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アリクストラ皮下注5mg、他

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 急性肺血栓塞栓症及び急性深部静脈血栓症の治療

用法・用量

  • 通常、成人には、フォンダパリヌクスナトリウムとして以下の用量を1日1回皮下投与する。
    • 体重50kg未満:5mg、体重50~100kg:7.5mg、体重100kg超:10mg

禁忌 

【警告】

  • 脊椎・硬膜外麻酔あるいは腰椎穿刺等との併用は、穿刺部位に血腫が生じ、神経の圧迫による麻痺があらわれるおそれがあるので、行わないこと。
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 出血している患者(後腹膜出血、頭蓋内出血、脊椎内出血、あるいは他の重要器官における出血等)[出血を助長するおそれがある。]
  • 2.3 急性細菌性心内膜炎の患者[血栓剥離に伴う血栓塞栓様症状を呈するおそれがある。]
  • 2.4 重度の腎障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者[9.2.1、16.6.1参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 出血する可能性が高い患者(出血傾向のある患者、消化管潰瘍の患者、頭蓋内出血後又は脳脊髄や眼の手術後日の浅い患者等)
出血を生じるおそれがある。
9.1.2 低体重の患者
本剤の全身クリアランスは体重の低下に伴って低下する傾向がみられるため、低体重の患者に投与する場合には本剤の血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがある。国内臨床試験において、体重40kg未満の患者への使用経験がほとんどない。
9.1.3 ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型の既往のある患者
HIT抗体との交差反応性は認められていないが、使用経験が少なく、安全性は確立していない。[18.4参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎障害のある患者(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)
投与しないこと。本剤は腎臓を介して排泄されるので、血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがある。[2.4、16.6.1参照]
9.2.2 中等度の腎障害のある患者
本剤は腎臓を介して排泄されるので、血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがある。[7.5、16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝障害のある患者
凝固因子の産生が低下していることがあるので、出血の危険性が増大するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ヒト胎盤を用いたin vitro試験では胎盤通過性はみられていないものの、妊娠ラットの反復静脈内投与試験では、わずかに胎児への移行が確認されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ラットにおいて乳汁への移行が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に腎機能が低下し本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

8.重要な基本的注意

8.1 プロトロンビン時間(PT-INR)及び活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)等の通常の凝固能検査は、本剤に対する感度が比較的低く、薬効をモニタリングする指標とはならないので、臨床症状を注意深く観察し、出血等がみられた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[18.5参照]
8.2 本剤の使用にあたっては、個々の患者の出血リスク、体重、年齢、症状(腎機能の低下、血行動態等の心機能、尿量等)を踏まえ、観察を十分に行い、出血等の異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
8.3 出血等の副作用を生じることがあるので、必要に応じて血算(ヘモグロビン値及び血小板数)及び便潜血検査等の臨床検査を実施することが望ましい。[11.1.1参照]
8.4 血小板減少症が起こることがあるので、1週間に1回程度は臨床検査を実施するなど観察を十分に行い、急激な血小板数の減少がみられた場合には、投与を中止すること。
8.5 ヘパリンから本剤に切り替える場合には、本剤の投与開始時に抗凝固薬として過量にならないよう、一定の投与間隔をあけること。[17.1.1、17.1.2参照]
8.6 本剤の注射針カバーは天然ゴムラテックスを含み、アレルギー反応を起こすことがあるので、投与に際し、問診を行うこと。また、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
本剤は1回投与分の規定量を充填したプレフィルドシリンジである。シリンジから気泡を除去する際に薬液を減じるおそれがあるので、気泡を除去しないことが望ましいが、もし除去する場合には、薬液を減じないよう注意すること。
14.2 薬剤投与時の注意
連日皮下注射する場合には、例えば左右の前側腹部と後側腹部に交互に投与するなど、注射部位を変えて行うこと。

7.用法・用量に関連する注意

7.1 本剤は皮下注射のみに使用し、筋肉内投与はしないこと。
7.2 2回目以降の投与は、1日1回ほぼ一定の時刻に投与することが望ましいが、投与時刻を変更する場合には、前回の投与から少なくとも12時間以上の間隔をあけて投与すること。
7.3 本剤の投与は5日間以上とし、併用するワルファリンカリウムによる抗凝固作用が治療域に達するまで継続投与すること。治療域の決定に関しては、ワルファリンカリウムの添付文書を参照すること。なお、国内臨床試験において、急性肺血栓塞栓症患者では17日間以上、急性深部静脈血栓症患者では15日間以上投与した経験はない。
7.4 本剤と併用するワルファリンカリウムは、本剤投与後72時間以内に投与を開始することが望ましい。
7.5 国内臨床試験において、本剤10mg投与の使用経験はない。体重100kg超で中等度の腎障害(クレアチニンクリアランス30mL/min以上50mL/min未満)のある患者等では、1日7.5mgへの減量を考慮すること。[9.2.2、17.1.1、17.1.2参照]

