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クレキサン皮下注キット2000IU

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • ○下記の下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制

    • 股関節全置換術、膝関節全置換術、股関節骨折手術
  • ○静脈血栓塞栓症の発症リスクの高い、腹部手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制

用法・用量

  • 通常、エノキサパリンナトリウムとして、1回2000IUを、原則として12時間毎に1日2回連日皮下注射する。

禁忌 

【警告】

  • 脊椎・硬膜外麻酔あるいは腰椎穿刺等との併用により、穿刺部位に血腫が生じ、神経の圧迫による麻痺があらわれるおそれがある。併用する場合には神経障害の徴候及び症状について十分注意し、異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行うこと。[8.1.1-8.1.3参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分又はヘパリン、ヘパリン誘導体(低分子量ヘパリン等)に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 出血している患者(頭蓋内出血、後腹膜出血又は他の重要器官における出血等)[出血が助長されるおそれがある。][11.1.2参照]
  • 2.3 急性細菌性心内膜炎患者[血栓剥離に伴う血栓塞栓様症状を呈するおそれがある。]
  • 2.4 重度の腎障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者[7.3、9.2.1、16.6.1参照]
  • 2.5 ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の既往歴のある患者[HITが起こるおそれがある。]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 出血する可能性のある患者
止血障害、消化性潰瘍の既往のある患者、虚血性脳卒中発症後日の浅い患者、コントロール出来ない高血圧症、糖尿病性網膜症、脳・眼科手術後日の浅い患者、侵襲性処置を受けた患者、止血に影響を与える薬剤を投与されている患者においては血管や臓器の障害箇所に出血が起こるおそれがある。[8.3、11.1.2参照]
9.1.2 低体重の患者
相対的に血中濃度が上昇し、出血が起こるおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎障害患者
投与しないこと。血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがある。[2.4参照]
9.2.2 軽度又は中等度の腎障害患者
排泄が遅延し、血中濃度が上がることにより出血が起こるおそれがある。[7.3、16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝障害患者
凝固因子の産生が低下していることがあるので、出血が起こるおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で35S-エノキサパリンナトリウムを投与したとき、微量の放射活性の乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
出血リスク増大のおそれがある。一般的に生理機能が低下している。

8.重要な基本的注意

8.1 脊椎・硬膜外麻酔等との併用により、穿刺部位に血腫が生じ、神経の圧迫による長期又は永続的な麻痺等の神経障害があらわれるおそれがあるので、以下の点に留意すること。
8.1.1 出血のリスクを避けるために、カテーテルの挿入又は抜去は本剤の抗凝固作用が低下した時点で行うこと。
本剤の初回投与開始2時間前までには、脊椎・硬膜外カテーテルを抜去しておくことが望ましい。やむを得ず併用する場合には、本剤投与後10~12時間経過した後にカテーテルを抜去すること。その後の本剤投与はカテーテル抜去後2時間以上経過した後行うこと。
また、やむを得ず新たにカテーテルを挿入する場合には、本剤投与後10~12時間経過した後に行うこと。その後の本剤投与はカテーテル挿入後2時間以上経過した後行うこと。[1.参照]
8.1.2 次の場合では、神経障害のリスクがより高くなる。[1.、10.2参照]
・脊椎手術の既往又は脊柱変形のある患者
・術後のカテーテル留置
・止血に影響を及ぼす薬剤(非ステロイド性消炎鎮痛剤等)との併用
・血管損傷を伴う針の刺入やカテーテルの挿入又は頻回の刺入
8.1.3 併用する場合には、背部痛、感覚及び運動障害、膀胱直腸障害等の神経障害の徴候及び症状を十分に観察すること。[1.参照]
8.2 ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)を含む血小板減少のリスクがあるので、本剤投与開始前及び投与中は1週間に1回程度は臨床検査を実施するなど観察を十分に行うこと。なお、投与終了後も血小板数の減少のリスクが継続するおそれがある。[11.1.3参照]
8.3 出血等の副作用が生じることがあるので、必要に応じて血算(ヘモグロビン値及び血小板数)及び便潜血検査等の臨床検査を実施することが望ましい。[9.1.1、11.1.2参照]
8.4 「高リスク」以上の泌尿器科及び婦人科手術施行患者に対する使用経験が少ないため、これらの患者に投与する場合には、患者の状態を十分に観察すること。
8.5 活性化凝固時間(ACT)、プロトロンビン時間(PT)及び活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)等の通常の凝固能検査は、本剤に対する感度が比較的低く、薬効をモニタリングする指標とはならないので、臨床症状を十分に観察し、出血等がみられた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[11.1.2、18.1.2参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 腹部に皮下投与するが、同一部位に繰り返し注射することは避けることが望ましい。
14.1.2 薬剤の損失を防ぐために注射前にシリンジから気泡を抜かないこと。
14.1.3 親指と人差し指で軽く皮膚をつまみ、針の全長を皮下組織へ垂直に刺すこと。注射が完了するまで皮膚を離さないこと。
14.2 薬剤投与後の注意
14.2.1 注射後、投与部位をもまないこと。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 国内臨床試験において、15日間以上投与した場合の有効性及び安全性は検討されていない。
7.2 原則として、術後24~36時間に手術創等からの出血がないことを確認してから投与を開始すること。
7.3 腎障害のある患者では本剤の血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがある。クレアチニンクリアランス30~50mL/minの患者に投与する場合は、国内臨床試験成績も踏まえて、症例毎の血栓リスク及び出血リスクを勘案して適用を慎重に判断すること。なお、出血の危険性が高いと考えられる場合には、投与間隔を延長することが望ましい(エノキサパリンナトリウムとして2000IUを1日1回投与する)。[2.4、9.2.2、16.6.1、17.1.5参照]

