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オノアクト点滴静注用50mg、他

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • <成人>

    • ○手術時の下記の頻脈性不整脈に対する緊急処置

      • 心房細動、心房粗動、洞性頻脈
    • ○手術後の循環動態監視下における下記の頻脈性不整脈に対する緊急処置

      • 心房細動、心房粗動、洞性頻脈
    • ○心機能低下例における下記の頻脈性不整脈

      • 心房細動、心房粗動
    • ○生命に危険のある下記の不整脈で難治性かつ緊急を要する場合

      • 心室細動、血行動態不安定な心室頻拍
    • ○敗血症に伴う下記の頻脈性不整脈

      • 心房細動、心房粗動、洞性頻脈
  • <小児>

    • ○心機能低下例における下記の頻脈性不整脈

      • 上室頻拍、心房細動、心房粗動

用法・用量

  • <手術時の頻脈性不整脈に対する緊急処置>

    • ランジオロール塩酸塩として、1分間0.125mg/kg/minの速度で静脈内持続投与した後、0.04mg/kg/minの速度で静脈内持続投与する。投与中は心拍数、血圧を測定し0.01~0.04mg/kg/minの用量で適宜調節する。
  • <手術後の循環動態監視下における頻脈性不整脈に対する緊急処置>

    • ランジオロール塩酸塩として、1分間0.06mg/kg/minの速度で静脈内持続投与した後、0.02mg/kg/minの速度で静脈内持続投与を開始する。5~10分を目安に目標とする徐拍作用が得られない場合は、1分間0.125mg/kg/minの速度で静脈内持続投与した後、0.04mg/kg/minの速度で静脈内持続投与する。投与中は心拍数、血圧を測定し0.01~0.04mg/kg/minの用量で適宜調節する。
  • <成人及び小児の心機能低下例における頻脈性不整脈>

    • ランジオロール塩酸塩として、1μg/kg/minの速度で静脈内持続投与を開始する。投与中は心拍数、血圧を測定し1~10μg/kg/minの用量で適宜調節する。
  • <生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合>

    • ランジオロール塩酸塩として、1μg/kg/minの速度で静脈内持続投与を開始する。投与中は心拍数、血圧を測定し1~10μg/kg/minの用量で適宜調節する。なお、心室細動又は血行動態不安定な心室頻拍が再発し本剤投与が必要な場合には、心拍数、血圧を測定し最大40μg/kg/minまで増量できる。
  • <敗血症に伴う頻脈性不整脈>

    • ランジオロール塩酸塩として、1μg/kg/minの速度で静脈内持続投与を開始する。投与中は心拍数、血圧を測定し、維持量は適宜増減する。ただし、最大用量は20μg/kg/minを超えないこと。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • <効能共通>

    • 2.1 心原性ショックの患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]
    • 2.2 糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者(ただし、敗血症に起因する代謝性アシドーシスは除く)[アシドーシスによる心筋収縮力の抑制を増強するおそれがある。]
    • 2.3 房室ブロック(II度以上)、洞不全症候群など徐脈性不整脈患者[刺激伝導系に対し抑制的に作用し、悪化させるおそれがある。]
    • 2.4 肺高血圧症による右心不全のある患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]
    • 2.5 未治療の褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者[7.2、9.1.7参照]
    • 2.6 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • <手術時・手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置、敗血症に伴う頻脈性不整脈>

