薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
ジギタリス剤 ジゴキシン ジギトキシン | テルミサルタンとの併用により、血中ジゴキシン濃度が上昇したとの報告がある。 | テルミサルタン:機序不明。 |
ジギタリス剤 ジゴキシン ジギトキシン | ヒドロクロロチアジドとの併用により、ジギタリスの心臓に対する作用を増強し、不整脈等を起こすことがある。血清カリウム値に十分注意すること。 | ヒドロクロロチアジド:ヒドロクロロチアジドによる血清カリウム値の低下により多量のジギタリスが心筋Na-K ATPaseに結合し、心収縮力増強と不整脈が起こる。マグネシウム低下も同様の作用を示す。 |
カリウム保持性利尿剤 スピロノラクトン トリアムテレン等 カリウム補給剤 | 血清カリウム濃度が上昇するおそれがある。 | テルミサルタン:カリウム貯留作用が増強するおそれがある。 危険因子:特に腎機能障害のある患者。 |
リチウム製剤 炭酸リチウム | アンジオテンシン変換酵素阻害剤との併用により、リチウム中毒を起こすことが報告されている。 | テルミサルタン:明確な機序は不明であるが、ナトリウムイオン不足はリチウムイオンの貯留を促進するといわれているため、テルミサルタンがナトリウム排泄を促進することにより起こると考えられる。 |
リチウム製剤 炭酸リチウム | ヒドロクロロチアジドにより、振戦、消化器愁訴等、リチウム中毒を増強することがある。 | ヒドロクロロチアジド:腎におけるリチウムの再吸収を促進し、リチウムの血中濃度を上昇させる。 |
利尿降圧剤 フロセミド、トリクロルメチアジド等 [11.1.5参照] | 急激な血圧低下を起こすおそれがあるので、低用量から投与を開始し、増量する場合は徐々に行うこと。 | 利尿降圧剤で治療を受けている患者にはレニン活性が亢進している患者が多く、本剤が奏効しやすい。 |
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS) | 糸球体濾過量がより減少し、腎障害のある患者では急性腎障害を引き起こす可能性がある。 | テルミサルタン:プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。 |
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS) | 降圧薬の効果を減弱させることが報告されている。 | テルミサルタン:血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成が阻害されるため、降圧薬の血圧低下作用を減弱させると考えられている。 |
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS) | チアジド系薬剤の作用が減弱することがある。 | ヒドロクロロチアジド:非ステロイド系消炎鎮痛剤のプロスタグランジン合成酵素阻害作用により、腎内プロスタグランジンが減少し、水・ナトリウムの体内貯留が生じてヒドロクロロチアジドの作用と拮抗する。 |
アンジオテンシン変換酵素阻害剤 | 急性腎障害を含む腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。 | テルミサルタン:レニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。 |
アリスキレンフマル酸塩 | 腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。 | テルミサルタン:レニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。 |
バルビツール酸誘導体 | 起立性低血圧が増強されることがある。 | ヒドロクロロチアジド:これらの薬剤の中枢抑制作用と利尿剤の降圧作用による。 |
あへんアルカロイド系麻薬 | 起立性低血圧が増強されることがある。 | ヒドロクロロチアジド:あへんアルカロイドの大量投与で血圧下降があらわれることが報告されている。 |
アルコール | 起立性低血圧が増強されることがある。 | ヒドロクロロチアジド:血管拡張作用を有するアルコールとの併用により降圧作用が増強される可能性がある。 |
昇圧アミン ノルアドレナリン アドレナリン | 昇圧アミンの作用を減弱することがある。 手術前の患者に使用する場合、本剤の一時休薬等の処置を講ずること。 | ヒドロクロロチアジド:チアジド系利尿剤は昇圧アミンに対する血管壁の反応性を低下させることが報告されている。 |
ツボクラリン及びその類似作用物質 ツボクラリン塩化物塩酸塩水和物 パンクロニウム臭化物 | ツボクラリン及びその類似作用物質の麻痺作用を増強することがある。 手術前の患者に使用する場合、本剤の一時休薬等の処置を講ずること。 | ヒドロクロロチアジド:ヒドロクロロチアジドによる血清カリウム値の低下により、これらの薬剤の神経・筋遮断作用を増強すると考えられている。 |
降圧作用を有する他の薬剤 β-遮断剤 ニトログリセリン等 | 降圧作用を増強するおそれがある。 降圧剤の用量調節等に注意すること。 | ヒドロクロロチアジド:作用機序の異なる降圧作用により互いに協力的に作用する。 |
乳酸ナトリウム | チアジド系薬剤による代謝性アルカローシス、低カリウム血症を増強することがある。 | ヒドロクロロチアジド:ヒドロクロロチアジドによるカリウム排泄作用により低カリウム血症や代謝性アルカローシスが引き起こされることがある。アルカリ化剤である乳酸ナトリウムの併用はこの状態をさらに増強させる。 |
糖質副腎皮質ホルモン剤 ACTH | 低カリウム血症が発現することがある。 | ヒドロクロロチアジド:ヒドロクロロチアジド及び糖質副腎皮質ホルモン剤ともカリウム排泄作用を持つ。 |
グリチルリチン製剤 | 血清カリウム値の低下があらわれやすくなる。 | ヒドロクロロチアジド:グリチルリチン製剤は低カリウム血症を主徴とした偽アルドステロン症を引き起こすことがある。したがってヒドロクロロチアジドとの併用により低カリウム血症を増強する可能性がある。 |
糖尿病用剤 SU剤 インスリン | 糖尿病用剤の作用を著しく減弱することがある。 | ヒドロクロロチアジド:機序は明確ではないが、ヒドロクロロチアジドによるカリウム喪失により膵臓のβ細胞のインスリン放出が低下すると考えられている。 |
コレスチラミン | チアジド系薬剤の作用が減弱することがある。 | ヒドロクロロチアジド:コレスチラミンの吸着作用により、チアジド系薬剤の吸収が阻害されることがある。 |
スルフィンピラゾン | チアジド系薬剤はスルフィンピラゾンの尿酸排泄作用に拮抗することがある。 | ヒドロクロロチアジド:チアジド系利尿剤は、腎での尿酸分泌の阻害、尿酸再吸収の増大作用を有すると考えられ、スルフィンピラゾンの尿酸排泄作用に拮抗することがある。 |