5.効能又は効果に関連する注意

<静脈血栓塞栓症の発症リスクの高い、腹部手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制>
腹部手術のうち帝王切開術施行患者における有効性・安全性は確立していないため、これらの患者に投与する場合には、リスクとベネフィットを十分考慮すること。使用経験は少ない。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男子18例にエノキサパリンナトリウム30mg、60mg及び90mg(それぞれ3000IU、6000IU及び9000IUに相当)を単回皮下投与したとき注)、血漿中抗第Xa因子活性のAmax(最高活性値)及びAUCは投与量に依存し、線形的な増加を示した。消失半減期及びクリアランスは投与量によらずほぼ一定で、それぞれ3.90~4.72時間及び0.75~0.87L/hであった。また、分布容積は4.82~5.10Lであった。
16.1.2 反復投与
健康成人男子6例にエノキサパリンナトリウムを第1日及び第9日に20mg(2000IUに相当)を単回皮下投与し注)、第2~8日に1日2回7日間反復皮下投与したところ、投与後72時間までに定常状態に達した。第9日の血漿中抗第Xa因子活性のAmax及びAUCは第1日に比べそれぞれ47及び49%増加した。
健康成人男子に反復皮下投与した時の血漿中抗第Xa因子活性推移(第1日)
健康成人男子に単回及び反復皮下投与したときの血漿中抗第Xa因子活性の薬物動態パラメータ
投与量(IU)Amax(IU/mL)tmax注1)(h)AUC注2)(h・IU/mL)t1/2(h)CL/F(L/h)
単回投与3,000(6例)0.46±0.052.0(2.0-2.5)3.37±0.443.90±0.840.87±0.11
6,000(6例)0.76±0.093.0(2.0-4.0)7.57±0.714.47±0.400.78±0.08
9,000(6例)1.11±0.193.5(1.5-4.0)11.89±2.154.72±0.420.75±0.14
反復投与第1日2,000(6例)0.25±0.032.3(1.5-3.0)1.62±0.183.19±0.561.14±0.16
第9日2,000(5例)0.35±0.082.0(2.0-2.5)2.38±0.525.68±2.270.88±0.20
平均値±標準偏差注1)中央値(最小値-最大値)注2)単回投与;AUC(0-t)、反復投与;AUC(0-12)
16.3 分布
健康成人男女4例に99mTc(テクネチウム99m)で標識したエノキサパリンナトリウム30mg(3000IUに相当)を単回静脈内投与したとき注)、投与後6時間における放射能分布は心臓、肝臓及び腎臓に限局していた(外国人データ)。
16.5 排泄
健康成人男女4例に99mTc(テクネチウム99m)で標識したエノキサパリンナトリウム30mg(3000IUに相当)を単回静脈内投与したとき注)、投与放射能の29%が投与後8時間までに、41%が投与後24時間までに尿中に排泄され、主要な排泄経路であることが示唆された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎機能障害患者36例〔軽度(50mL/min<クレアチニンクリアランス(以下、CLCR)≦80mL/min)12例、中等度(30mL/min<CLCR≦50mL/min)12例、高度(CLCR≦30mL/min)12例〕にエノキサパリンナトリウム40mgを1日1回4日間反復皮下投与したとき注)、反復投与後4日目の抗第Xa因子活性のAUCは健康成人に比較して軽度及び中等度の患者ではそれぞれ20%及び21%高かったのに対し、高度の患者では65%増加した。また、消失半減期は健康成人の6.9時間に対して高度の腎機能障害患者では15.9時間と延長した(外国人データ)。[2.4、7.3、9.2.2、17.1.5参照]
