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他剤形 薬剤一覧

効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される下記の虚血性心疾患

    • ○急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)
    • ○安定狭心症、陳旧性心筋梗塞

用法・用量

  • 通常、成人には、1日1回1錠(クロピドグレルとして75mg及びアスピリンとして100mg)を経口投与する。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 出血している患者(血友病、頭蓋内出血、消化管出血、尿路出血、喀血、硝子体出血等)[出血を助長するおそれがある。][9.1.3、11.1.1参照]
  • 2.2 出血傾向のある患者[血小板機能異常が起こることがあるため、出血傾向を助長するおそれがある。][9.1.3、11.1.1参照]
  • 2.3 本剤の成分又はサリチル酸系製剤に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.4 消化性潰瘍のある患者[プロスタグランジン生合成抑制作用により、胃の血流量が減少し、消化性潰瘍を悪化させることがある。][9.1.1、11.1.2参照]
  • 2.5 アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者[重篤なアスピリン喘息発作を誘発させることがある。][9.1.4、11.1.12参照]
  • 2.6 出産予定日12週以内の妊婦[9.5.1参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 消化性潰瘍の既往歴のある患者
消化性潰瘍を再発させることがある。[2.4、11.1.2参照]
9.1.2 血液の異常又はその既往歴のある患者
血液の異常を悪化又は再発させるおそれがある。
9.1.3 出血傾向の素因のある患者
出血を増強させるおそれがある。[2.1、2.2、11.1.1参照]
9.1.4 気管支喘息のある患者(アスピリン喘息を有する場合を除く)
アスピリン喘息でないことを十分に確認すること。気管支喘息の患者の中にはアスピリン喘息患者も含まれている可能性があり、それらの患者では重篤な喘息発作を誘発させることがある。[2.5、11.1.12参照]
9.1.5 アルコールを常飲している患者
アルコールと同時に服用すると、消化管出血を誘発又は増強することがある。[10.2、11.1.2参照]
9.1.6 高血圧が持続している患者
出血の危険性が高くなるおそれがある。[8.4参照]
9.1.7 低体重の患者
出血の危険性が高くなるおそれがある。
9.1.8 非ステロイド性消炎鎮痛剤の長期投与による消化性潰瘍のある患者で、本剤の長期投与が必要であり、かつミソプロストールによる治療が行われている患者
本剤を継続投与する場合には、十分経過を観察し、慎重に投与すること。ミソプロストールは非ステロイド性消炎鎮痛剤により生じた消化性潰瘍を効能・効果としているが、ミソプロストールによる治療に抵抗性を示す消化性潰瘍もある。
9.1.9 他のチエノピリジン系薬剤(チクロピジン塩酸塩等)に対し過敏症の既往歴のある患者
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎障害患者
本剤の投与は控えること。出血の危険性が高くなるおそれがある。
9.2.2 腎障害又はその既往歴のある患者
腎障害を悪化又は再発させるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝障害患者
本剤の投与は控えること。出血の危険性が高くなるおそれがある。[11.1.3参照]
9.3.2 肝障害又はその既往歴のある患者
肝障害を悪化又は再発させるおそれがある。[11.1.3参照]
9.5 妊婦
9.5.1 出産予定日12週以内の妊婦
投与しないこと。アスピリンにより妊娠期間の延長、動脈管の早期閉鎖、子宮収縮の抑制、分娩時出血の増加につながるおそれがある。海外での大規模な疫学調査では、妊娠中のアスピリン服用と先天異常児出産の因果関係は否定的であるが、長期連用した場合は、母体の貧血、産前産後の出血、分娩時間の延長、難産、死産、新生児の体重減少・死亡などの危険が高くなるおそれを否定できないとの報告がある。また、ヒトで妊娠末期にアスピリンを投与された患者及びその新生児に出血異常があらわれたとの報告がある。さらに、妊娠末期のラットにアスピリンを投与した実験で、弱い胎児の動脈管収縮が報告されている。[2.6参照]
9.5.2 妊婦(ただし、出産予定日12週以内の妊婦は除く)又は妊娠している可能性のある女性
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)を妊婦に使用し、胎児の腎機能障害及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が起きたとの報告がある。アスピリンの動物実験(ラット)で催奇形性作用があらわれたとの報告がある。妊娠期間の延長、過期産につながるおそれがある。
9.6 授乳婦
授乳中の女性には本剤投与中は授乳を避けさせること。クロピドグレルにおいて動物実験(ラット)で乳汁中に移行すること及びアスピリンにおいてヒト乳汁中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。造血機能、腎機能、肝機能等の生理機能が低下していることが多く、また体重が少ない傾向があり、出血等の副作用があらわれやすい。

