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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留

用法・用量

  • 通常、成人にはトルバプタンリン酸エステルナトリウムとして16mgを1日1回1時間かけて点滴静注する。

禁忌 

【警告】

  • 本剤投与により、急激な水利尿から脱水症状や高ナトリウム血症を来し、意識障害に至るおそれがあり、また、急激な血清ナトリウム濃度の上昇による浸透圧性脱髄症候群を来すおそれがあることから、入院下で投与を開始、増量又は再開すること。また、特に投与開始日、増量日又は投与再開日には血清ナトリウム濃度を頻回に測定すること。[8.4、9.1.1、9.1.2、11.1.3、11.1.4参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分又は類似化合物(トルバプタン等)に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 無尿の患者[本剤の効果が期待できない。]
  • 2.3 高ナトリウム血症の患者[本剤の水利尿作用により高ナトリウム血症が増悪するおそれがある。]
  • 2.4 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 経口水分摂取が困難な患者
水分出納バランスを適切に管理するため、以下の点に注意すること。本剤の投与初期及び増量時には、過剰な利尿に伴う脱水、高ナトリウム血症などの副作用があらわれるおそれがある。[1.、7.2、11.1.2-11.1.4、11.1.9参照]
・輸液等により体液管理すること。
・尿量と水分摂取量(輸液量を含む)を投与開始2時間後までは1時間ごと、8時間後までは2時間ごと、増量時には投与開始後4時間後及び8時間後を目安に確認し、水分出納バランスに応じて輸液量を調節すること。その後も投与を継続する場合には、毎日水分出納バランスを確認すること。
・体重、血圧、脈拍数等を頻回に測定し、患者の状態を観察すること。
・増量時には少なくとも投与開始4~6時間後及び8~12時間後に血清ナトリウム濃度及び血清カリウム濃度を測定すること。
9.1.2 血清ナトリウム濃度125mEq/L未満の患者
24時間以内に12mEq/Lを超える上昇がみられた場合には、投与を中止すること。急激な血清ナトリウム濃度の上昇により、浸透圧性脱髄症候群を来すおそれがある。[1.、7.3、11.1.4参照]
9.1.3 重篤な冠動脈疾患又は脳血管疾患のある患者
急激な利尿があらわれた場合、急速な循環血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれがある。[7.3、11.1.2参照]
9.1.4 高カリウム血症の患者
本剤の水利尿作用により高カリウム血症が増悪するおそれがある。[8.5、11.1.9参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎障害のある患者
利尿に伴う腎血流量の減少により腎機能が更に悪化するおそれがある。[11.1.1参照]
9.2.2 腎機能障害(eGFR 60mL/min/1.73m2未満)のある患者
高カリウム血症の発現リスクが高まるおそれがある。[11.1.9参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、適切な避妊を行うよう指導すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験で胚・胎児死亡(ラット、ウサギ)並びに胚あるいは胎児移行(ラット)が報告されている。また、活性の主体であるトルバプタンを投与した動物実験(ウサギ)で催奇形性が報告されている。[2.4、9.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
9.8.1 急激な利尿があらわれた場合、急速な循環血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれがある。[7.3、11.1.2参照]
9.8.2 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下しており、また、脱水症状を起こしやすいとされている。
9.8.3 高ナトリウム血症発現のおそれがある。[7.3、11.1.3参照]

8.重要な基本的注意

