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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • うつ病・うつ状態

用法・用量

  • 通常、成人には1日1回夕食後、初期用量としてパロキセチン12.5mgを経口投与し、その後1週間以上かけて1日用量として25mgに増量する。なお、年齢、症状により1日50mgを超えない範囲で適宜増減するが、いずれも1日1回夕食後に投与することとし、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として12.5mgずつ行うこと。

禁忌 

【警告】

  • 海外で実施した7~18歳の大うつ病性障害患者を対象としたプラセボ対照試験において有効性が確認できなかったとの報告、また、自殺に関するリスクが増加するとの報告もあるので、本剤を18歳未満の大うつ病性障害患者に投与する際には適応を慎重に検討すること。[5.、8.4、9.1.2、9.7.2、15.1.1参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 MAO阻害剤を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者[10.1、11.1.1参照]
  • 2.3 ピモジドを投与中の患者[10.1参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 躁うつ病患者
躁転、自殺企図があらわれることがある。[5.、8.2-8.6、9.1.2、15.1.1、15.1.2参照]
9.1.2 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者
自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。[1.、5.、8.2-8.6、9.1.1、15.1.1、15.1.2参照]
9.1.3 脳の器質的障害又は統合失調症の素因のある患者
精神症状を増悪させることがある。[8.3、8.6、9.1.4参照]
9.1.4 衝動性が高い併存障害を有する患者
精神症状を増悪させることがある。[8.3、8.6、9.1.3参照]
9.1.5 てんかんの既往歴のある患者
てんかん発作があらわれることがある。
9.1.6 緑内障患者
散瞳があらわれることがある。
9.1.7 出血の危険性を高める薬剤を併用している患者、出血傾向又は出血性素因のある患者
皮膚及び粘膜出血(胃腸出血等)が報告されている。[10.2参照]
9.1.8 QT間隔延長又はその既往歴のある患者、心疾患又はその既往歴のある患者
QT間隔延長を起こすおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎障害のある患者
血中濃度が上昇することがある。[16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝障害のある患者
血中濃度が上昇することがある。[16.6.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ本剤の投与を開始すること。また、本剤投与中に妊娠が判明した場合には、投与継続が治療上妥当と判断される場合以外は、投与を中止するか、代替治療を実施すること。
9.5.1 海外の疫学調査において、妊娠第1三半期に本剤を投与された女性が出産した新生児では先天異常、特に心血管系異常(心室又は心房中隔欠損等)のリスクが増加した。このうち1つの調査では、一般集団における新生児の心血管系異常の発生率は約1%であるのに対し、パロキセチン曝露時の発生率は約2%と報告されている。
9.5.2 妊娠末期に本剤を投与された女性が出産した新生児において、呼吸抑制、無呼吸、チアノーゼ、多呼吸、てんかん様発作、振戦、筋緊張低下又は亢進、反射亢進、ぴくつき、易刺激性、持続的な泣き、嗜眠、傾眠、発熱、低体温、哺乳障害、嘔吐、低血糖等の症状があらわれたとの報告があり、これらの多くは出産直後又は出産後24時間までに発現していた。なお、これらの症状は、新生児仮死あるいは薬物離脱症状として報告された場合もある。
9.5.3 海外の疫学調査において、妊娠中に本剤を含む選択的セロトニン再取り込み阻害剤を投与された女性が出産した新生児において新生児遷延性肺高血圧症のリスクが増加したとの報告がある。このうち1つの調査では、妊娠34週以降に生まれた新生児における新生児遷延性肺高血圧症発生のリスク比は、妊娠早期の投与では2.4(95%信頼区間1.2-4.3)、妊娠早期及び後期の投与では3.6(95%信頼区間1.2-8.3)であった。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。授乳婦の患者にパキシル錠10~40mgを1日1回8日間以上反復経口投与した時、投与量の約1%が乳汁中へ移行した(外国人データ)。
9.7 小児等
9.7.1 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。長期投与による成長への影響については検討されていない。
9.7.2 海外で実施した7~18歳の大うつ病性障害患者(DSM-IV注)における分類)を対象としたプラセボ対照試験においてパロキセチンの有効性が確認できなかったとの報告がある。また、7~18歳の大うつ病性障害、強迫性障害、社会不安障害患者を対象とした臨床試験を集計した結果、2%以上かつプラセボ群の2倍以上の頻度で報告された有害事象は以下のとおりであった。[1.参照]
・パロキセチン投与中
食欲減退、振戦、発汗、運動過多、敵意、激越、情動不安定(泣き、気分変動、自傷、自殺念慮、自殺企図等)なお、自殺念慮、自殺企図は主に12~18歳の大うつ病性障害患者で、また、敵意(攻撃性、敵対的行為、怒り等)は主に強迫性障害又は12歳未満の患者で観察された。
・パロキセチン減量中又は中止後
神経過敏、めまい、嘔気、情動不安定(涙ぐむ、気分変動、自殺念慮、自殺企図等)、腹痛
注)DSM-IV
American Psychiatric Association(米国精神医学会)のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,4th edition(DSM-IV精神疾患の診断・統計マニュアル)
9.8 高齢者
血中濃度が上昇するおそれがあるため、十分に注意しながら投与すること。また、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)、出血の危険性が高くなるおそれがあるので注意すること。[11.1.5、16.6.3参照]

