薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
非ステロイド性消炎鎮痛剤(ナプロキセン、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム等) [11.1.1参照] | クロピドグレルとの併用により、消化管からの出血が助長されたとの報告がある。 | クロピドグレルは血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤と併用すると消化管出血を助長すると考えられている。 |
非ステロイド性消炎鎮痛剤(ナプロキセン、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム等) [11.1.1参照] | アスピリンとの併用により、出血及び腎機能の低下を起こすことがある。 | 機序不明 |
血小板凝集抑制作用を有する薬剤(シロスタゾール、トロンボキサン合成酵素阻害剤(オザグレルナトリウム)、プロスタグランジンE1製剤、E1及びI2誘導体(ベラプロストナトリウム等)、サルポグレラート塩酸塩、イコサペント酸エチル等)血栓溶解剤(ウロキナーゼ、t-PA製剤(アルテプラーゼ等)等) [8.2、11.1.1参照] | これら薬剤との併用により、出血の危険性が増大するおそれがあるので、観察を十分に行い、注意すること。 | 本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤との併用により出血傾向が増強されるおそれがある。 |
血液凝固阻止剤(ヘパリン製剤、ダナパロイドナトリウム、第Xa因子阻害剤(リバーロキサバン等)、抗トロンビン剤(ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩等)、トロンボモデュリン アルファ等) [8.2、11.1.1参照] | これら薬剤との併用により、出血の危険性が増大するおそれがあるので、観察を十分に行い、注意すること。 | 本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤との併用により出血傾向が増強されるおそれがある。 |
クマリン系抗凝固剤(ワルファリンカリウム) [8.9、11.1.1参照] | 出血した時、それを助長するおそれがある。また、アスピリンはクマリン系抗凝固剤の作用を増強し、出血時間の延長、消化管出血等を起こすことがあるので、クマリン系抗凝固剤を減量するなど慎重に投与すること。 | アスピリンは血漿蛋白に結合したクマリン系抗凝固剤と置換し、遊離させる。また、本剤は血小板凝集抑制作用、アスピリンは消化管刺激による出血作用を有する。 |
薬物代謝酵素(CYP2C19)を阻害する薬剤 オメプラゾール | クロピドグレルの作用が減弱するおそれがある。 | CYP2C19を阻害することにより、クロピドグレルの活性代謝物の血中濃度が低下する。 |
糖尿病用剤(ヒトインスリン、トルブタミド等) | アスピリンは糖尿病用剤の作用を増強し、低血糖を起こすことがあるので、糖尿病用剤を減量するなど慎重に投与すること。 | アスピリン(高用量投与時)は血漿蛋白に結合した糖尿病用剤と置換し、遊離させる。また、アスピリンは大量で血糖降下作用を有する。 |
メトトレキサート | アスピリンとの併用により、メトトレキサートの副作用(骨髄抑制、肝・腎・消化器障害等)が増強されることがある。 | アスピリン(高用量投与時)は血漿蛋白に結合したメトトレキサートと置換し、遊離させる。また、アスピリンはメトトレキサートの腎排泄を阻害すると考えられている。 |
バルプロ酸ナトリウム | アスピリンはバルプロ酸ナトリウムの作用を増強し、振戦等を起こすことがある。 | アスピリン(高用量投与時)は血漿蛋白に結合したバルプロ酸ナトリウムと置換し、遊離させる。 |
フェニトイン | アスピリンは総フェニトイン濃度を低下させるが、非結合型フェニトイン濃度を低下させないとの報告があるので、総フェニトイン濃度に基づいて増量する際には臨床症状等を慎重に観察すること。 | アスピリン(高用量投与時)は血漿蛋白に結合したフェニトインと置換し、遊離させる。 |
副腎皮質ホルモン剤(ベタメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン等) | アスピリン(高用量投与時)との併用時に副腎皮質ホルモン剤を減量すると、サリチル酸中毒を起こすことが報告されている。また、消化管出血を増強させることが考えられる。 | 機序不明 |
リチウム製剤 | アスピリンとの併用により、リチウム中毒を起こすことが報告されている。 | アスピリン(高用量投与時)は腎のプロスタグランジンの生合成を抑制し、腎血流量を減少させることにより、リチウムの腎排泄を低下させることが考えられる。 |
