高ナトリウム血症 :トップ    
監修: 花房規男 東京女子医科大学 血液浄化療法科
長谷川元 清水泰輔 埼玉医科大学総合医療センター 腎・高血圧内科、人工腎臓部

概要

検査・所見のポイント:
  1. 高ナトリウム血症(以下高Na血症)とは、血中Na濃度が145meq/L以上を意味するが、意識障害などの症状は血漿浸透圧高値に伴うものである。
  1. 血清Na濃度の正常値はおおむね135~145mEq/Lであり、この濃度は体内の水分量とNaのバランスで規定される。
  1. 血清Na濃度異常の多くは水バランス異常によりもたらされ、ADH分泌過剰(SIADH、血管内脱水など)に伴う水貯留により低Na血症が、ADH欠乏(尿崩症)や腎外性水喪失等に伴う水欠乏により高Na血症が引き起こされる。一般に血漿浸透圧の上昇は渇中枢を刺激し飲水が促されるため、腎外性水喪失による高Na血症(高張性脱水)は飲水行動が不能な場合や飲水で代償し得ない水喪失が生じた場合に限られる。
  1. 高Naの症状≈高浸透圧の症状であり、浸透圧上昇に対する生体適応が生じていない「急性高Na血症」の場合と、適応が獲得されている「慢性高Na血症」では異なった症状がみられる。急性高Na血症≈細胞内脱水であるため、神経・筋症状が主要なものである。口渇から嗜眠、昏睡、譫妄、興奮などが出現し得る。筋細胞脱水のため筋攣縮、けいれん、腱反射亢進が見られる。血清Na濃度が160mEq/L以上では危険度が増加し、脳実質の縮小に伴う脳内出血・クモ膜下出血の危険性が生じる。一方慢性高Na血症では浸透圧活性を有するidiogenic osmoleが神経細胞内に増加し、神経細胞脱水を防いでいるため、症状はきわめて軽微に留まることもまれではない。血清Na濃度と神経症状とに乖離がみられる場合は慢性の経過を示唆しており、Na濃度是正は緩徐かつ慎重に行う必要がある。
 
緊急対応・症状治療:
  1. 高Na血症では、重度になると細胞内脱水による中枢神経症状(頭痛・嘔吐・けいれん・意識障害など)が引き起こされるため緊急治療を要する。また高Na血症では細胞外液減少による末梢循環不全を伴っている場合が多く、この場合細胞外液補充を考慮し、…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

原因評価・体液量の評価のための検査例
  1. アルゴリズムに沿って評価を行う。
  1. 高ナトリウム血症の考え方:アルゴリズム
  1. 高Na血症の病態を水分量とNa量との関係から考えるとアルゴリズムのように3つに分けられ、まずは脱水所見の有無が非常に重要となる。
  1. 体液量の減少を示唆する所見としては、①体重の急な減少、②FENa<0.1%、③BUN/クレアチニン>20以上、④脈が100以上、⑤血圧低下、⑥意識障害、⑦尿量減少、⑧尿比重>1.020
  1. 検査データを待たずして脱水を評価することは容易ではないが、理学所見から脱水をある程度推測することができる。
  1. 細胞外液量減少における各指標の感度、特異度および尤度(LR*):<図表>
  1. 腎性の体液喪失(UNa>20mEq/L)か腎外性の体液喪失(UNa<20mEq/L)かの鑑別には尿中Na濃度の測定が有用である。
  1. 高Na血症が存在しても渇感を呈さない場合には頭蓋内病変の有無を確認すべきである。
○ 体液量などの評価目的で下記の評価を行う。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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(詳細はこちらを参照)

高ナトリウム血症の考え方
高ナトリウム血症鑑別の概略
細胞外液量減少における各指標の感度、特異度および尤度(LR*)
著者校正済:2018/09/05
現在監修レビュー中

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、臨床的に非常にまれな病態である本態性高Na血症についての記載は削除した。