8.重要な基本的注意

8.1 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、無顆粒球症、重篤な肝障害等の重大な副作用が発現することがあるので、投与開始後2ヵ月間は、2週間に1回程度の血液検査等の実施を考慮すること。[11.1.3、11.1.4、11.1.6参照]
8.2 本剤を適用するにあたっては、クロピドグレル硫酸塩又はアスピリン単独投与に比べ出血のリスクが高まる可能性があることを十分考慮すること。[10.2参照]
8.3 本剤による血小板凝集抑制が問題となるような手術の場合には、14日以上前に投与を中止することが望ましい。投与中止期間中は必要に応じて単剤の抗血小板剤の使用も検討すること。また、血栓症や塞栓症のリスクの高い症例では、適切な血栓塞栓症の発症抑制策を講じること。なお、十分な休薬期間を設けることが出来ない場合は重大な出血のリスクが高まることが報告されているので十分に観察すること。手術後に本剤の再投与が必要な場合には、手術部位の止血を確認してから再開すること。[11.1.1、17.1.1、18.2.1参照]
8.4 高血圧が持続する患者への投与は慎重に行い、本剤投与中は十分な血圧のコントロールを行うこと。[9.1.6参照]
8.5 出血を起こす危険性が高いと考えられる場合には、中止等を考慮すること。[11.1.1参照]
8.6 後天性血友病(活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)の延長、第VIII因子活性低下等)があらわれることがある。aPTTの延長等が認められた場合には、出血の有無にかかわらず、後天性血友病の可能性を考慮し、専門医と連携するなど適切な処置を行うこと。[11.1.9参照]
8.7 患者には通常よりも出血しやすくなることを説明し、異常な出血が認められた場合には医師に連絡するよう注意を促すこと。また、他院(他科)を受診する際には、本剤を服用している旨を医師に必ず伝えるよう患者に注意を促すこと。[11.1.1、18.1.1、18.1.2参照]
8.8 治療中に本剤の投与を中止あるいは休薬すると、血栓塞栓症の発現リスクが高まることがあるため、単剤の抗血小板剤へ切り替えを検討すること。また、本剤を飲み忘れた場合には気づいた時に1錠服用するよう指導すること。ただし、次の服用時間に近い場合には飲み忘れた分は服用せずに次回服用時に1錠を服用することとし、倍量を服用しないよう患者に指導すること。
8.9 本剤とワルファリン等の抗凝固薬との併用は、抗血栓作用のある薬剤を3成分同時に服用することになり、出血リスクを高めるおそれがあるため、ワルファリン等の抗凝固薬を併用するベネフィットがリスクを上回ると判断される場合にのみ投与すること。[10.2、11.1.1参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 本剤は腸溶性の内核を含む有核錠であるので、割ったり、砕いたり、すりつぶしたりしないで、そのままかまずに服用させること。
14.1.2 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 クロピドグレルのローディングドーズ投与(投与開始日に300mgを投与すること)には本剤を用いず、クロピドグレル硫酸塩(クロピドグレルとして75mg)単剤を用いること。なお、PCI施行の4日以上前からクロピドグレルを投与されている場合、ローディングドーズ投与は必須ではない。
7.2 ステント留置患者への本剤投与時には該当医療機器の電子添文を必ず参照すること。なお、原則として本剤の投与終了後は単剤の抗血小板剤に切り替えること。
7.3 空腹時の投与は避けることが望ましい。

5.効能又は効果に関連する注意

5.1 クロピドグレル75mg(維持量)とアスピリン100mgの併用による治療が適切と判断される場合に、本剤を使用することができる。なお、患者の状態を十分に考慮した上で、本剤の投与が適切であるか慎重に判断すること。
5.2 PCIが適用予定の虚血性心疾患患者への投与は可能である。冠動脈造影により保存的治療あるいは冠動脈バイパス術が選択され、PCIを適用しない場合には以降の投与は控えること。

