薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
抗凝固剤 クマリン系抗凝固剤 (ワルファリンカリウム) [11.1.2参照] | クマリン系抗凝固剤の作用を増強し、出血時間の延長、消化管出血等を起こすことがあるので、クマリン系抗凝固剤を減量するなど、慎重に投与すること。 | 本剤は血漿蛋白に結合したクマリン系抗凝固剤と置換し、遊離させる。 また、本剤は血小板凝集抑制作用、消化管刺激による出血作用を有する。 |
抗凝固剤 血液凝固阻止剤 (ヘパリン製剤、ダナパロイドナトリウム、第Xa因子阻害剤(リバーロキサバン等)、抗トロンビン剤(ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩等)、トロンボモデュリン アルファ等) [11.1.2参照] | 出血の危険性が増大するおそれがあるので、観察を十分に行い、注意すること。 | 本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤との併用により出血傾向が増強されるおそれがある。 |
血小板凝集抑制作用を有する薬剤 (チクロピジン塩酸塩、シロスタゾール、クロピドグレル硫酸塩、トロンボキサン合成酵素阻害剤(オザグレルナトリウム)、プロスタグランジンE1製剤、E1及びI2誘導体製剤(ベラプロストナトリウム等)、サルポグレラート塩酸塩、イコサペント酸エチル等) [11.1.2参照] | 出血の危険性が増大するおそれがあるので、観察を十分に行い、注意すること。 | 本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤との併用により出血傾向が増強されるおそれがある。 |
血栓溶解剤 (ウロキナーゼ、t-PA製剤等) [11.1.2参照] | 出血の危険性が増大するおそれがあるので、観察を十分に行い、注意すること。 | 本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤との併用により出血傾向が増強されるおそれがある。 |
糖尿病用剤 (ヒトインスリン等) | 糖尿病用剤の作用を増強し、低血糖を起こすことがあるので糖尿病用剤を減量するなど、慎重に投与すること。 | 本剤は血漿蛋白に結合した糖尿病用剤を遊離させる。 また、本剤は大量で血糖降下作用を有する。 |
メトトレキサート | メトトレキサートの副作用(骨髄抑制、肝・腎・消化器障害等)が増強されることがある。 | 本剤は血漿蛋白に結合したメトトレキサートと置換し、遊離させる。 また、本剤はメトトレキサートの腎排泄を阻害すると考えられている。 |
バルプロ酸ナトリウム | バルプロ酸ナトリウムの作用を増強し、振戦等を起こすことがある。 | 本剤は血漿蛋白に結合したバルプロ酸ナトリウムを遊離させる。 |
フェニトイン | 総フェニトイン濃度を低下させるが、非結合型フェニトイン濃度を低下させないとの報告があるので、総フェニトイン濃度に基づいて増量する際には臨床症状等を慎重に観察すること。 | 本剤は血漿蛋白に結合したフェニトインと置換し、遊離させる。 |
炭酸脱水酵素阻害剤 (アセタゾラミド等) | これら薬剤の副作用を増強し、嗜眠、錯乱等の中枢神経系症状、代謝性アシドーシス等を起こすことが報告されている。 | 本剤は血漿蛋白に結合したこれら薬剤と置換し、遊離させる。 |
副腎皮質ホルモン剤 (ベタメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン等) | サリチル酸中毒を起こすことが報告されている。 | 機序は不明である。併用時に、副腎皮質ホルモン剤を減量するとサリチル酸系製剤の血中濃度が増加したとの報告がある。 |
リチウム製剤 (炭酸リチウム) | 類薬(インドメタシン等)でリチウム中毒を起こすことが報告されている。 | 類薬(インドメタシン等)は腎のプロスタグランジン生合成を抑制し、リチウムの腎排泄を低下させる。 |
チアジド系利尿剤 (ヒドロクロロチアジド) | 類薬(インドメタシン等)でチアジド系利尿剤の作用を減弱させることが報告されている。 | 類薬(インドメタシン等)は腎のプロスタグランジン生合成を抑制し、チアジド系利尿剤の作用を減弱させることがある。 |
尿酸排泄促進剤 (プロベネシド、ベンズブロマロン) | これらの薬剤の作用を減弱させることがある。 | サリチル酸製剤は尿酸の排泄を抑制することが知られているため、これら薬剤の効果が減弱すると考えられる。 |
乳酸ナトリウム | 本剤の作用を減弱させることがある。 | 乳酸ナトリウムにより尿がアルカリ性となり、サリチル酸の尿中排泄が増加し、血中濃度が治療域以下になることがある。 |
