抗がん剤の血管外漏出への対応

著者: 野口瑛美1) 国立がん研究センター中央病院

著者: 小室泰司2) がん・感染症センター都立駒込病院

監修: 佐治重衡 福島県立医科大学

著者校正/監修レビュー済:2016/06/10

概要・推奨  

疾患のポイント:
  1. 静脈内投与中の抗がん剤が血管外に漏出し、周囲組織に拡散することを抗がん剤の血管外漏出 (extravasation) と呼ぶ。抗がん剤の血管外漏出により、周囲の軟部組織に障害を起こし得る。
  1. 組織障害の程度は、漏出した抗がん剤の種類によって異なり、起壊死性抗がん剤 (vesicant drug)、炎症性抗がん剤 (irritant drug)、非壊死性抗がん剤 (non-vesicant drug) に分類される。起壊死性抗がん剤 (vesicant drug) では、少量の血管外漏出でも重篤な皮膚壊死や潰瘍形成などを引き起こすことがある。
  1. 抗がん剤の血管外漏出は、早期発見・早期対応が重要である。また、適切な血管確保を含む予防がきわめて重要である。
 
診断: >詳細情報 
  1. 抗がん剤投与中に、穿刺部位周囲に発赤、腫脹などの変化や疼痛、灼熱感、圧迫感などの自覚症状がみられる場合には、血管外漏出を疑う。
  1. 血管外漏出が疑われる場合には、明らかな漏出の所見がなくても、血管外漏出があるものとして対応する。
  1. 抗がん剤の血管外漏出による皮膚損傷:<図表>
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 組織障害の程度は、漏出した抗がん剤の種類によって異なる。起壊死性抗がん剤、炎症性抗がん剤、非壊死性抗がん剤の3群に分類される。起壊死性抗がん剤では、少量の血管外漏出でも重篤な皮膚壊死や潰瘍形成などを引き起こすことがある。
  1. 抗がん剤の組織障害の程度による分類:<図表>
 
緊急対応・治療:アルゴリズム
  1. ただちに薬剤の投与を中止し、できる限り漏出薬剤を吸引してから、抜針を行う。
  1. 起壊死性抗がん剤では必ず、炎症性抗がん剤では漏出量が多い場合に、処置を行う。
  1. 漏出範囲をマーキングし、患肢を拳上する。ビンカアルカロイド系抗がん剤、エトポシドの漏出時には、患部は保温する。その他の抗がん剤の漏出時には、患部は冷却…
検査・処方例
※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

ビンカアルカロイド系エトポシドの漏出対応

薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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