16.薬物動態

16.4 代謝
16.4.1 クロピドグレル
クロピドグレル硫酸塩は吸収された後、肝臓で主に2つの経路で代謝される。すなわち、1)エステラーゼにより非活性代謝物であるSR26334(主代謝物)を生成する経路と、2)薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)による酸化型代謝物を生成する経路である。後者の経路を経由して、活性代謝物H4が生成される。
クロピドグレルの肝酸化型代謝に関与するチトクロームP450分子種は主にCYP2C19であり、その他にCYP1A2、CYP2B6、CYP3A4等が関与する。また、SR26334はCYP2C9を阻害し、グルクロン酸抱合体はCYP2C8を阻害する(in vitro)。[10.参照]
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 CYP2C19遺伝子多型がクロピドグレルの薬物動態に及ぼす影響
健康成人をCYP2C19の代謝能に応じて3群(各群9例)に分け、クロピドグレルとして初日に300mg、その後75mg/日を6日間投与する試験を実施した。CYP2C19の2つの遺伝子多型(CYP2C19*2CYP2C19*3)についていずれかをホモ接合体又はいずれもヘテロ接合体としてもつ患者群(PM群)では、活性代謝物H4のAUC0-24及びCmaxが、野生型ホモ接合体群(EM群:CYP2C19*1/*1)と比較して低下した。なお、日本人におけるPMの頻度は、18~22.5%との報告がある。[15.1.1参照]
健康成人におけるCYP2C19遺伝子多型がクロピドグレル活性代謝物H4の薬物動態パラメータに及ぼす影響
投与量CYP2C19遺伝子型注)
EMIMPM
Cmax(ng/mL)300mg(1日目)29.8±9.8819.6±4.7311.4±4.25
75mg(7日目)11.1±4.677.00±3.813.90±1.36
AUC0-24(ng・hr/mL)300mg(1日目)39.9±16.825.7±6.0615.9±4.73
75mg(7日目)11.1±3.797.20±1.934.58±1.61
(mean±S.D.)注)EM:CYP2C19 *1/*1IM:CYP2C19 *1/*2あるいはCYP2C19 *1/*3PM:CYP2C19 *2/*2CYP2C19 *2/*3あるいはCYP2C19 *3/*3
16.7 薬物相互作用
16.7.1 レパグリニド
健康成人にクロピドグレル硫酸塩(1日1回3日間、クロピドグレルとして1日目300mg、2~3日目75mg)を投与し、1日目と3日目にレパグリニド(0.25mg)を併用した結果、レパグリニドのCmax及びAUC0-∞は、レパグリニドを単独投与したときと比較して1日目は2.5及び5.1倍、3日目は2.0及び3.9倍に増加した。また、t1/2は1.4及び1.2倍であった(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.2 セレキシパグ
健康成人男性22例にセレキシパグ0.2mgを1日2回10日間経口投与し、クロピドグレルを投与4日目に300mg(n=21)、投与5日目から10日目に75mg(n=20)を経口投与した。単独投与と比較して、セレキシパグのCmax及びAUC0-12は、投与4日目では1.35倍及び1.44倍に増加し、投与10日目は0.98倍及び1.14倍であった。同様に、セレキシパグの活性代謝物(MRE-269)のCmax及びAUC0-12は、投与4日目では1.69倍及び2.25倍、投与10日目では1.90倍及び2.70倍に増加した。[10.2参照]