8.重要な基本的注意

8.1 眠気、めまい等があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。これらの症状は治療開始早期に多くみられている。
8.2 うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。[5.、8.3-8.6、9.1.1、9.1.2、15.1.1、15.1.2参照]
8.3 不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。[5.、8.2、8.4-8.6、9.1.1-9.1.4、15.1.1、15.1.2参照]
8.4 若年成人(特に大うつ病性障害患者)において、本剤投与中に自殺行動(自殺既遂、自殺企図)のリスクが高くなる可能性があるため、これらの患者に投与する場合には注意深く観察すること。[1.、5.、8.2、8.3、8.5、8.6、9.1.1、9.1.2、15.1.1、15.1.2参照]
8.5 自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。[5.、8.2-8.4、8.6、9.1.1、9.1.2、15.1.1、15.1.2参照]
8.6 家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。[5.、8.2-8.5、9.1.1-9.1.4、15.1.1、15.1.2参照]
8.7 大うつ病エピソードは、双極性障害の初発症状である可能性があり、抗うつ剤単独で治療した場合、躁転や病相の不安定化を招くことが一般的に知られている。従って、双極性障害を適切に鑑別すること。
8.8 投与中止(特に突然の中止)又は減量により、めまい、知覚障害(錯感覚、電気ショック様感覚、耳鳴等)、睡眠障害(悪夢を含む)、不安、焦燥、興奮、意識障害、嘔気、振戦、錯乱、発汗、頭痛、下痢等があらわれることがある。症状の多くは投与中止後数日以内にあらわれ、軽症から中等症であり、2週間程で軽快するが、患者によっては重症であったり、また、回復までに2、3ヵ月以上かかる場合もある。これまでに得られた情報からはこれらの症状は薬物依存によるものではないと考えられている。
本剤の減量又は投与中止に際しては、以下の点に注意すること。
・突然の投与中止を避けること。投与を中止する際は、患者の状態を見ながら数週間又は数ヵ月かけて徐々に減量すること。
・減量又は中止する際には6.25mg錠の使用も考慮すること。
・減量又は投与中止後に耐えられない症状が発現した場合には、減量又は中止前の用量にて投与を再開し、より緩やかに減量することを検討すること。
・患者の判断で本剤の服用を中止することのないよう十分な服薬指導をすること。また、飲み忘れにより上記のめまい、知覚障害等の症状が発現することがあるため、患者に必ず指示されたとおりに服用するよう指導すること。

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
14.1.2 本剤は腸溶性フィルムコーティングを施した放出制御型の腸溶性徐放錠であるため、噛んだり、割ったり、砕いたりせずにそのまま服用するよう指導すること。

7.用法及び用量に関連する注意

パキシルCR錠6.25mg
7.1 本剤の投与量は必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節すること。
7.2 原則として、6.25mg錠は減量又は中止時のみに使用すること。

7.用法及び用量に関連する注意

パキシルCR錠12.5mg
7.1 本剤の投与量は必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節すること。

7.用法及び用量に関連する注意

パキシルCR錠25mg
7.1 本剤の投与量は必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節すること。

5.効能又は効果に関連する注意

抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。[1.、8.2-8.6、9.1.1、9.1.2、15.1.1、15.1.2参照]