    • 2.7 うっ血性心不全のある患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
<効能共通>
9.1.1 気管支痙攣性疾患の患者
気管支筋収縮作用により、痙攣症状の誘発、悪化を起こすおそれがある。本剤はβ1受容体選択的遮断剤であるが、弱いながらもβ2受容体遮断作用も有する。[18.2.1参照]
9.1.2 コントロール不十分な糖尿病患者
低血糖症状としての頻脈等の交感神経系反応をマスクするおそれがある。
9.1.3 低血圧症の患者
心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。
9.1.4 重篤な血液障害のある患者
薬剤の代謝、排泄が影響を受けるおそれがある。[16.4参照]
9.1.5 末梢循環障害のある患者(壊疽、レイノー症候群、間歇性跛行等)
末梢血管の拡張を抑制し、症状が悪化するおそれがある。本剤はβ1受容体選択的遮断剤であるが、弱いながらもβ2受容体遮断作用も有する。[18.2.1参照]
9.1.6 大量出血や脱水症状等により循環血液量が減少している患者
本剤投与により血圧低下をきたしやすい。
9.1.7 褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者
本剤投与により急激に血圧が上昇するおそれがある。[2.5、7.2参照]
<手術時・手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置、敗血症に伴う頻脈性不整脈>
9.1.8 左室収縮機能障害のある患者
心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。[5.10、8.12参照]
<成人及び小児の心機能低下例における頻脈性不整脈、生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合、敗血症に伴う頻脈性不整脈>
9.1.9 非代償性心不全の患者
代償性心不全の患者よりも、心不全が増悪するおそれがあり、重篤な状態に陥るおそれがさらにある。[11.1.3参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎機能障害患者
薬剤の排泄が影響を受けるおそれがある。[16.5参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝機能障害患者
薬剤の代謝、排泄が影響を受けるおそれがある。[16.4、16.6.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
<心機能低下例における頻脈性不整脈>
低出生体重児、新生児及び3ヵ月未満の乳児を対象とした臨床試験は実施していない。
<手術時・手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置、生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合、敗血症に伴う頻脈性不整脈>
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
十分に患者の状態を観察しながら投与すること。生理機能が低下していることが多く、本剤の作用が強く発現するおそれがある。

8.重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 心電図による監視、血圧の測定等、心機能をモニターしながら投与すること。血圧低下又は徐脈を認めた場合等は減量あるいは投与を中止し、必要に応じて適切な処置を行うこと。また、PQ時間が過度に延長した場合、投与を中止すること。[5.3-5.5、5.9、13.1参照]
8.2 心筋虚血のリスクのある患者では、心拍数減少の有益性が血圧低下の危険性を上回ると判断された場合にのみ適用を考慮すること。[5.4、5.5、5.9参照]