5.効能又は効果に関連する注意

ショックや低血圧が遷延するような血行動態が不安定な患者又は血栓溶解剤の使用や肺塞栓摘出術が必要な患者に対する有効性及び安全性は確認されていない。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人にフォンダパリヌクスナトリウム0.75、2.5、8mg注)を単回皮下投与した時の薬物動態パラメータ及び血中濃度推移は以下のとおりであった。フォンダパリヌクスは皮下投与後速やかに吸収され、投与後約2時間で最高血中濃度に達し、消失半減期は約14~17時間であった。
単回皮下投与した時の薬物動態パラメータ
投与量Cmax
(mg/L)
tmax
(hr)
AUC0-∞
(mg・hr/L)
t1/2
(hr)
0.75mg0.127±0.0151.8(1.5-2.5)a)17.4±4.47
2.5mg0.335±0.0302.0(1.5-2.5)6.62±1.10b)16.1±2.50
8mg0.971±0.1252.0(1.5-2.0)16.8±1.5413.8±0.660
Mean±SD、n=6、tmax:中央値(範囲)、a)算出できず、b)n=5
単回皮下投与した時の血中フォンダパリヌクス濃度推移(Mean±SD、n=6)
フォンダパリヌクスナトリウム0.75~8mg注)の単回皮下投与において、フォンダパリヌクスの薬物動態はほぼ線形性を示した。
16.1.2 反復投与
健康高齢者にフォンダパリヌクスナトリウム0.75~3mg注)を1日1回反復皮下投与した結果、フォンダパリヌクスは投与3日目に定常状態に到達し、反復投与による薬物動態の変化はみられなかった。
急性肺血栓塞栓症患者及び急性深部静脈血栓症患者にフォンダパリヌクスナトリウム5mg(体重50kg未満)、7.5mg(体重50~100kg)を1日1回反復皮下投与した時の定常状態の血中フォンダパリヌクス濃度は、病態及び投与量間による大きな違いはなく、投与前及び投与後2±1時間で、それぞれ、0.485±0.164mg/L及び1.183±0.326mg/L(Mean±SD:病態別、投与量別のデータを併合)であった。
なお、急性肺血栓塞栓症患者及び急性深部静脈血栓症患者(体重100kg超)に10mgを1日1回反復皮下投与した時の定常状態の血中フォンダパリヌクス濃度は、5mg(体重50kg未満)、7.5mg(体重50~100kg)の成績と大きな違いはなかった(外国人データ)。
16.2 吸収
健康成人男性にフォンダパリヌクスナトリウムを8mg注)まで皮下投与した時の吸収は速やかで、2.5mg注)を単回皮下投与した時のtmaxは約2時間、Cmaxは0.335mg/L、AUC0-∞は6.62mg・hr/Lであった。tmaxは各用量でほぼ類似しており、8mg注)でCmaxは用量比例値よりわずかに低い値を示したが、Cmax及びAUCは用量の増加にほぼ比例して増加した。2.5mg注)を単回皮下投与した時の絶対的生物学的利用率は101%であった。
16.3 分布
健康成人に本剤を単回で皮下及び静脈内投与した時の分布容積は7~10Lであり、両投与間に差は認められず、フォンダパリヌクスの大部分が血液に分布することが示された。
臨床血中濃度(2μg/mL以下)での血漿蛋白結合率は97~98.6%であり、フォンダパリヌクスは主に血漿中のアンチトロンビンIII(ATIII)と結合した。
16.4 代謝
フォンダパリヌクスナトリウムはCYP1A2、2A6、2C9、2C19、2D6、2E1及び3A4活性を阻害しない(in vitro)。
16.5 排泄
フォンダパリヌクスナトリウムは皮下投与後、投与量の大部分が未変化体のまま尿中に排泄される。健康成人に単回皮下投与した時の投与後120時間までのフォンダパリヌクスの尿中排泄率(投与量に対する%)は、約80%であった。
下肢整形外科手術施行患者を対象とした海外臨床試験における母集団薬物動態解析の結果、フォンダパリヌクスの全身クリアランスは体重の低下に伴って低下する傾向がみられた。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎機能障害患者にフォンダパリヌクスナトリウム4mgを単回静脈内投与注)した結果、クレアチニンクリアランスの低下に伴いフォンダパリヌクスのAUC0-∞が増加し、消失半減期は延長した(外国人データ)。
4mg単回静脈内投与時の腎機能別の薬物動態パラメータ