注)本剤の承認された用法及び用量は1回2000IUを、原則として12時間毎に1日2回連日皮下注射である。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
抗凝固剤
ヘパリン
ワルファリン 等
出血傾向が増強するおそれがあるので、併用しないことが望ましいが、やむを得ず併用する場合には観察・検査を十分に行う等慎重に投与すること。両剤の抗凝固作用が相加的に増強される。
血小板凝集抑制剤
チクロピジン塩酸塩
ジピリダモール 等
出血傾向が増強するおそれがあるので、併用しないことが望ましいが、やむを得ず併用する場合には観察・検査を十分に行う等慎重に投与すること。本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される。
サリチル酸誘導体
アスピリン 等
出血傾向が増強するおそれがあるので、併用しないことが望ましいが、やむを得ず併用する場合には観察・検査を十分に行う等慎重に投与すること。本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される。
デキストラン40出血傾向が増強するおそれがあるので、併用しないことが望ましいが、やむを得ず併用する場合には観察・検査を十分に行う等慎重に投与すること。本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される。
血栓溶解剤
ウロキナーゼ
t-PA製剤 等
出血傾向が増強するおそれがあるので、併用しないことが望ましいが、やむを得ず併用する場合には観察・検査を十分に行う等慎重に投与すること。本剤の抗凝固作用とフィブリン溶解作用により相加的に出血傾向が増強される。
非ステロイド性消炎鎮痛剤
ロキソプロフェンナトリウム水和物
ジクロフェナクナトリウム 等
[8.1.2参照]
出血傾向が増強するおそれがあるので、併用する場合には観察・検査を十分に行う等慎重に投与すること。本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
11.1.2 血腫・出血
国内臨床試験において皮下出血(3.7%)、処置後出血(3.1%)、消化管出血(0.1%)等、海外で脊髄硬膜外血腫、後腹膜出血、頭蓋内出血(いずれも頻度不明)等の血腫・出血が報告されている。出血は、手術部位以外でも起こる可能性があり、致死的な場合もある。[2.2、8.3、8.5、9.1.1参照]
11.1.3 血小板減少(0.3%)
免疫機序を介した血小板減少症とそれに伴う動脈血栓により、梗塞又は四肢の虚血が起こることがあるので、投与後は血小板数を測定し、血小板数の著明な減少が認められた場合には、その後の投与を中止すること。[8.2参照]
11.1.4 肝機能障害、黄疸(頻度不明)
AST、ALTの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

1%~10%未満1%未満頻度不明
精神神経系頭痛、めまい感覚減退、不眠
血液血小板数増加、貧血、白血球数減少、白血球数増加好酸球数増加
過敏症紅斑、そう痒症発疹
消化器便秘下痢、悪心・嘔吐、消化不良、腹痛
筋・骨格系四肢痛背部痛
肝臓ALT上昇、γ-GTP上昇、AST上昇、Al-P上昇、LDH上昇肝機能異常、ビリルビン上昇
腎臓血中尿素上昇
投与部位疼痛・硬結・そう痒感・熱感中等度の刺激感、皮膚壊死注)
その他末梢性浮腫、発熱、熱感、血中カルシウム減少血中カリウム減少、CRP上昇、創部分泌、動悸、胸痛、創合併症、末梢冷感、湿疹、トリグリセリド上昇水疱性皮疹、皮膚血管炎、血中カリウム上昇、脱毛症

注)浸潤及び疼痛を伴う紫斑あるいは紅斑を初期症状とする。主に注射部位にみられるが、他のヘパリン製剤でもみられるものであり、このような場合は直ちに投与を中止すること。

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