8.3 狭心症の患者で類似化合物(プロプラノロール塩酸塩)の投与を急に中止したとき、症状が悪化したり、心筋梗塞を起こした症例が報告されている。本剤の投与を中止する場合においても観察を十分に行うこと。
8.4 心房細動及び心房粗動に対する使用に際しては、本剤の効果が心拍数の減少であることに留意し、頻脈性(型)であることを確認すること。[17.1.5参照]
8.5 本剤の心拍数の減少効果は、投与終了後、速やかに減弱するものの、この効果の消失には投与終了後30~60分を要することに留意すること。[17.1.1参照]
<手術時・手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置>
8.6 大侵襲手術後等の心拍出量が低下している患者に本剤を投与する場合、本剤投与開始前の心機能を慎重に観察するとともに、心電図による監視、血圧の測定に加え、心拍出量及び血液ガス等の心機能をモニターし、患者の全身状態を十分管理しながら投与すること。[5.3参照]
8.7 洞性頻脈に対して本剤を投与する場合は、心筋虚血や心不全等の発生及びその悪化のおそれのある患者における頻脈処置の必要性を十分考慮し、患者の基礎疾患、合併症の内容、手術前の状態及び手術内容等の事前の患者情報を精査した上で、頻脈の治療が必要とされる場合にのみ適用を考慮すること。[5.2参照]
8.8 心不全の徴候又は症状が見られた場合は本剤を直ちに中止し、適切な処置を行うこと。また、本剤投与前に適切な緊急措置が可能となるように準備しておくこと。必要に応じてアトロピン、β1刺激剤、輸液や昇圧剤等を準備しておくことが望ましい。[11.1.3参照]
8.9 本剤は緊急治療を要する場合に短期間のみ適応すること。患者の状態を十分観察し、緊急治療の必要が無くなった場合は、漫然と継続投与しないこと。
<手術時の頻脈性不整脈に対する緊急処置>
8.10 本剤投与5~10分を目安として、目標とする心拍数の低下が得られない場合は、本剤投与を中止し、適切な処置を行うこと。
<手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置>
8.11 本剤投与5~10分を目安として、目標とする心拍数の低下が得られない場合は、最大用量に増量するか、本剤投与を中止し、適切な処置を行うこと。
<成人及び小児の心機能低下例における頻脈性不整脈、生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合、敗血症に伴う頻脈性不整脈>
8.12 本剤の投与により心不全が悪化するおそれがあり、重篤な状態に陥るおそれがあるため、心不全の悪化に常に注意すること。[5.4、5.5、5.9、5.10、9.1.8、11.1.3参照]
8.13 患者の状態を十分観察し、治療の必要が無くなった場合は、漫然と継続投与しないこと。また、<成人及び小児の心機能低下例における頻脈性不整脈>では10μg/kg/minの速度まで、<敗血症に伴う頻脈性不整脈>では20μg/kg/minの速度まで本剤を増量しても目標とする心拍数の低下が得られない場合、又は<生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合>では40μg/kg/minの速度まで本剤を増量しても発作の抑制効果が得られない場合は、本剤投与を中止し、適切な処置を行うこと。さらに、<敗血症に伴う頻脈性不整脈>では、本剤投与中も感染症管理及び呼吸・循環管理などの敗血症に対する適切な治療を実施した上で、本剤の継続投与の必要性を検討すること。
8.14 本剤の減量・中止時に、患者の状態に応じて経口β遮断剤への切り替えを考慮すること。
<敗血症に伴う頻脈性不整脈>
8.15 洞性頻脈に対して本剤を投与する場合は、心筋虚血や心不全等の発生及びその悪化のおそれのある患者における頻脈処置の必要性を十分考慮し、患者の基礎疾患、合併症の内容等の事前の患者情報を精査した上で、頻脈の治療が必要とされる場合にのみ適用を考慮すること。