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人(20~49歳)にパキシルCR錠12.5、25及び50mgを単回経口投与した時の血漿中パロキセチン濃度は、各投与の約4時間後から定量下限以上に上昇し、投与後8~10時間付近で最高血漿中濃度(Cmax)に達した。投与量で補正したCmaxの幾何平均値は12.5mg投与と比較して25及び50mg投与でそれぞれ1.27及び2.50倍であり、投与量の増加を上回った増加が確認された。また、投与量で補正した血漿中濃度曲線下面積(AUC)の幾何平均値は、12.5mg投与と比較して25及び50mg投与でそれぞれ1.58及び3.25倍であり、Cmaxと同様に投与量の増加を上回った増加がみられ、薬物動態の非線形性が確認された。
パキシルCR錠の単回投与時の血漿中濃度をパキシル錠(速放錠)の10、20及び40mgを健康成人(20~27歳)に単回投与した時の血漿中濃度(19例)と比較すると、パキシルCR錠では4時間前後の吸収のタイムラグが存在し、Tmaxは遅延し、Cmaxは低下した。
図-1 パキシルCR錠の12.5、25及び50mgを単回経口投与時の血漿中パロキセチン濃度
(算術平均値+標準偏差、18例)
図-2 パキシルCR錠又はパキシル錠を単回経口投与時の投与後24時間までの血漿中パロキセチン濃度の平均値
(パキシルCR錠:図1のデータ、パキシル錠:文献4)のデータ)
表-1 パキシルCR錠を単回経口投与時の薬物動態学的パラメータ
投与量(mg)Cmax(ng/mL)Tmax(hr)AUC(ng・hr/mL)T1/2(hr)
12.51.804±2.1308.0(5-10)40.14±55.14注)13.03±2.20注)
254.277±3.57410.0(5-12)96.32±94.2613.42±2.28
5017.547±10.66510.0(6-12)427.99±306.8613.48±2.39
算術平均値±標準偏差、Tmaxは中央値(範囲)、18例(注):16例)Tmax:最高血漿中濃度到達時間、T1/2:消失半減期
16.1.2 反復投与
健康成人(23~43歳)に、パキシルCR錠25mg及びパキシル錠20mgをそれぞれ1日1回14日間反復経口投与し、各製剤の反復投与後における血漿中パロキセチンの薬物動態を比較した。その結果、両製剤とも血漿中濃度は投与14日目までに定常状態に達した。パキシルCR錠投与後のパロキセチンの吸収は、パキシル錠投与後と比べて緩徐で、血漿中濃度は投与後5時間付近まで投与直前と同程度の濃度を維持し、その後上昇して投与後8時間付近でCmaxに達した。投与後約8~12時間の血漿中濃度はパキシルCR錠の方が緩徐に低下したが、その後の推移は両製剤で同様であった。
パキシルCR錠25mg/日投与時の定常状態におけるCmax及び24時間のAUC(AUC0-24)の各幾何平均値は、パキシル錠20mg/日投与時のそれぞれ75%及び77%であった。最終投与後96時間までの血漿中濃度から算出したT1/2の平均値は両製剤とも約23.3時間であった。
図-3 パキシルCR錠25mg及びパキシル錠20mgを各1日1回反復経口投与した時の定常状態の血漿中パロキセチン濃度
(算術平均値+標準偏差、パキシルCR錠 25例、パキシル錠 26例)
表-2 パキシルCR錠25mg及びパキシル錠20mgを各1日1回反復経口投与した時の定常状態における薬物動態学的パラメータ
投与量Cmax(ng/mL)Cmin(ng/mL)Tmax(hr)AUC0-24(ng・hr/mL)
パキシルCR錠25mg/日45.070±36.46227.538±26.1588.02(8-12)836.85±735.66
パキシル錠20mg/日54.273±32.72530.247±23.1316.00(3-8)964.61±644.12
算術平均値±標準偏差、Tmaxは中央値(範囲)Cmin:最終投与の直前~24時間後の間の最小血漿中濃度
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人にパキシルCR錠25mgを空腹時及び食後にそれぞれ1日1回反復経口投与した時の定常状態における薬物動態学的パラメータに差は認められなかった(外国人データ)。従って、パキシルCR錠投与時の薬物動態に食事の影響はないと考えられる。
16.3 分布