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
非ステロイド性消炎鎮痛剤(ナプロキセン、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム等)
[11.1.1参照]
クロピドグレルとの併用により、消化管からの出血が助長されたとの報告がある。クロピドグレルは血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤と併用すると消化管出血を助長すると考えられている。
非ステロイド性消炎鎮痛剤(ナプロキセン、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム等)
[11.1.1参照]
アスピリンとの併用により、出血及び腎機能の低下を起こすことがある。機序不明
血小板凝集抑制作用を有する薬剤(シロスタゾール、トロンボキサン合成酵素阻害剤(オザグレルナトリウム)、プロスタグランジンE1製剤、E1及びI2誘導体(ベラプロストナトリウム等)、サルポグレラート塩酸塩、イコサペント酸エチル等)血栓溶解剤(ウロキナーゼ、t-PA製剤(アルテプラーゼ等)等)
[8.2、11.1.1参照]
これら薬剤との併用により、出血の危険性が増大するおそれがあるので、観察を十分に行い、注意すること。本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤との併用により出血傾向が増強されるおそれがある。
血液凝固阻止剤(ヘパリン製剤、ダナパロイドナトリウム、第Xa因子阻害剤(リバーロキサバン等)、抗トロンビン剤(ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩等)、トロンボモデュリン アルファ等)
[8.2、11.1.1参照]
これら薬剤との併用により、出血の危険性が増大するおそれがあるので、観察を十分に行い、注意すること。本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤との併用により出血傾向が増強されるおそれがある。
クマリン系抗凝固剤(ワルファリンカリウム)
[8.9、11.1.1参照]
出血した時、それを助長するおそれがある。また、アスピリンはクマリン系抗凝固剤の作用を増強し、出血時間の延長、消化管出血等を起こすことがあるので、クマリン系抗凝固剤を減量するなど慎重に投与すること。アスピリンは血漿蛋白に結合したクマリン系抗凝固剤と置換し、遊離させる。また、本剤は血小板凝集抑制作用、アスピリンは消化管刺激による出血作用を有する。
薬物代謝酵素(CYP2C19)を阻害する薬剤
オメプラゾール
クロピドグレルの作用が減弱するおそれがある。CYP2C19を阻害することにより、クロピドグレルの活性代謝物の血中濃度が低下する。
糖尿病用剤(ヒトインスリン、トルブタミド等)アスピリンは糖尿病用剤の作用を増強し、低血糖を起こすことがあるので、糖尿病用剤を減量するなど慎重に投与すること。アスピリン(高用量投与時)は血漿蛋白に結合した糖尿病用剤と置換し、遊離させる。また、アスピリンは大量で血糖降下作用を有する。
メトトレキサートアスピリンとの併用により、メトトレキサートの副作用(骨髄抑制、肝・腎・消化器障害等)が増強されることがある。アスピリン(高用量投与時)は血漿蛋白に結合したメトトレキサートと置換し、遊離させる。また、アスピリンはメトトレキサートの腎排泄を阻害すると考えられている。
バルプロ酸ナトリウムアスピリンはバルプロ酸ナトリウムの作用を増強し、振戦等を起こすことがある。アスピリン(高用量投与時)は血漿蛋白に結合したバルプロ酸ナトリウムと置換し、遊離させる。
フェニトインアスピリンは総フェニトイン濃度を低下させるが、非結合型フェニトイン濃度を低下させないとの報告があるので、総フェニトイン濃度に基づいて増量する際には臨床症状等を慎重に観察すること。アスピリン(高用量投与時)は血漿蛋白に結合したフェニトインと置換し、遊離させる。
副腎皮質ホルモン剤(ベタメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン等)アスピリン(高用量投与時)との併用時に副腎皮質ホルモン剤を減量すると、サリチル酸中毒を起こすことが報告されている。また、消化管出血を増強させることが考えられる。機序不明
リチウム製剤アスピリンとの併用により、リチウム中毒を起こすことが報告されている。アスピリン(高用量投与時)は腎のプロスタグランジンの生合成を抑制し、腎血流量を減少させることにより、リチウムの腎排泄を低下させることが考えられる。
チアジド系利尿剤(ヒドロクロロチアジド等)
ループ利尿剤(フロセミド)
アスピリンはこれらの薬剤の作用を減弱させることが報告されている。アスピリンは腎のプロスタグランジンの生合成を抑制して、水、塩類の体内貯留が生じ、利尿剤の水、塩類排泄作用に拮抗するためと考えられる。
β遮断剤(プロプラノロール塩酸塩、ピンドロール等)
ACE阻害剤(エナラプリルマレイン酸塩等)
アスピリンはこれらの薬剤の作用を減弱させることが報告されている。アスピリンは血管拡張作用を有する腎プロスタグランジンの生合成、遊離を抑制し、血圧を上昇させることが考えられる。
ニトログリセリン製剤アスピリンはニトログリセリンの作用を減弱させることがある。アスピリンはプロスタグランジンの生合成を抑制することにより、冠動脈を収縮させ、ニトログリセリンの作用を減弱させることが考えられる。
尿酸排泄促進剤(プロベネシド、ベンズブロマロン)アスピリンはこれらの薬剤の作用を減弱させることがある。アスピリン(高用量投与時)はこれらの薬剤の尿酸排泄に拮抗する。
イブプロフェン
ナプロキセン
ピロキシカム
スルピリン
アスピリンの血小板凝集抑制作用を減弱するとの報告がある。血小板のシクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)とアスピリンの結合を阻害するためと考えられる。
炭酸脱水酵素阻害剤(アセタゾラミド等)アスピリンはアセタゾラミドの副作用を増強し、嗜眠、錯乱等の中枢神経系症状、代謝性アシドーシス等を起こすことが報告されている。アスピリンは血漿蛋白に結合したアセタゾラミドと置換し、遊離させる。
ドネペジル塩酸塩
[11.1.2参照]
アスピリンとの併用により、消化性潰瘍を起こすことがある。コリン系が賦活され胃酸分泌が促進される。