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
本剤は、ランジオロール塩酸塩50mgを5mL以上、ランジオロール塩酸塩150mgを15mL以上の生理食塩液等で溶解する。10mg/mLを超える濃度で点滴すると、局所反応や皮膚壊死が発現するおそれがあるので、十分に注意すること。精密持続点滴装置使用に際しては、バッグあるいはシリンジ内に気泡が混入しないように注意すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 本剤は輸液以外の薬剤とは別経路で投与すること。患者の心拍数・血圧の変化に応じて本剤の投与速度を適宜調節する必要がある。
14.2.2 精密持続点滴装置(シリンジポンプ又は輸液ポンプ)の誤操作により、過量投与の可能性があるので、投与前に精密持続点滴装置の操作を十分習得し、流量の設定には十分注意すること。

7.用法及び用量に関連する注意

<効能共通>
7.1 目標とする心拍数に調節した後は、循環動態、特に血圧低下に注意し、本剤を心拍数の維持に必要な最低の速度で持続投与すること。
7.2 褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者では、α遮断剤を投与した後に本剤を投与し、常にα遮断剤を併用すること。[2.5、9.1.7参照]
7.3 手術時、手術後、心機能低下例、生命に危険のある不整脈及び敗血症に伴う頻脈性不整脈の用法及び用量がそれぞれ異なることに留意すること。
7.4 本剤投与に際しては、下記の体重別静脈内持続投与速度表を参考にすること。
精密持続点滴装置(シリンジポンプ又は輸液ポンプ)を使用する場合
表内の単位は投与速度を表示
7.4.1 手術時の頻脈性不整脈に対する緊急処置
(1)本剤50mgを5mLに溶解した場合
投与時期用法及び用量適宜調整
投与開始から1分間投与開始1分後以降
体重\投与量0.125mg/kg/min0.04mg/kg/min0.01~0.04mg/kg/min
30kg22.5mL/時7.2mL/時1.8~7.2mL/時
40kg30.0mL/時9.6mL/時2.4~9.6mL/時
50kg37.5mL/時12.0mL/時3.0~12.0mL/時
60kg45.0mL/時14.4mL/時3.6~14.4mL/時
70kg52.5mL/時16.8mL/時4.2~16.8mL/時
(2)本剤50mgを20mLに溶解した場合
投与時期用法及び用量適宜調整
投与開始から1分間投与開始1分後以降
体重\投与量0.125mg/kg/min0.04mg/kg/min0.01~0.04mg/kg/min
30kg90.0mL/時28.8mL/時7.2~28.8mL/時
40kg120.0mL/時38.4mL/時9.6~38.4mL/時
50kg150.0mL/時48.0mL/時12.0~48.0mL/時
60kg180.0mL/時57.6mL/時14.4~57.6mL/時
70kg210.0mL/時67.2mL/時16.8~67.2mL/時
7.4.2 手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置
(1)本剤50mgを5mLに溶解した場合
投与時期開始用量最大用量
投与開始から1分間投与開始1分後以降投与開始から1分間投与開始1分後以降
体重\投与量0.06mg/kg/min0.02mg/kg/min0.125mg/kg/min0.04mg/kg/min
30kg10.8mL/時3.6mL/時22.5mL/時7.2mL/時
40kg14.4mL/時4.8mL/時30.0mL/時9.6mL/時
50kg18.0mL/時6.0mL/時37.5mL/時12.0mL/時
60kg21.6mL/時7.2mL/時45.0mL/時14.4mL/時
70kg25.2mL/時8.4mL/時52.5mL/時16.8mL/時
(2)本剤50mgを20mLに溶解した場合
投与時期開始用量最大用量
投与開始から1分間投与開始1分後以降投与開始から1分間投与開始1分後以降
体重\投与量0.06mg/kg/min0.02mg/kg/min0.125mg/kg/min0.04mg/kg/min
30kg43.2mL/時14.4mL/時90.0mL/時28.8mL/時
40kg57.6mL/時19.2mL/時120.0mL/時38.4mL/時
50kg72.0mL/時24.0mL/時150.0mL/時48.0mL/時
60kg86.4mL/時28.8mL/時180.0mL/時57.6mL/時
70kg100.8mL/時33.6mL/時210.0mL/時67.2mL/時