8.1 本剤の投与初期は、過剰な利尿に伴う脱水、高ナトリウム血症などの副作用があらわれるおそれがあるので、口渇感等の患者の状態を観察し、適切な水分補給を行い、体重、血圧、脈拍数、尿量等を頻回に測定すること。[11.1.3、11.1.4参照]
8.2 経口水分摂取が可能な患者に対しては、本剤の利尿作用に伴い、口渇、脱水などの症状があらわれた場合には、水分補給を行うよう指導すること。[11.1.3、11.1.4参照]
8.3 口渇感が持続する場合や脱水の症状がみられた場合には、減量を考慮すること。
8.4 本剤投与開始後24時間以内に水利尿効果が強く発現するため、少なくとも投与開始4~6時間後及び8~12時間後に血清ナトリウム濃度を測定すること。投与開始翌日から1週間程度は投与終了翌日まで毎日測定し、その後も投与を継続する場合には、適宜測定すること。[1.、11.1.3、11.1.4参照]
8.5 本剤の水利尿作用により循環血漿量の減少を来し、血清カリウム濃度を上昇させ、心室細動、心室頻拍を誘発するおそれがあるので、少なくとも投与開始4~6時間後及び8~12時間後に血清カリウム濃度を測定すること。投与開始翌日から1週間程度は投与終了翌日まで毎日測定し、その後も投与を継続する場合には、適宜測定すること。本剤投与開始前の血清カリウム濃度が正常域を超える患者や正常域内であっても高値の患者では特に注意すること。[9.1.4、11.1.7、11.1.9参照]
8.6 投与初期から重篤な肝機能障害があらわれることがあるため、本剤投与開始前に肝機能検査を実施し、少なくとも投与開始2週間は投与終了翌日まで頻回に肝機能検査を行うこと。またやむを得ず、その後も投与を継続する場合には、適宜検査を行うこと。[11.1.5、15.1.1参照]
8.7 めまい等があらわれることがあるので、転倒に注意すること。また、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
8.8 体液貯留状態が改善しない場合は、漫然と投与を継続しないこと。[17.1.1、17.1.2参照]
8.9 目標体重(体液貯留状態が良好にコントロールされているときの体重)に戻った場合は、漫然と投与を継続しないこと。

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤は、生理食塩液又は5%ブドウ糖液50mLを用いて用時溶解及び希釈して使用すること。
14.1.2 本剤1バイアルに生理食塩液又は5%ブドウ糖液4mLを加え溶解し、溶解液は全量注射筒に抜き取り、直ちに点滴静注用ボトル又はバッグに戻して希釈すること。
14.1.3 溶解時はゆっくりと1~2回転倒混和し、泡立たないようにすること。
14.1.4 希釈後は速やかに使用すること。
14.1.5 本剤を他剤と配合した時に、本剤と配合変化(混濁、浮遊物等)が認められる薬剤があるので、変色又は異物を認める場合は投与しないこと。また、配合変化試験データを参照すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 本剤は1時間かけて点滴静注すること。急速静注(ボーラス)は行わないこと。
14.2.2 変色又は異物を認める場合は投与しないこと。
14.2.3 同一の点滴ルートを使用し、本剤と他剤を投与する場合は、本剤と配合変化(混濁、浮遊物等)が認められる薬剤があるので、配合変化試験データを参照すること。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤は水排泄を増加させるが、ナトリウム排泄を増加させないことから、他の利尿薬(ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬、抗アルドステロン薬等)と併用して使用すること。
7.2 経口水分摂取が困難な患者に投与する場合は、半量(8mg)から開始し、効果不十分な場合には翌日以降に16mgに増量できる。ただし、本剤投与後24時間以内に血清ナトリウム濃度が10mEq/Lを超えて上昇した翌日には増量しないこと。[9.1.1参照]
7.3 血清ナトリウム濃度が125mEq/L未満の患者、急激な循環血漿量の減少が好ましくないと判断される患者、高齢者、血清ナトリウム濃度が正常域内で高値の患者に投与する場合は、半量(8mg)から開始することが望ましい。[9.1.2、9.1.3、9.8.1、9.8.3参照]
7.4 CYP3A4阻害剤(イトラコナゾール、フルコナゾール、クラリスロマイシン等)との併用は避けることが望ましい。やむを得ず併用する場合は、本剤の減量あるいは低用量からの開始などを考慮すること。[10.2、16.7.1-16.7.3参照]
