高齢者では非高齢者に比べて吸収が遅れる傾向が認められたが、吸収量は変わらないと考えられた。
血清中ルラシドンの薬物動態パラメータ
例数Cmax(ng/mL)AUC0-48(ng・h/mL)Tmaxa)(h)t1/2(h)
健康高齢者1222.53±10.9097.93±41.962.00(1.0-4.0)19.87±4.05
健康非高齢者831.56±12.9886.11±29.441.50(1.0-2.0)29.96±12.91
平均値±標準偏差、a)中央値(範囲)
16.7 薬物相互作用
16.7.1 併用薬がルラシドンの薬物動態に与える影響
併用薬及び用法・用量例数本剤の用法・用量ルラシドンの薬物動態パラメータの比(併用時/本剤単独時)
CmaxAUC
ケトコナゾール
(強いCYP3A4阻害剤)
[2.3、10.1参照]
400mg/日
5日間
1010mg単回注)6.89.3
ジルチアゼム
(CYP3A4阻害剤)
[10.2参照]
240mg/日
5日間
1020mg単回2.12.2
リファンピシン
(強いCYP3A4誘導剤)
[2.4、10.1参照]
600mg/日
8日間
2040mg単回0.150.19
リチウム600mg1日2回
8日間
20120mg/日注)
定常状態
0.921.1
※:外国人データ
16.7.2 ルラシドンが併用薬の薬物動態に与える影響
リチウム600mgを1日2回反復投与した後の定常状態でのトラフの血清中リチウム濃度は、本剤120mg注)を1日1回反復投与で併用した定常状態においても、治療濃度範囲である0.6~1.2mmol/Lに維持されていた(外国人データ)。
16.7.3 薬物代謝酵素の誘導及び阻害
ヒト新鮮肝細胞を用いた検討で、ルラシドンはCYP酵素(CYP1A2、CYP2B6、CYP3A4)に対する誘導能をほとんど示さなかった。ヒト肝ミクロソームを用いた検討でルラシドンは、CYP1A2、CYP2B6、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4に対して顕著な阻害能を示さなかった。CYP2C8、CYP2C9及びCYP2C19に対しては阻害作用(IC50は5.9~7.4μmol/L)を示した(in vitro)が、臨床用量では上記CYP酵素を阻害しないと考えられた。
16.7.4 トランスポーター
Caco-2細胞又はトランスポーター発現系細胞を用いた検討で、ルラシドンはP糖蛋白、BCRP、OATP1B1及びOATP1B3の基質ではないことが示された(in vitro)。
また、BCRP、OAT3、OCT1、OCT2及びMATE1の活性に対しては阻害作用(IC50は0.498~2.57μmol/L)を示し、OAT1、OATP1B1、OATP1B3、MATE2-K及びBSEPの活性に対しても弱く阻害作用を示した(IC50>10μmol/L)(in vitro)が、本剤をこれらトランスポーターの基質薬剤と併用投与しても、臨床用量では併用薬の取り込み及び排泄を阻害しないと考えられた。
注)本剤の承認された用量は1日1回20~80mgである。