タクロリムス水和物、シクロスポリンアスピリンとの併用により、腎障害が発現することがある。腎障害の副作用が相互に増強されると考えられる。
ザフィルルカストアスピリンとの併用により、ザフィルルカストの血漿中濃度が上昇することがある。機序不明
プロスタグランジンD2、トロンボキサンA2受容体拮抗剤(ラマトロバン、セラトロダスト)ヒト血漿蛋白結合に対する相互作用の検討(in vitro)において、アスピリンによりこれらの薬剤の非結合型分率が上昇することがある。これら薬剤がアスピリンと血漿蛋白結合部位で置換し、遊離型血中濃度が上昇すると考えられる。
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)(フルボキサミンマレイン酸塩、セルトラリン塩酸塩等)
[11.1.1参照]
出血を助長するおそれがある。また、アスピリンとの併用により、皮膚の異常出血(斑状出血、紫斑等)、出血症状(胃腸出血等)が報告されている。SSRIの投与により血小板凝集が阻害され、本剤との併用により出血を助長すると考えられる。
アルコール
[9.1.5、11.1.1参照]
アスピリンとの併用により、消化管出血が増強されるおそれがある。アルコールによる胃粘膜障害とアスピリンのプロスタグランジン合成阻害作用により、相加的に消化管出血が増強すると考えられる。
薬物代謝酵素(CYP2C8)の基質となる薬剤
レパグリニド
[16.7.1参照]
レパグリニドの血中濃度が増加し、血糖降下作用が増強するおそれがある。クロピドグレルのグルクロン酸抱合体によるCYP2C8阻害作用により、これら薬剤の血中濃度が増加すると考えられる。
セレキシパグ
[16.7.2参照]
セレキシパグの活性代謝物(MRE-269)のCmax及びAUCが増加したとの報告がある。本剤と併用する場合には、セレキシパグの減量を考慮すること。クロピドグレルのグルクロン酸抱合体によるCYP2C8阻害作用により、これら薬剤の血中濃度が増加すると考えられる。
強力なCYP2C19誘導薬
リファンピシン
クロピドグレルの血小板阻害作用が増強されることにより出血リスクが高まるおそれがある。
リファンピシン等の強力なCYP2C19誘導薬との併用は避けることが望ましい。
クロピドグレルは主にCYP2C19によって活性代謝物に代謝されるため、CYP2C19酵素を誘導する薬剤との併用によりクロピドグレルの活性代謝物の血漿中濃度が増加する。
モルヒネクロピドグレルの血漿中濃度が低下するおそれがある。モルヒネの消化管運動抑制により、クロピドグレルの吸収が遅延すると考えられる。
ロスバスタチンクロピドグレル75mgの反復投与後、ロスバスタチンのCmaxには影響せず、AUCが1.4倍上昇したとの報告がある。クロピドグレルにより、ロスバスタチンの血中濃度が上昇する。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
11.1.1 出血(脳出血等の頭蓋内出血(1%未満)、硬膜下血腫(頻度不明)、吐血(頻度不明)、下血(1%未満)、胃腸出血(1%未満)、眼底出血(1%未満)、関節血腫(頻度不明)、腹部血腫(0.1%未満)、後腹膜出血(頻度不明)、肺出血(頻度不明)等)
脳出血等の頭蓋内出血の初期症状として、頭痛、悪心・嘔吐、意識障害、片麻痺等があらわれることがある。出血を示唆する臨床症状が疑われた場合は、投与を中止し、直ちに血球算定等の適切な検査を実施すること。[2.1、2.2、8.3、8.5、8.7、8.9、9.1.3、10.2参照]
11.1.2 胃・十二指腸潰瘍(1%未満)、小腸・大腸潰瘍(頻度不明)
出血を伴う胃・十二指腸潰瘍、小腸・大腸潰瘍があらわれることがある。また、狭窄・閉塞を伴う小腸・大腸潰瘍があらわれることがある。[2.4、9.1.1、9.1.5、10.2参照]
11.1.3 肝機能障害、黄疸
ALT上昇(7.9%)、γ-GTP上昇(5.1%)、AST上昇(5.6%)、黄疸(頻度不明)、急性肝不全(頻度不明)、肝炎(頻度不明)等があらわれることがある。[8.1、9.3.1、9.3.2参照]
11.1.4 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)(頻度不明)
TTPの初期症状である倦怠感、食欲不振、紫斑等の出血症状、意識障害等の精神・神経症状、血小板減少、破砕赤血球の出現を認める溶血性貧血、発熱、腎機能障害等が発現した場合には、直ちに投与を中止し、血液検査(網赤血球、破砕赤血球の同定を含む)を実施し、必要に応じ血漿交換等の適切な処置を行うこと。[8.1参照]
11.1.5 間質性肺炎(頻度不明)、好酸球性肺炎(頻度不明)
咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。異常が認められた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.6 血小板減少(1%未満)、白血球減少(1%未満)、無顆粒球症(頻度不明)、再生不良性貧血を含む汎血球減少症(頻度不明)[8.1参照]
11.1.7 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形滲出性紅斑、急性汎発性発疹性膿疱症、剥脱性皮膚炎(いずれも頻度不明)
11.1.8 薬剤性過敏症症候群(頻度不明)
初期症状として発疹、発熱がみられ、更に肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある。このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
11.1.9 後天性血友病(頻度不明)[8.6参照]
11.1.10 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれ、これに伴って急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがある。
11.1.11 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
ショックやアナフィラキシー(呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹等)があらわれることがある。
11.1.12 喘息発作(頻度不明)[2.5、9.1.4参照]
11.1.13 インスリン自己免疫症候群(頻度不明)
重度の低血糖を引き起こすことがある。[15.1.3参照]