7.5 体液貯留所見が消失した際には投与を中止すること。症状消失後の維持に関する有効性は確認されていない。[17.1.2参照]

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人に本剤16mgを1時間かけて単回静脈内投与した時のトルバプタンリン酸エステル及び活性の主体であるトルバプタンの血漿中濃度推移を図16-1及び図16-2に、薬物動態パラメータを表16-1に示す。
図16-1 健康成人における本剤16mg単回静脈内投与(1時間かけて投与)時の血漿中トルバプタンリン酸エステル濃度推移(平均値±標準偏差)
図16-2 健康成人における本剤16mg単回静脈内投与(1時間かけて投与)時の血漿中トルバプタン濃度推移(平均値±標準偏差)
表16-1 健康成人における本剤16mg単回静脈内投与(1時間かけて投与)時の薬物動態パラメータ
用量[例数]tmax(h)Cmax(ng/mL)t1/2,Z(h)AUC(ng・h/mL)
トルバプタンリン酸エステル
16mg[47例]1.02(1.02-1.02)1,760(240)2.9(0.8)2,510(421)
トルバプタン
16mg[47例]1.52(1.02-2.02)209(45.5)4.1(1.0)1,230(384)
投与開始後時間を用いてパラメータを算出した。平均値(標準偏差)、tmaxのみ中央値(最小-最大)
16.1.2 反復投与
心性浮腫患者に本剤2mg注)、4mg注)、8mg注)及び16mgを1時間かけて1日1回5日間反復静脈内投与又はトルバプタン15mgを1日1回5日間反復経口投与した時の1日目のトルバプタンリン酸エステル及び活性の主体であるトルバプタンの薬物動態パラメータを表16-2に示す。本剤16mg投与時のトルバプタン曝露量がトルバプタン15mg経口投与時のトルバプタン曝露量に最も近く、同程度であった。本剤の5日間反復投与により、トルバプタンリン酸エステルは累積しなかったが、本剤又はトルバプタン経口剤の5日間反復投与により、5日目のトルバプタンの血漿中トラフ濃度は1日目と比較して1.2~1.4倍になった。
表16-2 心性浮腫患者における本剤反復静脈内投与(1時間かけて投与)時及びトルバプタン反復経口投与時の1日目の薬物動態パラメータ
用量[例数]tmax(h)Cmax(ng/mL)t1/2,Z(h)AUC24h(ng・h/mL)
トルバプタンリン酸エステル(本剤静脈内投与時)
2mg[11例]1.03(1.00-1.08)296(186)1.8(0.7)454(182)
4mg[12例]1.04(1.00-1.08)524(130)2.8(1.1)980(384)
8mg[12例]1.03(0.98-1.10)831(215)2.5(0.9)1,440(429)
16mg[11例]1.03a)(1.00-1.05)1,840a)(457)3.8(0.6)3,400(735)
トルバプタン(本剤静脈内投与時)
2mg[11例]1.48(1.42-2.00)41.4(11.4)8.1a)(2.7)356(157)
4mg[12例]1.73(1.08-2.03)98.6(43.7)8.6(2.2)983(563)
8mg[12例]1.76(1.02-4.00)149(61.7)8.5(3.1)1,340(522)
16mg[11例]1.52(1.42-1.95)282(96.0)7.4(2.5)2,400(1,030)
トルバプタン(トルバプタン経口投与時)
15mg[12例]4.07(1.07-6.00)325(194)7.4b)(2.0)2,850(1,580)
投与開始後時間を用いてパラメータを算出した。平均値(標準偏差)、tmaxのみ中央値(最小-最大)、a)10例、b)8例
16.3 分布
本薬のヒト血清蛋白結合率は、97.9%以上であった(in vitro、限外ろ過法)。活性の主体であるトルバプタンのヒト血漿蛋白結合率は、98.0%以上であった(in vitro、限外ろ過法)。
16.4 代謝
本薬はホスファターゼによって加水分解される(in vitro)。活性の主体であるトルバプタンは、ヒト肝ミクロゾームチトクロームP450の分子種のうち、主としてCYP3A4により代謝される(in vitro)。[10.参照]
16.5 排泄