16.3.1 血漿タンパク結合率
In vitroでヒト血漿にパロキセチンの100又は400ng/mLを添加した時の血漿タンパク結合率は、それぞれ約95及び93%であった。
16.3.2 血球分配率
In vitroでヒト血液に14C標識パロキセチン塩酸塩を添加した時の血球分配率は51%以上であり、血球移行が認められた。
16.4 代謝
ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験により、パロキセチンのCYP2D6に対する阻害様式は拮抗阻害であり、sparteineの脱水素反応を指標としたKi値は0.15μMであった。パロキセチンは主に肝臓のCYP2D6により代謝されることから、薬物動態の非線形性はCYP2D6による代謝の飽和と考えられる。パロキセチンがCYP2D6を阻害し、表現型がExtensive MetabolizerからPoor Metabolizer様へ変換することから、CYP2D6で代謝される薬剤との相互作用が考えられる。なお、この表現型の変換は休薬後約1週間で回復する。[10.参照]
16.5 排泄
健康成人に14C標識パロキセチン塩酸塩30mgを単回経口投与した時の放射能は、投与後168時間以内に投与量の約64%が尿中にほとんど代謝物として排泄され、糞中には約35%が排泄された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害者
腎機能障害者にパキシル錠20mgを1日1回18日間反復経口投与した時、重度の腎機能障害者(クレアチニンクリアランス値30mL/分未満)において、血漿中濃度の上昇及びAUCの増大が認められた(外国人データ)。[9.2.1参照]
16.6.2 肝機能障害者
肝機能障害者に肝機能低下の程度に応じパキシル錠20又は30mgを1日1回14日間反復経口投与した時、血漿中濃度の上昇、T1/2の延長及びAUCの増大が認められた(外国人データ)。[9.3.1参照]
16.6.3 高齢者
健康高齢者(65~80歳)にパキシル錠20mgを単回経口投与した時の血漿中濃度は投与約6時間後にCmax7.3ng/mLに達し、T1/2は約18時間であった。一方、非高齢の健康成人(21~27歳)にパキシル錠20mgを単回経口投与した時のCmaxは6.5ng/mL、T1/2は約14時間であった。[9.8参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 フェノバルビタール
フェノバルビタール100mgを1日1回14日間反復投与し、14日目にパキシル錠30mgを単回経口投与した時、血漿中パロキセチンのAUC及びT1/2は、それぞれ平均25及び38%減少した。[10.2参照]
16.7.2 フェニトイン
フェニトイン300mgを1日1回14日間反復投与し、14日目にパキシル錠30mgを単回経口投与した時、血漿中パロキセチンのAUC及びT1/2は、それぞれ平均50及び38%減少した。パキシル錠30mgを1日1回14日間反復投与し、14日目にフェニトイン300mgを単回経口投与した時、フェニトインのAUCは平均12%減少した。[10.2参照]
16.7.3 シメチジン
パキシル錠30mgを1日1回28日間反復投与し、投与22~28日目にシメチジン300mgを1日3回反復併用投与した時、定常状態におけるパロキセチン濃度は、併用投与期間中に約50%増加した。[10.2参照]
16.7.4 ジゴキシン
ジゴキシン0.25mgを1日1回28日間反復投与し、投与15~42日目にパキシル錠30mgを1日1回反復併用投与した時、定常状態におけるジゴキシンの平均AUCは、パロキセチンの併用により15%減少した。[10.2参照]
16.7.5 その他の薬剤
プロプラノロール、ジアゼパム、ワルファリン、ジゴキシン、メチルドパ又はアルコールとの併用投与において、パロキセチンの薬物動態に影響はみられなかった。また、パロキセチンはワルファリン、グリベンクラミド及びフェニトインの血漿タンパク結合率に影響を及ぼさなかった(in vitro)。[10.2参照]
16.8 その他
パキシルCR錠は、薬物の溶出開始までの時間を製剤の胃部通過後まで遅延させるために腸溶性フィルムコートを施し、素錠の有効成分を含有する親水性マトリックス薬物層から、腸管内で有効成分が緩徐に放出するよう設計されている。