7.4.3 成人の心機能低下例における頻脈性不整脈
本剤50mgを50mLに溶解した場合
体重\投与量用法及び用量
投与開始時適宜調整
1μg/kg/min1~10μg/kg/min
30kg1.8mL/時1.8~18.0mL/時
40kg2.4mL/時2.4~24.0mL/時
50kg3.0mL/時3.0~30.0mL/時
60kg3.6mL/時3.6~36.0mL/時
70kg4.2mL/時4.2~42.0mL/時
7.4.4 生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合
本剤50mgを50mLに溶解した場合
体重\投与量用法及び用量
投与開始時適宜調整最大用量
1μg/kg/min1~10μg/kg/min40μg/kg/min
30kg1.8mL/時1.8~18.0mL/時72.0mL/時
40kg2.4mL/時2.4~24.0mL/時96.0mL/時
50kg3.0mL/時3.0~30.0mL/時120.0mL/時
60kg3.6mL/時3.6~36.0mL/時144.0mL/時
70kg4.2mL/時4.2~42.0mL/時168.0mL/時
7.4.5 敗血症に伴う頻脈性不整脈
本剤50mgを50mLに溶解した場合
体重\投与量用法及び用量
投与開始時最大用量
1μg/kg/min20μg/kg/min
30kg1.8mL/時36.0mL/時
40kg2.4mL/時48.0mL/時
50kg3.0mL/時60.0mL/時
60kg3.6mL/時72.0mL/時
70kg4.2mL/時84.0mL/時
7.4.6 小児の心機能低下例における頻脈性不整脈
体重に応じ薬液濃度を調整する。
(1)本剤の投与速度を0.5~5mL/時とする場合
体重\投与量用法及び用量薬液濃度(mg/mL)
投与開始時適宜調整
1μg/kg/min1~10μg/kg/min
2.5kg0.5mL/時0.5~5mL/時0.3
5kg0.5mL/時0.5~5mL/時0.6
10kg0.5mL/時0.5~5mL/時1.2
20kg0.5mL/時0.5~5mL/時2.4
30kg0.5mL/時0.5~5mL/時3.6
40kg0.5mL/時0.5~5mL/時4.8
50kg0.5mL/時0.5~5mL/時6
60kg0.5mL/時0.5~5mL/時7.2
70kg0.5mL/時0.5~5mL/時8.4
(2)本剤の投与速度を1~10mL/時とする場合
体重\投与量用法及び用量薬液濃度(mg/mL)
投与開始時適宜調整
1μg/kg/min1~10μg/kg/min
2.5kg1mLmL/時1~10mL/時0.15
5kg1mLmL/時1~10mL/時0.3
10kg1mLmL/時1~10mL/時0.6
20kg1mLmL/時1~10mL/時1.2
30kg1mLmL/時1~10mL/時1.8
40kg1mLmL/時1~10mL/時2.4
50kg1mLmL/時1~10mL/時3
60kg1mLmL/時1~10mL/時3.6
70kg1mLmL/時1~10mL/時4.2
<手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置、成人及び小児の心機能低下例における頻脈性不整脈、生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合、敗血症に伴う頻脈性不整脈>
7.5 本剤投与により血圧低下(成人では収縮期血圧90mmHgを、小児では収縮期血圧が投与直前値から20%以上の低下を目安とする)あるいは過度の心拍数減少(成人では心拍数60回/分を、小児では生後3ヵ月以上2歳未満は心拍数75回/分を、2歳以上は心拍数60回/分を目安とする)が生じた場合は、減量するか投与を中止すること。
<手術時・手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置>
7.6 本剤を再投与する際の投与間隔は5~15分間を目安とすること。なお、再投与は用法及び用量に従って実施すること。[16.1.1-16.1.3、17.1.3参照]
<成人及び小児の心機能低下例における頻脈性不整脈、生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合、敗血症に伴う頻脈性不整脈>
7.7 心拍数及び血圧等に十分に注意し、慎重に、狭い用量幅で用量を調節すること。[17.1.6-17.1.9参照]
<敗血症に伴う頻脈性不整脈>
7.8 投与開始時及び増量時は、慎重かつ頻回に心拍数及び血圧をモニタリングすること。[17.1.8参照]