健康成人に、14C-トルバプタンリン酸エステルナトリウム15.2mgを単回静脈内投与した時、糞中及び尿中にそれぞれ投与した放射能の40.8%及び54.3%が排泄された。糞中及び尿中に未変化体は排泄されなかった。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎機能の程度の異なる心性浮腫患者(eGFR<15mL/min、eGFR=15~29mL/min、eGFR=30~59mL/min、eGFR=60~89mL/min、eGFR≧90mL/min)に本剤16mgを静脈内投与(1時間かけて投与)した時、トルバプタンリン酸エステルのAUCは、それぞれ4,060ng・h/mL、3,530ng・h/mL、3,400ng・h/mL、3,080ng・h/mL及び3,050ng・h/mLであり、活性の主体であるトルバプタンのAUCは、それぞれ4,710ng・h/mL、4,410ng・h/mL、3,090ng・h/mL、2,670ng・h/mL及び4,490ng・h/mLであった(母集団解析)。また、腎機能の程度の異なる被験者(クレアチニンクリアランス<30mL/min、クレアチニンクリアランス=30~60mL/min及びクレアチニンクリアランス>60mL/min)にトルバプタン60mgを経口投与した時のトルバプタンのAUCは、それぞれ7,360ng・h/mL、6,980ng・h/mL及び3,890ng・h/mLであった。また、血漿中遊離型分率は、それぞれ1.2%、0.6%及び1.0%であった。血漿中遊離型分率を用いて算出した血漿中トルバプタン遊離型濃度のAUCは、クレアチニンクリアランス<30mL/min、クレアチニンクリアランス=30~60mL/min及びクレアチニンクリアランス>60mL/minでそれぞれ71.8ng・h/mL、36.4ng・h/mL及び37.5ng・h/mLであった(外国人データ)。
16.6.2 肝機能障害患者
心性浮腫患者に本剤16mgを静脈内投与(1時間かけて投与)した時、トルバプタンリン酸エステルのAUCは、肝機能分類(NCI-ODWGに基づく)クラスAで3,310ng・h/mL、クラスB1で3,320ng・h/mL、クラスB2で3,660ng・h/mL、クラスCで3,610ng・h/mLであり、活性の主体であるトルバプタンのAUCは、クラスAで3,350ng・h/mL、クラスB1で3,340ng・h/mL、クラスB2で2,880ng・h/mL、クラスCで3,690ng・h/mLであった(母集団解析)。また、肝性浮腫患者にトルバプタン15mgを経口投与した時のトルバプタンのAUCは、中等度肝障害患者(Child-Pugh分類A又はB)で1,618ng・h/mL、重度肝障害患者(Child-Pugh分類C)で2,172ng・h/mLであった(母集団解析)。
#:National Cancer Institute Organ Dysfunction Working Group
16.6.3 高齢者(65歳以上)、性別
本剤を静脈内投与した時、トルバプタンリン酸エステルの薬物動態には年齢及び性別による影響は認められなかった(母集団解析)。また、トルバプタンを経口投与した時、トルバプタンの薬物動態には年齢及び性別による影響は認められなかった。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ケトコナゾール
健康成人において、強力なCYP3A4の阻害作用を有するケトコナゾール200mgとトルバプタン30mgの経口併用投与により、トルバプタンのCmax及びAUCは単独投与と比較してそれぞれ3.5倍及び5.4倍になった(外国人データ)。[7.4、10.2参照]
16.7.2 フルコナゾール
健康成人において、中等度のCYP3A4の阻害作用を有するフルコナゾール200mgとトルバプタン30mgの経口併用投与により、トルバプタンのCmax及びAUCは単独投与と比較してそれぞれ1.8倍及び3.0倍になった(外国人データ)。[7.4、10.2参照]
16.7.3 グレープフルーツジュース
健康成人において、CYP3A4の阻害作用を有するグレープフルーツジュースとトルバプタン60mgの経口併用投与により、トルバプタンのCmax及びAUCは単独投与と比較してそれぞれ1.9倍及び1.6倍になった(外国人データ)。[7.4、10.2参照]
16.7.4 リファンピシン
健康成人において、CYP3A4の誘導作用を有するリファンピシン600mg(反復投与)とトルバプタン240mgの経口併用投与により、トルバプタンのCmax及びAUCは単独投与と比較してそれぞれ1/6及び1/8になった(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.5 ジゴキシン