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
MAO阻害剤
セレギリン塩酸塩(エフピー)
ラサギリンメシル酸塩(アジレクト)
サフィナミドメシル酸塩(エクフィナ)
[2.2、11.1.1参照]
セロトニン症候群があらわれることがある。
MAO阻害剤を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者には投与しないこと。
また、本剤の投与中止後2週間以内にMAO阻害剤の投与を開始しないこと。
脳内セロトニン濃度が高まると考えられている。
ピモジド
[2.3参照]
QT延長、心室性不整脈(torsade de pointesを含む)等の重篤な心臓血管系の副作用があらわれるおそれがある。ピモジド(2mg)との併用により、ピモジドの血中濃度が上昇したことが報告されている。本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することによると考えられる。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
セロトニン作用を有する薬剤
炭酸リチウム
選択的セロトニン再取り込み阻害剤
トリプタン系薬剤
スマトリプタンコハク酸塩等
セロトニン前駆物質(L-トリプトファン、5-ヒドロキシトリプトファン等)含有製剤又は食品等
トラマドール塩酸塩
フェンタニルクエン酸塩
リネゾリド
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等
[11.1.1参照]
セロトニン症候群等のセロトニン作用による症状があらわれることがある。
これらの薬物を併用する際には観察を十分に行うこと。
相互にセロトニン作用が増強するおそれがある。
セロトニン作用を有する薬剤
メチルチオニニウム塩化物水和物(メチレンブルー)
セロトニン症候群等のセロトニン作用による症状があらわれることがある。
これらの薬物を併用する際には観察を十分に行うこと。
メチルチオニニウム塩化物水和物はMAO阻害作用を有するため、セロトニン作用が増強される。
フェノチアジン系抗精神病剤
ペルフェナジン
リスペリドン
[11.1.2参照]
これらの抗精神病剤との併用により悪性症候群があらわれるおそれがある。
これらの薬剤の作用が増強され、過鎮静、錐体外路症状等の発現が報告されている。
本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、患者によってはこれら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
ペルフェナジンとの併用により、ペルフェナジンの血中濃度が約6倍増加したことが報告されている。
リスペリドンとの併用により、リスペリドン及び活性代謝物の血中濃度が約1.4倍増加したことが報告されている。
イミプラミンとの併用により、イミプラミンのAUCが約1.7倍増加したことが報告されている。
三環系抗うつ剤
アミトリプチリン塩酸塩
ノルトリプチリン塩酸塩
イミプラミン塩酸塩
これら薬剤の作用が増強されるおそれがある。イミプラミンと本剤の薬物相互作用試験において、併用投与により鎮静及び抗コリン作用の症状が報告されている。本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、患者によってはこれら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
ペルフェナジンとの併用により、ペルフェナジンの血中濃度が約6倍増加したことが報告されている。
リスペリドンとの併用により、リスペリドン及び活性代謝物の血中濃度が約1.4倍増加したことが報告されている。
イミプラミンとの併用により、イミプラミンのAUCが約1.7倍増加したことが報告されている。
抗不整脈剤
プロパフェノン塩酸塩
フレカイニド酢酸塩
これら薬剤の作用が増強されるおそれがある。本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、患者によってはこれら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
ペルフェナジンとの併用により、ペルフェナジンの血中濃度が約6倍増加したことが報告されている。
リスペリドンとの併用により、リスペリドン及び活性代謝物の血中濃度が約1.4倍増加したことが報告されている。
イミプラミンとの併用により、イミプラミンのAUCが約1.7倍増加したことが報告されている。
β-遮断剤
チモロールマレイン酸塩
これら薬剤の作用が増強されるおそれがある。本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、患者によってはこれら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
ペルフェナジンとの併用により、ペルフェナジンの血中濃度が約6倍増加したことが報告されている。
リスペリドンとの併用により、リスペリドン及び活性代謝物の血中濃度が約1.4倍増加したことが報告されている。
イミプラミンとの併用により、イミプラミンのAUCが約1.7倍増加したことが報告されている。
β-遮断剤
メトプロロール酒石酸塩
メトプロロールとの併用投与により、重度の血圧低下が報告されている。本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、メトプロロールの(S)-体及び(R)-体のT1/2がそれぞれ約2.1及び2.5倍、AUCがそれぞれ約5及び8倍増加したことが報告されている。
アトモキセチン塩酸塩併用によりアトモキセチンの血中濃度が上昇したとの報告がある。本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することによると考えられる。
タモキシフェンクエン酸塩タモキシフェンの作用が減弱されるおそれがある。
併用により乳癌による死亡リスクが増加したとの報告がある。
本剤が肝臓の薬物代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、タモキシフェンの活性代謝物の血中濃度が減少するおそれがある。
キニジン硫酸塩水和物
シメチジン
[16.7.3参照]
本剤の作用が増強するおそれがある。これらの薬剤の肝薬物代謝酵素阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
フェニトイン
フェノバルビタール
カルバマゼピン
リファンピシン
[16.7.1、16.7.2参照]
本剤の作用が減弱するおそれがある。これらの薬剤の肝薬物代謝酵素誘導作用により、本剤の血中濃度が低下するおそれがある。
ホスアンプレナビルカルシウム水和物とリトナビルの併用時本剤の作用が減弱するおそれがある。作用機序は不明であるが、ホスアンプレナビルとリトナビルとの併用時に本剤の血中濃度が約60%減少したことが報告されている。
ワルファリンカリウム
[16.7.5参照]
ワルファリンの作用が増強されるおそれがある。本剤との相互作用は認められていないが、他の抗うつ剤で作用の増強が報告されている。
ジゴキシン
[16.7.4参照]
ジゴキシンの作用が減弱されるおそれがある。健康人において、本剤との併用によるジゴキシンの血中濃度の低下が認められている。
止血・血液凝固を阻害する薬剤
非ステロイド性抗炎症剤、アスピリン、ワルファリンカリウム等
出血症状の報告のある薬剤
フェノチアジン系抗精神病剤、非定型抗精神病剤、三環系抗うつ剤等
[9.1.7参照]
出血傾向が増強するおそれがある。これらの薬剤を併用することにより作用が増強されることが考えられる。
アルコール
(飲酒)
[16.7.5参照]
本剤服用中は、飲酒を避けることが望ましい。本剤との相互作用は認められていないが、他の抗うつ剤で作用の増強が報告されている。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 セロトニン症候群(頻度不明)
不安、焦燥、興奮、錯乱、幻覚、反射亢進、ミオクロヌス、発汗、戦慄、頻脈、振戦等があらわれるおそれがある。セロトニン作用薬との併用時に発現する可能性が高くなるため、特に注意すること。異常が認められた場合には、投与を中止し、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。[2.2、10.1、10.2参照]
11.1.2 悪性症候群(頻度不明)
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合がある。抗精神病剤との併用時にあらわれることが多いため、特に注意すること。異常が認められた場合には、抗精神病剤及び本剤の投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発現時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。[10.2参照]
11.1.3 幻覚(0.6%)、錯乱、せん妄、痙攣(いずれも頻度不明)
11.1.4 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑(いずれも頻度不明)
11.1.5 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明)
主に高齢者において、低ナトリウム血症、痙攣等があらわれることが報告されている。異常が認められた場合には、投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。[9.8参照]
11.1.6 重篤な肝機能障害(頻度不明)
肝不全、肝壊死、肝炎、黄疸等があらわれることがある。必要に応じて肝機能検査を行い、異常が認められた場合には、投与を中止する等適切な処置を行うこと。
11.1.7 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
11.1.8 汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少(いずれも頻度不明)
血液検査等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.9 アナフィラキシー(頻度不明)
アナフィラキシー(発疹、血管性浮腫、呼吸困難等)があらわれることがある。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