5.効能又は効果に関連する注意

<手術時・手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置、成人及び小児の心機能低下例における頻脈性不整脈、敗血症に伴う頻脈性不整脈>
5.1 本剤は、予防的には使用しないこと。
<手術時・手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置>
5.2 洞性頻脈においては、その原因検索及びその除去が重要であることに十分留意するとともに、本剤の効果が心拍数の減少作用であることを踏まえて、本剤は緊急処置として必要に応じて使用すること。[8.7参照]
<手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置>
5.3 ICU、CCU及びそれに準じた全身管理が可能な施設において、循環動態の評価、不整脈診断及び呼吸・循環等の全身管理の十分な経験を持つ医師のもとで、心電図モニターを用い、心拍数の監視、血圧測定を原則として5分間隔で、必要ならば頻回に行うこと。[8.1、8.6参照]
<成人の心機能低下例における頻脈性不整脈、生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合>
5.4 ICU、CCU及びそれに準じた全身管理が可能な施設において、心不全又は生命に危険のある不整脈に対する治療の経験が十分にある医師のもとで、心電図モニターを用い、心拍数の監視、血圧測定を行うこと。また、本剤の投与により、心不全が悪化するおそれがあるため、経皮的酸素飽和度をモニターする等、心不全の増悪に留意すること。心不全が悪化した際には、本剤の投与を直ちに中止するとともに、ホスホジエステラーゼ阻害薬の投与や大動脈バルーンパンピング、経皮的心肺補助装置を施行する等、適切な処置を行うこと。[8.1、8.2、8.12参照]
<小児の心機能低下例における頻脈性不整脈>
5.5 ICU及びそれに準じた全身管理が可能な施設において、小児の心不全及び不整脈に対する治療の経験が十分にある医師のもとで、適切な対象患者を選択するとともに、心電図モニターを用い、心拍数の監視、血圧測定を行うこと。また、本剤の投与により、心不全が悪化するおそれがあるため、経皮的酸素飽和度をモニターする等、心不全の増悪に留意すること。心不全が悪化した際には、本剤の投与を直ちに中止する等、適切な処置を行うこと。[8.1、8.2、8.12参照]
<生命に危険のある不整脈で難治性かつ緊急を要する場合>
5.6 本剤は、難治性の心室細動又は血行動態不安定な心室頻拍の再発抑制に使用すること。
5.7 臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者を選択すること。[17.1.7参照]
<敗血症に伴う頻脈性不整脈>
5.8 本剤は、感染症管理、呼吸・循環管理(特に、血管内容量評価に基づく輸液負荷、カテコラミン等の循環作動薬の投与)などの敗血症に対する適切な治療下で、目安として平均血圧65mmHg以上を維持しているにもかかわらず頻脈性不整脈が持続している場合に適用を考慮すること。
5.9 ICU、CCU及びそれに準じた全身管理が可能な施設において、敗血症に対する治療の経験が十分にある医師のもとで、心電図モニターを用い、心拍数の監視、血圧測定を行うこと。また、本剤の投与により、循環不全が悪化するおそれがあるため、適切に心拍数、血圧をモニターする等、循環不全の増悪に留意すること。循環不全が悪化した際には、本剤の投与を直ちに中止するとともに、輸液負荷や循環作動薬の投与など、適切な循環管理を行うこと。[8.1、8.2、8.12参照]
5.10 敗血症では心機能低下を生じることがあるため、本剤投与開始前の心機能を観察し、投与可否を慎重に判断すること。[8.12、9.1.8参照]
5.11 洞性頻脈においては、その原因検索及びその除去を優先すべきであることに十分留意し、洞性頻脈の原疾患の治療を十分行った上で本剤の適用を考慮すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 60分間静脈内持続投与(健康成人)
健康成人5例に0.04mg/kg/minで60分間静脈内持続投与すると、全血中濃度は投与開始約15分後で定常に達し、投与60分後の全血中濃度(C60min)は1,008ng/mLを示し、AUCは59.34μg・min/mLである。投与終了後の血中半減期(T1/2)は3.96分であり、全身クリアランス(CLtot)は41.8mL/min/kg、分布容積(Vd)は242mL/kgである。[7.6参照]