非ステロイド系解熱鎮痛消炎剤 インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム等 [7.1、11.1.2参照] | (1)これら薬剤の血中濃度を低下させるおそれがある。 (2)消化器系の副作用を増強させるおそれがある。 (3)出血及び腎機能低下を起こすことがある。 | (1)本剤との併用により、これら薬剤の血漿蛋白結合部位からの遊離置換によると考えられる。 (2)、(3)機序不明 |
非ステロイド系解熱鎮痛消炎剤 オキシカム系消炎鎮痛剤 (ピロキシカム等) [7.1、11.1.7参照] | 両剤又は一方の薬剤の副作用の発現頻度を増加させ、消化性潰瘍、胃腸出血の発現が高まるおそれがある。 | 両剤ともにプロスタグランジン生合成阻害作用を有するためと考えられている。 |
非ステロイド系解熱鎮痛消炎剤 スリンダク [7.1参照] | 消化器系の副作用の発現率が上昇する。 また、スリンダクの活性代謝物(スルフィド体)の血中濃度が低下する。 | 機序不明 |
非ステロイド系解熱鎮痛消炎剤 イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、スルピリン [7.1参照] | 本剤の血小板凝集抑制作用を減弱するとの報告がある。 | 血小板のシクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)と本剤の結合を阻害するためと考えられる。 |
非ステロイド系解熱鎮痛消炎剤 COX-2選択的阻害剤 (セレコキシブ) [7.1参照] | 低用量の本剤(1日325mg以下)とセレコキシブを併用した場合、セレコキシブのみを服用したときに比べて消化性潰瘍等の発生率が高くなることが報告されている。 | 主に本剤併用によるNSAIDsの消化管障害誘発によると考えられる。 |
ドネペジル塩酸塩 [11.1.7参照] | 消化性潰瘍を起こすことがある。 | コリン系が賦活され胃酸分泌が促進される。 |
β-遮断剤 (プロプラノロール塩酸塩等) | 降圧作用が減弱することがある。 | 本剤がプロスタグランジン生合成を抑制することにより、プロスタグランジンを介した降圧効果を減弱させる。 |
アンジオテンシン変換酵素阻害剤 (カプトプリル等) アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害剤 (サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物) アンジオテンシンII受容体拮抗剤 (バルサルタン等) 直接的レニン阻害剤 (アリスキレン) | (1)降圧作用が減弱することがある。 (2)腎機能を悪化させるおそれがある。 | (1)本剤がプロスタグランジン生合成を抑制することにより、プロスタグランジンを介した降圧効果を減弱させる。 (2)本剤の腎プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。 |
ループ利尿剤 (フロセミド等) | (1)これらの薬剤の利尿作用を減弱させるおそれがある。 (2)サリチル酸中毒が発現するおそれがある。 | (1)本剤が腎のプロスタグランジン生合成を抑制することにより、これら薬剤の作用を減弱させるためと考えられる。 (2)腎の排泄部位において両剤の競合が起こり、サリチル酸誘導体の排泄が遅れるためと考えられる。 |
ニトログリセリン | ニトログリセリンの作用を減弱させるおそれがある。 | 本剤がプロスタグランジン生合成を抑制することにより、ニトログリセリンの血管拡張作用を減弱させる。 |
タクロリムス水和物、シクロスポリン | 腎機能障害が発現することがある。 | 腎機能障害の副作用が相互に増強されると考えられる。 |
プロスタグランジンD2、トロンボキサンA2受容体拮抗剤 (セラトロダスト、ラマトロバン) | ヒト血漿蛋白結合に対する相互作用の検討(in vitro)において、本剤によりこれら薬剤の非結合型分率が上昇することがある。 | これら薬剤が本剤と血漿蛋白結合部位で置換し、遊離型血中濃度が上昇すると考えられる。 |
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI) (フルボキサミンマレイン酸塩、塩酸セルトラリン等) [11.1.2参照] | 皮膚の異常出血(斑状出血、紫斑等)、出血症状(胃腸出血等)が報告されている。 | SSRIの投与により血小板凝集が阻害され、本剤との併用により出血傾向が増強すると考えられる。 |
アルコール [9.1.6、11.1.2参照] | 消化管出血が増強されるおそれがある。 | アルコールによる胃粘膜障害と本剤のプロスタグランジン合成阻害作用により、相加的に消化管出血が増強すると考えられる。 |