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。

5%以上0.1~5%未満0.1%未満頻度不明
血液皮下出血貧血、紫斑(病)、鼻出血、止血延長、眼出血、歯肉出血、痔出血、血痰、穿刺部位出血、処置後出血、口腔内出血、術中出血、カテーテル留置部位血腫、ヘモグロビン減少、赤血球減少、ヘマトクリット減少、好中球減少、好酸球増多月経過多、口唇出血、陰茎出血、尿道出血好酸球減少、血清病
肝臓Al-P上昇、LDH上昇、血清ビリルビン上昇胆石症、胆嚢炎
消化器消化器不快感、腹痛、胃腸炎、食道炎、下痢、便秘、嘔気、口内炎腹部膨満、腸管虚血、消化不良、嘔吐、食欲不振耳下腺痛、歯肉腫脹、歯肉(齦)炎、唾液分泌過多、粘膜出血、口渇、胃腸障害、胸やけ、口唇腫脹、大腸炎(潰瘍性大腸炎、リンパ球性大腸炎)、膵炎
代謝異常中性脂肪上昇、CK(CPK)上昇、K上昇、血糖上昇、血中尿酸上昇Na下降、総コレステロール上昇、総蛋白低下アルブミン低下、アミラーゼ上昇、Cl下降、Na上昇、K下降、代謝性アシドーシス、低血糖
過敏症発疹、そう痒感、湿疹、蕁麻疹、紅斑斑状丘疹性皮疹、血管浮腫、気管支痙攣、光線過敏性皮膚炎、眼瞼浮腫
皮膚脱毛皮膚乾燥膨疹、発汗、水疱性皮疹、扁平苔癬
感覚器眼充血味覚異常眼精疲労、眼瞼炎、結膜炎、複視、嗅覚障害、視力低下、角膜炎、耳鳴、難聴、味覚消失
精神神経系頭痛、めまい、高血圧不眠症、意識障害意識喪失、音声変調、低血圧、てんかん、眠気、皮膚感覚過敏、流涙、筋骨格硬直(肩こり、手指硬直)、気分変動、しびれ
循環器浮腫、不整脈徐脈胸痛、血管炎、心電図異常、脈拍数低下、頻脈、動悸、心窩部痛
腎臓BUN上昇、尿蛋白増加、血尿、尿沈渣異常、腎機能障害尿路感染、血中クレアチニン上昇、尿糖陽性急性腎障害、尿閉、頻尿、糸球体症
呼吸器気管支肺炎、咳胸水、痰、気管支炎、鼻炎、過呼吸
その他関節炎、発熱、CRP上昇多発性関節炎、肩痛、腱鞘炎、注射部位腫脹、異常感(浮遊感、気分不良)ほてり、多発性筋炎、滑液包炎、男性乳房痛、乳汁分泌過多、乳腺炎、女性化乳房、倦怠感、腰痛、筋痛、関節痛

頻度(%)はクロピドグレル硫酸塩とアスピリンを併用した国内臨床試験で認められたものを示した。また、それ以外にクロピドグレル硫酸塩又はアスピリンの服用時に認められる副作用を頻度不明として示した。

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