C60min(ng/mL)AUC0-∞(μg・min/mL)T1/2(min)CLtot(mL/min/kg)Vd(mL/kg)
1008±30359.34±12.493.96±0.4641.8±8.3242±67
平均値±標準偏差
16.1.2 1分間+60分間静脈内持続投与(健康成人)
健康成人5例に0.25mg/kg/minで1分間投与後、0.04mg/kg/minで60分間静脈内持続投与すると、全血中濃度は投与2分後で最高に達し、その全血中濃度(Cmax)は2,008ng/mLを示すが、その後全血中濃度は低下し、投与開始5分後にほぼ定常濃度となり、投与61分後の全血中濃度(C61min)は1,237ng/mLである。AUCは82.43μg・min/mL、投与終了後の血中半減期(T1/2)は3.47分である。[7.6参照]
Tmax(min)Cmax(ng/mL)C61min(ng/mL)AUC0-∞(μg・min/mL)T1/2(min)
22008±7981237±32982.43±23.523.47±0.44
平均値±標準偏差
16.1.3 2用量(1分間+10分間静脈内持続投与)漸増投与(健康成人)
健康成人6例に0.06mg/kg/minで1分間投与後、0.02mg/kg/minで10分間静脈内持続投与し、更に用量を切り替えて0.125mg/kg/minで1分間投与後、0.04mg/kg/minで10分間静脈内持続投与すると、全血中濃度は投与開始2分後で速やかに定常に達し、用量切り替えの2分後(投与開始13分後)にCmaxに達した後、速やかに定常に達した。[7.6参照]
Cmax(0-11min)(ng/mL)Tmax(0-11min)(min)Cmax(12-22min)(ng/mL)Tmax(12-22min)(min)AUC0-∞(μg・min/mL)C11min(ng/mL)T1/2(min)C22min(ng/mL)
704±1193.5±3.71990±28013±027.8±3.4655±1363.5±0.31270±160
平均値±標準偏差
16.3 分布
ヒト血清に対する蛋白結合率は1.5~7.0%である(in vitro、限外ろ過法)。
16.4 代謝
本剤はヒト肝臓及び血漿中で加水分解され、速やかに代謝される。肝代謝クリアランスは肝血流が律速と考えられ、全身クリアランスの約半分を占める。また、in vitroの血漿中代謝半減期は4.1分であり、血漿中での代謝の寄与も大きい。ヒト肝臓における主代謝酵素はカルボキシエステラーゼ、ヒト血漿中における主代謝酵素は擬コリンエステラーゼであると推定された。
また、本剤及びその代謝物(カルボン酸体、安息香酸体)はヒトのチトクロームP450の分子種(CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6及びCYP3A4)に対してほとんど阻害活性を示さなかった(in vitro)。[9.1.4、9.3.1参照]
16.5 排泄
主排泄経路は尿中であり、健康成人に0.04mg/kg/minで60分間投与すると、投与24時間後までに約99%が尿中に排泄される。そのうち未変化体は8.7%であり、主要代謝物はカルボン酸体である。[9.2.1参照]
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝障害患者
肝障害患者6例(Child-Pugh分類A:5例、B:1例)及び健康成人6例に0.06mg/kg/minで1分間投与後、0.02mg/kg/minで60分間静脈内持続投与したとき、全血中濃度のCmax及びAUCはそれぞれ1.42及び1.44倍、肝障害患者で高く推移したが、T1/2は4.0分であり、健康成人と差がないことが示された。[9.3.1参照]
Cmax(ng/mL)C61min(ng/mL)AUC0-∞(μg・min/mL)T1/2(min)
肝障害患者942±140866±5452.4±5.24.0±0.4
健康成人665±119641±12536.3±3.64.0±1.5
平均値±標準偏差
16.6.2 小児
小児の心機能低下例に伴う頻脈性不整脈患者21例に本剤を1~10μg/kg/minの範囲で静脈内持続投与し30分以上用量を一定に維持した際の血中濃度の平均値は150ng/mL、全身クリアランス(CLtot)の平均値は56.4mL/min/kgであった。
血中濃度(ng/mL)CLtot(mL/min/kg)
平均値±標準偏差150±94.156.4±39.8