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
CYP3A4を強く阻害する薬剤
イトラコナゾール(イトリゾール)
ボリコナゾール(ブイフェンド)
ミコナゾール(経口剤、口腔用剤、注射剤)(フロリード、オラビ)
フルコナゾール(ジフルカン)
ホスフルコナゾール(プロジフ)
ポサコナゾール(ノクサフィル)
リトナビルを含む製剤(ノービア、カレトラ、パキロビッド)
ダルナビル(プリジスタ)
アタザナビル(レイアタッツ)
ホスアンプレナビル(レクシヴァ)
エンシトレルビル(ゾコーバ)
コビシスタットを含む製剤(スタリビルド、ゲンボイヤ、プレジコビックス、シムツーザ)
クラリスロマイシン(クラリシッド)
[2.3、16.7.1参照]
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されるおそれがある。本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇する。
CYP3A4を強く誘導する薬剤
リファンピシン(リファジン)
フェニトイン(アレビアチン)
ホスフェニトイン(ホストイン)
[2.4、16.7.1参照]
本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱されるおそれがある。本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する。
アドレナリン
(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
(ボスミン)
[2.6参照]
アドレナリンの作用を逆転させ、重篤な血圧降下を起こすことがある。アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
アドレナリン含有歯科麻酔剤
リドカイン・アドレナリン
重篤な血圧降下を起こすことがある。アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある。
中枢神経抑制剤相互に中枢神経抑制作用を増強するおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること。本剤及びこれらの薬剤の中枢神経抑制作用による。
アルコール相互に中枢神経抑制作用を増強するおそれがある。アルコールは中枢神経抑制作用を有する。
ドパミン作動薬
レボドパ製剤
ブロモクリプチン 等
相互に作用が減弱するおそれがある。本剤はドパミン受容体遮断作用を有していることから、ドパミン作動性神経において、作用が拮抗することによる。
CYP3A4を阻害する薬剤
ジルチアゼム
エリスロマイシン
ベラパミル 等
[16.7.1参照]
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されるおそれがあるので、観察を十分に行い、患者の状態に応じて本剤の用量を通常の半量に減じるなど慎重に投与すること。本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇する。ジルチアゼム併用時の本剤のCmax及びAUCは、ジルチアゼム非併用時の2倍程度に上昇した。
グレープフルーツ含有食品本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されるおそれがあるので、本剤の服用中は摂取しないように注意すること。CYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇する。
CYP3A4を誘導する薬剤
カルバマゼピン
バルビツール酸誘導体
ボセンタン
エファビレンツ
エトラビリン
モダフィニル
セント・ジョーンズ・ワート含有食品 等
本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱されるおそれがあるので、観察を十分に行うこと。本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する可能性がある。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 悪性症候群(頻度不明)
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡することがある。[9.1.3参照]
11.1.2 遅発性ジスキネジア(1%未満)
長期投与により、口周部等の不随意運動があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は減量又は中止を考慮すること。なお、投与中止後も症状が持続することがある。
11.1.3 痙攣(頻度不明)
痙攣(強直間代性、部分発作及びミオクローヌス発作等)があらわれることがある。[9.1.2参照]
11.1.4 高血糖(1%未満)、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡(いずれも頻度不明)
高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがある。口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、血糖値の測定を行うなど十分な観察を行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与等の適切な処置を行うこと。[8.3、9.1.5参照]
11.1.5 肺塞栓症、深部静脈血栓症(いずれも頻度不明)
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[9.1.8参照]
11.1.6 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
11.1.7 無顆粒球症(頻度不明)、白血球減少(1%未満)

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

5%以上1~5%未満1%未満頻度不明
過敏症そう痒じん麻疹、湿疹、発疹、血管浮腫、顔面腫脹過敏症、咽頭浮腫、舌腫脹
精神神経系統合失調症の悪化、不安、傾眠、不眠、頭痛、浮動性めまい精神症状の悪化、易刺激性、激越、攻撃性、リビドー減退、幻覚・妄想、悪夢、鎮静、うつ症状の悪化・抑うつ、自傷行為、自殺念慮、自殺企図失神、パニック発作、突然死、眉間反射異常
錐体外路症状注)アカシジア(静坐不能)(8.3%)振戦、ジストニア、パーキンソニズム、筋固縮、ジスキネジア運動緩慢、流涎過多、眼球回転発作、構語障害、筋緊張、筋痙縮、落ち着きのなさ、錐体外路障害開口障害、舌痙攣、嚥下障害、斜頚、運動低下
循環器心電図異常(QT延長、PR短縮)、房室ブロック、動悸、頻脈、徐脈、血圧上昇脳血管発作、狭心症、起立性低血圧
血液血小板減少、好中球減少貧血
内分泌プロラクチン上昇甲状腺機能異常(亢進症・低下症)、乳汁分泌、月経異常乳房腫大、乳房痛、勃起不全
消化器悪心、嘔吐、便秘、腹部不快感胃腸障害、口内乾燥、口渇、上腹部痛、腹痛、食欲減退、食欲亢進、消化不良、腹部膨満、胃炎、下痢
肝臓ALT上昇、AST上昇、肝機能異常、ビリルビン上昇、肝障害
腎臓・泌尿器排尿困難・排尿異常、尿蛋白陽性腎不全
その他体重増加体重減少、多汗、熱感、発熱、脱力、疲労、CK上昇、筋力低下、筋骨格硬直、胸内苦悶感・胸部圧迫感、疼痛、背部痛、耐糖能異常(血糖上昇、HbA1c上昇、尿糖陽性)、脂質異常症、多飲症、摂食障害症状(拒食・過食)、咳嗽、鼻咽頭炎、アレルギー性鼻炎、色素沈着、脱毛、霧視、回転性めまい、末梢性浮腫低ナトリウム血症、糖尿病

注)症状があらわれた場合には必要に応じて減量又は抗パーキンソン薬の投与等、適切な処置を行うこと。

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