健康成人において、P糖蛋白の基質であるジゴキシン0.25mgとトルバプタン60mgの経口併用投与により、ジゴキシンのCmax及びAUCは単独投与と比較してそれぞれ1.3倍及び1.2倍になった。トルバプタンのCmaxとAUCは単独投与と比較していずれも1.1倍になった(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.6 その他
・健康成人において、OATP1B1/1B3の阻害作用を有するリファンピシン600mg(単回投与)と本剤4mg注)の併用投与により、トルバプタンリン酸エステルのCmax及びAUCは単独投与と比較してそれぞれ1.3倍及び1.9倍になったが、活性の主体であるトルバプタンの薬物動態は影響を受けなかった。
・健康成人において、CYP3A4の基質であるロバスタチン80mgとトルバプタン90mgの経口併用投与により、ロバスタチンのCmax及びAUCは単独投与と比較してそれぞれ1.3倍及び1.4倍になった。ロバスタチン80mgとトルバプタン60mgの経口併用投与により、トルバプタンのCmaxとAUCは単独投与と比較していずれも1.2倍になった(外国人データ)。
・不整脈患者において、CYP3A4の基質であるアミオダロン200mgとトルバプタン90mgの経口併用投与により、アミオダロンの薬物動態の変化は単独投与と比較して5%未満であった(外国人データ)。
・健康成人において、CYP2C9の基質であるワルファリン25mgとトルバプタン60mgの経口併用投与により、R-ワルファリンとS-ワルファリンの薬物動態は影響を受けなかった(外国人データ)。
・健康成人において、フロセミド80mgとトルバプタン30mgの経口併用投与により、トルバプタンのCmax及びAUCは単独投与と比較していずれも1.2倍になった。ヒドロクロロチアジド100mgとトルバプタン30mgの経口併用投与により、トルバプタンのCmax及びAUCは変化しなかった。トルバプタンはフロセミド及びヒドロクロロチアジドの薬物動態に影響を与えなかった(外国人データ)。
・本薬はCYP2B6の誘導作用を示した(in vitro)。
注)本剤の承認された用量は1日1回16mgである。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
CYP3A4阻害作用を有する薬剤
ケトコナゾール(経口剤:国内未発売)、イトラコナゾール、フルコナゾール、クラリスロマイシン等
グレープフルーツジュース
[7.4、16.7.1-16.7.3参照]
代謝酵素の阻害により、トルバプタンの作用が増強するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は避けることが望ましい。トルバプタンの代謝酵素であるCYP3A4を阻害し、トルバプタンの血漿中濃度を上昇させる。
CYP3A4誘導作用を有する薬剤
リファンピシン等
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort、セントジョーンズワート)含有食品
[16.7.4参照]
代謝酵素の誘導により、トルバプタンの作用が減弱するおそれがあるので、本剤投与時はこれらの薬剤及び食品を摂取しないことが望ましい。トルバプタンの代謝酵素であるCYP3A4を誘導し、トルバプタンの血漿中濃度を低下させる。
ジゴキシン
[16.7.5参照]
トルバプタンによりジゴキシンの作用が増強されるおそれがある。トルバプタンはP糖蛋白を阻害し、ジゴキシンの血漿中濃度を上昇させる。
P糖蛋白阻害作用を有する薬剤
シクロスポリン等
トルバプタンの作用が増強するおそれがある。これらの薬剤がP糖蛋白を阻害することにより、トルバプタンの排出が抑制されるため血漿中濃度が上昇するおそれがある。
カリウム製剤
カリウム保持性利尿薬
スピロノラクトン、トリアムテレン等
抗アルドステロン薬
エプレレノン等
アンジオテンシン変換酵素阻害薬
エナラプリルマレイン酸塩等
アンジオテンシンII受容体拮抗薬
ロサルタンカリウム等
レニン阻害薬
アリスキレンフマル酸塩等
これらの薬剤と併用する場合、血清カリウム濃度が上昇するおそれがある。本剤の水利尿作用により循環血漿量の減少を来し、相対的に血清カリウム濃度が上昇するおそれがある。
バソプレシン誘導体
デスモプレシン酢酸塩水和物等
本剤によりバソプレシン誘導体の止血作用が減弱するおそれがある。トルバプタンのバソプレシンV2-受容体拮抗作用により、血管内皮細胞からのvon Willebrand因子の放出が抑制されるおそれがある。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 腎不全(頻度不明)
重度の腎障害があらわれることがある。[9.2.1参照]
11.1.2 血栓塞栓症(頻度不明)