クレアチニンクリアランス(mL/min)(被験者数)>90
(n=5)
61-90
(n=5)
31-60
(n=5)
10-30
(n=5)
Cmax(mg/L)0.914±0.2071.063±0.2401.052±0.1791.009±0.175
AUC0-∞(mg・hr/L)7.6±1.211.5±2.018.3±4.743.8±8.7
t1/2(hr)13.1±3.617.9±0.9428.7±7.571.5±11.7
CL(mL/min)7.82±1.215.22±1.153.35±0.851.37±0.29
CLr(mL/min)5.51±0.543.77±1.242.16±0.590.54±0.27
Mean±SD
下肢整形外科手術施行患者を、クレアチニンクリアランスを指標として3段階(50mL/min未満、50mL/min以上80mL/min以下、80mL/min超)に分け母集団薬物動態解析した結果、80mL/min超の患者に対する全身クリアランスは、50mL/min以上80mL/min以下の患者で20~28%、50mL/min未満の患者で37~57%低下した(外国人データ)。
また、深部静脈血栓症患者の成績でも同様に、クレアチニンクリアランス50mL/min以上80mL/min未満の患者及び30mL/min以上50mL/min未満の患者の全身クリアランスは、80mL/min以上の患者に比べ、21%及び35%減少した。なお、30mL/min未満の患者では、80mL/min以上の患者に比べ64%減少し、血中濃度の上昇が示唆された(外国人データ)。[2.4、9.2.1、9.2.2参照]
16.6.2 肝機能障害患者
中等度肝機能障害患者にフォンダパリヌクスナトリウム7.5mgを単回皮下投与した時の薬物動態は、肝機能による影響を受けなかった(外国人データ)。
16.6.3 高齢者
健康高齢者にフォンダパリヌクスナトリウム2.5mg注)を単回皮下投与した時の薬物動態は、健康成人とほぼ類似していた。
16.7 薬物相互作用
ワルファリン、アスピリン、ピロキシカム(NSAID)、又はジゴキシンと併用投与した時、フォンダパリヌクスナトリウムはいずれの併用薬物の血液凝固系の薬力学活性パラメータにも影響を及ぼさず、またジゴキシンの薬物動態にも影響を与えなかった。また、フォンダパリヌクスの薬物動態は、いずれの併用薬物による影響も受けなかった(外国人データ)。
注)本剤の承認された用法・用量は、体重50kg未満:5mg、体重50~100kg:7.5mg、体重100kg超:10mgを1日1回皮下投与である。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
抗凝固剤
ヘパリン
低分子ヘパリン
ワルファリン等
血小板凝集抑制作用を有する薬剤
アスピリン
ジピリダモール
チクロピジン塩酸塩等
血栓溶解剤
ウロキナーゼ
t-PA製剤等
これらの薬剤との併用により、出血の危険性を増大させるおそれがある。併用する場合には、患者の状態を十分に観察するなど注意すること。相互に抗凝固作用を増強することが考えられる。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 出血(15.0%)
まれに後腹膜出血、頭蓋内・脳内出血を生じるおそれがある。[8.3参照]
11.1.2 肝機能障害(3.3%)、黄疸(頻度不明)
AST、ALTの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある。
11.1.3 ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)
血圧低下、頻脈、蕁麻疹等があらわれることがある。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

4%未満頻度不明
血液血小板数増加、貧血、凝固障害血小板減少症、紫斑、血小板異常
肝臓肝機能障害高ビリルビン血症
精神神経系頭痛、めまい、不安、傾眠、錯乱
循環器低血圧
消化器便秘、腹痛、下痢、嘔気、嘔吐、消化不良、胃炎
皮膚発疹そう痒
注射部位局所反応
全身症状発熱、浮腫、胸痛、疲労、下肢痛、潮紅、失神
その他咳嗽、低カリウム血症、創部分泌、手術部位感染、アレルギー反応、呼吸困難
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