1%以上1%未満頻度不明
全身症状倦怠(感)、疲労ほてり無力症、発熱、悪寒
精神神経系傾眠、頭痛、めまい、感情鈍麻、振戦、緊張亢進、不眠、躁病反応あくび、異常な夢(悪夢を含む)、知覚減退神経過敏、錐体外路障害、離人症、激越、アカシジア注)、レストレスレッグス症候群、失神、味覚異常、健忘
消化器嘔気、口渇、便秘、下痢、消化不良、腹痛、食欲不振嘔吐
循環器一過性の血圧上昇又は低下、心悸亢進頻脈、起立性低血圧
過敏症発疹そう痒、血管性浮腫、蕁麻疹、紅斑性発疹、光線過敏症
血液白血球増多、赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット値増加又は減少、異常出血(皮下溢血、紫斑、胃腸出血等)
肝臓肝機能検査値異常(ALT、AST、γ-GTP、LDH、Al-P、総ビリルビンの上昇、ウロビリノーゲン陽性等)
腎臓・泌尿器排尿困難BUN上昇、尿沈渣(赤血球、白血球)、尿蛋白、尿閉、尿失禁
霧視視力異常散瞳、急性緑内障
その他発汗、性機能異常(射精遅延、勃起障害等)、総コレステロール上昇体重増加血清カリウム上昇、総蛋白減少、乳汁漏出、末梢性浮腫、高プロラクチン血症、月経障害(不正子宮出血、無月経等)

注)内的な落ち着きのなさ、静坐/起立困難等の精神運動性激越であり、苦痛が伴うことが多い。治療開始後数週間以内に発現しやすい。

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