急激な利尿により血液濃縮を来した場合、血栓症及び血栓塞栓症を誘発するおそれがある。[9.1.1、9.1.3、9.8.1参照]
11.1.3 高ナトリウム血症(1~5%未満)
本剤の水利尿作用により血液濃縮を来し、高ナトリウム血症があらわれることがあり、意識障害を伴うこともある。投与中は、飲水量、尿量、血清ナトリウム濃度及び口渇、脱水等の症状の観察を十分に行うこと。
口渇感の持続、脱水等の症状がみられた場合には、本剤の投与を減量又は中止し、症状に応じて、輸液を含めた水分補給等の適切な処置を行うこと。また、正常域を超える血清ナトリウム濃度の上昇がみられた場合には、直ちに本剤の投与を中止し、症状に応じて、輸液を含めた水分補給等の適切な処置を行うこと。[1.、8.1、8.2、8.4、9.1.1、9.8.3参照]
11.1.4 急激な血清ナトリウム濃度上昇(1%未満)
本剤の水利尿作用により、急激な血清ナトリウム濃度の上昇があらわれることがある。これにより麻痺、発作、昏睡等に至るような浸透圧性脱髄症候群を来すおそれがあるため、投与中は、血清ナトリウム濃度及び体液量の観察を十分に行うこと。本剤投与後24時間以内に12mEq/Lを超える等の血清ナトリウム濃度の急激な上昇がみられた場合には、直ちに本剤の投与を中止し、症状に応じて、輸液を含めた水分補給等の適切な処置を行うこと。[1.、8.1、8.2、8.4、9.1.1、9.1.2参照]
11.1.5 急性肝不全(頻度不明)、肝機能障害(1~5%未満)
AST、ALT、γ-GTP、Al-P、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害があらわれ、急性肝不全に至ることがある。また、肝機能障害が回復するまでは頻回に血液検査を実施するなど観察を十分に行うこと。[8.6参照]
11.1.6 ショック、アナフィラキシー(頻度不明)
ショック、アナフィラキシー(全身発赤、血圧低下、呼吸困難等)があらわれることがある。
11.1.7 過度の血圧低下(頻度不明)、心室細動(頻度不明)、心室頻拍(1~5%未満)[8.5参照]
11.1.8 汎血球減少、血小板減少(頻度不明)
11.1.9 高カリウム血症(1~5%未満)[8.5、9.1.1、9.1.4、9.2.2参照]
11.1.10 肝性脳症(頻度不明)
肝硬変患者の場合、意識障害を伴う肝性脳症があらわれるおそれがある。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

5%以上1~5%未満1%未満頻度不明
精神神経系頭痛、めまい、不眠症、失神、意識消失、睡眠障害、嗜眠、傾眠、ナルコレプシー、注意力障害、感覚鈍麻、不随意性筋収縮、錯感覚、不安、うつ病、リビドー減退、神経過敏、パニック発作
消化器口渇便秘、悪心食欲不振、嘔吐、下痢、味覚異常、消化不良、腹痛、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、食道炎、裂孔ヘルニア、腹部不快感、心窩部不快感、口唇乾燥、鼓腸、胃腸炎、胃炎、胃腸障害、憩室炎、結腸ポリープ、嚥下障害、消化管運動障害、舌痛、舌苔、舌変色、口唇炎、口内炎、口の感覚鈍麻、臍ヘルニア、食欲亢進、呼気臭、痔核、過敏性腸症候群
循環器頻脈、血圧低下起立性低血圧血圧上昇、動悸、期外収縮、不整脈、不安定血圧
血液貧血ヘモグロビン低下、平均赤血球容積増加、血小板減少、白血球増多、好酸球増多
代謝脱水高カルシウム血症、血中尿酸上昇糖尿病、高血糖、脂質異常症、痛風、血液浸透圧上昇、血液量減少症、低カリウム血症、低ナトリウム血症、低血糖、低リン酸血症、CK上昇、血中抗利尿ホルモン増加
腎臓・泌尿器腎機能障害頻尿、多尿、血中クレアチニン上昇、腎臓痛、BUN上昇、血尿、尿浸透圧低下、尿失禁、尿意切迫、排尿困難、尿閉、乏尿、尿路感染、膀胱痛、腎結石、シスタチンC上昇
過敏症発疹、そう痒、蕁麻疹
皮膚皮膚乾燥、脱毛、ざ瘡、皮膚炎、色素沈着障害、爪の障害、多汗、乏汗、寝汗
呼吸器咳嗽、呼吸困難、鼻咽頭炎、上気道感染、扁桃炎、副鼻腔炎、喘息、気管支炎、口腔咽頭痛、咽喉乾燥、鼻乾燥、鼻出血、発声障害
眼乾燥、緑内障、霧視、結膜出血
その他筋痙縮、倦怠感疲労、多飲症、体重変動(増加、減少)、無力症、浮腫、筋骨格痛、胸痛、背部痛、関節痛、四肢痛、疼痛、側腹部痛、冷感、発熱、ほてり、熱感、粘膜乾燥、ウイルス感染、カンジダ症、真菌感染、筋硬直、関節腫脹、勃起不全、月経過多、不規則月経、乳房嚢胞、易刺激性、LDH上昇、耳鳴、不正子宮出血
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