チアジド系利尿剤(ヒドロクロロチアジド等)ループ利尿剤(フロセミド) | アスピリンはこれらの薬剤の作用を減弱させることが報告されている。 | アスピリンは腎のプロスタグランジンの生合成を抑制して、水、塩類の体内貯留が生じ、利尿剤の水、塩類排泄作用に拮抗するためと考えられる。 |
β遮断剤(プロプラノロール塩酸塩、ピンドロール等) ACE阻害剤(エナラプリルマレイン酸塩等) | アスピリンはこれらの薬剤の作用を減弱させることが報告されている。 | アスピリンは血管拡張作用を有する腎プロスタグランジンの生合成、遊離を抑制し、血圧を上昇させることが考えられる。 |
ニトログリセリン製剤 | アスピリンはニトログリセリンの作用を減弱させることがある。 | アスピリンはプロスタグランジンの生合成を抑制することにより、冠動脈を収縮させ、ニトログリセリンの作用を減弱させることが考えられる。 |
尿酸排泄促進剤(プロベネシド、ベンズブロマロン) | アスピリンはこれらの薬剤の作用を減弱させることがある。 | アスピリン(高用量投与時)はこれらの薬剤の尿酸排泄に拮抗する。 |
イブプロフェン ナプロキセン ピロキシカム スルピリン | アスピリンの血小板凝集抑制作用を減弱するとの報告がある。 | 血小板のシクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)とアスピリンの結合を阻害するためと考えられる。 |
炭酸脱水酵素阻害剤(アセタゾラミド等) | アスピリンはアセタゾラミドの副作用を増強し、嗜眠、錯乱等の中枢神経系症状、代謝性アシドーシス等を起こすことが報告されている。 | アスピリンは血漿蛋白に結合したアセタゾラミドと置換し、遊離させる。 |
ドネペジル塩酸塩 [11.1.2参照] | アスピリンとの併用により、消化性潰瘍を起こすことがある。 | コリン系が賦活され胃酸分泌が促進される。 |
タクロリムス水和物、シクロスポリン | アスピリンとの併用により、腎障害が発現することがある。 | 腎障害の副作用が相互に増強されると考えられる。 |
ザフィルルカスト | アスピリンとの併用により、ザフィルルカストの血漿中濃度が上昇することがある。 | 機序不明 |
プロスタグランジンD2、トロンボキサンA2受容体拮抗剤(ラマトロバン、セラトロダスト) | ヒト血漿蛋白結合に対する相互作用の検討(in vitro)において、アスピリンによりこれらの薬剤の非結合型分率が上昇することがある。 | これら薬剤がアスピリンと血漿蛋白結合部位で置換し、遊離型血中濃度が上昇すると考えられる。 |
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)(フルボキサミンマレイン酸塩、セルトラリン塩酸塩等) [11.1.1参照] | 出血を助長するおそれがある。また、アスピリンとの併用により、皮膚の異常出血(斑状出血、紫斑等)、出血症状(胃腸出血等)が報告されている。 | SSRIの投与により血小板凝集が阻害され、本剤との併用により出血を助長すると考えられる。 |
アルコール [9.1.5、11.1.1参照] | アスピリンとの併用により、消化管出血が増強されるおそれがある。 | アルコールによる胃粘膜障害とアスピリンのプロスタグランジン合成阻害作用により、相加的に消化管出血が増強すると考えられる。 |
薬物代謝酵素(CYP2C8)の基質となる薬剤 レパグリニド [16.7.1参照] | レパグリニドの血中濃度が増加し、血糖降下作用が増強するおそれがある。 | クロピドグレルのグルクロン酸抱合体によるCYP2C8阻害作用により、これら薬剤の血中濃度が増加すると考えられる。 |
セレキシパグ [16.7.2参照] | セレキシパグの活性代謝物(MRE-269)のCmax及びAUCが増加したとの報告がある。本剤と併用する場合には、セレキシパグの減量を考慮すること。 | クロピドグレルのグルクロン酸抱合体によるCYP2C8阻害作用により、これら薬剤の血中濃度が増加すると考えられる。 |
強力なCYP2C19誘導薬 リファンピシン | クロピドグレルの血小板阻害作用が増強されることにより出血リスクが高まるおそれがある。 リファンピシン等の強力なCYP2C19誘導薬との併用は避けることが望ましい。 | クロピドグレルは主にCYP2C19によって活性代謝物に代謝されるため、CYP2C19酵素を誘導する薬剤との併用によりクロピドグレルの活性代謝物の血漿中濃度が増加する。 |
モルヒネ | クロピドグレルの血漿中濃度が低下するおそれがある。 | モルヒネの消化管運動抑制により、クロピドグレルの吸収が遅延すると考えられる。 |
ロスバスタチン | クロピドグレル75mgの反復投与後、ロスバスタチンのCmaxには影響せず、AUCが1.4倍上昇したとの報告がある。 | クロピドグレルにより、ロスバスタチンの血中濃度が上昇する。 |