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
交感神経系に対し抑制的に作用する他の薬剤
レセルピン等
交感神経系の過剰の抑制をきたすおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること。レセルピン等のカテコールアミン枯渇剤が投与されている時にβ遮断剤のカテコールアミン遮断作用が加わると交感神経活性が過度に低下するおそれがある。
血糖降下剤
インスリン等
低血糖症状(頻脈等)をマスクすることがあるので、血糖値に注意すること。血糖値が低下するとカテコールアミンが副腎から分泌され、心拍数を増加させるが、心臓のβ1受容体が遮断されていると、心拍数の増加が起きず、頻脈のような低血糖症状がマスクされるおそれがある。
カルシウム拮抗剤
ベラパミル
ジルチアゼム等
[18.2.6参照]
相互に作用が増強されるおそれがある。うっ血性心不全のおそれのある患者、洞房ブロック、房室ブロックのある患者では重度の低血圧、徐脈、心不全が発現するおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること。カルシウム拮抗剤とβ遮断剤は共に心収縮力や刺激伝導系の抑制作用、血圧低下作用を有するため、これらの薬剤との併用により作用が増強するおそれがある。
ジギタリス製剤
[18.2.6参照]
房室伝導時間が延長するおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること。ジギタリス製剤とβ遮断剤は共に房室伝導時間の延長作用を有するため、これらの薬剤との併用により作用が増強するおそれがある。
クラスI抗不整脈剤
ジソピラミド
プロカインアミド等
クラスIII抗不整脈剤
アミオダロン
ニフェカラント等
[18.2.6参照]
過度の心機能抑制があらわれるおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること。クラスI抗不整脈剤及びクラスIII抗不整脈剤は刺激伝導系に対する抑制作用を有するので、これらの薬剤との併用で過度の心機能抑制作用が起こるおそれがある。
クロニジンクロニジン投与中止後のリバウンド現象(血圧上昇)を増強する可能性がある。手術前数日以内にクロニジンを投与中止した場合には、本剤の投与を慎重に行うこと。クロニジンを投与されている患者でクロニジンを中止すると、血中カテコールアミンが上昇し、血圧上昇をきたす。β遮断剤を投与すると、カテコールアミンによるα刺激作用が優位になり、血管収縮がさらに増強されるおそれがある。
交感神経刺激剤
アドレナリン等
[13.2参照]
血管収縮により、血圧上昇をきたすことがあるので注意すること。α、β刺激作用を有する薬剤の場合には、本剤により交感神経刺激剤のβ刺激作用が抑制され、α刺激作用が優位となり、血管収縮が起こるおそれがある。
コリンエステラーゼ阻害剤
ネオスチグミン
ジスチグミン臭化物
エドロホニウム塩化物等
本剤の代謝を阻害し、作用が増強及び作用時間が延長するおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること。本剤はエステラーゼで代謝されるため、これらの薬剤との併用により本剤の作用が増強及び作用時間が延長するおそれがある。
フェンタニルクエン酸塩
プロポフォール
[18.2.6参照]
徐拍作用を増強するおそれがあるので、減量するなど慎重に投与すること。フェンタニルクエン酸塩及びプロポフォールは徐拍作用を持つ麻酔薬であり、これら薬剤との併用により、徐拍作用が増強するおそれがある。
プロカイン
スキサメトニウム
本剤及び他剤の作用時間が延長することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。同一の酵素によって代謝されるため、拮抗的な阻害を受けるものと推測される。ヒト血漿を用いたin vitro試験結果から、スキサメトニウムとの併用で本剤の血中濃度が最大20%程度上昇する可能性がある。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(0.1%)
過度の血圧低下があらわれることがある。
11.1.2 心停止(0.2%)、完全房室ブロック(頻度不明)、洞停止(頻度不明)、高度徐脈(頻度不明)
11.1.3 心不全(0.1%)
心不全の急激な増悪があらわれるおそれがある。[8.8、8.12、9.1.9参照]

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

10%以上1~10%未満1%未満
循環器血圧低下徐脈、ST低下、肺動脈圧上昇
呼吸器喘息、低酸素血症
肝臓AST上昇、ALT上昇、総ビリルビン上昇γ-GTP上昇
その他白血球増多、血小板減少、Al-P上昇、LDH上昇、BUN上昇、クレアチニン上昇、尿酸上昇
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